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開業を目指すためには当然のことながら元手が必要ですが、自力でまとまったお金を用意するのはなかなか難しいでしょう。
それでは、開業資金がほぼゼロの状態で開業はできるのでしょうか。一見すると無謀のように思われるかもしれませんが、本記事で紹介する制度などを活用すれば、開業資金ゼロでの開業が全く不可能というわけではありません。
この記事では、開業資金ゼロで開業する方法や開業資金として必要な金額、自己資金がなくても開業したいときの対策などについて説明します。
参考記事:起業に必要な資金はいくら?使える資金調達方法を紹介
目次
資金ゼロで飲食店を開業するのは難しい
飲食店の開業には、物件取得費や設備投資など多額の資金が必要になります。資金ゼロの状態から飲食店を開業するのは難しいのが現実です。最低でも数百万円ほどの開業資金を手元に用意することが望ましいです。初めての飲食店開業において、数百万円はすぐに捻出できる金額ではないでしょう。
しかし、自己資金が少なくても、設備投資を抑えたり、金融機関から融資を受けたりして開業に至るケースも多々あります。少ない自己資金で開業するためには、まず以下の3点を把握することが重要です。
✔自分の飲食店開業に必要な初期費用
✔設備投資を抑える方法
✔資金調達の方法
必要な知識を身につけて、実現可能な開業計画を立てていきましょう。飲食店の開業に必要な資金の内訳
飲食店を開業する際は、初期費用として「開業資金」と「運転資金」を用意しておく必要があります。
日本政策金融公庫の『2022年度新規開業実態調査』によると、あらゆる業種における開業費用は「250万円未満」(21.7%)と「250万~500万円未満」(21.4%)で4割以上を占めており、「250万円未満」で開業する割合は増加傾向にあります。
飲食店においては、初期費用は店舗の規模によって異なるものの、500〜1,000万円程度が目安となります。居抜き物件を探したり、可能な範囲でDIYしたりすることで、さらに初期費用を抑えることも可能です。
開業資金の調達方法には、自己資金や出資、融資、補助金などがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自分の事業に合う方法を選択することが大切です。
引用 2022年度新規開業実態調査
関連記事 飲食店の開業資金はいくら必要?相場や調達方法について解説
①初期投資:開業資金の詳細
開業資金とは、事業を新規開業する上で必要な資金を指します。具体的には、店舗の取得費用(敷金・礼金・仲介手数料など)や内装費、厨房設備費、備品購入費、宣伝費などが挙げられます。なお、すでに内装が整っている居抜き物件を利用する場合は、開業資金を節約できる傾向にあります。
②運営資金:継続的に必要な経費
運転資金とは、事業を継続的に運営する上で必要な資金を指します。具体的には、店舗の家賃や光熱費、人件費、仕入原価、宣伝費などが挙げられます。軌道に乗るまではある程度の時間を要することを踏まえ、6~12ヶ月分の運転資金を用意しておくと安心です。
加えて生活費も用意しておきましょう。生活費とは文字通り、事業主とその家族が事業が軌道に乗るまで生活していくのに必要な費用です。開業してもしばらくは売上が安定せず、十分な利益が上げられない場合が考えられます。開業時に住んでいる家の家賃や水道・光熱費、食費などを把握して6~12ヶ月分の生活費も蓄えておきましょう。自己資金なしで飲食店を開業する方法
ここからは本記事の本題である自己資金ゼロで開業する方法について触れていきます。自己資金ゼロ、あるいはわずかな資金で開業を目指す場合、金融機関からの融資や有志による支援金を受ける必要があります。
以下で資金調達の方法をいくつか紹介します。
日本政策金融公庫の制度を活用
飲食店開業を目指すうえで、資金調達の方法として最も一般的なのが日本政策金融公庫の『新規開業資金』を活用することです。新規開業資金は、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした融資です。
自己資金の要件は設けられておらず、条件を満たせば自己資金なし、かつ無担保・無保証人で融資を受けることも可能です。ただし、預金などの金融資産がゼロの場合、開業準備が不十分とみなされ、審査が厳しくなる可能性があります。出資を受ける
これから開業する飲食店が繁盛するという絶対の自信があるのであれば、出資を募ることも選択肢の一つです。具体的な方法としては、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資が挙げられます。
しかし、投資家や投資ファンドに出資してもらうには、魅力的で成功する見込みの高いビジネスであることをアピールしなければなりません。ある意味、金融機関から融資を受けるより難しいかもしれません。
クラウドファンディングを活用する
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る方法です。新規事業のプランやアイデアを専用のサイト上で公開し、興味を持ったり賛同したりしてくれる人から資金を募ります。
新規事業の内容次第で集められる資金額は大きく異なるため、多くの人から興味を持ってもらえそうな事業の運営を予定している場合には、おすすめの方法です。友人・知人、家族・親戚から資金を借りる
資金調達には上記の公的な方法もあれば、知人や家族からお金を借りる方法も検討できます。すでに信頼関係が築けているため、柔軟な条件で資金を借りられるでしょう。
しかし、開業資金を全て知人や家族から集めるのは容易ではありません。場合によっては何十人もの知り合いから少しずつ借金をすることになり、管理が困難になることも。返済が遅れて信頼関係を損なわないようにするために、開業に対する決意を伝え確実に同意を得ることや、しっかりとした返済計画を立てることが重要です。資金調達方法の比較と選び方
前項で紹介した各資金調達方法のメリットとデメリットをまとめておきましょう。
メリット デメリット 日本政策金融公庫 ✔民間の金融機関よりも金利が低め
✔無担保・無保証の融資制度がある
✔創業初期でも申し込みやすい✔詳細な事業計画書の作成が必要
✔審査期間が長め出資 ✔返済義務がない
✔経営に関するアドバイスや人脈を得られる可能性がある✔経営の自由度が低下する クラウドファンディング ✔従来の融資方法よりも容易かつ迅速な資金調達が可能
✔資金調達と同時に宣伝効果がある✔目標金額に達しないリスクがある
✔支援者とのコミュニケーションや納期の遅延などのトラブルが起こりうる知人・家族からの借入 ✔低コストかつ柔軟に借りられる
✔信頼関係に基づく支援✔人間関係が悪化する可能性がある
このように、いかなる方法にもメリットとデメリットは存在します。それでは、何を基準に調達方法を選べばよいのでしょうか。以下で各資金調達方法の選び方のポイントを説明します。
【日本政策金融公庫】
●初めて飲食店を開業する方:
日本政策金融公庫は開業者へ積極的な融資を行っています。事業計画の作成や、資金の使い方など、創業に関する様々な相談も可能です。
●民間金融機関で融資が難しい方:
日本政策金融公庫では、民間金融機関では融資が難しいと判断されるような事業についても、融資が受けられる可能性があります。
●なるべく無担保・無保証で融資を受けたい方:
担保や保証人を用意するのが難しい方でも、融資を受けられる可能性があります。
【出資】
●資金調達の幅が広がる:
融資だけでは足りない資金を補うことができ、より大規模な開業や設備投資が可能になります。
●専門知識や人脈を得たい方:
出資者の中には、飲食業界の経験が豊富な人物や、幅広い人脈を持つ人物もいるでしょう。彼らの知識やネットワークを活用することで、事業を加速させることができます。
●経営の自由度が制限される可能性も:
出資者は、一定の経営への関与を求めてくることがあります。投資家や専門家のアドバイスとも受け取れますが、自由な経営は制限されてしまうかもしれません。
【クラウドファンディング】
●資金調達と同時に宣伝効果も期待できる:
資金を募る過程で、自然とSNSやメディアでの話題化が期待できます。結果的にプロジェクトの認知度が高まり、商品やサービスの事前PRとしても機能します。
●魅力的なリターン設計が必要:
支援額に応じて、来店券、オリジナルグッズ、料理教室など、魅力的なリターンを用意する必要があります。開業や経営以外のところで時間と労力を要するので、注意しましょう。
●地域への貢献::
地域密着型の飲食店であれば、地域住民の支援を集めることで、開業前から宣伝にもなり、地域への貢献を実感することができます。
【知人・家族からの借入】
●心理的な負担が少ない:
知人や家族であれば、融資を受けることへの心理的な負担が少なく、相談しやすいというメリットがあります。
●税金面での注意点:
借入額によっては、贈与税の対象となる可能性があります。贈与税を課税されないためには、借用書を作成して賃借契約を締結しておくことが大切です。
●人間関係がこじれるリスクも考慮する:
返済が遅れたり、事業が失敗したりした場合に、人間関係が悪化する可能性があります。あらかじめ返済期限や返済額などについて取り決めて書類に書き留めておくとよいでしょう。複数の資金調達方法を組み合わせる戦略
資金調達には、複数の方法を組み合わせて必要な資金を賄う方法もあります。複数の資金調達方法を組み合わせることで、単一の資金源に依存するリスクを軽減でき、特定の資金源に問題が生じた場合でも、他の調達方法でカバーできる可能性が高まります。また、店舗の初期投資や運転資金の必要性に応じて、最適な資金配分が可能になります。
一方で、複数の資金調達は、それぞれ異なる返済スケジュールや条件があるため、財務管理が複雑になる可能性があります。さらに、各資金源には手数料や金利などの付随コストがあるため、総合的な資金コストを事前に計算することが重要です。
複数の資金調達方法を組み合わせることにはメリットがあります。
【銀行融資+クラウドファンディングの場合】
銀行融資による安定した資金供給と、クラウドファンディングによる顧客との直接的な繋がりや市場評価を同時に得られます。また、クラウドファンディングでの支援は、事業の社会的認知度を高め、銀行融資の審査においても好印象を与える可能性があります。主なメリットとして、
●多様な資金源が確保できる
●マーケティング効果が得られる
●リスク分散できる
などが挙げられます。
【銀行融資+クラウドファンディング+ベンチャーキャピタルの場合】
加えてベンチャーキャピタルを活用することで、ビジネスノウハウや幅広いネットワークの獲得にもつながるでしょう。主なメリットとして、
●資金調達に柔軟性が加わる
●信頼性とブランディングを得られる
●専門的なアドバイスと経営支援を受けられる
●リスク分散できる
などがあります。
様々なメリットがある反面、管理が複雑になるなどの難点もあるため、自分に合った資金調達方法を選びましょう。資金調達後の返済計画の立て方
飲食店開業後の返済計画は、事業の安定的な運営に欠かせません。計画を立てる際は、以下の点をしっかり把握し、無理のない計画を立てることが重要です。
1. 現在の財務状況を正確に把握する
借入金額、返済期間、金利:借入の詳細を正確に把握します。
売上高、経費、利益:過去のデータや今後の見込みを基に、正確な数字を算出します。
2. 返済方法を決める
元利均等返済、元金均等返済など:返済方法によって、毎月の返済額や残高が異なります。
金融機関の提案:融資先の金融機関に相談し、最適な返済方法を選びましょう。
3. 返済シミュレーションを行う
スプレッドシートなど:返済額、残高、利息などをシミュレーションし、計画を具体的にします。
想定外の事態:売上減少や設備投資など、様々なケースを想定し、計画を見直します。
4. 現金残高を確保する
運転資金:従業員の給与や仕入れなど、事業運営に必要な資金を確保します。
緊急時の備え:不測の事態に備え、一定額の資金を確保しておきましょう。
5. 定期的に見直す
事業計画との比較:実際の数字と計画を比較し、計画の修正を行います。
市場環境の変化:競合店や消費者の動向など、市場の変化に対応します。
6. 周囲に共有する
金融機関:返済計画を共有し、相談を行います。
従業員:経営状況を共有し、協力体制を築きます。
返済計画を立てる際に注意すべきポイントがあります。
✔減価償却費
飲食店で厨房機器や家具などを購入すると、その値段を一度に費用として計上するのではなく、数年に分けて少しずつ費用として計上することができます。これを「減価償却」といいます。
費用として計上するため、利益が減り、結果的に払う税金が少なくなります。また、一度に大きな支出をしなくても、少しずつ費用として計上できるため、資金繰りが楽になります。
✔税金
飲食店を経営すると、所得税、法人税、消費税など、さまざまな税金が発生します。これらの税金は利益を圧迫するため、返済計画に必ず反映させておきましょう。税金の計算や予測は複雑なため、税務の専門知識を持つ人に助けてもらうことをおすすめします。
✔事業の成長
飲食店が順調に成長し、利益が増えてきたら、借入金を早めに返済することを検討しましょう。借入金の残高が減るため、支払う利息を減らすことができます
営業開始後の収益に基づく返済シミュレーションの一例を以下に示します。
仮に、開業資金として500万円を借り入れし、10年間で返済するローンを組んだとします。金利は年間3%とすると、毎月の返済額は47,744円となります。
次に、飲食店の営業収入を見積もります。平均的な1日の売上が30,000円で、月に25日営業とすると、月間売上は750,000円になります。さらに、原価、人件費、家賃、光熱費などの経費が月間500,000円だと仮定すると、利益は250,000円となります。
この場合、毎月の返済額が47,744円なので、事業利益からローンの返済を行うことができます。その後の余剰金は、新たな経費や予期せぬ出費、または利益として確保することができます。
【返済シミュレーション例】
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借入金: 500万円
借入期間: 10年
年間金利: 3%
月間返済額: 47,744円
-------------------------------------------------------------------------------
平均1日売上: 30,000円
月間営業日数: 25日
月間売上: 750,000円 (30,000円 × 25日)
--------------------------------------------------------------------------------
月間経費: 500,000円
月間利益: 250,000円 (750,000円 - 500,000円)
---------------------------------------------------------------------------------
ローン返済後の月間利益: 205,256円 (250,000円 - 47,744円)
少ない自己資金で開業する方法
少ない自己資金で開業するためには初期投資を抑えることも重要です。無駄な初期投資をせず、費用をかけるところを吟味したうえで資金調達を行いましょう。
以下の項目では、初期投資を抑える具体的な方法を解説しています。ぜひ参考にしてみてください。居抜き物件を契約する
居抜き物件は、前のテナントが使用していた内装や設備が残っている状態の物件です。特に同業種であれば、残っている設備や内装をそのまま利用できるため、工事費用やテーブルやイスなどの購入費用などの初期費用を抑えられる場合があります。ただし、中古設備のため修理や交換が必要となるケースもあり、場合によっては予想以上の資金を要する可能性もあります。
設備投資を抑える
飲食店の開業時には、冷蔵庫やコンロなどの高額な厨房設備が必要です。これらは新品で数十万~数百万円かかりますが、中古の厨房機器やリース契約を活用することでコストを抑えられます。
リース契約は、リース会社が代理購入した厨房機器を毎月少額の支払いで利用する仕組みです。数百万円かかる厨房機器でも、毎月の支払いは数万円ほど。ただし、契約時の審査が必要な点や、廃業時に残債が発生する可能性は念頭に置く必要があります。
DIYで内装を手がける
DIYで内装を手がけることは、少ない自己資金で飲食店を開業する有効な方法です。自分で壁紙を貼り替えたり、家具を製作したり、塗装を行うことで、専門業者に依頼するよりも大幅にコストを抑えられます。また、自分の理想とする空間を創り出せる点も魅力です。安全面や法規制にも注意を払い、電気や水道工事など専門知識が必要な部分は専門家に依頼することが賢明です。
少ない自己資金で開業する場合の注意点
資金調達に必要な自己資金を準備する
金融機関の信用度を高めて確実に融資を通すためにも、最低限の自己資金を準備しましょう。10坪〜15坪の居抜き物件の場合、500万円〜700万円程度の予算が必要になります。その場合、最低でも予算の10分の1以上の自己資金は確保しておきましょう。
飲食店は工夫を凝らせば自己資金なしでも開業できますが、準備している人の方が金融機関からの信用度が高まります。もし、最低限の自己資金がない場合は、なるべくお金を貯めてから開業の準備を始めましょう。余裕のある事業計画を立てる
倒産するリスクを抑えるためにも、自己資金ゼロで開業する場合、開業後の需要や売り上げ、運転資金も見据えた事業計画を立てましょう。将来を見据えずに開業してしまうと、すぐに赤字に陥り、経営に失敗する可能性があります。
自己資金ゼロで融資を受ける場合、基本的に無担保なので融資の金利が高いうえに、希望よりも融資額が低くなる傾向があります。
融資を受けて開業できても、資金繰りが上手くいかなければ赤字倒産するリスクが高くなります。リスクを抑えた店舗経営を行うためにも、融資を受けた際は返済シミュレーションを行い、長期的な目線で事業計画を立てましょう。自己資金がゼロに近い状態で融資を申し込む際の注意点
【見せ金を自己資金として提示しない】
見せ金とは他の金融機関から借りたお金を自己資金として見せかける行為です。見せ金は金融機関に見破られる可能性が高く、発覚すると信用問題を引き起こし、融資を受けられなくなるケースが多いです。
【タンス預金を自己資金として提示しない】
タンス預金は自分の貯蓄である証拠を示すことが難しく、金融機関からは借入金とみなされることがほとんどです。金融機関からの印象が下がる可能性が高いので、自己資金として提示しないようにしましょう。
【一度審査に落ちると次回以降融資を受けにくくなる】
融資の審査に一度落ちると、その記録が残り、次回以降の融資を受けるのが難しくなります。審査に落ちた原因を解消することが重要ですが、容易なことではありません。一度審査に落ちた場合、次回以降の融資を受けるのは難しいと考えておきましょう。
融資審査に落ちた場合の資金調達方法
【とにかく自己資金を集める】
融資審査に落ちた場合、自己資金をかき集めることが開業への第一歩です。たとえば、家族や友人から援助を受けたり、株や持ち家などの資産を売却したりといった方法が考えられます。時間がかかる一方で、金利負担がなく、安定的な資金調達手段です。
【クラウドファンディング】
インターネット上で、不特定多数の人から少額ずつ資金を募る方法です。プロジェクトのアイデアや魅力を伝え、共感してくれる人から支援を集めます。短期間でまとまった資金を集められる可能性がありますが、目標金額に達しなければ資金は回収できません。
【不動産を担保にして融資を受ける】
不動産を所有している場合、それを担保に融資を受けることができます。一般的に、融資額は不動産の評価額の一定割合以内となります。迅速にまとまった資金を調達できますが、返済が滞ると不動産を失うリスクが伴います。飲食店開業後の資金繰りに役立つ知識
資金調達に成功して無事開業に至ったとしても、その後の資金繰りを考える必要があります。特に、少ない資金で開業した場合は、運転資金が心もとないこともあるでしょう。
この項目では、開業後の資金繰りにおいて必要な知識を解説しています。事前に把握することで「このままではまずい」と感じる前に対策できるので、ぜひ参考にしてみてください。
仕入れ金額を交渉する
飲食店で発生する経費において、高い割合を占めるのは「仕入れ」です。仕入れ価格を数百円落とすだけでも、資金繰りに大きな影響を与えます。
そこで、業者に対してある程度仕入れ実績を作れたと感じたら、金額交渉をしてみましょう。業者側も相応の仕入れ量がある事業者を手放したくないため、無理のない範囲であれば交渉に応じてくれるはずです。
また、同じ商品を取り扱う業者がいる場合は、相見積もりを行うのもよいでしょう。相見積もりとは、複数の業者から見積もりを受け取って比較することです。業者側も相見積もりに対して一定の理解があるので、主力商品の原材料だけでも比較するとよいでしょう。うまく交渉できれば、原価率の減少に大きく寄与します。
ただし、ひとつの業者と長く付き合う利点もあるので、相見積もりばかり依頼して困らせないように注意しましょう。仕入れの掛取引を交渉をする
仕入れ実績のない開業初期は、業者側から現金取引を提案されることも多いはずです。しかし、毎回代金を支払う現金取引は、開業直後の資金状況において厳しい決済方法と言わざるを得ません。
そこで、支払い実績を作り業者の信頼を得た段階で「掛取引」の提案をしてみましょう。掛取引とは、仕入れ代金を都度支払わず、後からまとめて精算する取引方法です。具体的には、1ヶ月の仕入れで発生した代金を、翌月15日や末日などに一括で支払います。掛取引で支払いをまとめると、現金が不足していても、材料不足によって営業が滞ることはありません。
ただし、掛取引によって支払いスパンが伸びたとしても、使える資金が増えるわけではないので注意しましょう。期日に支払いができないと業者からの信頼を失うことになります。掛取引を行う際は、納品伝票に記載されている代金を都度記録し、支払額を把握しておくとよいでしょう。オペレーションの効率化を図る
人件費は、仕入れ代金と同様に資金繰りへ大きな影響を与えます。オーナー自ら現場に立つと仮定しても、ほかのスタッフが0人の状況で回していくのは難しいでしょう。
人件費を削減するためには、オペレーションを効率化する必要があります。オペレーションの効率化によって少ない人数で営業できる体制を構築できれば、発生する人件費も比例して少なくなるでしょう。毎日1人分の人件費をカットするだけでも、資金繰りは改善するはずです。
オペレーションを効率化する方法は、以下のようなものがあります。
✔テーブルオーダーシステムを導入する
✔POSレジを導入する
✔料理を提供する順番を変更する
✔座席の配置を変更する
テーブルオーダーシステムやPOSレジの導入には次の項目で解説する「補助金」を利用できるケースもあります。開業初期に大きな出費を避けることも重要なポイントなので、ぜひ活用してみてください。国や自治体の補助金・助成金制度を利用する
運転資金が心もとない場合は、国や自治体が実施する補助金、助成金制度の活用も検討しましょう。
全国各地で、飲食店事業者を支援する補助金、助成金制度を導入しています。一部抜粋したものを以下で取り上げているので、参考にしてみてください。
制度名 内容 働き方改革推進助成金
(労働時間短縮・年休促進支援コース)50万円を上限に、
POSレジやテーブルオーダーなど業務効率化ツールの導入費を交付インバウンド対応力強化支援補助金 300万円を上限に、
海外旅行者の受け入れ強化に使用する資金を交付小規模事業者持続化補助金 50万円を上限に、
チラシや看板などの販売促進費を交付
どの制度も無条件で補助金、助成金を受け取れるものではなく、交付要件を満たす必要があります。また、交付要件の多くは開業後でないと満たせないものです。あくまで開業後の運転資金に充てるつもりで考えておきましょう。
関連記事 飲食店開業に使える助成金・補助金まとめ!押さえておきたい基礎知識を解説
飲食店の開業資金に関するよくある質問
10坪の飲食店の開業資金の目安はいくらですか?
10坪の飲食店の開業資金の目安は約1,000万円です。内訳は、設備資金として700万円、運転資金として300万円を見込みます。初期投資には、厨房設備、内装工事、備品購入などが含まれます。居抜き物件の活用やDIYによるコスト削減で、さらに抑えることも可能です。
金融機関や補助金制度はどう選べばよい?
金融機関は地域に密着した地方銀行や信用金庫が最適です。これらの金融機関は地域の事情に詳しく、飲食店開業に理解があります。補助金については、開業時点では選択肢が限られるため、開業後に活用できる制度を事前に調べておくことをおすすめします。
飲食店開業に必要な資格は何ですか?
飲食店開業に必要な主な資格は、食品衛生責任者と防火管理者です。食品衛生責任者の資格は、各都道府県が実施する所定の講習会を受講することで取得できます。防火管理者は、店舗の収容人数が30人を超える規模の飲食店に設置が義務付けられている資格です。最寄りの消防署で講習を受講し、資格を取得することができます。
また、資格そのものではありませんが、飲食店営業許可は開業に不可欠な手続きです。保健所に申請する際は、食品衛生責任者の資格証明書や、店舗の構造および設備を詳細に示す図面などが必要となります。
開業に関するお悩みは「canaeru」にご相談ください
開業にまつわる情報を集めたい方や、開業時に使える資金調達の方法に詳しくなりたい方は、開業準備を支援してくれる「canaeru(カナエル)」のようなサービスを活用するのがおすすめです。制度の利用方法などを理解できれば、無理なく開業準備を進めやすくなるでしょう。
canaeruは、国から経営革新等支援機関(認定支援機関)と認められた株式会社USENが運営する開業支援サービスです。経験豊富な開業プランナーが、開業を多角的にお手伝いします。ご相談の場合は、下記のリンクからお問い合わせください。
無料開業相談開業資金調達には、融資などさまざまな方法が考えられる
自己資金がゼロであっても、いくつかの条件を満たすことで申し込める融資制度を利用すれば、開業に関する資金を調達できる可能性があります。
また、ビジネスコンテストに参加したりクラウドファンディングを活用したりと、開業資金を調達するための方法はいろいろと考えられるため、自分に合う方法を見極めた上で資金調達に励みましょう。
しかし、資金調達に役立つ数々の制度は、そもそも存在を知らなければ利用することができません。この記事の監修
USEN開業プランナー
長原雄一
株式会社USEN 開業サポートチームに所属。日本政策金融公庫のほか、地方銀行や都市銀行など複数の金融機関にて融資業務を担当。
資金調達の豊富なノウハウを活かし、店舗開業者のサポートを行っている。
【主なサポート内容】
・開業資金にまつわる相談受付
・事業計画書の作成サポート
・資金調達時の面談アドバイス
株式会社USEN/canaeru 開業プランナーの詳細はこちら- NEW最新記事
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