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飲食店開業の流れ

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[計画]事業計画を立てる

売上規模や経費、投資額を算出する

飲食店経営を「数値」でシミュレーションする

 前章『事業計画とは』で、コンセプトの作り方に触れました。一方、飲食店開業は「経営」であり「ビジネス」ですから、長く健全に経営していくためにも数値計画はとても重要です。
 この章では飲食店経営で抑えるべき、「お金の話」にフォーカスしていきます。

売上目標を立てる

 まずは飲食店における売上のシミュレーションからです。「席数も客単価も回転数もわからないのに、どうやって売上を予測するの?」…飲食店開業の経験がない方は、ここが描けず一歩踏み出せないケースも多いようです。確かに内訳を積み上げて根拠ある売上シミュレーションになればベストですが、そこは実は「後回し」でOKです。売上シミュレーションを立てるには「目標月商」と置き換えて考えると理解が簡単です。

売上の目標=目標月商を考える上で、重要なのは「坪売上高」という考え方です。開業する飲食店のサイズ(面積)に合わせて稼ぐべき売上高は変わる…ということですね。
店舗のサイズが大きくなればなるほど、家賃・人件費などランニングコストも高くなってきます。よって裏を返せば、サイズ相応の売上をあげることができれば経営はスムーズになる…ということでもあります。

日本政策金融公庫調査による1坪当たり売上高の「平均値」を見てみましょう。

業種
坪売上高・平均
一般飲食店
19.4万円
食堂・レストラン
19.6万円
西洋料理店
20.9万円
中華料理店
22.9万円
そば・うどん店
17.4万円
喫茶店
14.4万円

出典:日本政策金融公庫総合研究所小企業研究グループ『小企業の経営指標調査』飲食店、宿泊業2016/10より引用

開業コンサルタントによれば、達成したい月間坪売上(坪月商)の基準は15万円~20万円とのこと。上図の平均値を見ると20万円越えも決して無理な目標ではありません。

売上(月商)= 坪数 × 月間坪売上(坪月商)

ですので、20坪の飲食店であれば、
20坪× 月間坪売上15~20万円 = 300~400万円が1つの目安ラインと言えます。

 とはいえ、上記は売上の目標値に過ぎませんので、このままではいわゆる「取らぬ狸の皮算用」です。ここに先ほど「後回し」とした客数、客単価などよりリアルな計画へと落とし込むことで、日々の集客計画や想定客単価実現の方策などがイメージしやすくなります。

売上の内訳を設計する①(客数を予測する)

 目標が決まったらそれを実現するための具体的な計画です。売上を算出する計算式はとてもシンプルで

売上 = 客数 × 客単価

という計算式になります。

 ただし、飲食店の場合「客数」は「席数」を上回ることはできませんので、席数を決めないといけません。では、「席数」はどのように考えればいいのでしょうか。

 席数も飲食店の面積と比例します。目安となる基準値は

1坪=1.3席

 上記はあくまでファミリー向けやカップル向けの飲食を想定した基準値ですので、ここに開業する業態やコンセプトを考慮し広くすることも狭くすることも可能です。例えば、ドリンクや軽食のみを提供する喫茶店やカフェなどは1坪=2席弱まで増やすこともできるかもしれません。カウンター中心のバーも同様ですね。逆に、コース料理を提供するレストランなどはそれなりにテーブルの広さも必要ですし、厨房の広さも確保する必要もあるので、1坪=1席くらいで想定しておかないと、お客様から「狭くて落ち着かない店」と悪い印象を持たれる可能性もあります。また、業態問わず、ゆったりした空間を提供したいのであれば、同様に基準値よりも席数は少なくしておかないと、コンセプトと合った店作りはできません。

このように開業する業態やコンセプトによって、アレンジは必要ですが、目安となる席数の基準値を知っておくことで、ぐっと考えやすくなります。

(おまけ)
 ~1坪あたりの席数を増やす裏技~
 飲食店設計において、切っても切れないのが厨房(キッチンスペース)。厨房が広くなれば、当然ながら客席スペースが圧迫されます。1坪あたりの席数を増やしたいのであれば厨房スペースを狭くする…という発想もあります。単品料理を提供する飲食店ではそれだけを作れるスペースで良いため、厨房スペースを狭くすることも可能です。オムライス専門店、パンケーキ専門店、カレー専門店、ラーメン店などがその一例です。

 さて、席数が決まったら客数のシミュレーションです。
客足が変わるのは曜日の区分です。曜日では「平日」「土曜」「日曜・祝日」という3種類。この区分で1日あたりの平均客数を想定しておけば、月間の客数算出や日々の好不調判断に役立ちます。

<曜日による客数の違い>
 曜日では「平日」「土曜」「日曜・祝日」で客足が異なります。開業する飲食店のターゲットや立地にもよりますが、例えばオフィスエリアでの出店ではサラリーマンで賑わう平日と比べ、土日祝は閑散日となる傾向が強いです。逆に住宅エリアでは平日は外食しないようなファミリーも食事に出かけたりしますので週末の方が賑わう傾向で、平日を100%とすると、土曜・日曜は150~200%程度の客数が想定できます。

 このように、平日の客数を100%と捉えた「基準値」を持つことで、月間の概ねの客数を予測することができます。

<1日あたりの客数を算出する>
 では、1日あたりの客数はどのように考えるかというと席数を軸に考えます。ランチ営業ありの一般的な飲食店の場合、ベースとなる回転数は「1日2回転」。回転数とは「来店客数÷席数」ですので、30席の飲食店に1日60名来店すると2回転…となります。
 ここに先ほど曜日のところで「平日を100%とした場合」の「土曜」「日曜・祝日」のパーセンテージをかけ合わせ、仮に土曜の来店予測が150%であれば、「土曜は90名」となります。

(補足)
 ~1日の回転数は業態によって違う~
客席の回転数は業態によって全く違います。ラーメン店やそば・うどん店のように食事が終わると次々にお客様が入れ替わる業態では10回転もありえますし、高級料理店のようなところでは1日1回転も珍しくありません。例外はありますが、回転数が多い業態では客単価が安く、回転数が少ない業態では客単価が高い傾向にあるため、開業する業態やコンセプトに合わせた回転数設計をしてください。

<定休日を考慮する>
 客足が少ないと予想する日は定休日にするのも良いでしょう。人件費は客数にかかわらず開店すればかかりますので、経費の面でもオーナーの体調管理の面でも有効です。仮に平日に週1回定休日を作ったら、月間シミュレーションではその曜日数分を売上予測から除外しなければいけません。

<客数を数値で把握する>
 ここまでくればあとは計算するだけです。これまで設計した部分を表に落とし込むと下記のようになるはずです。

 客数が読めるとあとは想定客単価を当てはめていきます。次はこの「客単価」に触れていきましょう。

売上の内訳を設計する②(客単価)

 客単価は時間帯によって変わります。業態にもよりますが、ここでは一般的な飲食店を例に挙げ「ランチ」「アイドルタイム(閑散時)」「ディナー」で区分します。
それぞれの客単価に基準値はありません。自店でのランチ時の価格帯、ディナー時での価格帯やオーダー点数などを考慮のうえ、まずは組み立ててみます。ディナー時にはランチ時の2~3倍程度の客単価が見込める傾向です。実際にはランチ・ディナー以外のアイドルタイム(閑散時)にも営業していれば売上は発生しますが、想定通りのランチ・ディナー客数が入るとも限りません。余裕をもった設計とするために、「設計時」には売上予測から外し、開店後の「実績」から手堅く読めるようになったら、予測値としてあてにしても良いでしょう。
当てはめてみた客単価で売上目標に届く場合には、その数値計画をしっかりと実践するプランを練り、逆に売上目標に届かない場合には、そもそもの席数設計や客数、客単価、営業時間等の見直しや改善が必要となります。

初期投資の種類と適正額を知る

 まず飲食店における主要な初期投資の項目は「物件取得費」「工事費(内外装/設備設置)」「設備購入費」の3種です。ほかにも「備品費」「販促費」「求人費」などもありますが大きな支出は前述の3種だと思ってください。

<物件取得費>
 店舗物件取得の際には保証金がかかります。こちらは退店時には一部を除いて返金される費用ですが、少なくとも出店時には現金として手元から離れる大きな費用項目です。概ね、月家賃の6ヶ月~1年分であることが多く、大きなキャッシュアウトを見込まなくてはいけません。こちらは「有事の担保」(家賃が払えなくなった場合の担保…と捉えてください)としてオーナー側が考えている項目のため、交渉も可能です。狙った物件が「保証金が高くて諦めざるをえない」場合にはダメ元で交渉してみるのもいいかもしれません。

 また、店舗物件の多くは「前家賃」と言い、家賃を前払いします。契約時に翌月家賃の支払が発生することも考慮しておいてください。
 さらに物件の取得時には多くの場合、不動産業者の仲介を挟むため、仲介手数料も発生します。エリアによっては「礼金」をオーナーに支払うこともありますので、物件取得費は保証金だけでなく、これらの総額で契約・不契約を判断すべきです。

<工事費>
 店舗物件は居住スペースと異なり、「スケルトン」という「工事を前提としたむき出しの状態」での引き渡しです。その分、自由に店舗設計できるわけですが、開業時には当然ながら工事費が必要になります。
 しかし、最近では「居抜き物件」という前の借り手が店舗設備などをそのまま残した状態で物件取引されることも多くなってきました。設備のコンディションにもよりますが、そのまま使える場合には設備費だけでなく内装工事費も大きくコストダウンすることができるため、少額の開業資金で検討したい場合はこうした「居抜き物件」で探すのも一つの方法です。ただし、その物件でコンセプトが覆ってしまっては本末転倒ですのでお気をつけください。

<設備購入費>
 飲食店の場合には厨房設備が欠かせません。業態に合わせた専門の機材が必要です。大容量の冷蔵・冷凍庫や揚げ物をするフライヤーなどがそれにあたります。前述の「居抜き物件」であれば、これらが予め設置されているのも魅力ですが使用状況までは保証されませんので目視によるチェックは必要です。最近では中古の厨房設備も簡単にインターネットで探せるようになりました。抑えられるべきコストは賢く抑えておきましょう。

<投資額の目安>
 ほかにも販促費や求人費、食器などの備品ありますが、こちらはそれぞれ数十万円を考えておけば問題ありません。大切なことは開業前に「過大な投資をしない」ことです。安く抑えれば良い…というものでもありませんが、開店直後はすぐに経営が軌道に乗るとも限らないもの。コンセプト実現にはこだわるべきですが、残せる現金は手元に残す…ということも忘れずにプランしていくことが必要です。

 一般的な融資調達可能額は自己資金の2倍程度です。500万円の自己資金があれば1,000万円の融資が見込まれ、総投資1,500万円での開業が上限値となります。手許資金(運転資金)をどれだけ確保する必要があるかを踏まえ、設備(保証金・内装工事費・什器等)にどれだけ充てるかを検討するというのが現実的でしょう。10~20坪程度の物件は工事単価が大きくぶれやすいのですが、

「自己資金」+「調達資金(≒自己資金×2)」- 「運転資金」 = 初期投資限度額

との計算式で考えれば、初期投資にいくらまでかけられるか?の目安になると思います。

 いかがでしたでしょうか。飲食店経営の経験がない方にとっては、初めて考えることだらけで大変かもしれませんが、ビジネスとして経営する以上、こうした数値への落とし込みはとても重要です。

 当サイト『canaeru(カナエル)』では、初めて開業するみなさんのお役に立てるよう、日本政策金融公庫をはじめとした元融資担当者による「個別の事業計画書作成サポート(無料)」も実施しています。次章『セミナーや個別相談で知識を増やす』でも触れていきますが、ひとりで悩まぬよう、賢くプロのサポートも活用してみてください!

まとめ 「売上規模や経費、投資額を算出する」
  • 「売上」は坪数から目標を算出する
  • ・続いて、具体的な店舗経営計画になるよう、曜日ごとの客数/客単価を算出
  • ・売上高(月商)や坪数から適正な投資額を定める
  • ・開店後の運転資金も考慮し、過大な初期投資は控える

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