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ビルの2階3階、駅から遠い住宅地…場所なんて関係ない!独自スキームで「どこでやっても儲かる」立ち飲み屋

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直営スタイルで20店舗にまで拡大したバーをスタッフに譲り、そこで培ったノウハウをさらに飛躍させて、全く新しい形の立ち飲み店のフランチャイズビジネスをスタートさせた竹下大介さん。飲食の人材は独立を目指すもの。どうせやめていくのなら、最初から店を渡してしまえばいい。誰がどこでやっても同じ経営ができる独自のノウハウを確立し、次々と成功者を生み出すことで事業を驚異的に拡大している。これまでの概念にとらわれない新鋭の経営者として飲食界のみならずメディアの注目も集める竹下さんに、そのビジネスの秘密を伺いました。

SNSや口コミサイトがあるので、必ずしも路面店を選ぶ必要はない

出店は、例えばビルの2階でも3階でも、どんな場所でも大丈夫です。うちの神田店は駅近ではありますが、雑居ビルの奥に入ってさらに4階の入りづらいところにあります。昔は、飲食店は路面店であることが繁盛店の必須条件でしたが、今はSNSや食べログなどの口コミサイトが影響力を持っているので、これらの情報をもとに来られる方が多く、路面である必要は少ないですよね。神田店からほんの数メートル先にある駅の高架下の物件だと7坪で家賃が40~50万円もします。駅の高架下は確かに集客は見込めるけど、狭小物件だと営業時間を長くしないと損益分岐点をクリアしづらい。それに比べると、この神田店物件は17坪で家賃17万円。店の場所がわかりつけづらくても、1回来てもらえればわかってもらえるので、リピート前提にすれば勝算があります。実は、新規開店の時あえて大々的に宣伝をしないんです。どちらかと言えば「サイレントオープン」(笑)。一般的な宣伝より、もっと「仕掛け」的な策を投入しますね。例えば、立ち飲み専門のキュレーターと仲良くなって、レコメンドしてもらうんです。彼らがSNSでちょっとつぶやくとハンパない反響があります。あとは客が客を呼ぶいい連鎖で広がっていきます。
エリアごとに客の流れを読むことも大事ですね。神田駅周辺は15時半には仕事が終わるビジネスマンも多いんですよ。そこから飲むので、うちは16時にオープン。ビジネス街ゆえに週末は寂しくなると思われがちですが、ビジネスマンと入れ替わりに競馬客がたくさんやってきます。トイレのドアを見てもらえればわかりますよね。(写真)店に設置したテレビで競馬中継を観ることができるので、多いに飲んで盛り上がってもらっています。
誰がどこでやっても失敗しない独自のノウハウがあるので、どんどんフランチャイズ展開して、成功者を増やしていく。ビジネスとして、そのサポートをやっているんです。

SNSや口コミサイトがあるので、必ずしも路面店を選ぶ必要はない

「日本一安いと感じてもらえる価格」を追求

立ち飲み屋を新規ビジネスとして立ち上げる際、何で勝負すべきか考え抜き、視察も行きまくりました。そして導き出した答えが「価格勝負」。ただし、安いだけで出てくるのが遅かったり、まずかったりと内容が見合わなければ「安い」と実感してもらえない。「日本一安いと感じてもらえる価格」を追求しました。そして、安い、早い、うまいに特化した「価格勝負」なら絶対成功するに違いないという確信を得るに至ったわけです。最初の勝負は赤字覚悟のテスト営業で、ランチからはじめました。300円カレーです。「安さ」にもうひとインパクトをつけるために、みかん詰め放題じゃないですけど、一杯盛り放題にしたら、これが大当たりで。そこからダイレクトに夜の集客にもつながりました。夜のメニューも限界まで安くしています。仕入れをロットですることで、インパクトのある安さを実現しています。この価格だと、一次会、二次会、三次会…どのタイミングでも入りやすいですよね。中には0次会、一次会までの時間調整に寄って行くという人もいるんですよ。

「日本一安いと感じてもらえる価格」を追求

手間も食材もロス「0」。これが低価格を実現できる理由

うちは食材のロスが「0」。これが低価格を実現させている一番大きな理由です。例えば、看板メニューのマグロもそうですけど、仕入れた分がなくなったらその日はオーダーストップです。メニューは壁一面覆いつくすくらい数があるので、「売切れ?じゃ、その隣のメニューで」という感じで、他のメニューをオーダーしてもらえるし、「次に来た時こそは食べよう!」と次回の楽しみにもしてもらえます。基本、うちのメニューは冷凍食品がほとんどで、調理はレンジが主役です。冷凍庫から食材を出してチンして出来上がり。包丁なんかほとんど使いません。手間のロスもないんです。先ほども話しに出たマグロは、ブロックでドーンと出てきてお客さんがナイフとフォークで切って食べるというスタイル。ブツって骨から剥がすのが大変なんです。「それじゃ、そのまんま出しちゃえ」って出したら、大変ウケたんです。手間も食材もロス「0」でお客さまに喜んでもらえるならそれ以上のことはないですよね。

手間も食材もロス「0」。これが低価格を実現できる理由

内装工事費はほぼゼロ。物件を借りたらすぐに開店OK

ドラム缶を始めてから月1ペースで多店舗展開してきたので、よく「寝る暇もなかったんじゃない?」なんて言われますけど、全然そんなことはありません。居抜きを文字通り「そのまま」活用するので工事もほとんど「0」。テーブルを取っ払ってドラム缶に入れ替えて、厨房はそのままでいいし、壁なんかボコボコでも大丈夫です。 壁紙は画用紙です。画用紙を買ってきてメニューを書いて埋めつくす。普通だと内装工事は500万円くらいかかりますよね?そこをほぼゼロでやれるので、すぐ開店できます。ただ、飲食店のテーブルって意外と高いので、5万円くらいするモノを捨てて、5000円のドラム缶に入れ替えるときは胸が痛みます(笑)。

フランチャイズでもルールなし?定番メニューを勝手にアレンジで人気メニューに!

うちは一般的なフランチャイズとはちがって、制約はほとんどありません。開業後の仕入れも店舗ごとにやってもらう形にしています。でも、結局うちの仕入れルートが一番安いので、みんな利用していますね。仕入れにマージンを上乗せすることもないですし。仕入れの秘密は企業秘密の部分もありますが、バー時代に培ったアルコールの仕入れルート、これが今の最大の武器になっています。ドリンク150円、ビールは250円って他じゃ真似できないでしょう?定番メニューは僕が考えますが、「本日のおすすめ」は店ごとに変えていいことになっています。僕が考えたメニューが、それぞれの店で進化していくんです。定番のマカロニサラダがいつの間にかチーズをのせてチンされて熱々の「下町グラタン」っていう人気メニューになりました。何が「下町」なのかよくわかりませんが(笑)、「ケチャップやタバスコかけても美味しいんだよ〜」なんてお客さんの間でいろいろアレンジが生まれました。お客さんの需要から完成したメニューもたくさんあります。「カレーの頭だけちょうだい」って言われて、「なにそれ?」って。立ち飲みってコアな世界で、カレーのルーだけのことをそう呼ぶんだよってお客さんに教えてもらったんです。ルーでお酒飲めるんだって最初はビックリしましたが、ダイエットで炭水化物を抜いている女性にも好評で。お客さんとのつながりは本当に大切です。

お金を使いたくなる?会計システム

うちのメニューは50円からあるんです。会計は、今はキャッシュオン。テーブルにカゴを置いて、お客さまは1000円を入れる。そこから店員がオーダーごとにお金をいただくシステムです。800円くらい飲んで食べるといい感じに酔って満足し始めるんだけど、あと200円残ってるのが目に入るわけです。それじゃあ50円の肉団子1個と、50円のシュウマイ1個と…200円使い切って帰ろうか、という気になる。本当は、日本で最初の完全キャッシュレスの店にしたい!という構想をずっと持っていたんです。ほんの数日前そういう店ができたというニュースを見て、先を越されたとショックを受けているところです(笑)。1000円飲んだら帰ろうっていうところも、キャシュレスだと「もうちょっと飲むか!」となるんじゃないかと。海外展開の可能性もありますし、将来的にはやりたいです。

お金を使いたくなる?会計システム

立ち飲みは席数が固定されていないのが最大の強み

バーをやめて立ち飲みにしようと思いついたのは、「立ち飲み」というスタイルが「流行りはじめていた」というのがひとつ。もうひとつが、これとは逆の方向から「流行やエリアに左右されない」業務形態は何だ?とひたすら考えた末にたどりついたのも「立ち飲み」。この二つが一致したんです。
しかも立ち飲み居酒屋は個人店が多くて、チェーン展開は市場的に未開発だったことにも背中を押されました。「立ち飲み」の最大の強みは「席数」が固定されないということ。居酒屋は客単価が安いので、回転率をアップさせるかがポイントになってきます。イスがあると当然お客さんは長居しやすくなるので回転率も下がるし、イスがなくても四角いテーブルだと席につけるのは4人だけ。それが丸いドラム缶だと、何人でもいけるんです。リピーターも増えてきましたが、今でも半分は新規のお客さんです。店が空いている日が実は新規開拓のチャンス。常連客は通称「アリーナ席」という厨房の近くの席に溜まる傾向があって、新規のお客さんはそれに押されて奥の席、隅っこの席に行きたがる傾向があります。店が空いている日は移動式の壁を使ってわざと店を狭くして、新規のお客さんをアリーナ席に近づけるんです。それで店員とコミュニケーションがとれればこっちのもの。また必ず来てくれます。狭くすることで客同士の密着度を高めるのも狙いです。ほどよい狭さでのスタンディングは客同士を簡単に近づける引力があります。店全体が相席居酒屋みたいな感じで、すぐ仲良くなるんです。そして客が客を呼んでくれる。席数という概念から解放されると、小さな店でも可能性が何倍にも広がります。

立ち飲みは席数が固定されていないのが最大の強み

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

2016年6月に茅場町1号店をオープンし、銀座や神田など現在までに8店舗を展開する新鋭の立ち飲み店。テーブルはドラム缶。壁紙はメニューの画用紙。お酒は150円から、おつまみは50円からと「せんべろ」天国を銀座に出現させ、瞬く間に話題となる。激安の実現だけでなく、独自の絶対失敗しないオペレーションシステムとフランチャイズ展開にも注目が集まる。

竹下大介

1978年生まれ。千葉県出身。株式会社ドラムカンパニー 代表取締役。東京ディズニーランドでバイトを始め、並行して音楽活動も開始。弟と組んだバンドでメジャーデビューを果たすものの、バンドは解散に。その後、海外を回りながら輸入ビジネスをスタート。また28歳で開業したバーは20店舗にまで拡大するが、2016年に立ち飲み屋スタイルの「ドラム缶」に転向。破竹の勢いでフランチャイズ展開中。

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