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[計画]事業計画を立てる
事業計画とは
事業計画とは
飲食店を開業する際にはまず「事業計画書」の作成からスタートです。
事業計画を立てる…とは、「開業する飲食店の計画を数字に落とし込む」と言うとわかりやすいかもしれません。
資金の借入時にも、長く健全な飲食店経営をしていくためにも、経営を数値化して「現実性があるか?」「無理のない経営計画か?」などを俯瞰視することは大切です。
関連記事 飲食店の出店計画の立て方とは?事業計画書の内容や作成方法について解説!
関連記事 事業計画書の書き方とは?目的やメリットについて解説事業計画書の見本
事業計画書に決まった書式はありませんが、飲食店開業時のポピュラーな資金調達方法である日本政策金融公庫の「新創業融資制度」で使用する書式が、コンパクトな事業計画書の見本としてわかりやすいです。
事業計画書の構成要素
先ほどの創業計画書はいくつかの構成要素でできていることがわかると思います。
- <事業計画で重要な構成要素>
- ① 開業する飲食店のコンセプト
- ② ターゲットとなる客層
- ③ 資金計画(開店資金/運転資金)
- ④ 事業の見通し(売上と経費計画のバランスと現実性)
<開業する飲食店のコンセプト>
飲食店のコンセプトを言い換えれば、「やりたい(絶対譲れない)ことは何か?」です。
ビジネスとして成立することはとても大事ではありますが、だからと言って「儲かりさえすれば何でも良い」というものでもないはずです。
よくあるパターンでは「15坪くらいで飲食店を開業したい」など、「規模」から考える方もいますが、この方法はあまりおすすめできません。規模から入ってしまうと肝心の「こだわり」部分がないため、少し経営がうまくいかなくなるとコンセプトが大きくブレがちになります。
あなたが開業して実現したいものは何か?を具体的に書き出してみましょう。
・居心地の良さが自慢のレストラン
・隠れ家的だがリピーターが多いバー
・気兼ねなく子連れで入れる賑やかなカフェ
・看板メニューが評判。サラリーマンで賑わう立ち飲み屋
このあたりが明確になってくると、あなたが開業でこだわるべき「業種」や「業態」が見えてくるはずです。業種とは取り扱う商材そのもの、つまり「イタリアン料理店」「ラーメン屋」などです。業態とはそのサービスの提供の仕方です。具体的には「レストラン」「宅配」などがそれにあたりますが、「どのようなサービスをどのように顧客へ届けるか?」を明確にイメージすることが重要です。
さらには、そのコンセプトに競争優位性や独自性があると計画に磨きがかかります。地域に愛され、ライバル店に負けない経営をするには「なぜ他のお店ではなく、あなたのお店を選ぶのか?」という顧客視点に立った理由も必要です。SNSやレビューサイトなど顧客の満足も不満も共有される時代です。どのような満足コメントが多いお店にしたいか?もあわせて描いてみましょう。
<ターゲットとなる客層>
コンセプトを明確に定めると、次はターゲット顧客の設定です。コンセプト設計するとおのずとターゲットも見えてくるはずですが、より明確にしておくと立地選びや物件選びに役立ちます。「ファミリー」をターゲットにした飲食店であればファミリー世帯が多く居住する住宅エリアへの出店を検討するべきですし、それなりに広さのある物件選定も必要でしょう。
また、ターゲット顧客の明確化はメニュー開発や価格設定の際にも役立ちます。先ほどの「ファミリー」を例に挙げれば、子供向けのメニューやドリンクを検討することはもちろん、「取り分けしやすいメニュー」なども着想のヒントになるかもしれません。また、ターゲットとなる顧客によって、1回の飲食代で想定する「単価感」も違います。一概には言えませんがファミリーでも5,000円を超える食事であればそれなりの「特別感」を期待する食事である可能性も高いため、食事の盛り付けや内装、1席あたりの広さにも気をつかわなくてはいけないかもしれません。
このように、ターゲット顧客を明確にすると当然ですが「どのような方が自分のお店に通うのか?」が見えてくるため、より立体的に店舗計画を描くことができるようになります。
<資金計画(開店資金/運転資金)>
さて、飲食店開業において多くの方がつまずくのがこの「資金計画」です。
売上や初期投資・経費の基準値がわからず、立ち止まってしまうのですが、初めての開業ですから適当にやるわけにもいかない箇所ですね。
売上や経費・投資額の算出については次章『売上規模や経費、投資額を算出する』で詳しく触れますが、ここでは必要な資金の種類を抑えておきましょう。
①開業資金
初期投資のために準備する資金ことを指します。具体的には、店舗物件の取得時の保証金や、内外装工事、店舗設備やインフラ・備品の購入費用、オープニングスタッフの募集コストなど、飲食店立ち上げの際にかかる費用に充てる資金のことです。
店舗経営に必要な月間コスト(=運転資金)とは異なり、売上が無い状態で準備が必要なため、自己資金や借入、助成金などの資金調達含め「事前」の資金準備が必要です。
自己資金で全て調達できれば借入の利子もかからず済みますが、多くの方が金融機関の融資を利用しています。開業コンサルタントによれば、開業時に用意しておきたい、自己資金の目安は、かかる開業資金の30%。これが50%あればかなり余裕ある状態です。裏を返せば、開業資金の50~70%程度は何かしら「資金調達」が必要な部分です。
※
開業資金の目安については次章『売上規模や経費、投資額を算出する』で解説しています。
② 運転資金
店舗経営をしていくために持っておくべき資金です。具体的には売り上げた金額以上に経費を使わなければ、当然ながら赤字にはなりませんが、経営はそれほどシンプルではありません。
「黒字倒産」という言葉をご存知でしょうか?損益計算では黒字なのに、現金がショートし、倒産してしまうことを指します。
例えば、顧客がクレジットカードで支払した場合にはそれが着金するまで少し時間がかかります。あるいは、店舗設備が故障するなど急遽メンテナンスが必要になった場合には予定外での大きなキャッシュアウトも想定されます。
このように、経営な健全をしていたとしても売上が想定通りにキャッシュとして手元にあるとも限らず、予定外の出費時にはそれに対応できるだけのキャッシュもプールしておく必要があります。さらには、最初から店舗経営が軌道に乗ればベストですが、あなたの店舗オープンが周辺地域に情報として行き渡るまでの間は月間での赤字にも資金で備えなければいけないかもしれません。これが「運転資金」です。
※
運転資金の目安については次章『売上規模や経費、投資額を算出する』で解説しています。
③ まとめ
資金調達時でも店舗経営でも、資金計画におけるチェックポイントは「現実性」「具体性」です。もう少し噛み砕くと、開業資金では「過大な投資をしすぎて運転資金ショートに影響しないか?」「過小な投資でコンセプト実現や集客に影響が出ないか?」などはとても重要ですし、運転資金では「しっかりと現実を見据えた経営計画が描かれていて、ある程度悪い経営状況のときにも耐えうる資金準備か?」などが大切です。
ぜひ、次章の『売上規模や経費、投資額を算出する』でバランスが取れた経営計画作りの参考にしてみてください。
<事業の見通し(売上と経費計画のバランスと現実性)>
事業の見通しとは、言い換えれば「しっかりと事業として堅実に利益が出る経営計画になっているか?」です。
売上においては「平日/土日祝」それぞれの時間帯ごと(例:ランチ時・閑散時・ディナー時)で無理のない適正な席稼働率・回転率・客単価がシミュレーションされた数値計画であれば、それは「堅実な計画」といえるでしょう。
また、経費計画においては食材の原価率や定期的な備品購入や交換、店舗のサイズや客数に合ったスタッフ数など、しっかりと描かれた計画とそうでない計画とでは「現実性」に雲泥の差が出ます。
とはいえ、初めての開業ではこのあたりの適正値がわからず、当てずっぽうになりがちですので、一般的な飲食店の「基準値」を知った上で自店舗用に数値をアレンジしていく方法がおすすめです。
次章の『売上規模や経費、投資額を算出する』では一般的な「基準値」に触れていきますので、ぜひお役立てください。まとめ 「事業計画とは」
- ・飲食店の事業計画作成はまず「コンセプト」から考えよう
- ・コンセプトとは「誰に」「何を」買ってもらうか、そしてあなたのお店だけの価値
- ・コンセプトとターゲットに合わせた店舗設計を。ここがないと「こだわり」がブレる
- ・資金計画では「現実性」を特に重視し、バランスよく設計する
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