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飲食店経営者はZ世代の心をつかめ?! 若者のトレンドにお店作りのヒントがある!

飲食店経営者はZ世代の心をつかめ?! 若者のトレンドにお店作りのヒントがある!

令和以降、多くのメディアを賑わせるZ世代は、飲食業界においてもトレンドの発信源となっています。2021年8月に若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.』と『CCCマーケティング株式会社』が共同で実施した「Z世代の食に関する意識調査」では、Z世代は日常生活で最も”食”に重きを置いていることが明らかとなりました。Z世代が注目したお店は繁盛する…。そんな方程式が全くの見当違いとは言い切れません。

ただ、多くの飲食店経営者にとって年代の違う彼らの興味関心を集めるのは簡単ではありません。Z世代は何を好み、飲食店に何を求めているのか。本記事でその生態を紐解きながら、若者に刺さるマーケティングのヒントをつかんでいきましょう。

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Z世代はどんな人たち?

Z世代とは、一般的に1997年から2012年生まれの世代を指します。インターネットが普及しきったデジタル社会の中で育った彼らはスマートフォンをはじめとするハイテクノロジーに精通しており、中でもソーシャルメディアは情報の共有やコミュニケーションの手段として重宝されています。
特にInstagramやTikTokなど、短尺のコンテンツやビジュアルに焦点を当てたプラットフォームが好まれる傾向にあり、自身が訪れた場所や経験したことを写真や動画で共有することが日常となっています。

また、情報を素早く処理する能力に長けており、情報の速度やアクセシビリティの高さを求め、コンテンツを迅速に読み取って必要な情報を抽出する作業を得意とします。日ごろから多くの情報に囲まれ、それらを取捨選択している彼らはデジタルネイティブとも呼ばれています。

Z世代はどんな人たち?

Z世代はどうやってお店を選ぶ?

では、デジタルネイティブであるZ世代は、どのように飲食店を探し、選んでいるのでしょうか。彼らが飲食店を決める際の指標にしていることを4つのポイントで解説します。

レビューや口コミの重要性

インターネットやソーシャルメディアを日常的に利用する若者たちは、オンライン上でのレビューや口コミを積極的に活用します。インターネット上で情報交換が盛んに行なわれているため、どんなお店でも検索すれば一定の情報を得ることができる昨今。初めて訪れるお店に対しては特に、事前にデータをインプットしておくことが当たり前となっています。

ただし、ここで飲食店経営者が注意しておかなければならないのは、Z世代の飲食店を探す手段が多岐にわたっていることです。主流となっているのはやはりInstagramやTikTokですが、グーグルマップのレビューやYouTubeも重要視されています。食べログやぐるなびなどの飲食店専門サイトで高評価を得ることは、もはやセオリーではないのかもしれません。

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ソーシャルメディアの影響力

Z世代はSNSをお店探しに活用するのと同時に、InstagramやTikTokで料理の写真や動画を共有することも忘れません。美味しそうな料理やユニークな食べ物、おしゃれな雰囲気などを提供することができれば、SNS上で情報が拡散され、彼らの選択に影響を与える可能性が高まります。料理の見栄えや内装を工夫し、インスタ映えする特別な体験価値を提供する飲食店が注目を浴びるでしょう。

健康や環境への配慮

Z世代は環境問題や健康意識に敏感な世代としても知られ、環境に配慮したビジネスを支持する傾向があります。飲食店においては、リサイクルやフードロス削減を考慮しているか、持続可能な食材や地元の農産物を使用しているかなど、環境保全への取り組みも評価の対象となっています。
また、多様性を大切にするという側面もあり、健康面も含め、ヴィーガンやベジタリアン向けのオプションや、オーガニック食材を使用したメニューが人気を集めつつあります。

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テイクアウトやデリバリーの利用

テイクアウトやデリバリーも、利便性を追求するZ世代からは一定の需要があります。テクノロジーの活用に慣れている彼らにとってモバイルアプリやオンラインでの注文は一般的です。全体的に時間や労力を極力減らすことに価値を置いているため、食事のための外出や準備の手間を省けるこれらのサービスを好む習性があるようです。

Z世代は失敗を恐れている?

様々なメディアや調査によると、そんなZ世代の多くは「失敗したくない」という心情が根付いていると言われています。ソーシャルメディアに囲まれて育った彼らは、容易に他者との比較や周囲からの評価に晒されるようになり、より強い承認を得ることを自然と求めるようになりました。一方で失敗や挫折はソーシャルメディア上で公にされることが多く、それによって自己イメージや他者からの評価が損なわれる可能性があるため、失敗を恐れてしまう傾向にあるようです。
また、将来への不安や経済的ひっ迫が、リスクを避けたいという思いを強めているとも。これらの要因が消費行動にも表れ、Z世代は飲食に限らず、消費には他の世代よりも慎重になっているのかもしれません。



Z世代は失敗を恐れている?

Z世代の注目を集めるには?

では、そんな彼らに消費対象として認めてもらうためにはどうすればいいのでしょうか。「失敗したくない」が根底にあるZ世代は、お店選びも「失敗したくない」。さらに言えば、メニュー選びでも失敗したくないのです。
お店としては、SNS上での口コミや評価を高めるのはもちろんのこと、来店してくれた際にも気を配らなければなりません。SNSを活用したマーケティングでは、お店全体としての評価ではなく、”どんなメニューで人気を集めるか”ということも念頭に置いておきましょう。おしゃれな店構えや雰囲気を演出することは重要ですが、来店した時に何を注文すればいいのか、というところまで具体性を与えておく必要があると考えられます。コース料理を用意しておくのもひとつの手かもしれません。

Z世代に今人気の飲食店業態

なかなか攻略困難そうに見えるZ世代ですが、すでに彼らの心をつかんでいる飲食店や業態はもちろんあります。ここでは業態に焦点を当てて、経営のヒントを探っていきましょう。

ネオ居酒屋

最近若い世代の注目を集めるネオ居酒屋。”ネオ”という名前の通り、これまでにない新しいジャンルの居酒屋を指す言葉ですが、具体的にはレトロとモダンを融合させた業態です。大衆居酒屋然としたカジュアル感を残しつつも、現代のおしゃれな雰囲気を持ち合わせています。

このネオ居酒屋が支持を得ている理由は、まさにインスタ映え。その多くは目を引くような外装や内装、工夫を凝らした料理が楽しめ、若者たちのニーズに応えたかのようなコンセプト作りができているのです。
おしゃれに盛り付けられた料理だけでなく、思わずシャッターを押したくなるような装飾物や照明も魅力のひとつ。中には撮影ブースが設けられているお店も。さらに、お店によってはオリジナルのTシャツやグラスなどを販売しているケースもあり、Z世代の集客におけるキーワードのひとつである”体験消費”も上手く満たしていると言えるでしょう。

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卓上サーバー

Z世代は美味しい料理だけでなく、非日常体験ができる飲食店に価値を見出す傾向にあります。それは体験消費とも呼ばれていますが、ネオ居酒屋の特長のような内装の工夫やグッズ展開だけが全てではありません。

土俵であるお酒で体験価値を提供している業態に卓上サーバーが挙げられます。卓上サーバーとはお客様の座るテーブルに設置されているサーバーのことで、お客様は飲み放題メニューを注文すれば、自由に注いでお酒を飲むことができます。

居酒屋やバーなど、ビールサーバーの置かれている飲食店で働いた経験のある方はあるいは使ったことがあるかもしれませんが、一般的に自らサーバーからお酒を注ぐ行為は珍しく、それが体験価値に繋がっています。また、店員を呼んだりタブレットで注文したりする必要がないため、お客様にとっては手間の省略、お店にとってはスタッフの負担軽減を図ることができるという側面も持っています。

なお、卓上サーバーを世に知らしめるきっかけとなった『0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭』は、そのインパクトのある屋号も相まって、2019年12月のオープンを皮切りに2023年2月末の時点で80店舗近くにまで展開。2023年8月までに100店舗展開を目指すほどの凄まじい勢いを誇っています。

ネオ横丁

ネオ居酒屋に続いて、同じく”ネオ”の冠詞が付くネオ横丁も近年賑わいを見せています。横丁と言えば、徒歩数分圏内に様々な居酒屋が軒を連ね、はしご酒好きなのんべえの聖地という印象が今でも強いですが、ネオ横丁は多くの飲食店が密集して生まれる活気を残しつつも、飲食トレンドや外国の文化を取り入れたり、モダンなインテリアやデザインを採用したりすることで、より若い層への効果的なアピールに成功しています。

代表的なものでは、2020年8月に渋谷のミヤシタパークにオープンした『渋谷横丁』があり、同じプロデューサーが手掛けた『恵比寿横丁』も人気です。また、ビジネス街である虎ノ門には、東京の名店が集結した『虎ノ門横丁』や、対照的に祭りをテーマにした内装でユニークな居酒屋が並ぶ『小虎小路』と、大人をターゲットとしながらも従来の横丁とは一線を画すスタイルが現れています。

直近では新宿・歌舞伎町に国内最大級の超高層エンターテインメント複合ビルとして2023年4月に開業した東急歌舞伎町タワーの2階に『新宿カブキhall~歌舞伎横丁』がオープン。祭りをテーマに食と音楽と映像が融合した、飲食の枠を超えた破天荒な”超体験型”施設となっており、今まさにブームが巻き起こっています。

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Z世代の価値観とトレンドをつかもう

飲食店経営はしばらくの間、マーケットの中心であるZ世代の価値観とトレンドをつかんでおくことがカギとなりそうです。慎重な彼らからの支持を集めるために必要なことは、不安を解消し、美味しいと共に楽しいと感じさせること。漠然とした「美味しそう」ではなく、「絶対に行きたい」と思わせられる工夫を凝らさなければなりません。

ネオ居酒屋やネオ横丁などは、すでに飲食店を経営されている方にとっては取り入れにくい概念かもしれませんが、料理の提供の仕方ひとつとっても、盛り付けの量や見せ方、食器のデザインなど参考にできるポイントはありそうです。若者で賑わうお店に実際に足を運んでみると、何かヒントを得られるかもしれませんよ。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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