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独立・起業し、飲食店などのお店を開業することは、「自分が考えたコンセプトやテーマに沿った"完全自分オリジナル"の〇〇を、お客さまに提供し、それによって報酬を得る」という夢の仕事です。
その夢の仕事を継続させるためには、自分オリジナルの〇〇を産み出す作業よりも、お店という組織を経営するという作業の方が、圧倒的に多いのです。
残念ながら、このポイントを少なく見積もって開業してしまう開業者が多いのが実情です。
canaeru(カナエル)では、忙しい開業予定者のために、「まずはこれだけ抑えておけば経営は継続する」というポイントまとめてみることにしました。
たくさんの経営本のどれを読めばいいのか分からない、セミナーなどで勉強する時間がない…という方に、まずはこれだけでも抑えてほしいポイントは5つです。
起業して会社経営、美容院や飲食店も開業。あらゆる業態を事業化し、成功させてきた株式会社グリーンツリー代表・森田健太郎氏が解説します。
第5回目は、集客施策についてです。あなたは、お気に入りやあこがれ、または毎日通勤などの経路に気になる飲食店があって「行ってみたいな」と思ったら、そのお店のWebサイトを見に行ったりしませんか?
ですが、公式サイトを持たない飲食店が非常に多いのです。
この需要と供給のミスマッチ部分に集客策が隠されています。見込み顧客を発掘できなければ、継続経営ができないことを理解する
森田:私は昔、外資系のIT企業で営業として働いていたことがあり、世界No.1セールスとして表彰を受けました。そのため、セールスは私の専門分野なのですが、セールスには2つの仕事があることをご存じですか?
ひとつ目は見込み顧客を見つけてくる仕事で、ふたつ目はその見込み顧客のところに行って契約を取る、つまりクロージングさせる仕事です。
大手の企業では、この2つの仕事の担当者を分けているところもあります。たとえばガンガン電話をかけて見込み顧客を見つけてくる部隊があり、見込み顧客を見つけるとクロージング部隊が顧客のところに行って契約を取ってきます。
クロージング率が高い営業は比較的受注率が高そうな見込客を回されるようになるなど、会社として売り上げが最大化されるように営業部隊は設計されています。
通常、ガンガン電話をして見込み顧客を見つけてくる部隊は入社間もないスタッフが担当し、そこで見込み顧客が見つけられるようになってくると、そのスタッフはクロージング部隊に昇格します。しかし、最初はなかなかクロージングできない案件を回されます。その難しい案件をクロージングしていくと更に昇格し、おいしい案件が回され、営業インセンティブが増えていく仕組みがとられているのです。
この2つの仕事のうち、どちらが会社として重要な仕事かと言うと、見込み顧客を見つけてくる方です。なぜならば、見込み顧客を発掘できなければ、クロージング部隊がいても意味がないからです。
昇格するとクロージング部隊に異動となることから、一見クロージング部隊が大切に思われがちですが、それは違うのです。
さて、これを飲食店などに当てはめて考えてみると、クロージング部隊は来店されたお客様をリピートさせることに当たり、接客であったり、お店の雰囲気であったり、もちろん料理の味であったりに相当します。
よって、独立したオーナーは最もそこに力を入れることとなります。しかしそれは正しいのでしょうか?集客さえできれば、お店が繁盛する計算式は成り立つ
たとえば、接客が悪い、お店の雰囲気も悪い、料理も美味しくないお店なのに、見込み顧客を見つけてくる(集客)ことだけには長けていて、毎日満席にできる力があればどうなるでしょう?
食べログの評価が下がろうが、ネットの掲示板で悪口を書かれようが、集客さえできれば、オーバーな話、お店を大繁盛させることができます。
正直、接客やお店の雰囲気、料理についてはどこのお店も一生懸命努力している部分です。ここをチューニングすることはもちろん大切ですが、そのチューニングを更に向上させることで、どの程度リピート率が上がるのか、考えたことはありますでしょうか?たとえばビールを出す際、ジョッキの取っ手を利き手側(右側)に置くことが決まっていたとしても、それを忙しさのあまり守らず、左側に出してしまったとしましょう。それがどれだけリピート率に影響するでしょうか?
高級レストランであればアウトかもしれませんが、そういったミスが起きないように、ジョッキを使わずグラスタイプにしてしまう方法もあります。
日本のサービスは、海外のサービスと比べて過剰と言われるように、行き着くところまで行った戦いをしています。繰り返しますが、私はそれを否定するわけではありません。その労力の一部を集客の方に注ぎませんか?ということを一番言いたいのです。プロモーション施策は、必ず新規客を連れてくる
飲食店の場合、この集客の部分が食べログであったりぐるなびであったり、更には、看板やノボリ、呼び込み、その程度しかやっていないところがほとんどです。
弊社は美容室を展開していますが、美容室の場合、ホットペッパービューティーを出しておけばOKというのと近いかもしれません。
しかし弊社はそんな美容室ではありません。
駅広告を出しますし、駅の改札のICカードをかざすところにも駅改札ステッカーを広告として出しています。更にはビルにお願いして、ポスター広告も貼らせてもらっています。
駅の前では、空いた時間にポケットティッシュとクーポンをつけてチラシを配っています。
メンバーズカード、更には頻繁に通ってくれるお客様にはVIPカード、帰り際にはお友達紹介カード、またヘアショーや雑誌にも出ているためそれをPRする自社Magazineの発行、そしてホームページの充実なども行っています。
上記はまだまだ一部であり、考え得る集客ツールはすべて実施していると思います。そういったところに、時間を使うのが大きな鍵となるのです。
立ち飲み屋であれば必要ないかもしれませんが、ホームページすらない飲食店が非常に多いことには驚かされます。
美容業界でもホームページを持っていないお店がかなりの割合でありますが、そういった美容室のほとんどがもう古ぼけていて、お客様がほとんど来ないようなお店です。お店のオフィシャルサイトが絶対必要な理由とは?
第1回で解説したとおり、美容室はコンビニの4倍以上もあるため、1ヶ月間に新規のお客様が10名も来ないという美容室はザラにあります。
2017年11月にオープンした弊社の新店は、前述のようなプロモーションをした結果、翌12月には354名もの新規顧客が来店されました。
なかなかこの数値を出せる美容室はないと思います。つまり美容業界もそうですが、飲食業界ももう少し集客を真剣に考えた方がよいと思うのです。
お金がかかるから…という理由で、投資をしなければどんどん顧客離れが起き、古びた美容室と同じ状況になってしまう可能性があります。ただし、チラシやポケットティッシュなどと違い、ホームページには制作にお金がかなりかかります。私は2006年にホームページ制作会社で独立しており、現在、2,000社近い実績を持っています。つまりセールスも専門ですが、ホームページ制作も専門なのです。
2,000社もの実績を持ちながらも、飲食業界向けのホームページを弊社は1社も作っていません。またホームページ制作業界の大手も、飲食業界向けのホームページ制作はやっていません。
これは、飲食業界のホームページは手間がかかる割に単価が安いからです。
飲食店のホームページの場合、ITリテラシーの低い方が多く、制作会社に丸投げ状態になってしまい、更には料理の写真にもこだわりがあるため撮影も行う必要があります。よって制作会社側は150万円でも請けたくないというのが本音なのです。
飲食業界でホームページに150万円をかけるのはかなりツライと思います。同じことが美容業界にも言えます。店舗をキレイに撮影する必要があり、デザインにうるさい割に150万円はとても出せないという業界です。
よって弊社では、飲食業界同様、弊社の美容室以外の美容室のホームページは作っていません。こういったこともあってなのかわかりませんが、ホームページ開設率が飲食業界も美容業界も低いのかもしれません。しかし美容室の1号店を出店した際には、ホームページを見て来たというお客様が相当な割合でいました。美容室の場合、ホームページがなければ、まず女性はその美容室に行かないと思います。
グルメサイトやSNSなどにしか公式情報がないお店が多い中、飲食店などはその狭い訴求領域で「いかに発掘してもらうか?」に力を注いでいます。
ですが、一歩その外に出れば、フラットな領域で飲食店を探している消費者はたくさんいるのです。この領域の特徴は、競合が少ないことです。
ここを開拓しないのは、もったいないとしか言いようがありません。ホームページの話が長くなってしまいましたが、ホームページ以外に、メンバーズカードがない飲食店がほとんどです。
美容室だからメンバーズカードが有功だと思っている方もいると思いますが、塚田農場はどうでしょうか?皆さんご存じだと思います。VIPカードにもなるスタンプカードがあり、昇進していく仕組みが提供されています。
このように、飲食業界だからメンバーズカードはいらないとか、そういった発想をしてしまうのではなく、今ある集客の仕組みをどうすれば飲食業界でも使えるのか?といった発想にするだけで、大きく異なると思います。
弊社が実施しているお友達紹介カードは、紹介してくれた人と紹介された人の両方にヘッドスパかトリートメントをサービスするのですが、お会計の際にお渡しております。一方、飲食店でお会計の際、レシート以外にそういったお友達を紹介してくださいといったクーポンをもらったことは一度もありません。
単なるクーポンですら、吉野家やすき家などのクイック飯以外ではほとんど見かけません。
吉野家、すき家、そして塚田農場を運営している株式会社エー・ピーカンパニーも上場していますが、そういった大手は集客をとても大切にしています。
繰り返しますが、飲食店の経営者は集客をもう少し重視した方がよいと思います。徹底的に集客を考える、集客こそ社長の仕事だと捉えていくことが大切です。
これが4つ目のポイントです。その他の記事はコチラから!
■プロフィール
森田健太郎
1967年広島県生まれ。日本大学大学院理工学研究科物理学専攻博士前期課程修了後、KDDI株式会社に入社。1年間システムエンジニアを経験し、営業部門に異動。2年後、実績が新聞、雑誌などに多数取り上げられ、注文が殺到。東京支店達成率ナンバーワンに躍進。
1998年、ヘッドハンティングによって外資系ソフトウェア会社であるマカフィー株式会社に転職。1999年に日本でナンバーワンセールスとなり、2000年8月には世界ナンバーワンセールスアワードをハワイで表彰。同年11月、最年少部長に昇進。9四半期連続で目標達成という偉業を成し遂げる。
2001年、独立系ソフトウェアベンチャー企業にヘッドハンター経由で役員として転職。入社してわずか4年で売上を13倍にする。
2006年3月、株式会社グリーンツリーを設立。初年度からホームページを容易に制作できるソフトウェア販売(CMS業界)でトップレベルの会社に躍進させる。設立から現在までずっと黒字経営を続けており、2012年11月にはホームページ累計導入社数が1,000社を超える。
2011年11月、コンビニの5倍もある美容事業に参入し、一号店を3カ月で黒字化させる。
2017年11月現在、ホームページ導入社数は約2,000社、美容室は4店舗、一般社団法人 日本優良品協会 監事なども務める。- NEW最新記事
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