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焼肉は多くの方に愛される定番のメニューです。「焼肉が好き」という想いから、焼肉屋の開業を検討する方は少なくありません。
しかし、開業が初めてだと焼肉屋の開業費用や必要な準備が分からず、何から取り掛かればよいのかと悩む場合もあるでしょう。
この記事では、焼肉屋の開業にかかる費用や準備を進める手順、開業に必要な資格などについて紹介します。焼肉屋の開業を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
また、以下の記事でも焼肉屋の開業方法について解説していますので、あわせてご参考にしてください。
関連記事 焼肉屋の開業資金や資格、失敗しないための準備について目次
焼肉屋開業の実態
飲食店には、ラーメン屋やカフェ、寿司屋などさまざまな種類がありますが、開業時の初期費用は業種によって異なります。中でも、焼肉店は他の飲食店に比べて初期費用がかかりやすい業種です。
その理由は、通常の厨房設備に加え、各テーブルにダクトなどの排気設備を整える必要があるからです。この空調設備は煙やにおいを排出するために不可欠であり、これが初期費用の増加につながります。
しかし、焼肉店には他の飲食店にはない魅力もあります。焼肉店は、誕生日やお祝いなど特別な日の食事として選ばれることが多く、客単価が高い傾向があります。例えば、焼肉店に来てカルビ1皿だけを注文して帰るお客さんは少なく、複数の料理に加え、ドリンクやサイドメニューを注文することが一般的です。このため、利益率が高くなる可能性があります。
もちろん、初期費用がかかるため、開業のハードルは他の業種に比べて高いかもしれません。しかし、客単価が高いことで利益を出しやすく、例えば定食屋など一品料理を提供する店舗に比べ、収益を上げやすい業態と言えるでしょう。
さらに、焼肉店ではお客様自身がテーブルで肉を焼くため、従業員が行う調理の手間が省けます。工夫次第では、比較的少ない人数でも大きな店舗を運営できる可能性があります。このような点も、焼肉店の運営が他の飲食店に比べて効率的である理由のひとつです。
焼肉店を開業する際は、初期費用と運営効率、そして利益率の高さをしっかりと見極めて準備を進めることが成功のカギとなるでしょう。焼肉屋の開業にかかる費用の目安は?
焼肉店の開業資金は、店舗の規模や立地によって大きく変動しますが、一般的には2,000万円前後が目安です。自己資金だけで足りない場合は、金融機関の融資を利用することが一般的です。
開業資金
焼肉店の開業資金には、物件取得費や工事費、設備費などが含まれます。以下はその内訳と費用の目安です。
項目 金額 物件取得費 180〜400万円 工事費 1000万円前後 厨房設備費 300~500万円 備品費 30~50万円前後 広告宣伝費 20~30万円
焼肉店の開業で最もコストがかかるのは工事費です。焼肉店には各席にロースターやダクトなど、煙やにおいを排出するための設備が必要です。例えば、20席程度の店舗であれば、工事費だけで約1,000万円はかかると考えておきましょう。
物件取得費は家賃の6~12ヶ月分が一般的です。家賃が30万円なら180万円が最低の目安です。
その他、冷蔵庫、食器洗浄機、炊飯器などの厨房設備は300~500万円ほど。ただし、中古やリースを利用することで費用を抑えることが可能です。運転資金
開業後も継続して営業するために必要な運転資金は、少なくとも3ヶ月分は確保しておきましょう。焼肉屋の運転資金には以下が含まれます。
●家賃
●人件費
●仕入費
●水道光熱費
上記が焼肉屋の主な運転費用です。特に、人件費と仕入費を合わせた「FLコスト」は、売上の60%以下に抑えることが理想です。たとえば、月の売上が500万円の場合、FLコストは約300万円が目安となります。
また、焼肉店の水道光熱費は一般的な飲食店が売上の5~8%言われる中、比較的高くなる傾向があり、月商500万円の場合は最低でも約25~40万円ほど見込んでおくとよいでしょう。開業後の売上の目安
売上の目安は、店舗の規模や客単価、回転率などによって変わります。以下は例として、20坪・25席の店舗を想定した場合の売上計算です。
客単価:4,000円
席数:25席(20坪の店舗を仮定)
回転率:2回転
営業日数:26日
-------------------------------------------
売上:520万円
この条件で計算すると、月の売上は約520万円となります。ただし、実際の売上は立地やメニュー、サービスなどによって大きく変動します。ランチ営業やキャンペーン、クーポンの配布などで、客単価や客数を増やす工夫も検討できます。
関連記事 焼肉屋の利益率はどのくらい?利益率を上げるためのポイント、事例も解説資金の融資を検討する際のポイント
焼肉屋の開業には多額の資金が必要となるため、多くの場合、金融機関からの融資を利用することになるでしょう。その際に検討すべきポイントは以下の3つです。
✔どの融資制度を活用するか
✔返済できるかどうか
✔事業計画がしっかりしているか
どの融資制度を活用するか
資金の融資元は日本政策金融公庫と民間銀行の2つが一般的ですが、おすすめは日本政策金融公庫です。政府が出資する金融機関で、小規模事業者や個人企業などに対して積極的に融資を行っています。提供される創業融資制度は原則として無担保・無保証人で、長期間の返済も可能です。多くの飲食店開業者が利用している制度となっています。
返済できるかどうか
金融機関が融資を行う際には、融資先の事業者が返済能力を有しているかどうかが評価基準となります。融資申請を行う際には、売上予測、経費見込み、収支計画、資金繰り表といった具体的なデータを準備することが必要です。少なくとも3年程度の計画を立て、保守的な予測を心がけ、不測の事態にも対応できる余裕を持たせておきましょう。
事業計画がしっかりしているか
事業計画は融資審査の要となる重要事項です。店舗のコンセプトや特性、市場分析、マーケティング戦略、収支予測、リスク分析などを含む内容で作成します。競合店の状況や顧客ターゲットを明確にし、差別化戦略を示すことも重要です。綿密で現実的な計画は、融資獲得だけでなく、実際の経営の指針となり、事業成功の鍵となります。
また、これらの計画の信憑性を高める大事な要素は、業界での勤務経験である事は言うまでもありません。未経験からの開業では融資の審査も厳しくなるため、未経験の方は後述するフランチャイズ加盟についても検討してみてください。焼肉屋を開業する方法は大きく分けて2つある
焼肉店を開業するには、個人で開業する方法とフランチャイズを利用して開業する方法の2つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、目的や状況に合わせた選択が重要です。
個人経営で開業する
【メリット】
✔独自のコンセプトや料理を提供でき、価格設定や内装も自分の好きなように決められる
✔全ての利益が自分に返ってくるため、経営が成功すれば大きな収益を期待できる
✔市場の変化に合わせて業態やコンセプトをすぐに変更でき、柔軟な経営が可能
個人で開業する場合、自由度が最も大きな魅力です。独自のブランドやメニューで他店との差別化を図ることができ、経営判断もスピーディに行えます。
【デメリット】
✔店舗探しや食材の仕入れ、経営ノウハウの習得など、開業に関する全ての作業を自分で行うため、時間と労力がかかる
✔開業当初はブランド力がなく無名のため、集客に苦労する可能性がある
✔食材の仕入れ先の確保や、経営スキルを一から学ぶ必要がある
個人での開業は自由度がある一方、すべてを自分で準備・運営する必要があり、集客や経営の知識が求められます。フランチャイズとして開業する
【メリット】
✔すでに知名度のあるブランドを活用できるため、開業初期から一定の集客が期待できる
✔経営指導や研修が提供されるため、飲食店経営が初めてでもスムーズに開業可能
✔本部が食材の仕入れルートを提供してくれるため、安定した品質と価格で運営ができる
フランチャイズでは、成功しているビジネスモデルを利用でき、安定した経営を図りやすく、経営経験が少なくてもサポートが受けられるのが大きな強みです。
【デメリット】
✔フランチャイズ契約では、初期の加盟金や月々のロイヤリティを支払う必要があり、コストがかかる
✔メニューや店舗デザインなど、経営の自由度が限られ、自分のアイデアを反映しにくい
✔ブランドの統一性を保つ必要があり、他店との差別化を図るのが難しくなる
フランチャイズは安定志向の方に適していますが、独自のアイデアを反映させたい人には制約が多く感じられるかもしれません。焼肉屋を開業する前に必要な準備
焼肉屋を開業するためには、コンセプト決定や資金調達、店舗探しなど、綿密な準備が必要です。ここでは、その具体的な流れとポイントについて以下の順に追って解説します。
①コンセプトを決める
②事業計画書を作る
③店舗を探す
④資金を調達する
⑤内外装の工事を行う
⑥メニューの開発を行う
⑦スタッフを採用して教育する
⑧店舗を宣伝する
必要な準備について、具体的な内容を順番に見ていきましょう。①コンセプトを決める
まず、焼肉屋の具体的なコンセプトを決めることが重要です。店のスタイル、ターゲット層、提供する料理の特徴などを詳細に決定します。この段階で、次の7W2Hの視点を使うことで、より明確なコンセプトを作ることができます。
Why:焼肉屋を開業する理由や動機
When:開業予定の時期やシーズン
Where:開業するエリアや立地条件
Who:経営に関わるチームメンバーやパートナー
Whom:ターゲットとする顧客層
What:メニューの内容や特徴
Which:目玉メニューとその優先順位
How:マーケティングや集客の方法
How much:開業に必要な時間やコストの見積もり
この視点に沿って考えることで、明確なコンセプトを立て、開業準備の基盤が固まります。②事業計画書を作る
次に、具体的な経営戦略や資金計画をまとめた事業計画書を作成します。これは、銀行や投資家からの融資を受ける際にも必要です。また、事業計画書をしっかり作成することで、自分自身の経営方針を整理し、開業後の方向性がぶれにくくなります。
事業計画書には以下を含めるとよいでしょう。
✔市場調査と競合分析
✔費用の見積もり(開業資金、運転資金)
✔収益予測
✔販売戦略・集客計画③店舗を探す
次に、店舗の場所を決めます。立地は、焼肉店の集客と売上に直結するため、ターゲット層に合った場所を選びましょう。周辺の競合店や交通アクセス、駐車場の有無も重要です。
もし資金を抑えたい場合、必要な設備がすでに整っている居抜き物件を検討するのも一つの手です。これにより、内装や厨房設備の工事費用を節約できます。④資金を調達する
開業には、設備費や材料費、運転資金など多額の初期費用がかかるため、資金調達が必要です。以下の方法を活用できます。
✔日本政策金融公庫や銀行からの融資
✔自治体の助成金・補助金の利用(返済不要)
✔クラウドファンディングや投資家からの資金調達
助成金や補助金は返済義務がなく、事前に調べて活用することで自己資金を抑えることができます。⑤内外装の工事を行う
資金が確保できたら、店舗の内外装の工事に取りかかります。内装デザインは、ターゲットに合ったものにすることが大切です。たとえば、ファミリー向けか、若者向けかで雰囲気や色合いが変わります。
居抜き物件を活用する場合、必要最低限の工事のみで済ませられる可能性があるため、コストを削減できる利点があります。⑥メニューの開発を行う
焼肉屋の肝となるメニュー開発も重要です。焼肉はもちろん、サイドメニューやドリンクにも力を入れて、他店との差別化を図ると良いでしょう。例えば、特製のタレやサイドメニュー、デザート、オリジナルドリンクなどで独自性を出すことがポイントです。
⑦スタッフを採用して教育する
営業を円滑に進めるためには、スタッフの採用と教育も欠かせません。開業前にマニュアルを作成し、業務の流れや接客の基本を徹底的に教育しましょう。スムーズな店舗運営が、顧客満足度の向上につながります。
⑧店舗を宣伝する
最後に、開業前に宣伝を行いましょう。チラシやポスターなどのオフラインの方法と、SNSやグルメサイトなどを使ったオンライン宣伝の両方を活用するのが効果的です。SNSを通じてターゲット層に情報を拡散し、グルメサイトへの掲載で集客を強化できます。
焼肉屋を開業するために必要な資格と免許
焼肉屋を開業するためには、店舗運営に必要な資格や許可を取得することが不可欠です。これらを準備段階で取得しておくことで、スムーズな開業を迎えられます。以下は、焼肉屋開業に必要な主要な資格と免許です。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、飲食店を営業するために必須となる資格で、店舗ごとに1名以上の責任者を配置する必要があります。資格の取得は比較的容易で、各自治体が開催する半日程度の講習を受けることで取得可能です。
✔申請先:各自治体
✔取得方法:開催する講習を受講
✔講習時間:半日程度(費用:数千円程度)飲食店営業許可
焼肉屋を営業するためには、飲食店営業許可が必要です。これは、食品衛生法に基づいて保健所に申請し、施設基準に合致しているかどうかの検査を受け、許可を得る必要があります。施設の設備や衛生状態が重要なチェックポイントとなります。
✔申請先:保健所
✔取得方法:営業許可申請書、施設の図面、食品衛生責任者の資格証明書など提出
✔施設基準:厨房や洗浄設備、換気、手洗い場などの設置が求められる防火管理者
防火管理者の資格は、30人以上を収容する店舗で必要となります。焼肉屋は火気を扱うため、一定の規模を持つ店舗の場合、消防署で防火管理者講習を受け、資格取得後に選任届を所轄の消防署に提出する必要があります。
✔申請先:各消防署
✔取得方法:消防署での講習受講(受講後、消防署に選任届を提出)深夜酒類提供飲食店営業開始届
深夜にお酒を提供する店舗では、深夜酒類提供飲食店営業開始届の提出が必要です。午前0時から6時の間にアルコールを提供する場合、この届出を管轄警察署に開業10日前までに行うことが義務付けられています。
✔申請先:店舗所在地を管轄する警察署
✔取得方法:営業開始日の10日前までに深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出焼肉屋の経営を失敗させないためのポイント
焼肉屋は利益を上げやすい職種ですが、経営には何が起こるかわからないため確実に成功するとはもちろん言い切れません。状況によっては、集客が上手くいかず、売上が思うように出せなくなる可能性もあるでしょう。
ここからは焼肉屋の経営を失敗させないためのポイントを紹介するので、経営に不安のある方はぜひ参考にしてください。独自の強みを作る
競争の激しい飲食業界では、他店と差別化できる独自の強みを持つことが重要です。例えば、オリジナルのタレやサイドメニュー、期間限定メニュー、キッズスペースの設置など、ターゲットに合わせた強みを作ることで、集客を安定させることができます。
清潔感を維持する
焼肉屋は油が飛びやすく、テーブルや壁が汚れやすい特徴があります。常に清潔感を保つための管理が必要です。特に、汚れた店舗はリピーターを減らす原因になりかねないため、定期的な清掃と点検が欠かせません。
お金を使う部分と節約する部分を見極める
開業資金は大きな負担ですが、節約すべき部分と投資すべき部分をしっかり見極めることが大切です。たとえば、内装費用を抑えるために居抜き物件を活用する一方で、肉の品質にはお金をかけるなど、コスト配分を意識して経営を行いましょう。
食中毒にはとくに気を付ける
焼肉屋では食中毒リスクに特に注意する必要があります。過去には焼肉屋での食中毒事件が大きく報じられたこともあり、消費者の目は厳しくなっています。食材の品質管理や、来店客に対する適切なトング使用の指導などを徹底し、リスクを最小限に抑えましょう。
入念に準備して焼肉屋の開業を成功させよう
焼肉屋は飲食店の中でも初期費用がかかりやすい業種ではありますが、客単価が高いことから利益を挙げやすいとも言える魅力的な職種です。
融資制度や補助金などを活用すれば、手持ちの資金に不安があっても開業を目指せるので、「焼肉屋の開業が夢」という方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
ただし、開業後に安定した経営を行うためには、入念な事前準備が必要です。コンセプト決めや店舗選び、店舗の宣伝などの準備を怠らず、万全な状態で開業できるよう努めましょう。
開業の準備を1人で進めることに不安がある場合は、開業面の不明点や疑問点を相談したり、サポートを受けたりできる『canaeru(カナエル)』のような開業支援サービスを活用することをおすすめします。
無料開業相談この記事の監修
USEN開業プランナー
加納健雄
株式会社USEN 開業サポートチームに所属。銀行で融資審査を担当していたキャリアを生かした事業計画書の作成サポートが強み。そのほかにも開業や経営の資金計画の立て方に関するアドバイスを行っている。
【主なサポート内容】
・開業資金にまつわる相談受付
・事業計画書の作成サポート
・資金調達時の面談アドバイス
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