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【小阪裕司コラム】第130回:「今度はデマじゃない!」①

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

コロナ禍に起きた悲観的な売上増

 今回は「顧客を作る」という活動の継続がどんな大きな結果を生むかを示す、貴重な実例を紹介しよう。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、紙の卸売業からのご報告だ。
 あなたはコロナ禍が本格的に社会を覆った2020年の3月頃、「紙が無くなる」「トイレットペーパーなどが手に入らなくなる」という話が巷をかけめぐったことをご記憶だろうか?それは結局デマだったのだが、一時、全国の商品棚から紙製品が消えるようなことが起こった。当然、紙の卸売業である同社にも問い合わせは殺到。その月の売上は通常月の倍以上となる異常値を記録した。
 ではそれが同社にとって嬉しい出来事だったかと言えばそうではなく、その頃を振り返って同社の後継者である専務は言う。「『単月でこの売上を超えることは二度とないかもしれないなぁ』と、一時的だと分かっていたので、売上増にも関わらず悲観的でした」。そして実際その通りに、その後業界全体が在庫過多・売上減になっていった。
 そうなり焦っていたその年の6月、彼は実践会の存在を知り、入会する。そして当初、まずはひたすらワクワク系の知識をインプットする中で印象的な言葉があったという。それは「『満足=リピートではない』『お客さんは早々に買ったことを忘れる』という小阪先生のお言葉です」。
 彼はもうひとつ、「ワクワク系の皆さんはすでにお客様を満足させるサービスや商品は持っている。でもそれだけでは足りない」という言葉から、「わが社の商品はどこにでも売っていて差別化はできないけど、大企業が作っている商品だからとりあえず商品やサービスは、ある程度の水準のはず」と気づく。それまでの、お客さんの取り合いのような営業活動ではこの「商品が差別化できない」ところが弱みとなるが、視点を変え、徹底的に「顧客」になってもらう活動に邁進したのだった。

「顧客」を増やして得た自力での売上増

 そうして4年、今回いただいた報告書には驚くべきものがあった。入会後の毎月の売り上げ推移がグラフで載っているのだが、それが右肩上がりに積み上がり、ついに昨年の12月、デマ騒動の月の売上に並んでいたのである。前回はデマによる完全に他力本願な売上。今回は「顧客」が増えて来たことによる自力の売上。この差が報告書のタイトル「今度はデマじゃない!」につながるが、喜びはひとしおだろう。報告書には「顧客化」のために行ったことや、それらの活動からの気づきも多く書かれていたが、それは次回に。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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