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飲食店開業に使える助成金・補助金まとめ!押さえておきたい基礎知識を解説

リード

飲食店を経営するにあたり、資金の調達で悩まれている方は多いのではないでしょうか。本記事では飲食店経営で利用できる補助金や助成金について基礎から具体的な制度について解説します。これから既に開業をして経営をされている方、これから開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

参考記事:飲食店を開業するには?必要な準備の4ステップをわかりやすく解説

補助金って?

補助金は、国や自治体の予算から、地域経済の活性化や社会貢献する飲食店などの事業者のサポートのために支払われるお金です。さらに補助金は支給額が大きくて、種類が豊富なのも魅力です。ただし、予算が決まっているため競争率が高くなります。申請しても貰えない可能性があることも念頭に入れておいた方が良いでしょう。また、予算が下りなければ補助金がなくなる可能性もあります。

応募期間も数週間から数か月の間と設けられているため、その間に応募して、審査に通過する必要があります。審査は、限られた予算の中で企業同士が競い合うコンペ方式です。審査にも緻密な事業計画書を立てないと、通過するのが困難。何か物を購入した分に対して費用が補助されることが特徴です。

支払い方法は後払い方式で、申請してから1年後くらいに入金される仕組みになっています。

融資や助成金との違い

融資

飲食店経営には、自己投資だけではほとんどの方は開業できないのではないでしょうか。そのため融資を受けたいという方が一般的です。融資とは、金融機関からお金を借りること。特に銀行での融資を求める方が多いです。融資の場合は、審査に通れば開業前でも資金が支払われるので、開業前から金銭を得られます。ただし、必ず利息の支払いや返済義務があるのも頭に入れておきましょう。

助成金

助成金は、国や自治体の予算から労働環境改善などの就労促進などを目的としています。社会貢献する飲食店などの事業所をサポートするために支払われているお金です。返済義務もありませんが、前払いは受けられません。申請してから1年後に入金されると考えておいた方が良いでしょう。

補助金とは異なり、受給要件を満たしていれば、基本的には誰でも交付を受けられます。さらに年中応募しているのが特徴です。

補助金や助成金を元手に開業することはできない

補助金や助成金があれば、その資金を元手に簡単に開業できるのでは?などと思う方もいるはずです。しかし結論から言いますと、補助金や助成金だけでは開業することはできません。その理由をこれから詳しく解説していきます。

実際、創業補助金や若手・女性リーダー応援プログラム助成金などのスタートアップを支援する補助金や助成金はあります。ただし、資金の支払われる時期が問題なのです。だいたい応募してから支払う期間までのトータルが、約1年ほどかかります。そうすると、開業前に補助金や助成金をもらうことはできないのです。補助金や助成金は、応募してから1年経った頃に、開業時にかかったお金の一部を、国や自治体が代わりに払ってくれるという仕組みになります。つまり、飲食店経営に必要なお金は自己資金と融資で開業しなければいけないということです。

また、補助金や助成金の募集要項は開業後のことが多いため、給付を受けるためには決められた条件を満たさなければいけません。条件とは、事業実施日までに従業員を雇うことや、業務効率化のことや諸経費など、条件に満たない内容ばかりなのでとても無理があります。

飲食店をスムーズに開業したい方は、開業資金をコツコツ貯めるか、親族や知り合いに出資をしてもらうか、金融機関に融資を申請することを考えておくのがベストです。

参考記事:飲食店の開業資金はいくら必要?相場や調達方法について解説

補助金や助成金に税金はかかるのか?

昨今の社会情勢の中、助成金や給付金を申請する方が急増しています。そしてこれからもさらに申請する方が増えるのではないかと思います。補助金や助成金の申請から振り込まれるまでは1年という時間がかかると共に、もちろん税金もかかります。確定申告をする際には、収入として扱う必要があります。

その理由は、補助金・助成金は経理上「雑収入」「雑所得」などの科目を使って「収入」として計上する必要があるからです。

飲食店の利益があり、給付金関係が400万円あるとすると、400万円が課税の対象になります。所得税はもちろん、住民税、事業税、国民健康保険にも影響があるので注意する必要があります。

ただし、給付金をもらっても税金がかからないパターンもあります。
例を挙げるとすればお店の利益が大幅に赤字の場合です。例えば飲食店の利益がマイナス500万円で、給付金が400万円となると、税金が課されなくなります。

その中で気を付けていただきたいのが、30万円以上の高額の設備や看板等を購入した場合は課税対象となります。購入した時に減価償却費として経費計上しなくてはならないのが特徴です。30万円未満の場合は、非課税となります。

飲食店を開業する際に申請できる補助金・助成金

それでは、補助金や助成金の意味が明確になったところで、次は飲食店開業時に申請できる補助金や助成金の概要・募集対象者・補助対象経費について、詳しくご紹介します。
補助金や助成金のサポートとして、以下のような制度があります。


関連記事 飲食店の開業に必要なこととは?開業までの準備を紹介

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参考記事:飲食店の開業に必要なこととは?開業までの準備を紹介

創業助成事業(東京都)

東京都や公益財団法人東京都中小企業振興公社は、都内での開業率を2030年度までに12%に達成することを目的としています。申請対象者は、申請時点において、経営期間を5年未満とします。助成限度額は300万円。補助対象諸経費は、広告費、備品購入費、賃借料、従業員人件費、専門家指導費などです。対象期間は交付決定日から最長で2年間有効です。

また、助成対象期間終了後も東京都中小企業振興公社が中期に渡った丁寧なサポートを行っています。

※2022年度第1回目の申請受付は2022年4月20日に終了いたしました。今後は募集の有無を確認し、応募をご検討ください。

参考:東京都産業労働局「創業助成金(東京都中小企業振興公社)」

創業補助金(地域創造的起業補助金)

飲食店などの経済を活性化させることを目的とした助成金です。新たな需要や雇用の促進を生むことを目指します。
新たに起業する方で、要件を満たし、審査に通れば最大200万円まで補助を受けられる事業です。
この補助金の審査は、市町村に特定創業支援事業を認定されなければいけません。経済産業省が莫大な金額(6.3億円)をかけて、地域活性化を目指しているため、それに伴う厳しい審査があります。審査に通るための募集対象者、補助対象経費、補助率は、以下で説明しています。

●募集対象者
日本国内で、新しく起業する個人または中小企業の事業主が対象です。事業実施完了日までに、新たな従業員を1名雇うことを確約し、 認定の市区町村内で創業することとなっています。加えて、認定市区町村か認定連携創業支援事業者から認定を受けている方も対象者です。
●補助対象経費
・使用する目的が事業に必要なものだと明確に証明できる経費
・交付決定日以降で、補助事業期間内の契約・発注によって発生した経費
・証拠書類などによって金額・支払等が確認できる経費
※人件費や店舗等借り入れ費・設備費・原材料費などが主な経費対象となります。
 家賃は経費対象ですが、敷金礼金は対象外などの取り決めがあるので注意してくださ  い。
●補助率
補助対象経費の3分の2以内です。補助額は最低50万円から最大1,000万円までとなっています。

※申請受付は平成30年4月27日(金)から平成30年5月22日(火)で終了いたしました。今後は募集の有無を確認し、応募をご検討ください。

参考:平成30年度地域創造的起業補助金

飲食店を開業した後に申請できる補助金・助成金

小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者が飲食店を経営する環境の中、持続的な事業を発展させるための事業です。
経営計画に基づいて実施する取り組みに対し、原則50万円を上限に補助金(補助率2/3)が出ます。

飲食店などのサービス業(宿泊業・娯楽業以外)の募集対象者は、従業員が5人以下の小規模事業者であること。申請する際は、事業支援計画書を作成することによって、商工会議所での指導や助言を受けられます。複数の事業者と共同で申請する場合は、最大500万円となります。対象諸経費は、チラシ作成、webサイト作成、商談への参加、店舗改装費用です。

IT導入補助金

近年の社会情勢の中、人手不足を解消できるツールとして、ITを導入する飲食店も増えています。IT導入を検討している方におすすめなのが、「IT導入補助金」制度です。ITを導入し、顧客のセルフ注文やセルフレジの実現により、業務効率化や経営の安定につながります。

●募集対象者
資本金や通常雇用の従業員が一定以下の中小企業と、常時雇用の従業員が一定以下の小規模事業者(個人事業主を含む)です。

●通常枠の支給額 
A類型は、(30万円~150万円)、B類型は(150万円~450万円)です。顧客対応、販売支援、会計・財務・経営の中で1つでも満たしていればA類型。一方、B類型はその中の4プロセス以上を満たす必要があります。

●対象諸経費
ソフトウェアやクラウド導入費用

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップなどを促進する目的があります。有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者 といった、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
人員を正社員にするのか、昇給させるのか、健康診断を制度化させるのかなど、それぞれの働き方に応じます。

以下の7つのコースに分かれます。

・正社員化コース
・賃金規定等改定コース
・健康診断制度コース
・賃金規定等共通化コース
・諸手当制度共通化コース
・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
・短時間労働者労働時間延長コース

雇用保険適用事業所の事業主になり、飲食店ごとに、キャリアアップ計画を作成するキャリアアップ管理者を置く必要があります。さらに、管轄労働局長の認定を受けていることが条件です。ただし、労働保険料を納入していない年度がある事業主は、助成金を受給できないので注意してください。

補助金額は、コースや条件によって異なります。「正社員コース」で最大1人あたり72万円の助成金を受けられるパターンもあります。

補助金とは違って、助成金は要件を満たし所定の形式で申請すれば、原則支給を受けられます。

沖縄県雇用継続助成金(雇用調整助成金等上乗せ助成)

沖縄では、「沖縄県雇用継続助成金(雇用調整助成金等上乗せ助成)」がおこなわれています。助成対象期間を2022年6月休業日分まで延長となりました。申請の期限は、2022年10月14日(金)です。

●募集対象者 
・沖縄県内に事業所がある方
・新型コロナウイルス感染症の影響により、労働者を休業させている
・沖縄労働局で、「雇用調整助成金」「緊急雇用安定助成金」の支給を受けている
●支給金額
・月額100万円を上限とし、予算の範囲内で交付します。雇用調整助成金または、緊急雇用安定助成金の助成率が10分の10である場合は、助成金の支給対象にはなりません。

参考:沖縄県雇用継続助成金(雇用調整助成金等の上乗せ助成)

京丹後市事業所等感染症対策緊急支援補助金

京都府は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、「京丹後市事業所等感染症対策緊急支援補助金」を実施しました。飲食店経営を続けながら、感染症対策をおこなうための取り組みです。
●応募対象者
・経済活動で大きな影響がある企業
●支給金額
・補助対象経費の合計額の2分の1以内の額とします。その額に千円未満の額がある場合は、千円未満の額を切り捨てた額です。1事業所あたり、従業員の人数に5千円を乗じた額を上限とします。100人以上の事業所は、50万円を上限とします。
●対象諸経費
・飛沫防止に関する衛生備品や消耗品
・密を避けるための誘導表示
・除菌用の清掃用品または洗剤
・感染症に係る検査費用

※申請受付期間は2021年2月26日時点にて終了しています。今後は募集の有無を確認し、応募をご検討ください。


参考:京丹後市商工会「【補助金】【延長】(受付R4/3/31迄)京丹後市事業所等感染症対策緊急支援補助金の募集の開始について」

雇用調整助成金

札幌市は、雇用調整助成金事業をおこなっています。「新型コロナウイルス感染症」の影響により、事業活動が衰退した際の、従業員の雇用を存続させることが目的です。

●支給対象内容
・新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食店などの経営状態が悪化し、事業活動が衰退している
・1か月の売上高または生産量が前年同月比5%以上減少している
・休業要請が出た場合は休業手当の支払いをしている
●支給金額
・1人1日当たり、9,000円~15,000円です
●対象となる労働者
・事業主に雇用されている雇用保険被保険者に対する休業手当が助成対象です。

支給の流れとして、緊急対応期間中の特例で「計画書」の提出は不要となっています。


飲食店などを含む中小企業の新分野の展開や、事業再編などを支援する「事業再構築補助金」があります。コロナ社会の経済変化に応じた対策です。
●募集対象者
・コロナ以前(2019年または2020年1月~3月)の3か月の合計売上高と比較して、10%以上減少していること。
・事業計画を、認定経営革新支援機関や金融機関と策定し、一緒に事業再構築に取り組める方
・補助事業終了後の3年~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上の増加、従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上の増加の達成ができる
●支給額
・従業員が20人以下の場合、100万円~2,000万円
・従業員が21人~50人の場合、100万円~4,000万円
・従業員が51人~100人の場合、100万円~6,000万円
・従業員が101人以上の場合、100万円~8,000万円
●対象諸経費
・建物費、システム構築費、技術導入費、外注費、広告宣伝費、研修費など

※申請期限は2022年4月30日時点にて終了しています。今後は募集の有無を確認し、応募をご検討ください。

参考:札幌市「【3月7日~3月21日】北海道から札幌市内飲食店等への要請に係る協力支援金について」

融資を受けるなら日本政策金融公庫がおすすめ!

飲食店を開業する際、自己資金で補えない分は、借り入れをおこないますが、ほとんどの銀行は飲食店開業資金を貸してくれません。銀行は、経営実績がなくて、先行きが不透明な企業だと、なかなか融資をしてくれないのが現状です。まずは、日本政策金融公庫という政府金融機関に相談してみましょう。

日本政策金融公庫は、政府系金融機関です。平均融資残高が約703万円、無担保融資割合が85%を超えており、飲食業界において飛躍的な存在です。東京はもちろん、全国に152支店の創業サポートデスクがあるので、沖縄、京都、札幌などの地方都市でも気軽に相談できます。

日本政策金融公庫に融資を申請する場合は、「創業計画書」を作成する必要があります。どのようなコンセプトで事業を行っていくのかが重要な課題です。審査員が見極めるポイントとして見ている部分が2つあります。1つ目は「経営者としての能力」、2つ目は「ビジネスプラン」です。

創業計画書記入の書き方
・創業動機 どのような飲食店を経営していきたいか、お店のコンセプトを書きます。そして、これまでの開業準備の状況や、支援者からどのような協力が得られるのか、開業予定地を選んだ理由などを明確にしっかり書くことが大切です。
・経営者の略歴
過去に飲食業界で働いた経験がある場合は、実績を具体的に書きましょう。自分が行ってきた業務経験や、活かせる知識を具体的に記入するのがおすすめです。
・取扱商品・サービス このお店ならではの、アピールポイントを具体的に伝えます。例えば、「取引先である業者から、産地直送で新鮮な魚介類を仕入れられます」などです。
・取引先・取引関係者  出店予定地や、そのエリアのことを詳しく記入しましょう。飲食店のエリアのターゲットとなる顧客層や、周辺の立地などです。例えば、「オフィス街なので、ランチタイムでワンコインで食べられるお店を開業する」など、その土地ならではの、アピールポイントを書いておくのもおすすめです。

また、日本政策金融公庫から融資を受けるためのサポートを、canaeruの開業相談で行っているので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。

同じく公庫が実施している「中小企業経営力強化資金」の認定支援機関としてサポートも行っています。対象者は、新たに飲食店経営を始める方または開業して7年以内の方です。その中で、「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用しているまたは適用する予定の方になります。さらに事業計画書の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている方が対象です。

まとめ

飲食店開業時に使える補助金・助成金についてご紹介しました。
補助金や助成金は、飲食店経営者にとって有難いサービスです。しかし、補助金や助成金だけでは開業資金にはできないことを念頭に入れておいてください。資金は申請してすぐにもらえるのではなく、国や自治体からのお金の一部を後日負担してくれる制度です。そのため、日本政策金融公庫の融資から借り入れることがほとんど。補助金、助成金、融資を申請する作業はとても緻密な作業になるので、しっかり飲食店のコンセプトを考えておきましょう。そして、助成金や補助金は毎年内容が変わるので、年度の切り替え時に確認しておくことが大切です。

このような制度を受けると、飲食店経営のサポートになります。また、飲食店経営の知識だけでなく、資金調達のノウハウを身に着けておくことで、これからの飲食店の経営戦略にも役立ちます。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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