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そんなに簡単に開業・起業していいの?…まずは自分に合った開業・起業を知る

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一口に開業と言った場合でも、その手段は大きく分けて「個人事業主としての開業」と「法人設立」の2つに分けられます。
さらに事業の内容によっては、店舗を構える必要があったり、自宅で開業が可能だったりする場合もあります。
また、本業を別に持っている場合の副業やパラレルキャリアといった働き方もあり、開業の道は無数に分岐していると言えます。
開業の全体像を知ることで、自分に合った開業の方法について考えていきましょう。

開業・起業の選択肢とは?

インターネットの普及やグローバル化が進むにつれて、フレックス制度を導入している起業が増えたり、テレワークのような新しい労働の形が生まれたり、「働き方」をめぐる環境は変化してきました。
それに伴って事業の形も変化しており、一口に開業と言った場合でも、その手段や働き方の形態は多様化しています。
これは時間や場所に囚われない働き方が可能になったことで、フリーランスという形での独立・開業も可能になったからです。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が公開している「フリーランス白書」によれば、日本には2018年時点で1,000万人ものフリーランス(兼業・副業含む)がいると言われています。
また、2019年4月から施行された「働き方改革関連法」や、厚生労働省が公表した「モデル就業規則の改定案」の後押しもあり、今後は副業を解禁する起業も増えると考えられます。
このことから、今後ますますフリーランスのような働き方は一般的になり、独立・開業はより身近なものになっていくことが予想されます。
また、独立や開業の多様性が促進されている要因としては、以下のようなものも考えられます。

個人事業主向けのインフラが整ってきた

個人事業主を支えるサービスが普及したことにより、顧客や販路を獲得するための手間や、勤務場所の制約などが減りました。
たとえばクラウドソーシングなどのマッチングサービスや、コワーキングスペースのような協働オフィスを利用することで、比較的低コスト・短期間で開業を行えるようになっています。
特にクラウドソーシングは近年非常に注目の集まっている仕事の受発注経路です。
クラウドソーシングとは、オンライン上で仕事を受発注できる仕組みのことで、事業主にとってはパソコンやスマートフォンがあれば簡単に自分に合った仕事を探すことができるようになりました。
中小企業庁の調査結果によれば、クラウドソーシングを利用している事業主のうち51.2%(調査結果の中で最も多い)が「仕事の受注のしやすさ」がクラウドソーシング利用のメリットであると述べられています。
このように個人事業主を支える新たなサービスの存在が独立・開業のハードルを下げていると言えるでしょう。

資金調達の手段が増えている

開業を行うには開業資金が必要になる場合が多いですが、その開業資金を調達する方法が増えていることも開業のハードルを下げていると言えます。
その最たる例として、クラウドファンディングの普及が挙げられます。
矢野経済研究所の調査によれば、国内クラウドファンディングの市場規模は2014年から2018年にかけて9.2倍に推移しており、2018年の支援額はおよそ2兆450億円にも上ります。
また、クラウドファンディングの他にも、ベンチャーキャピタルのようなスタートアップ向けの投資を行うファンドが増えています。
一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターの「17年度VC等投資動向調査」によれば、2017年度の国内ベンチャーキャピタルによる投資金額は総額1,354億円にも上り、2014年度より4年連続で投資金額が増えています。
この他にも公的な金融機関である日本政策金融公庫が実施している「新創業融資制度」など、創業者向けの融資制度や資金調達方法は多岐にわたります。
株式会社ジャパンベンチャーリサーチによれば、国内スタートアップ資金調達額は2012年から2018年にかけて増加し続けているという調査も出ており、開業を支援する動きは年々活発になってきていると言えるでしょう。

成功するためには自分に合った開業・起業の方式を選ぶ必要がある

開業を行うには、大きく分けて2種類の方法があります。
それが「法人設立」と「個人事業主としての開業」です。
それぞれにメリットとデメリットが異なっているため、自分の目指す開業の形に合わせて開業を考えていく必要があります。

個人事業主

個人事業主の開業は、とにかく手続きが簡単です。開業の際には、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけ(同時に「青色申告申請書」を提出する場合が多い)で開業することができ、届出の提出には時間もお金もかからないのですぐに事業を開始することができます。
ただし、その分社会的な信用度では法人に劣るため、融資の審査が通りにくい傾向にあります。また、税制面でも経費として申請できる範囲が法人と比べてやや狭いです。
最初のうちは個人事業主として開業を行い、後から法人に移行する(法人成り)ことも可能なので、事業規模によっては最初のうちは個人事業主として開業を行った方がよい場合も多いでしょう。

店舗経営(フランチャイズ・自営業)

自身の店を持ち、お客様に商品やサービスを提供して対価をいただくビジネスモデルです。
一口に店舗と言った場合でも、ラーメン屋や喫茶店、バーといった「飲食物」を提供する飲食店から、雑貨やアクセサリーなど「物」を売る小売店、エステや清掃といった「サービス」を売るサービス業まで、業態は様々です。
店舗を経営する場合には、大きく分けて2種類の方法があります。フランチャイズ本部に加盟するフランチャイズでの開業と、自分自身でお店を作る個人経営での開業です。
フランチャイズで開業を行う場合、フランチャイズ本部からすでに成功した実績のある経営ノウハウやブランド名の使用権利などを提供してもらう代わりに、毎月のロイヤリティや保証金を支払うことになります。コンビニエンスストアからレストラン、カフェ、クリーニング店やマッサージ店など、フランチャイズの中でも業態は多岐にわたります。
個人経営で事業を行う場合には、経営や店舗の宣伝などを自力で行う必要がありますが、自分の好きなようにお店を経営することができます。どのような経営者としての手腕が試される開業方法と言えるでしょう。

フリーランス

自身の能力や資格を元に事業を行う開業モデルです。ライターやデザイナー、イラストレーターといったクリエイティブな職業から、経営コンサルタントや家庭教師といった講師系のサービスなど、業態は多岐にわたります。自宅での開業も可能ですが、事業の規模によっては事務所を構える場合もあるでしょう。
大手クラウドソーシングサービスのランサーズが公開している「フリーランス実態調査2019」では、フリーランスで開業を行っている人のうち、およそ700万人以上が本業を持っている・もしくは複数の企業と契約しているそうです。
仕事を探す際には、クラウドソーシングを利用したり、友人・知人などのツテから仕事をもらったり、あるいは企業に営業活動を行ったりといった受注経路が考えられます。勤務時間や勤務場所に囚われずに働くことができるため、ライフスタイルに合わせた開業を目指すことができます。

法人設立

独立開業をする場合、法人として会社を設立する(起業)という選択肢があります。
個人で事業を始めるのと比べ、開業の際の手続きが煩雑で、設立の際に費用が必要になる反面で、社会的な信用度が高いために融資の審査も通りやすく、税金対策もしやすいといったメリットがあるので、個人事業主との比較は一長一短と言えるでしょう。

営利法人

営利法人とは、経済的利益を追求し、構成員(株主、社員、役員)への利益分配を目的とした会社のことです。
法人として開業を行う場合、個人事業主よりも節税効果が高く、かつ個人事業と比べて人材も集まりやすい傾向にあります。これは法人に勤める従業員は、原則として社会保険と厚生年金に加入できるため、個人事業の経営者の下で働くよりも補償が手厚いためです。
ただし、社会保険への加入は任意ではなく必須になります。そのため人件費の負担は重くなりやすく、経営資金に苦労することもありえるでしょう。また、法人の維持費として法人住民税が課税されます。
会社を設立する際には個人事業主として開業を行う場合よりも多くの手続きが必要になります。どのような会社であっても必ず必要となるのは、以下の8点の書類です。
・定款
・登記申請書
・登録免許税納付用台紙
・資本金の払込証明書
・OCR用申請用紙または磁気ディスク(CD-R)
・就任承諾書
・取締役の印鑑証明書
・会社の代表者印の印鑑届書
会社設立のために必要な書類は以上の8点ですが、これらの手続きをするためにはおよそ20~25万円程度の費用がかかります。
定款は公証役場で定款認証を受ける必要があり、この手数料としておよそ5万2000円が必要です。また、紙の定款を作成した場合には4万円の印紙税がかかり、設立登記を申請する際はさらに登録免許税を支払う必要があります。登録免許税は資本金の額から算出されますが、算出された額が一定額に満たない場合には一律で15万円がかかることになります。
手続き自体非常に煩雑なこともあり、行政書士に手続きを委任するケースも多いですが、その場合には行政書士への依頼料もかかることになります。そのため、会社設立には特別な資格などは必要ないものの、個人事業主として開業するのと比べるとややハードルは高いと言えるでしょう。
一般的に、税金面や手続きの面で会社設立に見合った恩恵を得ることができるのは事業所得が500万円を超えてからと言われています。もちろん事業にもよりますが、目安として参考にしてください。

非営利法人(NPO法人)

非営利法人とは、その名の通り営利活動を主たる目的とせず、市民活動の促進を目的として作られる法人格を指します。難しく聞こえますが、ボランティア活動などの社会貢献活動を行う団体が法人格を持ったものだと言えます。
しかしながら、法人格を持っているので社会的な信用は高く、法人化していないボランティア団体と比べて事務所を借りたり融資を受けたりといった契約に際して有利です。
また、あくまでも非営利活動をベースにしているため、非営利法人では原則として利益を目的とした活動を行うことができません(特定非営利活動促進法 第三条)。あくまでも社会貢献を目的とした方が選ぶ法人格であるという点が、営利法人と大きく異なっています。

失敗しないために必要な開業・起業の考え方とは?

開業や起業で事業を決める際に重要なのは、自分の強み、市場の状況、必要な投資額が少ないことの3つです。
これは、中小企業庁が公開している「中小企業白書(2017年版)」でまとめられている新規事業展開が成功した事業と失敗する事業の重視する点の違いが「知名度・信用度が活かされる」、「市場規模が大きい・成長性が見込める」、「多額の投資を必要としない」の3つであることからも失敗しないために重要だとわかります。
信用度は融資を受ける際にも融資担当者からチェックされるポイントなので、自身の知識や経験が活かせる業界での開業を目指すとベターです。
市場規模や業界の動向については東洋経済新報社が発行している『会社四季報』などを参考にしましょう。
また、開業費用を抑えることで投資や融資の必要額を減らすことができるので、具体的な数字のイメージを持ちながら開業の準備を進めていくことが重要です。
これらの基準を軸に、「自分が情熱を傾けられる職種かどうか」「開業費用を安く済ませられるかどうか」「市場に十分な需要があるか」「利益が取れる業種かどうか」といった複数の視点で開業する事業を考えると良いでしょう。
利益を出すことだけしたい、自分が好きなことだけしたい、といった偏った考えで開業をすると、どこかで理想と現実が乖離した際にモチベーションを維持するのが困難になります。
また、どのような業種であれ可能な限り開業失敗のリスクを抑えることは重要です。
開業費用や準備を安価・短期間に済ませることができれば、それだけ失敗したときの損失を抑えることができ、リスクの軽減につながります。
最初から大きな絵を描くのではなく、地に足のついたビジネスプランを考えてみましょう。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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