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インバウンド対応力強化支援補助金とは?対象事業者や補助金額も解説

インバウンド対応力強化支援補助金とは?対象事業者や補助金額も解説

東京都及び東京観光財団が、2023年4月1日から開始した『インバウンド対応力強化支援補助金』。外国人旅行者の集客強化のため、都内における飲食店や旅館・ホテル等が新たに実施する取り組みをサポートする制度です。

円安の影響もあり、訪日外国人観光客が増え続ける昨今、いかに彼らを呼び込めるかが売上アップのカギ。この支援策を有効活用できるよう、対象事業などの概要をしっかりと学んでいきましょう。

インバウンド対応力強化支援補助金の概要

補助対象事業者

対象となる事業者は、旅館やホテルをはじめ、主に外国人観光客が必然的に利用する観光関連施設やサービスが該当しますが、飲食店も以下3つの要件を全て満たしていれば補助を受けられます。

①飲食店営業(食品衛生法)又は喫茶店営業(食品衛生法)の許可を受けている
②中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者が経営している
 →次のいずれかを満たす
  (ア)資本金の額又は出資の総額 5,000 万円以下
  (イ)常時使用する従業員の数 100 人以下
③多言語メニュー作成支援ウェブサイト『EAT東京』の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されている

EAT東京とは、外国人旅行者へのおもてなしの一環として、飲食店の方が簡単に多言語のメニューを作成できるとともに、外国人旅行者が外国語メニューを置く飲食店を検索できる2つの機能を備えたウェブサイトです。

メニュー説明だけでなく、原材料も多言語で表示できるため、ベジタリアンやヴィーガンなど飲食に制限のある外国人客への対応もスムーズになります。

東京都に店舗を持っていれば無料で登録可能なので、この機に登録してみてはいかがでしょうか。

なお、今回の支援策は東京都内の企業や団体のみ有効のため、他の都道府県では利用することはできません。

補助対象事業

補助金を賄える事業は細かく定められています。そのうち、飲食店に関わる事業は以下の8つです。

多言語対応(施設等の案内表示・室内又は店内設備の利用案内・ホームページ・パンフレット等の多言語化、多言語対応タブレットの導入等)

公衆無線LANの設置

クレジットカードや電子マネー等の決済機器の導入

館内及び客室内のトイレの洋式化

外国人旅行者の受入対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成(研修会の開催、外部セミナーの受講、接遇マニュアルの作成等)

災害時における外国人旅行者の受入対応(防災マップの作成、避難誘導訓練の実施等)

外国人用グルメサイトへの掲載に要する費用

その他、公益財団法人東京観光財団理事長が外国人旅行者の受入対応の強化のために必要と認める事業

補助額

補助額は補助対象経費の2分の1以内で、1店舗あたりの上限は300万円です。

公衆無線LAN設置の場合は、設置数(1店舗あたり上限10)に15,000円を掛けた金額と、補助対象経費の2分の1の金額のいずれか低い方の金額が補助額となります。

※公衆無線LAN設置の場合の算出方法
(ⅰ) 公衆無線LAN機器の設置数〇個×15,000円=××円
(ⅱ) 補助対象経費□□□円× 1/2=△△△円
➡ (ⅰ)と(ⅱ)の低いほうの金額 = 補助金額

なぜインバウンドへの対応力強化が大事なのか?

インバウンド対応強化のメリットは、ひとえに外国人観光客の集客による売り上げアップにあります。日本の外食産業全体の売り上げは厳しくも減少傾向にあり、新型コロナウイルスの流行によって多くの飲食店が大きな影響を受けました。訪日客の集客は、この不景気を回復するための有効な手段となりえるでしょう。

日本政府観光局(JNTO)によると、2024年8月の訪日外客数が293万3000人を記録。コロナ禍前の2019年同月比でも16.4%増となり、7ヶ月連続で同月過去最⾼を更新しました。1月~8月における訪日外客数は、昨年の同時期と比べると、58%増となっています。

また、みずほリサーチ&テクノロジーズの調査では、訪日旅行への満足度は高く、「大変満足」の回答が2019年の55%から2023年に69%に増加。リピーター率も7割に拡大しており、今後は「テーマパーク」「四季の体感」「映画・アニメ縁の地を訪問」「美術館・博物館・動植物園・水族館」など、コト消費のさらなる拡大が予想されています。

参照 みずほリサーチ&テクノロジーズ│2024 年のインバウンド見通し
関連記事 外国人観光客の受け入れ再開!飲食店におけるインバウンド集客のメリットや対策とは?

なぜインバウンドへの対応力強化が大事なのか?

インバウンド対応力強化支援補助金の募集期間と申請方法

2024年10月4日現在の募集期間は2024年4月1日から2025年3月31日まで。補助金申請額が予算額に達した時点で終了します。

申請方法は(1)郵送による申請と(2)電子申請システム(JGrants)による申請の2通り。JGrantsを利用するには、法人共通認証基盤(GビズID)」におけるアカウント(gBizIDプライム)の取得が必要です。

gBizIDプライムの取得はこちらからgBizIDで行政サービスへのログインをかんたんに

JGrantsの利用はこちらから令和5年度インバウンド対応力強化支援補助金

インバウンド対応力強化支援補助金を検討する際のポイントは?

インバウンド対応力強化支援補助金を検討する際には、主に3つの重要なポイントがあります。

事業内容の適格性

まずは事業内容が補助金の目的と合致しているかを確認しましょう。対象事業は上述した通りですが、具体的な要件は年度や地域によって異なる場合があります。単なる設備更新ではなく、インバウンド観光客の受け入れ体制強化につながる具体的な計画を立てることが重要です。

飲食店であれば、多言語対応のセルフオーダーシステムやキャッシュレス決済の導入などが、インバウンド対策として有効である可能性が高いと考えられます。

申請要件と必要書類の準備

補助金申請の際には、申請要件を細かく確認し、事業がそれらを満たしているか確認する必要があります。そして、要件を満たしていることを証明するための事業計画書や企画書の作成が必須となります。

ホームページで提供されている事業計画書のテンプレートには、規模や来店客数など基本的な事業情報のほか、国人旅行者の受入環境に係る事業計画や、補助金を活用して取り組む事業について詳細に記す必要があります。申請書類の記入漏れや不備がないよう、複数人でのチェックを行うことをおすすめします。

事業戦略の構築

採択率を上げるポイントとしては、補助金を一時的な資金援助としてだけでなく、長期的な事業成長の機会として捉えることが重要です。補助金を活用した設備投資や体制強化が、将来的にどのようなビジネスチャンスを生み出すか検討する必要があります。

例えば、インバウンド対策として導入したセルフオーダーシステムやキャッシュレス決済が、今後どのような形で事業の発展に作用するのかまで見通せると、説得力のある計画書となり、審査員にも良い印象を与えることができるでしょう。

適切な準備で満足のいくおもてなしを

観光庁や民間企業の調査が示す通り、今後も訪日観光客は増加予想。まだまだインバウンドによる好景気は止みそうにありません。飲食店としても大きなビジネスチャンスと捉え、受け入れ態勢を整えていきましょう。

また、インバウンド需要の高まりに対する新たな支援制度やサービスも予想されているため、今回の「インバウンド対応力強化支援補助金」以外の制度も活用できるよう、常にアンテナを張っておくとよいでしょう。

インバウンド対応力強化支援補助金に関する最新情報や詳細は必ず以下の公式サイトを確認してください。

公式サイト インバウンド対応力強化支援補助金

この記事の執筆

 _株式会社USEN canaeru編集部

 

株式会社USEN canaeru編集部

飲食店をはじめ、小売店や美容室などの開業を支援する『canaeru』の運営を行う。店舗開業や経営に役立つ情報を日々提供し、開業者と経営者に向けた無料セミナーの企画・運営も担当。

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