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飲食店開業に役立つ融資の流れを解説!日本政策金融公庫の審査に通るコツや申請方法は?
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飲食業の開業資金として、無担保・無保証で利用できる日本政策金融公庫の融資が広く活用されています。
店舗の取得や厨房設備などで想定以上の初期費用がかかるため、自己資金だけでは賄いきれず、何から手をつけるべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
今回は初期費用がかさみやすい飲食店の背景と日本政策金融公庫の創業融資について、申請の流れや審査に通るコツを交えて解説します。
参考記事 起業・開業の資金調達方法6選と注意すべきポイントを解説
参考記事 飲食店開業に必要な準備は?フローチャートで必要な資金・資格や手続きなど解説目次
飲食店開業の初期投資に必要な額は?
飲食店を開業する場合、初期投資として必要な金額の目安は1,000万円となります。これは、東京都内で開業する場合の目安です。ただし、店舗の立地や広さ、コンセプトなどの経営計画が変わると、初期投資額も変わるため、あくまでも目安としてください。
なお、すべてを自己資金でカバーしなければならないわけではなく、金融機関による融資を利用するケースが一般的です。融資額は、飲食店の勤務経験の有無、事業計画書の質などによって上下します。言い換えれば、返済能力があるかどうかを上手くアピールすることができれば、融資額も上昇しうるということです。
ただし、1,000万円が調達できれば、必ず開業がうまくいくというわけではありません。物件や備品の具体的なコストを算出し、開業後の利益目標とどのタイミングで達成するかといったことを決め、初期費用となる1,000万円の使い方を考えることが大切です。想定していなかったコストが発生すると、開業後の計画が破綻する恐れがあるため、抜け漏れのないように注意しなければなりません。
そのほかにも、初期投資の内訳を把握することも非常に重要です。内訳を把握することで、何にどのくらいの金額が必要なのか、削減できる箇所はあるのかといったことが理解できるため、投資額を抑えられる可能性があります。初期費用の主な内訳としては、「物件取得費」「内装・設備導入費」「運転資金」「生活資金」の4つが挙げられます。それぞれの概要は以下の通りです。
●物件取得費:前家賃、保証金、礼金、仲介手数料などにかかる費用
●内装・設備導入費:内装工事や、厨房で使用する機器、食器類、各種消耗品などの導入にかかる費用
●運転資金:店舗家賃や人件費、光熱費など、開業後にかかる諸費用
●生活費:自身や家族を養うための費用
引き続き4つの費用について解説します。物件取得費
物件取得費とは、物件の取得に伴い発生する保証金や礼金、仲介手数料などのことです。一般的に物件取得費は、家賃の10倍を目安として考えておきましょう。家賃30万円の物件であれば、物件取得に300万円程度かかるイメージです。
注意しておきたいのは、保証金の金額が物件によって異なるという点です。立地など好条件であるほど高くなる傾向にあるため、立地で勝負したい場合は余裕をもって物件取得費を準備したほうがよいでしょう。内装・設備導入費
物件を契約した後は、店舗を作るための資金を用意しなければなりません。具体的には、内外装費のほか厨房で使用する機器や食器、備品などの準備費用などが該当します。
内装や設備導入にかかるコストは、1坪あたり50〜80万程度を目安としてください。30坪の店舗であれば1,500〜2,400万円程度です。
どのような内装にするか、どういったメニューを提供するかによって投資コストは異なります。内装や設備にこだわればこだわるほど費用は上昇し、開業資金全体の半分以上を占める場合もあります。運転資金
運転資金とは、仕入れ費や人件費などの毎月の支出を賄うために必要な資金を指します。仕入れの支払いに現金が必要となるケースがあるため、手元にある現金を運転資金として用意しておかなければなりません。
開業直後は計画通りに売り上げが伸びないケースが多いため、売上を運転資金に当てるといった考えは大きなリスクを伴います。そのため、売上が少なくても仕入れ対応ができるように、最低でも3ヶ月、できれば6ヶ月分程度の運転資金を確保しておくことをおすすめします。生活資金
飲食店開業時の予算には、自身の生活資金も含める必要があります。開業当初から店舗の利益だけで生活費を賄うのは難しいこともあるため、事前に資金を用意しておくと安心です。家族がいる場合は家庭の生活費を算出し、最低でも3~6ヶ月程度の生活資金を初期投資に組み込んでおきましょう。
なお、生活費は事業資金ではないため、この名目で融資を受けることはできません。あらかじめ自己資金で賄えるようにしておきましょう。飲食店の開業資金をモデルケースで試算
飲食店に必要な資金の内訳を把握できても「具体的な数字を見ないとピンとこない」と感じる方も多いでしょう。そこで、単身者が15坪程度(家賃20万円を想定)の飲食店を開業すると想定したモデルケースで試算してみましょう。都心と郊外で相場が異なるため、2パターンに分けて解説していきます。
【都心で15坪前後(家賃20万円)の飲食店を開業する場合】
項目 金額 内訳 物件取得費 200万円
(20万円×10か月分)・保証金
・礼金
・仲介手数料
・前家賃内装・設備導入費 750万円
(坪数×50万円)・内外装工事
・厨房設備
・その他什器・備品運転資金 200万円
(20万円×10か月分)・人件費
・仕入れ代金
・その他経費生活資金 93万円
(15.5万円×6ヶ月分)経営が安定するまでの生活費 総額 1,243万円
東京都や政令指定都市の中心部は家賃相場が高く、大まかな試算でも1,200万円を超える結果となりました。賑わっている駅前や繁華街の物件は、さらに高額な家賃相場となっています。
【地方都市(郊外)で15坪前後(家賃8万円)の飲食店を開業する場合】
項目 金額 内訳 物件取得費 80万円
(8万円×10か月分)・保証金
・礼金
・仲介手数料
・前家賃内装・設備導入費 750万円
(坪数×50万円・内外装工事
・厨房設備
・その他什器・備品運転資金 80万円
(8万円×10か月分)・人件費
・仕入れ代金
・その他経費生活資金 87万円
(14.5万円×6ヶ月分)経営が安定するまでの生活費 総額 997万円
地方都市や郊外の場合、家賃相場が大きく下がります。それにともなって必要な物件取得費、運転資金が下がり、1,000万円を下回る試算結果となりました。あくまで試算ですが、飲食店の開業資金には家賃が大きく影響することがわかる結果です。飲食店開業で融資を利用する重要性と日本政策金融公庫の特徴
飲食店を開業する際に融資を利用する重要性と、多くの創業者が選ぶ日本政策金融公庫の特徴について解説します。
自己資金だけでは賄いきれない初期費用の壁を越えるためにも、まずは全体像を掴んでおきましょう。
なぜ自己資金だけでは難しいのか
飲食店開業において、手元の自己資金だけで全額を賄おうとすると、不測の事態に対応できなくなるリスクが高まります。融資を受けずにギリギリの予算でスタートした場合、以下のような弊害が生じやすいためです。
・突発的な設備の故障や修繕費に対応できない
・売上が安定するまでの当面の運転資金が枯渇する
・開業にかかる費用だけでなく、経営者自身の生活費が不足する
店舗の家賃や仕入れ代はもちろん、事業が軌道に乗るまでの数か月分はご自身の生活費も確保しておく必要があります。いざという時に慌てないためにも、手元に十分な現金を残せる融資という選択肢を検討してみてください。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金とは
初めての資金調達では、どこに相談すればよいか迷う方も多いのではないでしょうか。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める方や開始後7年以内の方を支援する制度です。同庫は政府が100%出資する金融機関のため、実績ゼロの状態でも融資に積極的という特徴があります。
大きなメリットは、原則として無担保・無保証人で利用でき、固定金利で資金を借りられる点にあります。開業直後の不安定な時期でも、返済の見通しが立ちやすいのが強みです。まずは物件取得や設備にかかる初期費用を算出し、この制度でどの程度カバーできるか概算を出しておきましょう。
銀行・信用金庫との違い
日本政策金融公庫と民間銀行では、融資の性質や条件が大きく異なります。調達先を選ぶにあたり、まずは両者の違いを把握しておきましょう。
公庫の事業目的は経済発展であり、融資も創業支援を主とします。対して民間銀行は利益追求が目的で、事業拡大や運転資金の融資が中心です。金利面では公庫が低めの固定金利である一方、民間は変動金利が多く審査次第で変わります。
また、返済期間は公庫のほうが長めに設定しやすく、担保や保証人も原則不要です。実績のない開業前の場合、民間では担保等を求められやすく、審査通過率は公庫のほうが比較的高い傾向にあります。
民間銀行は過去の実績を重視するため、創業時のハードルは高くなりがちです。まずは、起業家を支援する公庫の利用を軸に準備を進めるのが現実的なルートとなります。
飲食店の開業に日本政策金融公庫を利用する3つのメリット
飲食店を開業する際、数ある資金調達の選択肢から日本政策金融公庫を選ぶメリットは大きく分けて3つあります。
初期費用の不安を少しでも和らげるために、具体的にどのような恩恵を受けられるのか、ここから詳しく確認していきます。
1.飲食店開業前から融資を受けられる
日本政策金融公庫を利用する最大の利点は、まだ売上実績がない「開業前」の段階でも融資を申し込める点です。
民間金融機関は過去の実績を重視するため、創業前の融資には慎重になりがちです。しかし、公庫には創業を後押しする役割があるため、これから事業を始める人を対象とした「新規開業・スタートアップ支援資金」が用意されています。
ここで十分な初期資金を確保できれば、妥協のない店舗づくりや、オープン直後の当面の運転資金にあてることが可能です。資金ショートの不安を減らしたうえで、本来の店舗運営に集中してスタートダッシュを切れるでしょう。
2.事業計画書の書き方を教えてもらえる
日本政策金融公庫を利用する大きな利点として、事業計画書の書き方を直接サポートしてもらえる点が挙げられます。初めての開業では、書類に何をどう書くべきか戸惑う方も多いはずです。
事業計画書とは、開業動機や資金の使い道、売上見込みを整理し、事業の実現性を伝える書類です。作成のポイントは、客観的なデータをもとに数字の根拠を示し、確かな返済能力を証明することにあります。
公庫の「創業サポートデスク」を活用すれば、担当者から無料で作成アドバイスを受けられます。プロの視点を取り入れながら、より説得力のある計画へとブラッシュアップしていきましょう。
3.無担保・無保証で制度を利用できる
開業準備を進める中で、不動産などの担保や連帯保証人を用意できずに悩む方は多いはずです。ここでつまずくと、せっかくの計画が前に進みません。
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、原則として無担保・無保証人で融資を受けられます。経営者本人の個人保証も不要なため、万が一の際のリスクを軽減できます。
無担保・無保証の融資制度は、親族や知人に頼む精神的負担をなくせる点で、新たに事業を始める方にとって大きなメリットとなります。まずは自分の計画が要件に合致するかどうか、公式サイト等で確認してみてください。
飲食店の開業に日本政策金融公庫を利用する際の注意点
日本政策金融公庫はメリットが多い反面、事前に知っておくべき注意点も存在します。
準備を怠ると、開業スケジュールの遅れにつながりかねません。ここからは、融資申請の前に押さえておきたい具体的な注意点について解説します。
融資までの審査に時間がかかることがある
日本政策金融公庫の融資は、申し込みから実行まで審査に時間がかかる傾向があります。特に初めて利用する場合は、1か月から1か月半ほど待つケースが多くなります。
開業のスケジュールに直結する部分なので、資金が必要な時期から逆算して動く視点が求められます。
初めての融資では、面談や事業計画書の確認など、担当者が事業の実現性を慎重に判断する工程が入ります。ここで焦って書類の不備が見つかると、さらに日数をロスして慌てる原因になります。
店舗の契約や工事の支払いに間に合わない事態を防ぐためにも、金額の目安がついた段階で、早めに申請の準備に入りましょう。
審査に落ちると再申請が難しくなる
一度審査に落ちると、すぐに再申請しても通る可能性は極めて低くなります。一般的に、少なくとも6か月の期間を空けなければ、再審査に通過するのは難しいのが実情です。
焦って立て続けに申し込むと、かえってマイナスの印象を与えかねません。また、過去の支払い遅延など、信用情報に問題があって審査に落ちたケースもあります。その場合は、まず指定の信用情報機関で自身の状況を確認し、情報の回復を待たなければなりません。
落ちた理由を冷静に分析し、半年後を見据えて事業計画を練り直す地道な準備が、次のチャンスを引き寄せます。
自己資金が少ないと融資額が減額されることがある
自己資金が少ない状態で申請すると、希望どおりの融資を受けられず減額される可能性が高くなります。日本政策金融公庫の審査において、自己資金の多さは事業への本気度や事前の準備を示す客観的な証として重く見られるからです。
要件上は創業資金総額の10分の1以上とされていますが、実際には全体の3割程度を用意できると安心です。もし手元に十分な資金がないなら、親族から援助を受けたり、共同経営者を立てたりする手段を探ってみてください。無理に急がず、少し開業時期を遅らせて資金を貯める決断も、確実なスタートにつながります。
飲食店の開業資金の調達方法
ここからは、開業資金の具体的な調達方法について解説していきます。出店費用を自己資金だけで賄えるのは非常に稀なケース。ほとんどの開業者は金融機関などから資金を調達しています。少しでも選択肢を広げられるように、資金調達の知識を蓄えておきましょう。

融資を受ける
真っ先に検討すべき資金調達方法は、金融機関から融資を受けることです。全国の金融機関や、国が運営する日本政策金融公庫では、創業する方へ向けた融資制度を実施しています。それぞれの詳細を解説していくので、制度を活用できるかチェックしておきましょう。
関連記事 開業資金の融資審査は厳しい?落ちる理由や通るためのポイントについて解説
●日本政策金融公庫「新規開業資金」実施元 日本政策金融公庫 対象者 ・新たに事業を開始する方
・税務申告を2期終えていない方融資限度額 7,200万円
(うち運転資金4,800万円)
担保・保証人 原則不要
「新規開業資金」は、政府系金融機関の日本政策金融公庫が取り扱っている融資制度です。原則、無担保・無保証で融資が受けられることから、独立開業する多くの新規事業者が利用しています。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円まで)に設定されており、初期投資が大きい飲食店の開業でもしっかりカバーできる金額です。
返済期間は、設備資金は20年以内、運転資金は10年以内と定められています。利率は条件により異なるため、HPで確認しておくようにしましょう。
参考 日本政策金融公庫『新規開業資金』
●銀行/信用金庫の融資制度
全国の銀行や信用金庫でも、新たに開業する方向けの融資制度を導入しています。銀行、信用金庫の融資制度は、大きく分けて金融機関が直接融資する「プロパー融資」、信用保証協会が間に入る「信用保証付き融資」の2種類です。事業実績を作るまではプロパー融資の審査に通りにくいため、信用保証付き融資を検討するとよいでしょう。
創業時に信用保証制度を利用する場合の融資限度額は、最大3,500万円です。信用保証制度の利用にも一定の審査は必要ですが、プロパー融資と比較すると金融機関側の審査は通りやすくなります。ただし、融資で発生する利息に加えて「信用保証料」と呼ばれる費用が加算される点は念頭に置いておきましょう。信用保証料は、実績が少ない事業者の融資を担保するための対価として支払うものです。家族や親戚から借りる
融資を受けるための自己資金が不足している場合は、家族や親戚から借りる方法も検討しましょう。
通常、金融機関が自己資金と認定するのは地道に積み上げられたことがわかる資産です。一時的に借り入れたと思われるものは自己資金とは認められません。しかし、親族からの借り入れに限っては自己資金として認められる場合があります。融資の自己資金要件を満たせない場合は、一度親族に相談してみるとよいでしょう。
また、親族からの借り入れであれば金融機関からの融資ほど利息はかからないはずです。少額の資金調達で開店費用を賄える場合は、金融機関より先に親族を頼るのも一案です。クラウドファンディングで調達する
クラウドファンディングとは、資金調達が必要な起案者に対して、不特定多数の人が少額ずつ出資する仕組みです。クラウドファンディングサイトを介して実施するのが一般的で、日本では「CAMPFIRE」や「READFOR」といったサイトでクラウドファンディングを実施できます。
クラウドファンディングにおいて重要視されるのは、事業に対する熱意です。出資者は「この人と、この事業を応援したい」と感じて出資するため、心を動かす熱意を伝える必要があります。
また、起案者から出資者に対するリターンも重要視される要素の一つです。リターンとは、資金調達が完了した際に、起案者が出資の見返りとして提供するモノやサービスを指します。飲食店の場合は「食べ飲み放題券」や「オリジナルグッズ」をリターンに設定するケースが一般的です。冷蔵、冷凍で遠方に食品を届ける場合は「看板メニューの送付」を設定するのもよいでしょう。
参考記事 話題の「クラウドファンディング」って何?投資家から調達する
投資家とコネクションを持っている場合は、開業時に出資してもらう方法もあります。投資家からの資金調達は出資形態を取ることが多く、条件次第では返済義務のない資金調達が可能です。
ただし、利益が出た後に永続的なリターンを求められることが多い点は覚えておきましょう。投資家も慈善事業ではないので、出資するリスクに見合ったリターンが必要です。トラブルを避けるためにも、投資家に出資してもらう際は入念な打ち合わせを行っておきましょう。飲食店開業融資申請の流れと審査のポイント
いざ融資を利用するとなると、具体的にどう動けばよいか全体像が見えにくいものです。ここでは、飲食店開業に向けた融資申請の具体的な流れと、日本政策金融公庫の審査で重視されるポイントについて解説します。
融資申請のタイミング
融資を実際に申請するタイミングは、出店する物件のめどが立ち、内装や備品の見積書が揃った段階です。
物件が決まらないと正確な資金が計算できず、審査が進みません。ただ、申し込む段階で慌てないよう、日本政策金融公庫や金融機関への事前相談は、開業を意識し始めた早い段階で行っておきましょう。
あらかじめ自己資金の目安や条件を聞いておけば、物件探しから実際の申請までの準備が一段とスムーズに進みます。
融資申請から融資実行までの流れ
日本政策金融公庫で融資を受ける際の手続きは、大きく4つのステップで進行します。全体像をあらかじめ把握しておくと、先の見通しが立ちやすくなります。
ステップ1は、窓口やインターネットでの「相談・申し込み」です。続くステップ2では、店舗予定地の確認や担当者との「面談」が行われます。この面談が、審査において最も大きな山場となる部分です。
ステップ3は、審査結果の通知と「融資決定」です。無事に通過すれば、ステップ4の「契約手続き・融資実行」を経て指定口座へ資金が振り込まれます。各手順で必要な準備は、次項以降で詳しく確認していきましょう。
日本政策金融公庫の融資申請に必要な書類
日本政策金融公庫への申請では、事業計画を客観的に裏付ける資料を揃えます。提出物に抜け漏れがあると審査の開始が遅れてしまうため、手元にあるものから確実に集めていきましょう。
具体的に求められる主な書類は、以下の通りです。
・借入申込書および創業計画書
・通帳のコピー(自己資金がわかる直近半年分など)
・店舗物件の関連書類や設備工事の見積書
・運転免許証などの本人確認書類
これらは融資希望額の妥当性を担当者に伝える材料として機能します。特に物件や内装の見積書は借入額の根拠に直結するため、早めに業者から取り寄せておけば審査への移行もスムーズです。
事業(創業)計画書の作成ポイント
創業計画書の指定フォーマットは、日本政策金融公庫の公式サイトからダウンロードできます。まずは手元に用意して、全体像を把握することから進めてみてください。
書き方におけるポイントは、大きく分けて以下の3点です。
・創業の動機は熱意だけでなく経験や勝算を具体的に書く
・売上予測は客単価や回転率などの根拠となる数字を示す
・必要な資金と自己資金のバランスを明確にする
審査担当者は日々多くの計画書に目を通しています。思いを伝えることも大切ですが、誰が読んでも納得できる客観的なデータに基づいた内容に仕上げることで説得力が増します。
日本政策金融公庫の審査でチェックされるポイント
公庫の審査では、提出した書類と面談を通じて「本当に事業を継続できるか」が細かく確認されます。ここでしっかりアピールできないと、融資額の減額や見送りに繋がりかねません。
特に合否を分ける重要なチェック項目は、以下の2点です。
1つ目は飲食店の勤務実績です。単なるアルバイト経験ではなく、店長などの管理業務や仕入れ・調理スキルをどれだけ積んできたかが問われます。
2つ目は自己資金の準備状況です。開業費用の2〜3割程度を自力で貯めた通帳の履歴が、事業への本気度と計画性の確かな証明になります。
まずはご自身のこれまでの経験と手元資金の状況を、一度客観的に見直しておきましょう。
融資審査で落ちるケース
融資を断られる原因の多くは、返済能力への懸念に集中しています。ここでつまずくと、いくら熱意を伝えても状況を覆すのは困難です。
審査でチェックされる主な判断材料は、以下の4点に分けられます。
【自己資金】全体の予算に対して金額が少ない、または出所が不明確
【業界経験】飲食店での勤務経験やマネジメントの実績が不足している
【信用情報】過去のクレジットカードや税金の支払いに滞納履歴がある
【事業計画】売上予測の根拠が乏しく、継続的な利益の実現性が低い
どれか一つでも当てはまると、審査通過のハードルは急激に上がります。まずはご自身の状況がこれらに該当しないか、申請前に客観的に見直してみてください。
飲食店の開業資金を抑えるためのポイント
飲食店の初期投資において、もっとも大きい割合を占めるのは「内装・設備導入費」です。店舗の設備や内装にかかる費用を抑えると、必要な開業資金が大きく減少します。
この項目では内装・設備導入費を抑えるためのポイントを解説していくので、資金計画を立てる際は参考にしてみてください。

居抜き物件を借りる
内装・設備導入費を大幅に削減する現実的な方法は、居抜き物件を借りることです。居抜き物件とは、過去に入居していたテナントの内装や設備がそのまま残っている物件を指します。以前のテナントと開業したい飲食店が同じ業態の場合は、かかる費用を大幅に削減できるでしょう。
ただし、居酒屋やカフェの居抜き物件は人気が高く、すぐに入居者が決まってしまいます。居抜き物件を狙う場合は、複数の不動産会社に問い合わせて、めぼしい物件が見つかったらすぐ内覧できるようにしておきましょう。
小さい物件を借りる
小さい物件を借りることも、内装・設備導入費を抑える結果につながります。保証金や礼金、仲介手数料はすべて「家賃」をベースに設定される項目です。小さな物件を借りて家賃を下げることで、初期投資にかかる費用も抑えられます。
また、家賃は毎月発生する固定費です。固定費は開業後のランニングコストにも影響を及ぼします。家賃が下がると必要な運転資金も減少し、資金繰りもしやすくなるでしょう。
開店計画を立てる際は、必要な売上と確保したい席数を計算し、最小の坪数で物件を探してみてください。中には小さい坪数でも席数を多めに取れる構造の物件もあるので、内覧時にしっかり調査しておきましょう。中古の備品を購入する
厨房機器を中古品で揃えることも、内装・設備導入費を抑えるポイントになります。開店時に揃える備品の中でも、厨房機器は高額です。中には数百万円を超える備品もあるため、購入金額を下げられれば初期投資額が大幅に抑えられます。「テンポスバスターズ」などの専門業者では、全国の店舗やオンラインで、飲食店向けの中古厨房機器を購入できます。新品が望ましいもの、中古で問題ないものをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
リース契約を活用する
リース契約とは、リース会社が代理購入した機材を店舗で利用する仕組みです。店舗オーナーが支払うのは毎月のリース代金のみ。機材購入のための高額な初期投資は不要になります。また、機材の納入やアフターサービスは販売したメーカーが行うため、トラブルに関する心配もありません。とにかく内装・設備導入費を抑えたい方にとっては、魅力的なサービスと言えるでしょう。
ただし、リース契約の利用にはデメリットもあります。主なデメリットは以下の通りです。
●廃業しても残債が残る
●購入よりも割高になる
●所有者はリース会社になる(契約終了後に買い取り可)
初期投資を抑えられる点は魅力的ですが、デメリットを把握したうえで利用することが重要です。とくに高額な機材だけリース契約を締結する、など特性を考えた活用法を検討しましょう。
開業後は助成金や補助金も活用しよう
国や自治体は、飲食店オーナーに向けた数多くの助成金、補助金制度を実施しています。要件を満たして交付が受けられれば、資金繰り計画の一助となるでしょう。
飲食店で活用できる代表的な助成金、補助金は以下の通りです。
制度名 内容 IT導入補助金(全国) 中小企業・小規模事業者などの労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金。 小規模事業者持続化補助金(全国) 持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓や業務効率化などの取り組みを支援する補助金。 キャリアアップ助成金(全国) 非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するもの。
どの助成金、補助金も、無条件で交付されるものではありません。しかし、詳細を把握していないと「条件を満たしていたのに申請していなかった」という事態が起こりかねません。ほかの助成金や補助金は以下の記事内でまとめているので、詳細をチェックしてみてください。
参考記事 飲食店が利用できるコロナ対応の助成金・補助金・融資まとめ!自治体ごとの支援も紹介飲食店開業に必要な資格
開業にあたっては、物件の取得や内外装工事、備品の購入などの準備が必要であり、それに伴いコストも発生します。また、開業資金の把握や融資を受ける際に必要となる事業計画所の作成、資金調達の手続きなども必要です。
さらに、開業時には以下の資格を取得していなければなりません。
●食品衛生責任者:都道府県の食品衛生協会が行う講習を受講する
●防火管理者:日本防火・防災協会が行う講習を受講する
開業までにやることは多いため、抜け漏れのないように注意してください。
以下の記事では、飲食店の中でもカフェの開業について必要な資金や資格について詳しく解説しています。カフェの開業を検討している方はこちらもご覧ください。
参考記事 飲食店開業に必要な資格は2つ!取得方法や届出についても解説飲食店開業融資でよくある質問
いざ申請を検討し始めると、手続きや条件について細かな疑問が湧いてくるのではないでしょうか。
ここでは、日本政策金融公庫の融資に関するよくある質問を解説します。自身の状況と照らし合わせ、事前準備の参考にしてみてください。
日本政策金融公庫の融資にあたり信用保証協会の保証は利用できる?
日本政策金融公庫の融資では信用保証協会の保証を利用できません。信用保証協会は、主に民間金融機関からの借入をサポートする機関だからです。
そのため公庫を利用する際は、単独での審査となります。無担保や無保証人で申し込める制度もあるので、まずはご自身の状況に合う枠組みを探してみてください。
日本政策金融公庫の創業融資はどのタイミングで申請すべきですか?
創業融資を申請するベストなタイミングは、店舗物件の目星がつき、事業計画の骨格が固まった開業前の時期です。
もちろん、開業後でも申請自体は可能ですが、想定通りに売上が立っていないと審査のハードルが上がってしまいます。まずは手元の資金が減ってしまう前に、準備段階で早めに窓口へ相談へ行くのがおすすめです。
自己資金が少ない個人事業主でも融資は受けられますか?
自己資金がなくても融資の申し込み自体は可能です。ただし、ある程度の自己資金を用意している人と比べると、審査のハードルは格段に高くなります。
公庫の制度上は要件を満たせば申請できるものの、準備不足とみなされやすいのが実情です。少しでも手元資金を蓄えてから挑むことをおすすめします。
開業資金の調達はcanaeruにご相談ください
『canaeru(カナエル)』では、開業資金に関するお悩み相談を無料で承っています。金融機関や銀行出身の経験豊富な開業プランナーが、丁寧にヒアリングを行い、資金面の課題解決をサポートします。
canaeruの運営元である株式会社USENは、国が定める経営革新等支援機関(認定支援機関)です。税務、金融および企業財務に関する専門的知識や支援にかかる実務経験が一定レベル以上ある支援機関として国に認められています。
canaeruでは、開業のエキスパートによる無料サポートをご利用いただけます。開業にあたってお困りのことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちらまとめ|飲食店開業は自分に合った融資・資金調達方法を選ぼう
飲食店の開業を成功させるには、必要な資金を把握するだけでは不十分です。日本政策金融公庫や銀行などの融資制度から自分に合った調達方法を選び、無理のない返済計画を立てることが重要になります。
とくに創業融資は、自己資金の準備や事業計画書の完成度、面談での受け答えといった事前準備が審査結果を大きく左右します。まずは資金計画を整理し、必要に応じて専門家へ相談しながら、余裕を持ったスケジュールで開業準備を進めていきましょう。
この記事の監修
USEN開業プランナー
長原雄一
株式会社USEN 開業サポートチームに所属。日本政策金融公庫のほか、地方銀行や都市銀行など複数の金融機関にて融資業務を担当。
資金調達の豊富なノウハウを活かし、店舗開業者のサポートを行っている。
【主なサポート内容】
・開業資金にまつわる相談受付
・事業計画書の作成サポート
・資金調達時の面談アドバイス
株式会社USEN/canaeru 開業プランナーの詳細はこちら- NEW最新記事
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