働く際の選択肢には、会社員として勤務する以外に「独立開業する」という方法もあります。
独立開業を目指す際にやるべきことはたくさんあり、資金の調達や書類の提出など、さまざまな準備を行わなくてはなりません。
また、独立開業には不安がつきものなので、これまで培った経験を活かして独立開業したいと考えていても、なかなか行動に移せていない方もいるでしょう。
この記事では、独立開業をするメリットやデメリット、独立開業しやすい職種などについて紹介します。独立開業を検討している方、今とは違う働き方で仕事をしたい方はぜひご一読ください。
目次
独立開業とは?
独立開業とは、自身で事業や会社を立ち上げることを指す言葉です。今まで会社の一員として勤務していた方が独り立ちをする場合などに使われます。
同じような意味合いを持つ言葉に「起業」がありますが、独立開業とは微妙にニュアンスが異なります。独立開業は個人事業主になる際に用いられるケースが多いですが、起業は法人の設立が伴う場合に使われる言葉です。
独立開業のメリット
独立開業をするメリットはさまざまありますが、とくに大きなメリットとして挙げられるのは下記4点です。
• 仕事にやりがいを感じられる
• 高収入を目指せる
• 自由に働ける
• スキルが向上しやすい
それぞれのメリットについて、詳しい内容を順番に説明します。
●仕事にやりがいを感じられる
一般的な会社員の場合、1から10まで自分の思い通りには仕事ができません。割り振られた仕事内容によっては、窮屈に感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、独立開業をすれば自分の好きなように仕事を進められます。
好きな業種を選んで働けるだけでなく、自分で生み出したアイデアを形にできるため、仕事に対するやりがいも増えるかもしれません。
●高収入を目指せる
独立開業すると、月々の収入は自分の頑張りや工夫によって変化します。事業が上手くいけば、高収入を得ることもできるでしょう。
もちろん、会社員でも高収入は目指せますが、もらえる給料には上限があるケースが多く、どこかで限界が来る場合がほとんどです。
その点、独立開業する場合は収入に上限がないため、より高収入を目指せると言えます。
●自由に働ける
働く自由度の高さも独立開業をするメリットのひとつです。
一般的な会社員は決まった時間に出勤や退勤をしますが、独立開業すれば働く時間は自由でなので、会社のルールに縛られることなく都合のよいときに働けます。組織に属していないため、同僚や上司との人間関係に悩むことも少なくなるでしょう。
また、パソコン1台でできる仕事であれば、コワーキングスペースや近所のカフェなど、好きな場所で仕事に取り組めます。
●スキルが向上しやすい
独立開業をする場合、会社員とは違って指示を出す上司がいないため、仕事について自分で考える機会が増えます。
同僚や上司がいない環境では、自分で行わなければならない仕事も増えますが、それだけ仕事に関するスキルも向上しやすいでしょう。
また、自分で考え行動することで得られる多くの成功・失敗体験を通じて、人としても成長できると言えます。
独立開業のデメリット
独立開業はメリットが多い反面、下記のようなデメリットもあります。
• 経済的な負担や不安がある
• 失敗やミスをしたときに責任を背負う範囲が広い
• 健康管理を徹底する必要がある
事前にメリットだけでなくデメリットも把握することで、リスクを回避しやすくなるでしょう。ここからは、それぞれのデメリットについて紹介します。
●経済的な負担や不安がある
開業に伴い店舗や備品の準備をするのであれば、多くの初期費用が必要です。初期費用は借り入れて用意することもできますが、仮に事業に失敗して撤退をすると借金だけが残ってしまいます。
また、事業が軌道に乗るまでは月々の収入も不安定となり、経営状況によっては、赤字を出してしまう可能性もあるでしょう。会社員とは違って決まった給料をもらえないので、経済的な面ではなかなか安心できません。
●失敗やミスをしたときに責任を負う範囲が広い
会社に所属しており、損害賠償などが発生するような重大なケースにおいては、会社が責任を負ってくれるのが一般的です。
一方、独立開業する場合には、事業を行ううえで発生したトラブルの責任は全て自分が負わなければいけません。ミスやトラブルを防ぐためにも、スケジュールや品質管理を徹底する必要があります。
●健康管理を徹底する必要がある
会社員として勤務している場合、身体に不調があった際には仕事を休むことができます。休んだ分の仕事は、同僚や上司が自分の代わりにカバーしてくれて、仕事に大きな影響が出ないケースも多いでしょう。
しかし、独立開業をすると自分の代わりがいないため、体に不調をきたしても自分で何とかするしかありません。作業の進み具合に影響を出さないためにも、今まで以上に健康に気を遣う必要があります。
独立開業して失敗しないために気を付けたいポイント
独立開業を検討している方は、開業に失敗しないためにも下記の3点に気を付けましょう。
• 好きな仕事を選ぶようにする
• 事前に必要な知識やスキルを身に付けておく
• 開業後に収入がなくても過ごせるように資金を確保しておく
気を付けるべきポイントを把握したうえで備えておけば、事業が成功する可能性がより高まるかもしれません。各ポイントについて、具体的な内容を解説します。
●好きな仕事を選ぶようにする
開業する仕事の職種は、できるだけ自分が好きなジャンルのものを選ぶとよいでしょう。
開業後はとくに忙しいため、好きではない仕事だと苦に感じてしまう可能性があります。仕事を苦に感じてしまうとモチベーションも保てず、挫折しかねません。
職種選びは収益性の高さや敷居の低さなども重要ですが、自分がやっていて苦ではないかどうかを考えることも大切です。
●事前に必要な知識やスキルを身に付けておく
事業を早めに軌道に乗せるためにも、業務に必要な知識やスキルは事前に身に付けておくことがおすすめです。
事前に必要な知識やスキルを身に付けておけば、開業に向けて取り組むべき事柄が明確になるため、開業準備も進めやすくなります。
●開業後に収入がなくても過ごせるように資金を確保しておく
所属している会社を辞めて、独立開業後の事業だけで生計を立てる場合には、数ヶ月程度収入がなくても過ごせるだけの資金を確保しておくとよいでしょう。
開業しても最初から事業が上手くいくとは限らず、軌道に乗るまでは生活を送るために必要なお金を稼げない可能性もあります。
収入がなくてもある程度の期間過ごせるお金を用意しておけば、安心して事業に集中できます。
独立開業しやすい職種
開業する職種がまだ決まっていない方は、「初期費用の少なさ」と「利益率の高さ」に注目して選ぶことがおすすすめです。
初期費用が少なければ始めるハードルが低い分、気楽に挑戦できます。さらに利益率も高ければ、開業後の生活も安定しやすいです。
数ある職種の中から、初期費用が少なく利益率の高い職種を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
●インターネット関連のクリエイター
インターネット上のコンテンツを制作するクリエイターは、最低限パソコンが1台あれば仕事を行えるため、初期費用が少なく始めやすい職種です。
具体的な職種として、以下のものがあります。
• WEBデザイナー
• エンジニア
• ライター
• 動画編集者
元々クリエイターとして働いていた方であれば、そのときに習得したスキルや知識をそのまま仕事に活かせるため、スムーズに事業を進められるでしょう。
事業に必要な情報を集めやすい点も、インターネット関連のクリエイターの魅力です。クリエイターとしての活動内容やノウハウを発信している個人事業主が多いため、仕事の不明点や疑問点の多くは、インターネットで検索すれば解決できます。
●講師
専門的な知識がある方は、講師業に挑戦するのもおすすめです。たとえば、下記のような職種が挙げられます。
• 楽器の講師
• 英会話の講師
• プログラミングの講師
• パソコンの講師
すでに必要な知識が身に付いていれば、0から知識をつけることなく始められるため、専門的な知識がある方にとっては、挑戦するハードルが低い職種だと言えるでしょう。
また、教室のように物理的なスペースで行うだけでなく、会議アプリなどを用いてオンラインで講師業を始めることも可能です。オンラインの講師業はスペースの確保が不要な分、初期費用も抑えられます。
●コンサルタント
専門的なスキルや資格を持っていれば、下記のような職種のコンサルタントとして活躍できます。
• 経営コンサルタント
• WEBコンサルタント
• ITコンサルタント
コンサルタントの仕事の幅は広いため上記の職種はあくまで例であり、近年では恋愛やSNSの領域で活躍するコンサルタントもいます。
なお、コンサルタントは何よりも信用が重要となる仕事です。自分自身の信用性を高めるためにも、事前にホームページやブログで活躍したい領域の情報を発信しておくとよいでしょう。
●飲食店オーナー
飲食店オーナーとして飲食店を経営することは費用がかかると思われがちですが、条件によっては初期費用を抑えて開業できるケースもあります。
たとえば、業務に必要な設備が整っている「居抜き物件」を活用すれば、0から物件を借りて設備を導入するときと比べて初期費用を大きく抑えることが可能です。回転率が高い、または利益率が高い業種を選んで始めれば、開業後の生活も安定しやすいでしょう。
また、飲食店は後述する「フランチャイズ」が多く展開している職種でもあります。フランチャイズであれば本部のサポートを受けつつ開業できるため、経営に不安がある方にとって心強い方法です。
●サロン系のビジネス
美容に関するスキルがある方は、サロン系のビジネスに挑戦してもよいかもしれません。サロン系のビジネスにはさまざまなジャンルがありますが、具体的には下記のような職種が挙げられます。
• ネイルサロン
• リラクゼーションサロン
• まつ毛エクステサロン
サロン系のビジネスはオンラインではサービスを提供できませんが、出張型で行う、店舗を借りる、または自宅で開業することができます。
●レンタル・代行業
下記のようなレンタル・代行業も挑戦しやすい職種のひとつです。
• 家事代行
• 衣料品のレンタル業
家事代行は常に一定のニーズがある職種なので、安定して働き続けやすい職種と言えるでしょう。隙間時間に取り組めることから、副業として始めるのもおすすめです。
衣料品のレンタル業は、衣料品を仕入れる初期費用がかかりますが、同じ商品を複数回貸し出すことで利益を上げるため、在庫を多く抱える必要がありません。
●マッチング業
マッチング業とは、売り手と買い手を仲介する仕事のことです。例としては、下記のような職種が挙げられます。
• 塗装会社のマッチング
• リフォーム会社のマッチング
• 人材のマッチング
売り手と買い手さえいれば、どんなジャンルでも事業が成立するため、ニッチなジャンルでも始められるところがマッチング業の魅力です。専門業種の営業職などの経験があれば、これまで培ってきたノウハウを活かすことができるでしょう。
ただし、売り手と買い手を集めなければいけない以上、インターネットなどで強い集客力を構築しなくてはなりません。
●YouTuberやブロガー
YouTuberやブロガーは、近年インフルエンサーとして若い人を中心に大きな影響力を与える存在です。
YouTuberは広告の付いた動画の再生数に応じて、ブロガーはブログ内に掲載された広告の閲覧や記事で紹介したサービスの申し込みなどにより、利益を上げるビジネスモデルとなっています。
パソコン1台で始めれば初期費用はほとんどかかりませんが、クオリティを上げるには機材費用が別途かかってきます。収入は人によって大きく異なり、上手くいけば月に数百万円のお金を稼ぐことも可能です。
ただし、YouTuberやブロガーは短期的に利益を上げにくいので、コツコツと努力を続けられる方向けの職種です。
フランチャイズを活用して独立開業する方法もある
独立開業をする際には、自身で0から事業を立ち上げるのではなく、「フランチャイズを活用する」という選択肢もあります。
フランチャイズとは、ロイヤリティを支払う代わりに企業が提供する商品やサービスを販売できる権利を得られるビジネスモデルのことです。権利を与える企業を「本部(フランチャイザー)」、権利を与えられた側を「加盟店(フランチャイジー)」と呼びます。
フランチャイズを活用すれば、本部のブランド名を借りたうえで同じ商品を提供できるので、0から事業を始めるよりも軌道に乗せやすくなります。開業に不安がある方は、フランチャイズの活用も選択肢に入れるとよいでしょう。
フランチャイズを活用するメリット・デメリットについて詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
●フランチャイズを活用するメリット
フランチャイズを活用するメリットは、大まかに以下の3点が挙げられます。
• 未経験でも挑戦できる
• 成功する可能性が高まる
• 従業員の研修を行う手間が減る
多くのフランチャイズ本部では、開業や経営、業務に関するサポートを行なっており、バックアップ体制が充実していることから、未経験の方でも開業に挑戦しやすくなっています。
また、フランチャイズを活用する際は本部のブランド力に頼れる分、集客力や認知度が高い状態で事業をスタートすることが可能です。0から事業を行うよりも、成功する可能性はより高まるでしょう。
さらに、従業員の研修を行う手間が省ける点も大きなメリットです。雇った従業員の研修サポートを行なっているフランチャイズ本部であれば、自分が従業員の研修に費やす時間をほかの業務に使えます。
●フランチャイズを活用するデメリット
フランチャイズは魅力的な制度ですが、いくつかデメリットもあります。とくに注意したいのが、下記の3点です。
• 個人のアイデアを活かせない
• ロイヤリティを支払う必要がある
• 解約が難しい
フランチャイズを活用して経営を行う場合、店舗や商品のイメージは基本的に本部の方針に従う必要があります。自分のアイデアを形にしにくいため、個性のある店舗や商品を作りたい方には向いていないかもしれません。
また、本部が提供する商品やサービスを販売できる権利を得られる分、毎月ロイヤリティの支払いが発生します。自分1人で開業する場合と比べると、収入が減る可能性もあるでしょう。
多くの場合は、契約期間中に解約すると違約金の支払いが義務付けられている ため、容易に解約ができないケースもあります。
開業資金が足りないときはどうすればいい?
職種によっては、独立開業をするためには多額の資金が必要なため、自己資金だけでは足りない場合もあるでしょう。そんなときには、下記の方法で資金の調達を検討してみてください。
• 金融機関の融資制度を利用する
• 自治体の補助金を活用する
• クラウドファンディングで資金を集める
公的な機関である日本政策金融公庫や民間の金融機関では、新規開業のための融資制度を設けています。 融資制度を活用すれば、不足している設備資金や運転資金などの借り入れが可能です。
返済に不安がある方は、補助金の活用も検討しましょう。補助金を受け取るには事務局に申請をして審査に通る必要がありますが、基本的には返済不要となっているため、経済的な負担を背負わずに資金を調達できます。
インターネット上でのクラウドファンディングを活用すれば、自分が発信した内容に賛同した方々から資金を集めることも可能です。リターン不要の「寄付型」、または支援者にリターンを示すことで資金を募る「購入型」などの方法で、開業資金を集められます。
紹介した方法以外にも資金を調達する手段は複数あり、開業資金の全てを自分だけで用意するのは難しいため、不足している資金は何らかの手段で外部から調達するのが一般的です。
「開業したい職種は決まっているけど、初期費用を用意できない」と困っている方でも、資金を調達すれば開業できる可能性は高まるので、お金が足りないからといって開業を諦めずに資金調達の方法を検討してください。
参考記事:独立開業は0円で可能?低資金で成功するポイントや成功例もご紹介
独立開業して自分の理想の人生を歩もう!
独立開業は敷居が高いと思われがちですが、挑戦しやすい職種もあります。興味がある方は、自分の理想の人生の第一歩として、この機会に開業に向けて取り組んでみましょう。
もちろん、開業にはさまざまなリスクも伴い、準備すべき事柄も多岐にわたるため、不安を感じる方もいるでしょう。
そんなときには、「canaeru」のような開業準備を支援してくれるサービスを利用することで、より安心して準備を整えられます。支援を受けつつ開業準備を進めたい方は、ぜひ利用してみてください。
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この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。
