カフェは外出時に一息付きたいときや、友人と楽しい時間を過ごしたいときなどに重宝するスポットです。そんなカフェを自分で経営してみたいと考えている方もいらっしゃることでしょう。
しかし、当然のことながらカフェを経営するためには物件取得費をはじめとした費用がかかりますし、取得しておかなければならない資格や、届け出が必要な申請などもあります。
また、実店舗か移動販売かなど、開業するスタイルによっても必要となる費用は異なります。
カフェ経営について真剣に検討する場合は、必要な費用およびその内訳や事前準備をきちんとクリアできるか考えなければなりません。
この記事では、カフェを経営するためにはどのような資金がどれくらい必要なのか、オープン前に取るべき資格や申請などについて解説します。
また、下記の関連記事ではカフェ経営で陥りやすい失敗例もご紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
関連記事 カフェ開業で失敗する原因!成功するための準備やリスクを回避する方法を解説
目次
カフェを経営するために必要な開業資金の内訳
カフェを経営するために必要な資金の内訳は、お店の立地や広さによって異なりますが、一般的に「開業資金」は500〜600万円程度必要と言われています。
ただし、カフェをオープンさせる場合、物件を取得して工事や設備搬入などを一から行うケースと、もともと飲食店だったところを「居抜き」で利用するケースがあります。
後者の場合は工事費や設備費を抑えられるので、開業資金を大きく削減することが可能でしょう。
ここからは、10坪で家賃が10万円の店舗を参考とし、どれくらいの費用がかかるかについて項目ごとにシミュレーションを行っていきます。
物件取得費
物件取得費としては、保証金が家賃の10ヶ月分程度、礼金および仲介手数料がそれぞれ家賃の1ヶ月分程度必要なケースが多いです。
また、工事などを行う関係上、実際にカフェをオープンさせる1~2ヶ月前から物件を取得しておく必要があり、その間の「空家賃」も必要になります。
結果として、物件取得費としては10万円×13~14ヶ月分=130万円~140万円程度を想定しておくべきでしょう。
内外装工事費
内外装工事費は設計費・材料費・家具・インテリアおよび外装などを整えるためにかかる費用であり、業者に頼む場合は一坪あたり100万円程度が目安の金額となります。
ただし、居抜き物件を利用したり工事をDIYで行ったりする場合は、費用を抑えることが可能です。
設備費
設備費は厨房機器などにかかる費用であり、経営したいカフェのスタイルによって金額が大きく変わります。
たとえば、店内で焼き立てのパンを提供したい場合は専用のオーブンを導入しなければなりませんし、ドリップコーヒーにこだわりたい場合はサイフォンやドリップコーヒーマシンなどが必要です。
カフェの構想によって上振れする可能性はありますが、一般的には200万円前後を想定しておくとよいでしょう。
特別な機器を利用したい場合は、あらかじめ値段を把握しておき、その分の上振れを織り込んでおくのが賢明です。
なお、内装工事費同様に、居抜き物件の場合はもともとの設備が利用できるので、費用をある程度抑えられます。
備品費用
居心地のよいカフェ空間を作り出すため、家具などのインテリアも準備しなければなりません。
主に必要となる家具としてテーブルと椅子があります。
テーブルは、60~65センチ角が最適ですが、高めの年齢層をターゲットにして高級な料理を提供する場合は65~70センチ角のゆったりしたサイズのテーブルがベターです。
他にも、コーヒーなどの飲み物がメインのカフェは50センチ角が最適です。
テーブルと椅子の相場は、テーブル4つ、椅子16脚のセットで中古価格30万円弱となります。
他にも、食器などを揃えると10万円程度かかります。
また、会計時に使用するレジも必須であり、最近では電子決済によりタブレット端末を用いたレジ機器が増えており、15万円程度から導入可能です。
また、昔ながらの現金を取り扱うPOSレジが必要な場合、中古機器でも10万円程度の出費が必要です。
宣伝費
カフェをオープンするにあたって、オープン前からしっかりと宣伝をして、カフェの存在を知ってもらう必要があります。
宣伝を行う範囲をどの程度まで広げるのかにもよりますが、目安としては50万円程度を想定しておくとよいでしょう。
チラシを使ったりタウン誌に情報を掲載したりといった方法もありますが、SNSを活用することでうまく費用を抑えられる可能性があるので検討してみてください。
雑費
雑費として、主に開業までにかかる資格取得費用が挙げられます。
カフェを開業する上で代表的な資格である食品衛生責任者資格では、受講料として10,000円かかります。
また、店舗運営上で必須となる防火管理者の受講料も6,500円~7,500円かかります。
さらに、菓子製造業許可申請費用として16,800円が必要です。
以上の費用は、必ず必要となるため事前に見積もっておく必要があります。
他にも、店舗が遠くにある場合に交通費がかかり、また最近ではテイクアウト需要の高まりによってテイクアウトに対応する場合、包装資材費が雑費として必要です。
運転資金
運転資金とは、材料費や人件費など、日々の経営を続けていくためにかかるお金のことです。運転資金は毎月のカフェの利益から捻出するべきものですが、カフェ経営が軌道に乗るまでは開業資金と合わせて用意しておくべきでしょう。
客数の増減にたじろぐことなく、どっしりと腰を据えてカフェ経営を行うためには、家賃10ヶ月分程度の運転資金を用意しておくと安心なので、今回の場合は100万円程度となります。
ここまで挙げた金額をすべて足し合わせていくと、130万円~140万円+30万円~40万円+200万円+50万円+100万円=510万円~530万円となります。
カフェのスタイルによって必要となる開業資金は異なる
カフェのスタイルは、大きく以下の3つに分けることができます。
・ 実店舗カフェ
・ 自宅カフェ
・ 移動販売カフェ
それぞれのスタイルによって必要となる資金や金額には違いがあるため、スタイルごとに説明します。
●実店舗カフェ
実店舗カフェはその名の通り、駅の近隣をはじめとした路面やビル内といった実店舗で営業を行っているカフェのことです。
店舗の内装などに自分のこだわりを反映できるところが魅力ですが、こだわる内容によっては費用が高額になることもあります。
物件を契約する必要があるため必ず物件取得費がかかる上に、場合によっては管理費が発生することもあるので、管理費を含めたトータルの賃料などを事前に確認しておくのが賢明です。
●自宅カフェ
自宅カフェは、自宅の空いた部屋などを使ってカフェを経営する形態のことを指します。
内装工事のための費用は必要ですが、持ち家であれば物件取得費はかからず、自宅が職場となるので出勤費用も必要ありません。
ただし、住宅地でお店をオープンする場合は集客が大変なことや、建築基準法や都市計画法、各種条例等の要件に合致しているかの確認が必要なことは念頭に置いておきましょう。
また、家族の理解を得られなければお店をオープンさせるのは難しいかもしれません。
●移動販売カフェ
移動販売カフェは、車両を販売場所として移動しながら営業するスタイルのことを指します。
実店舗があるわけではないため物件取得費はかかりませんが、その代わりにお店として利用する車両の購入費用、改造費、ガソリン代などが必要です。
駐車場や公園をはじめとした他店舗などの敷地内に出店するケースが多く、出店場所を借りるためには各商業施設や駐車場へ支払う出店料もかかります。
また、車両の中で仕込みを行うことができない場合は、そのために別途スペースや物件などを確保する必要があることには注意しましょう。
カフェを経営するのに必要な資格や申請
カフェを経営するにあたり、それ相応の資金を用意する必要があるのは当然ですが、お金を用意するだけでカフェ経営は行えません。
カフェを経営するためには、取得しておかなければならない資格や、届け出しておかなければならない申請があるからです。
カフェを経営するのに必要な資格や申請について、詳しく説明します。
関連記事 カフェ開業に調理師免許はいらない…必要な免許2点と手続き6点
食品衛生責任者
食品衛生責任者はカフェやレストランなどの形態に限らず、飲食店を開業するために必須の資格です。
取得するためには1万円程度の受講料を支払い、各都道府県の食品衛生協会が開催する講習を受講する必要があります。
資格の中には、取得した都道府県でしか効力を発揮しないものもありますが、食品衛生責任者は全国共通の資格なので、取得した都道府県とカフェを開業する都道府県が異なっていても問題ありません。
防火管理者
防火管理者は、収容人数が30名以上の飲食店を開業する場合に必要な資格で、一般財団法人日本防火・防災協会開催の講習を受講することで取得できます。
店舗の延べ面積によって講習の時間や費用は異なります。店舗の延べ面積が300㎡以上の場合は「甲種講習」となり2日で約10時間、受講料は8,000円ですが、300㎡未満の場合は「乙種講習」となり1日で約5時間、受講料は7,000円です。
オープンする予定のカフェの収容人数および延べ面積によって、そもそも取得する必要があるのか、取得する場合には甲種なのか乙種なのかについて、きちんと把握しておきましょう。
飲食店営業許可申請
飲食店を営業する場合に必要となるもので、保健所に申請を行います。
厨房・食器棚・空調・トイレなどに細かい規定がありますが、店舗の構造や設備は一度決めてしまったら変えるのが困難です。
申請が問題なく受理されるよう、店舗の工事を始める前に、設計士の方と一緒に保健所に相談して問題がないか確認するのがよいでしょう。
菓子製造業許可申請
店舗内でお菓子やパンを製造し、それらをテイクアウト販売する場合は、保健所に菓子製造業許可申請を行う必要があります。
なお、店舗内でお菓子やパンを製造するものの、店舗内で提供するだけであれば、菓子製造業許可申請は必要ありません(飲食店営業許可申請で必要な条件を満たすことができているため)。
深夜酒類提供飲食店営業開始届
深夜酒類提供飲食店営業開始届は、深夜12時を越えてアルコールを提供する場合に必要な申請です。
店舗の所在地を管轄している警察署・生活安全課に、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を提出します。
持っているとカフェ経営に役立つ資格
カフェでフードメニューを取り扱いたい場合は、調理師免許を取得していると、メニューの幅がグッと広がります。
また、バリスタの資格を持つ店員がいれば、お店のウリにできるでしょう。
バリスタと同様の効果が期待できる資格としてはコーヒーソムリエがありますし、お酒も提供するカフェであれば、ソムリエやワインエキスパートが役立つかもしれません。
開業資金を抑えつつカフェ経営を成功させるためのポイント
カフェ経営には多くの費用が必要になるため、可能な限り開業資金を抑えることはカフェ経営を成功させるためには欠かせません
開業資金を抑えつつカフェ経営を成功させるためのポイントとしては、主に以下のことが挙げられます。
・ 居抜き物件やフリーレント物件を活用する
・ 同業のリサーチを行う
・ SNSやホームページを活用して宣伝する
・ 収支を把握した上でメニューの価格設定を行う
それぞれのポイントについて、詳細を説明します。
●中古品やリースを利用する
調理などで使用する厨房機器やメニューを提供する際に使用する食器などは、必ずしも新品である必要はありません。
特に、厨房機器は通常はお客様に見える場所にあるものではなく、多少見た目が劣っていてもしっかりと調理ができて清潔な状態が維持できていれば問題ありません。
そこで、中古品を見つけて導入するのがおすすめです。
昨今、新型コロナウイルスの影響により、廃業が強いられる飲食店が多いことから、多くの中古品が市場に流通しており、意外な掘り出し品を見つけることも可能です。
中古品に抵抗がある場合、リースによって月数万円の費用で新品の厨房機器を導入する方法もあります。これにより、初期費用を100万円以上も抑えることができます。
●自分で工事を行う
カフェの場合、意外と多くの方が内装や外装を自分で工事しています。これは、自分好みのデザインを取り入れたいという理由の他にも、費用を抑えるために自分で行っている場合があります。電気や水道工事などはどうしても専門業者に依頼しなければなりませんが、壁の張り替えや床の修繕などは十分自分でも行えます。
これにより、大幅に工事費用を削減する効果が期待できますが、相当な労力と時間がかかり、他にも開業するために必要な物事に時間がさけないデメリットもあります。
●居抜き物件やフリーレント物件を活用する
「居抜き物件」とは、前の店舗の内装や設備がそのまま残った状態の店舗のことです。居抜き物件を利用してカフェを開業すれば、内装工事費や設備導入費を抑えることができます。
「フリーレント物件」とは、家賃が無料になる期間が設けられている物件のことで、フリーレント期間中は家賃が発生しないため、家賃の支払いに頭を悩ませる必要がありません。
物件検討時にこれらの物件を中心に検討することで、開業時に必要となる資金を抑えやすくなるでしょう。
ただし、フリーレント物件は条件付きであることが多いため、事前に契約内容についてよく目を通すよう心がけてください。
●同業のリサーチを行う
カフェを経営するにあたって、同業の存在は売上や客足に大きく影響します。
極端な話、出店する店舗の近くにターゲット層・コンセプト・価格帯がほぼ同じようなカフェがあり、しかもそのカフェがその地域で長年愛されているようなお店であれば、新たにカフェをオープンしても客足は伸びないでしょう。
そこまで極端ではないにせよ、カフェを出す場所の近くに同業態のお店がいくつもあれば、価格競争によって赤字に陥ってしまう可能性もあります。
近くにカフェが多数あるエリアは、人通り自体は多いはずなので決して立地が悪いというわけではなく、ほかのカフェとコンセプトやターゲット層をうまくズラせば、共存することも可能です。
店舗選びの際には、必ず近くのカフェをリサーチすることを心がけましょう。
●SNSやホームページを活用して宣伝する
新規オープンのカフェは、オープン初日からしばらくの間は物珍しさなどもあって、多くのお客様利用してもらいやすいです。
しかしそれは、カフェが新しくオープンすることを事前にきちんと周知できていた場合であり、集客施策を何も行っていなければ、オープン初日からつまずいてしまう可能性があります。
近場に住んでいてたまたま目に留まって来店してくれる方を除き、お客様は自然に入ってくるわけではないため、集客施策は前もって考えておかなければなりません。
開店前からホームページやSNSで情報を提供するなどして、新規オープンするカフェの存在および、オープン日を広く知ってもらえるように心がけてください。
とくにSNSは、無料で利用できるものが多いにも関わらず、幅広い層にリーチできる非常に便利なツールです。
開店後もSNSやホームページの更新を頻繁に行うことで、活気のあるお店にできるでしょう。
●収支を把握した上でメニューの価格設定を行う
カフェの経営は道楽ではないため、収支を把握しないまま経営していると、お店が赤字になって経営が立ち行かなくなってしまうかもしれません。
とくにカフェは、飲食店の中でも客単価が低い傾向にあります。
メニューの価格設定が低すぎるとカフェの運営自体がおぼつかなくなりますが、高すぎると客足が遠のいてしまうので、収支を把握して売上と経費のバランスが取れた経営をすることが大切です。
カフェ開業ではコンセプトがポイント!
カフェ開業する際には、明確なコンセプトを決定して、コンセプトにしたがったカフェにすることが重要です。
コンセプトがないと、経営がぶれてしまい失敗する場合が多いです。
カフェ開業におけるコンセプトの作り方や具体的なコンセプトを紹介します。
コンセプトの作り方
カフェのコンセプトを作る際に、意識したいのが5W2Hの考え方です。
具体的には、各要素で以下の観点でコンセプトを決定していきます。
・Why(なぜ)
・Who(誰が)
・What(何を)
・Where(どこで)
・When(いつ)
・How(どのように)
・How much(いくらで)
各要素が絡み合う場合もあるため、多角的に見て最適なコンセプトを決定することが重要です。
何を目的にだカフェを開業するのか
「Why(なぜ)」に該当する部分は、コンセプト決定のプロセスで最も重要な要素です。
例えば、ママ会などゆったりとおしゃべりできる空間を提供したいのか、単純に自分の提供するメニューを存分に味わってもらいたいのかで、お店作りのコンセプトが大きく変化します。
顧客にどのような動機でお店を利用してもらうかなど、何のためにカフェを開業するのかを明確にしてください。
自分が目指したいカフェのスタイルが決まると、それにマッチした立地や店舗の雰囲気などが自然と決まります。
誰に提供するのか
「Who(誰が)」に該当する、誰にサービスやメニューを提供するのかを決めることも重要です。
始めに明確にしたいのが、年齢層や性別であり、例えば若者をターゲットにしたい場合はおしゃれな雰囲気を持たせつつ、お得な価格帯である必要があります。
場合によっては、他の飲食店やファストフード店、ネットカフェなどが競合となる可能性があり、ある程度の差別化が必要となります。
また、高齢層をターゲットにしたい場合、落ち着ける空間であるかが重要であったりするため、バリアフリー対応にするなどの配慮も必要になります。
これらのことから、年齢や性別からライフスタイルまで、詳細な顧客像を明確にすることが大切です。
どのようなサービスやメニューを提供するのか
ターゲットとなる年齢層や利用目的が決まったら、ターゲットに似合うサービスやメニューを決める必要があります。
若者向けのカフェの場合、トレンドとなっているメニューを積極的に導入すると注目を集めて集客できるチャンスがあるのです。
基本的に、若者向けのメニューは食材の高級さよりも手頃な価格でSNS映えするメニューの方が受ける傾向があり、メニュー決定時の目安となります。
高齢層の場合、多少高くてもおいしいメニューの方が受け入れられる傾向があります。
以上のように、メニューの価格帯や見た目なども良く検討して、コンセプトを決定してください。
また、ターゲットによってランチ中心の営業とするのかディナーをメインとするのか、お酒の提供を行うべきかなども決定する必要があります。
どこで営業するのか
Where(どこで)に該当する、営業場所もコンセプト決定における重要なポイントです。
若者向けのカフェにしたい場合、若者が多く集うエリアに出店すればより多くの集客を見込めます。
顧客のライフスタイルにマッチした地域や環境を明確にして、どこでどのくらいの規模のカフェを経営すべきかを決定してください。
エリアだけでなく、最寄駅から店舗へのアクセスの良さや外観がお店だと分かりやすいかどうかなども重要です。
回転率も重要な要素となり、ゆったりした空間で利用時間が長いお客様をターゲットにする場合、駅から少し離れた静かな店舗を場所に構えるのも良いでしょう。
営業時間をどのように設定するのか
When(いつ)に該当する、営業時間もコンセプト選びで肝となります。
営業時間を決める際にも、ターゲットとなるお客様のニーズなどがベースとなります。
例えば、学生向けのカフェを開業したい場合、学生が多く来店する可能性がある平日の夕方や週末に営業していることが大前提です。
また、企業で働く方をターゲットにする場合はランチタイムに営業していること、また営業の隙間でふらっと立ち寄れるように通しで営業している必要があります。
他にも、お酒を提供する場合は深夜まで営業する必要があるなど、適切な営業時間を設定してください。
個人経営カフェの収入はどのくらい?
個人でカフェを経営する場合、どの程度の収入を得られるかが気になります。
チェーン店であれば店舗毎の収入などが明らかになりますが、個人経営の場合はどの程度収入があるのが妥当なのかを知らないと、経営がうまくいっているのかが判断できません。
ここでは、個人経営カフェの収入について解説します。
収入の目安
個人経営のカフェの場合、提供するサービスやメニューによって異なりますが、概ね200万円から500万円程度が平均収入となります。
類似する店舗である喫茶店の場合、200万円から300万円程度が一般的となっており、喫茶店より収入が多いのが特徴です。
人気店になれば、1日に数百人ほどの集客も期待できますが、黒字であれば最低でも年間200万円程度の収入は期待できます。
しかし、200万円の収入では店舗経営と生活の両方を測るのは厳しく、もう少し黒字幅を伸ばしたいものです。
なお、大手チェーン店の収入としては人気店ともなれば1000万円を期待できますが、その分だけ過酷な労働やノルマを強いられるリスクがあります。
収入の計算方法
個人事業主としてカフェを営業している場合、オーナーの収入とカフェの利益を分けて考える必要があります。
カフェの利益としては、売上から経費を差し引いた純利益が該当します。
また、オーナーとしての賃金はオーナー自身の人件費として捻出されるのです。
以上のように、収入の上限は売上と経費のバランスによって決定します。
もし法人経営となっている場合は、お店の売上から支出を引いたものが会社の利益となり、オーナーとしての収入はあくまでも個人の賃金のみです。
なお、カフェの収入に大きく関連するものとして、次のような点が挙げられます。
・店舗の規模
・座席数
・人件費
・立地
・提供するメニューや客単価
固定費や経費の種類の一覧
カフェの経営において、主に発生する費用として変動費と固定費があります。
変動費とは、販売量などに比例して増減する費用のことです。
固定費は売上に関係なく一定額が発生しますが、変動費は売上高に比例するのが特徴です。
カフェの経営における変動費は以下となり、合計で60~70%に抑えることが理想とされています。
・仕入れ原価:コーヒー豆の費用や食材費など
・人件費:従業員の給与、交通費、複利厚生費など
・水道光熱費:電気、ガス、水道代など
・広告宣伝費:SNSやホームページの運営費、チラシ代など
・その他:通信費、消耗品、事務用品代など
一方で、固定費の場合は常に必要となる費用のことです。
カフェの経営における固定費は以下となり、合計で20%に抑えることが理想とされています。
・店舗の家賃:共益費、管理費、組合費など
・その他:設備のリース料、支払利息など
なお、飲食業界では人件費は固定費ではなく変動費として計上されることが多いです。
その理由は、繁忙期などはパートやアルバイトのシフトを変化させなければならず、常に一定額の費用が発生するとは言い切れないためです。
カフェ経営を成功させるためには経費の削減や作業効率化が大切
カフェ経営を成功させるためには、経費の削減や作業の効率化を図ることが重要です。
経費削減については、時間帯に応じてシフトを組むことで忙しいときに多くのスタッフを配置し、逆に手空きが発生しがちな時間はスタッフ数を減らすことで、人件費を抑えられます。
一般的に、必要人員については座席数から割り出すことができます。
また、簡単に作れる時短メニューを増やすことで光熱費を減らしたり回転率を高めることも可能です。
経費削減策としては、他にもなるべく安く材料を仕入れる、廃棄する食材を減らすなどがあります。
作業効率化としておすすめなのが、マニュアル化です。
最も効率よく調理できる方法を確立し、それをマニュアル化して誰でも同じ方法でメニューを作れるようにすれば、効率的に作業できます。
また、開業当初はいきなり多くのメニューを提供するのではなく、必要最小限のメニューからスタートして、徐々にメニューを増やすことでスタッフのレベルアップを図りながら顧客ニーズに応じることが可能です。
他にも、行動範囲をなるべく抑えるためにカウンター席をメインにする、スタッフ間の役割分担を明確にするなども有効的です。
カフェの経営を始める前に開業資金や資格取得の準備をしておこう!
カフェを開業するにあたっては、物件取得費や宣伝費をはじめとしたさまざまな費用が必要になりますし、取得すべき資格や届け出なければならない申請もあります。
実際にカフェをオープンさせる前に、立地・コンセプト・メニューなどをしっかりと固めておかなければ、経営を軌道に乗せることは難しいでしょう。
開業資金を抑えつつカフェ経営を成功させるためのポイントを参考にしながら、売上高のシミュレーションなどを行った上で、きちんと経営を継続できる自信がある状態で、カフェの開業に踏み切りましょう。
また、カフェ経営に向けてどれくらいの資金が必要かわからない、物件選びに難航しているというような悩みを抱えている方は、開業支援サービスを利用するのがおすすめです。
飲食店などの開業支援を行っている「canaeru(カナエル)」では、抱えている悩みに応じて、起業経験者や金融機関・不動産関係出身の方といった、さまざまな相手に相談することができます。
不安や悩みをクリアにした上で起業に踏み切りたいという方は、ぜひ「canaeru(カナエル)」の利用をご検討ください。
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この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。
