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[物件]立地調査・物件選び
店舗のコンセプトに合った立地を選ぶには、まず調査から
コンセプトに合った立地を選ぼう
極論から言えば、どんな立地であっても店舗を開業することは可能です。駅から遠い、敷地が狭い、人通りが少ない……など悪条件があったとしても、その分出店コストや賃料を抑えることができ、採算面でつり合いを取ることができるからです。しかし、一度開業すると易々と場所を変えることはできません。どんな客層をターゲットにしているのか、どんな雰囲気の土地に出店したいのか、予算はいくら確保できるかなど、1章『事業計画とは』で述べたように開業したいお店のコンセプトをしっかりと固めることが立地の選択にも繋がります。もちろん、コンセプトに沿ったすべての条件をクリアできる立地はそうそう出会えません。優先順位を付けながら、開業したいお店のコンセプトと相性の良い立地を選びましょう。
立地を選ぶ前に、おおまかな出店エリアを決めましょう。出店エリアは、開業したい業態やコンセプトが決まれば、おおよそのエリアを絞ることができます。もし、ラーメン店や蕎麦屋など個人利用が主なターゲットとなる飲食店は回転率を重視すべきです。回転率を上げるには、人通りが多く、人目につきやすい1階の路面店が好ましいでしょう。逆に、カフェや居酒屋、レストランなどカップルや友人同士など、複数~団体での利用が主なターゲットとなる場合は、ゆったりとしたスペースや席数を確保するため敷地面積があるに越したことはありません。2階以上であったり、多少郊外になってしまっても、落ち着いた店内で過ごすことによって客単価のアップに期待できるでしょう。特に現在ではインターネットを使った事前の飲食店リサーチをしてから来店…という流れが一般的になりつつあるため、「立地が良い路面店でないと勝負にならない」ということもありません。
おおまかな出店エリアを絞ることができたら、物件のリストアップを進めましょう。物件を探す方法としては、不動産業者に依頼する、店舗設計や建築業者など専門家に依頼する、銀行や金融機関などに相談するといった方法があります。今は、店舗専門のインターネットサイトや情報誌なども充実していますが、候補に挙がっているエリアがあるなら実際に訪れてから空き店舗を探してみるのも良いでしょう。地元の不動産屋を訪ねてみるのも良いですが、仲介業者に情報を出していない掘り出し物件に出会えるかもしれません。コンセプトに合った立地を選ぼう
出店したものの、メインのターゲット層がなかなか来店しない……といったことにならないよう、出店エリアにメインターゲットがどのくらいいるかを事前に把握しておくことも重要です。店舗に集客できる範囲のことを“商圏”といいますが、まずは出店したいエリアにどんな人が住んでいるのか、商圏人口を調査しましょう。調査方法としては、地方自治体がもっているデータを利用するか、インターネットで無料公開されている商圏分析サイトを活用すると良いでしょう。総務省統計局による「jSTAT MAP(地図による小地域分析)」では利用者登録を行うだけで、データを確認したい商圏を地図上で設定し、商圏内の年齢別・男女別の人口構成比や、世帯構成比などを知ることができます。
なお、商圏範囲の設定方法ですが、来店方法別に考えてみると、
・徒歩で来店するラーメン店、定食屋、カフェなど……店舗から半径500m
・車で来店可能なファミリー向け飲食店……店舗から半径2~5km
が、一般的なおおよその範囲といえます。
また、株式会社船井総合研究所の調査によると、「売上の85~95%を占めるのは、最大商圏人口の17%を擁した第1次商圏エリア」という調査結果が出ています。つまり、想定商圏に住んでいる人口総数のうち、17%が住んでいる店舗周辺のエリアこそがお店の売上を支えてくれる重要顧客がいるエリアとなります。出店エリアの商圏事情をしっかりとシミュレーションしたいという方は、希望の立地の商圏人口を調査し、第1次商圏エリアを算出、世帯数や年齢別人口、所得などを見ながらターゲットとすべき層が住んでいるのか確認しましょう。
(引用:https://hansokunodaigaku.com/shoken_post/1318/)現地調査で見ておくべきポイント
立地を決める上で必ず実施して欲しいことは、実際に足を運んで行う現地調査です。すでに土地勘のあるエリアに出店することを決めていても、開業することを念頭に入れて足を運んでみると懸念点が浮かぶこともあります。コンセプトと相性がよく、かつ顧客ターゲットも十分期待できる立地に絞った上で、現地調査で確認するべきポイントをまとめてみました。
① 店舗前の人通りや交通量
想定する顧客ターゲットの人通りが実際にあるかどうかを確認します。データで人口分布を把握することはできても、本当に人通りはあるのか、どんな人が店舗の前を通っているのか、通行量の多い時間帯はいつなのかなど、実際に現地に行って見てみなければわからないことが多くあります。また、昼と夜、平日と休日では通行者の様相もがらりと変わります。できれば何度か足を運んで、様々な時間帯で調査するのがベターでしょう。
もし、車での来店を想定しているのであれば、店舗前の道路の交通量や通行スピードなども確認して欲しいポイントです。ロードサイド店の場合、近隣に住んでいなくともたまたま通りがかって来店する顧客も多いため、通行量がどれくらいあるかは顧客数の指標にもなるでしょう。また、一般的にお店に入りやすい通行スピードは約40km/hが目安と言われており、信号が少なく、スピードの出やすい直進道路沿いや、坂の途中にある店舗、信号のすぐ先に位置する場合は、お店に気付かず過ぎ去ってしまうこともあります。店舗前の交通事情も事前にチェックしておくと良いでしょう。
しかし、海沿いや山沿いなど、もともと人通りの少ない場所に出店したい場合はその限りではありません。通行量の少ない場所は、ライバルとなる大手チェーン店などの出店が目立たないため、通行量などを気にするよりも店舗の個性や地域の特色などを活かした戦略を練ることが大切です。
② お店の見つけやすさ、入りやすさ
大通りに出店したい場合、遠くからでもお店を見つけられる視認性があるかを確認します。店舗の周りに建物や木がない場合は十分に見つけやすいと思いますが、周りに遮蔽物がある場合は大きな看板を設置するなどして目立たせる必要があります。通行量の少ない裏通りに、いま流行りの“隠れ家”テイストの店舗を出店したい場合は、目印になるようなものがあるかどうかも確認しなければなりません。隠れ家とはいえ、見つけられなかったら元も子もないですからね。
そして、車での来店を想定している場合は、車での入りやすさ、停めやすさも重要です。片側よりも両側から入店できたほうがベストですし、河川や線路などで分断されていないほうが商圏もより広く確保できます。想定ターゲットの来店方法を考慮しながら、最寄駅から歩いてみる、車で入ってみるなど、自分自身が体験することでお店の見つけやすさ、入りやすさを知ることができるでしょう。
③ 立地周辺の雰囲気
街の雰囲気や、ターゲットの属性を知ることで、店舗づくりの最適解が見つかるかもしれません。例えば住宅街に出店し、主婦層をターゲットとする場合、ママ友同士で気軽におしゃべりできる明るい雰囲気が良いのか、それとも上品で小洒落た雰囲気を味わえる方が良いのか、立地やターゲットの特徴で判断することも可能でしょう。ビジネス街や学生街に出店する場合、打ち合わせや勉強の場にも活用できるよう電源やWi-Fiを設置してみるなど、実際に顧客ターゲットを見て浮かぶアイデアもあると思います。地域密着型の店舗を目指す場合は、地域の人から愛される店づくりや仕掛けを盛り込んでみると良いでしょう。
とはいえ、街の雰囲気やターゲットの属性に捕らわれすぎてしまうと、もともとのコンセプトから外れてしまう可能性があります。あなたが開業したいお店のコンセプトと街の雰囲気が多少ずれていても、柔軟に対応していくことで個性を活かした店舗を確立できるはずです。まずは、どんな雰囲気の立地に出店しようとしているのか総括的に考えてみることがベストです。
④ 競合店の有無
似たような業態のお店が近くにある場合、顧客ターゲットが分散してしまう恐れがあります。しかし、一店もないという場合は、もしかしたら地域のニーズに当てはまっていないのかもしれません。異業種の店舗が適度にある場合は、飲食ニーズがある証拠でもあるので、その業態での地域一番店を狙える可能性が高まります。そういった土地に出店する際は、地域のコミュニティを築くためにも近くの店舗に足を運び挨拶をしたり、店主に地域の情報を尋ねたりすると良いでしょう。
繁華街やビジネス街、商店街など、店舗が集中している立地に出店する場合は、競合店舗が多いことも覚悟の上で、いかに差別化を図っていくかがポイントです。競合店舗にも足を運び、提供しているメニューの味はもちろん、どんなスタイルのお店なのか、顧客の特徴や価格設定など、気になる箇所をお忍びで調べてみましょう。競合犇めく中で勝負をするためには、まずはライバルを知ることが第一歩です。まとめ 「店舗のコンセプトに合った立地を選ぶには、まず調査から」
- ・開業したい店舗のコンセプトやイメージを固める
- ・おおよその出店エリアを絞る
- ・商圏人口を調査し、出店エリアにターゲット層がいるかを確認する
- ・通行量や視認性、競合店の有無などを現地調査
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