焼肉屋の開業に必要な6ステップ成功のポイントや繁盛店のデータも解説
子供からお年寄りまで、幅広い世代で人気の焼肉店。オペレーションの手間が少なく、独自のコンセプトを打ち出しやすいことから、焼肉屋の開業を検討している人が増えています。
一方で、輸入牛肉の価格の高騰や、開業資金が高いことを理由に開業へ踏み出せない人もいるでしょう。そこで、本記事では開業までのステップを詳細に解説するとともに、コストを抑える工夫や繁盛店に導くためのポイントをご紹介します。焼肉屋の開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
焼肉屋の開業にあたって必要な準備は大きく6つ!
焼肉屋を開業するために必要な準備は、主に以下の6つです。
1.経営戦略やコンセプトを決める
2.開業資金の見積もりと準備を行う
3.開業に必要な資格の取得と手続きを行う
4.仕入れ先(卸業者)を探す
5.物件を探す
6.スタッフを採用する
それぞれどんな準備をすればいいのか、次の章から詳しく解説します。
1.焼肉屋の経営戦略・コンセプトを決める
焼肉屋を繁盛店へと成長させるには、経営戦略・コンセプトの内容が特に重要になります。経営戦略・コンセプトは事業の根幹にあたるため、時間をかけてしっかりと内容を固めていきましょう。
ここからは経営戦略・コンセプトをどう決めていけばよいのか、7つのステップにわけて具体的に解説します。
①出店予定の地域の調査・分析
まずは出店予定の地域について調査を行います。調査するポイントは以下の3つです。
- どんな住民が住んでいるのか
- どんな会社が多いのか
- 学校の有無
この3つを調べると、出店予定の地域にどのような客層が多いのかを把握できます。地域の住人についての調査は現地におもむき、手動カウンターなどを使ってカウントする昔ながらのやり方のほか、国や民間企業が提供している統計データから分析する方法、SNSの情報を収集する方法などがあります。
会社や学校の有無などはインターネットで検索すれば、大半の情報は得られます。地域の雰囲気を確認するためにも、さまざまな時間帯に出店予定地を訪れてみるとターゲットとなる客層がみえてくるはずです。
例えば年配の富裕層が多い地域では、脂身の少ない赤身肉を生かした高級店の需要があり、学生の多い地域では食べ放題プランがあるリーズナブルなお店が求められます。このように、調査・分析を行うことで地域に応じた適正な戦略を練る土台ができます。
②競合店舗の調査
出店予定の地域に詳しくなってきたところで、競合となる飲食店の調査を行います。該当する地域の飲食店をすべて洗い出し、その中から、焼肉屋をはじめ、寿司屋やフレンチ、イタリアンなどターゲット層が被る繁盛店をリストアップします。
さらに、リストアップした飲食店へ足を運び、客層や客単価を調査しましょう。実際に目で見ることで、出店地域の分析の精度が高まります。
また、繁盛店に共通する特徴を把握できれば、その地域で受け入れられやすいポイントをつかめる可能性があります。共通する特徴を取り入れつつ、サービスや料理の差別化を図って目新しさを出すためできるだけ多くの競合店に足を運びましょう。
③自店舗の強みを書き出す
他店との差別化を図り、お店を繁盛させるには、オーナー自身の強みや個性を把握することが大切です。自身の強みは自店舗の強みと同義です。あなたがこれまで経験してきたことはかけがえのないものであり、焼肉屋を開業する上でも強みとなる可能性を秘めています。
例えば焼肉屋や飲食店での勤務経験や、畜産に関する知識の有無、個性的なキャリアや趣味・長所などもあなたならではの強みになります。
自身の強みを把握するには、紙に書き出す方法が有効です。これはブレインダンプと呼ばれる思考を整理する方法で、目の前の課題を解決する際に役立ちます。思考や感情を書き出し整理することで、自身の強みが明確になってくるでしょう。
④明確なコンセプトの設定
次に店舗のコンセプトを明確にしていきます。コンセプトは簡潔に説明できるものが理想的です。長すぎる文章や曖昧な表現を用いてしまうと、お客様だけでなく従業員や取引先にも伝わりにくくなってしまいます。以下に大手飲食店のコンセプト事例を挙げるので、参考にしてください。
大手飲食チェーン店のコンセプト(経営理念) |
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上記の例はあくまで大手のコンセプトです。個人店の場合は、「ヘルシーな赤身肉をおいしく・リーズナブルに食べられる店」「希少部位の取り扱いは地域ナンバーワン!」など、具体的かつ個性を打ち出したほうがお客様の印象に残りやすく、集客に有利になる傾向があります。自店の強みを生かした独創性のあるコンセプトを設定しましょう。
⑤出店場所とターゲットを決める
これまでの調査内容やコンセプトに基づいて、出店場所とメインのターゲット顧客を決めていきます。例えば、下記の調査結果が出たとします。
地域の調査・分析 |
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競合店 |
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自店舗(自身)の強み |
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コンセプト例 |
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上記の場合、出店場所は駅周辺か公園のそばのどちらでも問題ありません。ただし、駅周辺はビジネスパーソン、公園周辺はファミリー中心と客層が異なるため、場所に応じて戦略やコンセプトを変えていく必要があります。
競合店に関しては、駅周辺に焼肉屋がないため競合店がいない好立地です。しかし、何らかの理由で焼肉屋がヒットしない可能性もあるので、過去に焼肉屋がなかったのか調べるとよいでしょう。公園周辺には、大手焼肉チェーン店があるものの、自店舗の強みである技術やサービス面でチェーン店にはない魅力を提供することは可能です。さらに客単価を高めに設定すれば、客層は異なると予想できます。
この時点では、希望の条件に合う物件が出てこない可能性もあるため、出店場所を一つに絞らず、候補地をいくつか選び、それぞれの場所に応じた戦略を立てておきましょう。
⑥コンセプトに合わせたメニューを考える
出店場所の候補やターゲットが絞れてきたら、提供するメニューを考えていきましょう。
例えば駅周辺に出店し、コンセプトを「熟成肉と赤ワインのマリアージュ」に設定したとします。駅周辺には会社が多いことから、ターゲットは仕事終わりのビジネスパーソンです。
アルコールを飲む需要が高いと予想できるため、アルコールの種類を数多く取り揃えたり、お肉を少量からオーダーできるようにしたり、野菜を使った軽めのサイドメニューを用意すると喜んでもらえます。また、このエリアでは忘年会や歓迎会など団体客に対応するメニューの作成は必須です。
公園周辺に出店する場合はコンセプトを「子連れでも気兼ねなく利用できる店」に設定し、お子様向けメニューの充実やカトラリーの準備、持ち込みの離乳食を温めるサービスの提供など、子育て世代に支持されるサービスを考えるとよいでしょう。
⑦集客・マーケティング戦略の立案
最後に集客・マーケティング戦略を立てましょう。飲食店の集客方法は主にデジタルとアナログに分かれます。デジタル手法のメリットは、多くの人々へ手間をかけずにお店をアピールできる点ですが、広告出稿をする費用がない場合は地道にコツコツと取り組む必要があります。
一方、アナログ手法は即効性の高さではデジタル手法に勝ることもあります。近頃はデジタル手法を集客戦略のメインにする店舗が大半ですが、従来のアナログ手法もまだまだ効果があるため併用すると相乗効果が得られるでしょう。
以下は無料や低コストで取り組めるおすすめの集客方法です。
デジタルの集客方法
- ホームページ
- SNS
- グルメサイト
- Google ビジネス プロフィール(Google マップ)
アナログの集客方法
- 店頭でのチラシ配布
- ポスティング
- ダイレクトメール
これらの集客方法の中で必ず取り組みたいのが、SNSとGoogle ビジネスプロフィールです。どちらも無料で運用できる上、多くの潜在顧客へ訴求できるため高い集客効果が期待できます。ホームページやグルメサイトも集客やお店の信頼性向上に役立つので、開業資金に余裕があれば取り組むとよいでしょう。
アナログの集客方法は、開店のお知らせやイベント告知に有効です。また、インターネットを活用していない年配層へ訴求ができるメリットもあります。
2.開業資金の見積もりと準備
経営戦略とコンセプトが決まれば、開業に必要な設備や費用の洗い出しができます。ここからは、焼肉屋の開業に必要な資金と準備について具体的に解説していきます。
焼肉屋の開業に必要な資金はいくら?
焼肉屋の開業のために必要となる資金の内訳は、主に4つに分類できます。以下で詳しい内容について解説していきます。
店舗の取得費用
店舗物件の家賃は月商に対し10%前後が目標といわれています。例えば、坪席数を1.5人とすると、45席(30坪の店舗)で客単価3千円を想定。26日稼働で2回転と仮定すると、約540万円の月商があるという概算が出ます。その10%なので、この場合約50万から55万円の家賃をターゲットにするというような逆算ができます。金額値についてはあくまでも仮定です。立地条件などによっても変化するので、参考にしながら保証金、礼金などの固定費の算出もおこないましょう。
内装工事にかかる費用
焼肉屋の開業では内装工事の占める割合が一番高いと言われ、開業費の約50%から60%を占めるようです。焼肉屋では、排気システムの設置が必要なため、ダクトの工事は必須です。ダクトの工事費は一般的に約200万から300万ほど必要とも言われています。
その他設備費用
焼肉屋開業には、使用する無煙ロースターや卓上ダクトなどが設備投資として必要です。一般的なあるデータでは、この設備投資に開業資金の約15%から20%を投入するのが目安といわれています。
運転資金
飲食店で準備すべき運転資金は、一般的に6ヶ月分の赤字決済が可能な金額と言われるようです。主にかかる費用は、家賃、水道光熱費、仕入れ、人件費です。焼肉屋では、仕入れの占める割合が高い傾向があり、運転資金の約40%から70%程度が仕入れに費やされます。オープンしたては、開業資金の約25%から30%を運転資金として計上するところが多いようです。
開業資金に関してはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。
3.開業に必要な資格の取得と手続き
焼肉屋をはじめ、飲食店を開業・運営するにはいくつかの資格の取得や手続きが必要です。また、事業規模や雇用条件等により、必要な届出が異なります。ここでは、取得しなければならない資格や手続きについて一つずつ確認していきましょう。
焼肉屋を開業するのに必要な資格
焼肉屋を開業するにあたって必要な資格は2種類あります。以下でそれぞれ詳しく説明していきます。
食品衛生責任者
飲食店を営むために必須の資格です。自治体の講習を受講して取得します。自治体によって8,000から10,000円の受講料で、全国どこでも受講できます。事業主以外でも営業にかかわる就業者が所持していればよい資格なので、他の人に取得してもらうのも手です。
防火管理者
事業者もしくは店長が取得しておくべき資格です。30人以上の収容数(従業員も含む)である店舗には、この資格を保持している人材が必要です。地域によっても上下しますが、取得には5,000円程度の講習料がかかります。また店舗が300平米以上かどうかで、講習内容が違うので、管轄の消防署に確認しましょう。
飲食店を開業で持っていると便利な資格に関してはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。
店舗や運営に関する届出
焼肉屋を開業するために必要な店舗に関する届出は、5種類あります。
- 食品営業許可申請
- 防火管理者選任届
- 防火対象設備使用開始届
- 火気使用設備等の設置届
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
それぞれどのような届出なのか、以下で詳しくご紹介します。
食品営業許可申請
営業基準を満たしているという保健所の認可を受けるための届出です。内装が完了する10日前までに保健所に申請しておきましょう。
防火管理者選任届
防火管理者資格を所得した人材が運営に関与するための申請書です。営業開始日までに消防署に提出しておきます。
防火対象設備使用開始届
新店舗や店舗内の一部で火気を使用する場合の届出です。内装完成の7日前までに消防署へ申請しておきます。内装工事関係者から申請される場合が多いので、工事会社に確認しましょう。
火気使用設備等の設置届
焼肉屋で使用するバーナー、温風暖房機など、火気設備の使用がある場合は、火気使用設備等の設置届出が必要です。管轄の消防署へ書類の申請を済ませておきましょう。
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
12時以降に酒類を提供する場合に、この届出が必要です。営業開始の10日前までに警察署へ申請する必要があります。
営業許可の流れや保健所手続きに関しては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
雇用や税金に関する届出
焼肉屋を開業するうえで、従業員雇用や税金に関する事業主の届出は4種類あります。
- 個人事業の開廃業等届出書
- 労災保険加入手続き
- 雇用保険加入手続き
- 社会保険加入手続き
それぞれどのような届出なのか、以下で詳しくご紹介します。
個人事業の開廃業等届出書
個人事業者の場合は、開業より1ヶ月以内に税務署への申請が必要です。確定申告の際には控除により納税額が減ることもあるので、速やかに申請しておきましょう。
労災保険加入手続き
従業員を雇用する際に必要な手続きです。雇用の翌日から10日以内に、労働基準監督署へ申請しておきます。
雇用保険加入手続き
従業員を雇用した場合、雇用保険にも加入する必要があります。従業員雇用の翌日から10日以内に公共職業安定所へ申請しましょう。
社会保険加入手続き
個人事業主は任意加入であり、法人では強制加入です。両者共にできるだけ速やかに手続きを済ませておきましょう。
飲食店開業にあたり、社員・アルバイトの雇用ついてはこちらの記事でもご紹介しています。
4.仕入れ先(卸業者)を探す
焼肉屋は素材が命です。仕入れ先によって仕入れられる肉の種類や値段が大幅に変わる可能性があるため、卸業者の選定は重要です。卸業者はそれぞれ得意とする分野があるため、食材に応じて複数の会社と契約したほうがよいでしょう。具体的な探し方は以下の通りです。
専門業者の紹介
焼肉屋で働いた経験があれば取引先業者の紹介が容易となるでしょう。知り合いの飲食業者から卸専門業者を紹介してもらうと、急に尋ねるよりも信用性があり交渉しやすくなります。
業務用食品卸店
業務用食品卸店を利用するのも一つの方法です。この手の卸業者は、月間購入すると割安だったり、配達してくれたりするサービスを活用することもできます。事業者のみが購入できる業務品配送会社にも同じような特典とシステムがあるので確認しましょう。
卸業者をネットで探す
ネットで卸業者を見つけ、卸売契約を結ぶのも手です。割引率は低くなる可能性もありますが、独自のルートを持ち、長いお付き合いができるのは大きなメリットです。店舗拡大などで業績が上がれば、仕入れの量や価格の交渉もしやすくなることがあります。
仕入れ業者の探し方や価格を抑える方法についてはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。
5.物件を探す
物件探しは事業の未来を左右する重要なポイントです。焼肉屋は油や火を使用し、煙やにおいの出る「重飲食」に分類されるため、物件の数が限られます。その中から経営戦略やコンセプトに合う物件を上手に選ぶためにはどうすればよいでしょうか。ここからは焼肉屋物件に適した4つの条件について解説していきます。
居抜き物件
前テナントが焼肉屋だった居抜き物件は、設備費用が節約でき、有利と言えます。既存のダクトや排気で周囲環境にも問題がないかは確認しておきましょう。無煙ロースターの再利用は火事の危険もあるため、十分検査が必要です。
家賃が売り上げの10%
焼肉屋は肉の仕入れ上、従来の飲食業よりも原価が高くつく場合があります。固定費として出費になる家賃は、売り上げの10%くらいが好ましいと言われています。原材料の質を落とさずに経営を安定させるためにも、家賃価格設定は慎重に行いましょう。
路面店
路面店と2階の店舗では売り上げに約2倍の差がつくと言われています。2階店舗は子供が入りにくいという傾向があり、家族客の入りを妨げる要因になるようです。車通りからでも見やすい店内などで、路面店の物件は集客が容易となるでしょう。
天井の高い物件
建築設計の傾向から見ても天井が高い物件は築年数が浅く新しいという特徴があるようです。坪数が小さい物件でも天井が高いと空間が広く感じられるため、印象が変わります。ダクトやファンの設備が天井に多くなる焼肉屋では、おしゃれなデザインに展開しやすいのもメリットと言えるでしょう。
物件選びで知っておきたい基礎知識についてはこちらの記事でも紹介しています。
6.スタッフの採用
スタッフの求人活動は、開業前に教育を行うことを見越して開業の1か月前ごろから取り組みます。以下のスケジュールを参考にスタッフを採用しましょう。
開業1か月前 |
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開業3週間前 |
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開業1週間〜2週間前 |
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このように、計画的に採用活動を行うことで開業時に人手不足や研修不足で慌てる事態を避けられます。また、業務マニュアルがあるとスタッフへの教育がはかどり、サービス品質の均一化が図れるため、事前に用意しておきましょう。
とはいえ、業務マニュアルがあれば経験がなくても仕事がこなせるわけではありません。担当業務ごとに1名以上の経験者を採用し、未熟なスタッフをフォローしてもらうことをおすすめします。
開業直後の飲食店はお客様の期待がひときわ大きく、SNSや口コミ投稿をされやすい傾向があります。研修期間の人件費を惜しんで、仕事を習得しないままスタッフを店舗に出してしまうと、悪い評判が広がってしまう可能性もあるため、スタッフへの教育はしっかりと行いましょう。
焼肉屋の開業のメリット
焼肉屋の開業には、以下の3つのメリットが挙げられます。
- 少人数のスタッフで始められる
- フードロスが少ない
- 特別な資格は不要
それぞれ詳しく解説しています。
少人数のスタッフで始められる
一般的な焼肉屋はお客様自身が肉を焼いて食べるスタイルのため、調理にかける手間が少ないことから、ほかの飲食業態に比べ調理スタッフは少人数で営業できます。また、タッチパネルやモバイルオーダー、配膳ロボットなどを活用すればサービススタッフの人数削減も可能です。
少人数のスタッフで始めることができれば、教育にかける費用が減少するため、大幅な人件費の減少が期待できます。さらに、営業開始後も人手不足に悩む可能性が下がり、少数精鋭のチームが作りやすいといったメリットがあります。
フードロスが少ない
焼肉屋は「肉を焼いて食べる」ことがメインなので、食材の大半は肉類です。サイドメニューをどれだけ展開するかによって変わりますが、比較的仕入れる食材の種類は少なく済みます。食材の種類が少ないほど、仕込みの際に出るフードロスも減少する傾向にあります。
また、肉類は骨やスジをスープやソースに、切り損じや切れ端は細かく刻んでしぐれ煮にするなど、うまく活用すれば廃棄する部位がほとんどありません。このように焼肉屋はフードロスが少ないといった特徴があります。
特別な資格は不要
飲食店の中には、資格取得が必須の業態や、推奨される業態があります。例えば、フグを提供する飲食店では「ふぐ調理師」の免許が必須です。また、フレンチやイタリアンでは、必須ではないもののソムリエ資格取得者が在籍していることで、ワインに対する付加価値が格段に上がります。
焼肉屋には「ふぐ調理師」のような取得必須の資格はないため、開業しやすい業態といえます。もし箔をつけたいのであれば、「お肉ソムリエ」や「食肉販売技術管理士」などの資格取得を検討してみるとよいでしょう。
焼肉屋開業で失敗しないポイント
焼肉屋を開業するまえに心得ておきたいポイントが5つあります。それぞれのポイントを以下で解説していきます。
ターゲットとなる客単価を絞り込む
客単価を決めることで肉やメニュー構成が明確になります。例えば大人の団体客にターゲットを絞った場合、相乗効果で追加注文が増える傾向があると言います。そのためテーブル席の組単価アップが期待できます。このように、客単価を決めることで戦略が立てやすくなります。
開業コストに見合った店舗投資
焼肉屋の店舗内装は設備投資が大きいと言われ、内装などを予算内で検討したいものです。スケルトンや異業種からの開業とは異なり、居抜き物件はコストダウンにつながります。好立地である場合は、家賃が高価になってしまいがちです。資金力に難がある場合は、宣伝の工夫や駐車場の確保など、他の強みで補いましょう。
メニュー戦略で売上高確保
焼肉屋は相席が難しいため、グループ来店時に得られる特典を工夫してみましょう。ターゲット商品価格を一番高くせず、価格比較で中堅価格が注文しやすい心理を狙います。オプションメニューはセットで2,3品一度に注文するようなメニュー構成が効果的です。マンネリにならないように期日限定や季節メニューなどを用意して売り上げ向上に役立てましょう。
客単価があがる接客術
接客術も店舗経営では重要です。店員のおすすめは客の注目と興味を引くため、接客術を向上するトレーニングを定着させましょう。店頭広告だけでなく、キャンペーンや期間限定を口頭で告知することによって、利用客へのアピールができます。店員がお得感ある話術で接客できるスキルがあれば、利用客にも自店にも有益なビジネスを確立できるでしょう。
リピーター確保
セット券やドリンク券などリピートする理由を提供してみましょう。リピーターや常連の確保は、繁盛店になるには必要不可欠です。「何日以内の来店で」と期間を区切ると、利用客がリピートしやすくなります。
飲食店を開業する上で失敗しないためのコツや失敗してしまう場合についてはこちらの記事でもご紹介しています。
「焼肉屋開業」繁盛店の参考データ(canaeru調べ)
canaeruの独自調査による、繁盛店の各種データを紹介します。焼肉屋を開業にあたり、今回紹介するデータを参考に、開業の計画と目標を立てていきましょう。
開業資金
canaeru独自調査によると、繁盛店のおおよその開業資金は約1,900万円から4,000万円でした。あくまで参考の数値ですが、焼肉屋開業は飲食店でも設備投資に出費の比重がかかることが予想されます。日本政策金融公庫の融資や協調融資などを効率的に利用しての資金投入も効果的といえるでしょう。
月商
canaeru独自調査では、繁盛店舗の月商は約900~1,200万円程度という参考データが得られました。月商には売り上げと他に家賃、仕入れなどの総収支も含まれています。コストや人件費を差し引くと飲食店では、一般的に5%~8%が利益になると言われています。数値は店舗規模、立地条件など様々な条件で変化しますので、参考値としてご覧ください。
客単価
焼き肉繁盛店の客単価平均は約2,500円から6,000円と言われています。 焼肉屋の場合、焼く時間などがあることから、比較的長時間の滞在が見込まれます。こうした背景から焼肉屋は回転率が低くなってしまいがちです。そのため客単価を上げることが売り上げ向上には必要でしょう。
回転数
焼肉屋繁盛店の平均回転数について、あくまで参考地ですが、独自調査では約1.9~7.2回という結果に。焼肉屋で回転数を上げる秘訣は客席稼働率を上げることです。カウンターなどの設置で「1人、2人でテーブルを占領」とならないためにカウンターを設置するといった工夫が必要です。
席数
canaeru独自調査の結果、繁盛店の平均的座席数は、30~48席でした。焼肉屋の厨房面積比は厨房20%、ホール80%が一般的といわれています。飲食店での座席数は1坪2.0程度が平均的と想定すると、それ以下の場合は比較的ゆったりとした作りであると言えるでしょう。
1席あたりの1日の平均売上
繁盛店の1席あたりの1日平均売上は約6,250円~20,800円という結果が独自調査では出ています。あくまで参考値ですが、飲食業の中で比較すると、焼肉屋のこの数値は高い水準であると言えそうです。
焼肉屋を開業するために綿密な事業計画と資金調達成功を
焼肉屋の開業には、長年の修行や特別なスキルは必要ありませんが、飲食業の中でも開業資金が高くつく傾向があります。しかし、開業資金は居抜き物件や既存設備の活用、仕入れ業者の選定などである程度は抑えられます。
また、高い利益率を狙えたり、少ない人数で店を運営できたりすることから、開業投資金が高くても営業開始後に早い段階で回収できる可能性があります。
スムーズに開業し、成功に導くためには開業前の準備が重要です。出店地域周辺の調査をしっかりと行い、綿密な経営戦略を立ててから開業へと進めていきましょう。