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事業計画書のテンプレートの使い方!書き方やポイントを解説

事業計画書のテンプレートの使い方!書き方やポイントを解説

事業計画書とは?

事業計画書とは、新たな事業やプロジェクトを立ち上げる際の方針や戦略をまとめた計画書であり、コンセプトから資金計画にいたるまで事業に必要な基本情報を網羅した書類のことです。

具体的にはこのような内容を記載します。

・創業の動機
・経営者の略歴
・取扱う商品/サービス
・従業員数
・必要な資金と調達方法
・売上の見通し

事業計画書は、事業をはじめる際に必ず用意しなければならない書類ではありませんが、融資を受ける際は準備することがマストです。“計画書”と聞くと分厚い書類を想像する方もいるかもしれませんが、テンプレートを使用すればA3の用紙1枚で収まります。あまり難しく考えず、項目を一つ一つ整理しながら取り組んでみましょう。

事業計画書の目的

事業計画書の目的

事業計画書を作る目的は、主に以下の3つです。

・事業内容の整理
・事業計画を他者と共有する
・融資の審査を有利にする

日本政策金融公庫や銀行、投資家から資金を調達するためには、審査担当者から事業への理解を得て、融資・投資に値すると認めてもらう必要があります。そのためには、事業の目的や全容、将来的なビジョンなどを審査担当者にわかりやすく説明しなければならず、そこで役に立つのが事業計画書です。

事業に関するさまざまな情報が整理された事業計画書は、第三者に事業の説明を行うのに最適なツールです。融資の審査で有利になるためにも、事業計画書は綿密に作り込んでいきましょう。

事業計画書の書き方

事業計画書は、むやみやたらに事業への想いや取り組む内容を書くものではありません。事業のビジョンやコンセプト、強み、市場動向、資金計画などを明確に記載し、読み手の信頼を得る必要があります。

事業計画書に盛り込みたい内容は大きく以下の4点です。

【事業計画書に盛り込む内容】
1.開業する店のコンセプト
2.ターゲットとなる客層
3.資金計画(開店資金/運転資金)
4.事業の見通し(売上と経費計画のバランスと現実性)

それぞれの項目を、具体的に確認していきましょう。

1.開業する事業のコンセプト

■事業コンセプト
事業コンセプトとは、どこで、だれに、どのような商品・サービスを、どのような想いで提供するのかを定めたものです。それらを具体的に書き出すことで、事業の目的やどのような価値を提供したいのかが明白になります。

事業コンセプトが決まれば、事業を営む土地や物件、内装外装のイメージ、開業資金の目安が見えてきます。事業の印象を決定づける事柄なので、事業全体を俯瞰しながらコンセプトを定めましょう。

■自社サービスの強み
事業をはじめる際は、自社ならではの魅力を持つことが大切です。事業計画書には、自社の商品・サービスが他社と比較してどう優れているのかを詳しく記載します。サービスの品質や使い勝手、コストパフォーマンス、サポート体制など、さまざまな角度から強みを見つけて書き出しましょう。

■ビジョン/ミッション
ビジョンとミッションも事業計画書には欠かせません。ビジョンは、事業が将来達成すべき長期的な目標や理想の姿です。また、ミッションは、掲げたビジョンを達成するために遂行しなければならない行動や計画です。

この2点を記載することで、顧客や社会に対して事業が果たそうとしている役割や存在意義が明確に伝わります。

■創業メンバーのプロフィール
事業計画書には、創業メンバーのプロフィールを記載しましょう。参画するメンバーの氏名や専門分野、職歴を詳細に記載します。

重要な点は、事業に関連するスキルや資格、経験を強調することです。これから立ち上げる事業の経験をすでに積んでいるのであれば、ノウハウやリスク、顧客のニーズも把握していると判断されます。とくに融資においては、事業経験は最も重視される項目なので、どのような経験をしてきたかしっかり記載しましょう。

2.ターゲットとなる客層

■市場/競合について
事業計画書には、市場の規模や成長率、トレンドなどを記載します。飲食店や美容院など、店舗を構える場合は、開業予定地の商圏や競合店舗数なども調べておきましょう。市場が先細りである、競合がひしめきあっている場合は、成功するのは難しいかもしれません。競合と比較し、商圏を考えたうえで戦略を練り、新たな価値の創出につなげていきましょう。

■マーケティング戦略
提供する商品・サービスが決まったら、どのようにして商品を知ってもらうか、どのようにして購入してもらうかを考える必要があります。どんなに良い商品・サービスでも、認知されなければ購入には至りません

ターゲットとなる顧客へアプローチする方法はさまざまです。宣伝や広告、SNSでのプロモーション活動、デジタルマーケティングの取り組みなど、具体的な施策と期待される効果について記載しましょう。

3.資金計画(開店資金/運転資金)

■資金調達の計画
事業計画書において、資金調達計画も重要項目のひとつです。まずは、事業をはじめるにあたりどの程度の資金が必要なのかを算出しなければなりません。開業時にかかる資金、運転資金、生活資金などを盛り込んで、必要な金額を算出しましょう。

そして、資金調達の方法も記載します。融資審査において注視されるのは自己資金額です。自己資金は融資金額の目安になるほか、お金を貯めてしっかり準備をしてきたとみなされるポイントになります。そのうえで、どの程度金融機関を頼りたいのかを明記しましょう。

4.事業の見通し(売上と経費計画のバランスと現実性)

■生産方法/仕入れ先
商品を生産して販売、または商品や原材料を仕入れて事業を営む場合は、商品の生産方法や仕入れ先情報も事業計画書に記載します。生産方法や仕入れ先は、製品の品質や供給の安定性を保証する要素として重要です。

仕入れ先との関係や取引条件、供給の安定性、リスク管理の方法についても触れるとさらに具体性が増すでしょう。

■売上計画
事業計画書には、事業でどのように売上を立てていくのかの計画を記載します。期待される売上高や売上の成長率予測を記載しましょう。

計画策定時には、期間(月次、四半期、年次など)ごとに、販売する商品・サービスそれぞれの売上予測を分けて記載します。売上予測を立てるときは、見込客数や回転数、購入単価などを用いると算出しやすくなります。

■利益計画
売上計画とあわせて、コストを差し引いた「利益」の予測も記載します。具体的には、収益と経費の予測を基に、期待される純利益や営業利益を予測します。経費の内訳や固定費、変動費の詳細、利益率の推移などの記載も必要です。また、利益増加のための取り組みやコスト削減の施策についても触れるとよいでしょう。

関連記事居酒屋の利益率とは?利益率の計算方法や居酒屋の平均利益率、利益率の高いメニューを解説!

事業計画書が必要なタイミングは?

事業計画書が必要なタイミングは?

事業計画書が必要なタイミングは、主に下記の2つです。

・会社設立や新規事業を開始するタイミング
・融資や出資が必要なタイミング

それぞれ詳しく解説します。

会社設立や新規事業を開始するタイミング

会社設立や新規事業を開始する際は、事業の方向性や目的、市場動向、財務計画などをしっかりと整理しておく必要があります。事業計画書は多くの情報をひとつにまとめるためのツールとして役立ちます。

また、具体的なビジョンやミッションの設定、戦略の策定、リソースの配分などを計画する際にも活用可能です。事業計画書を通して事業の方向性や将来の展望を明確にすることで、内外の関係者との意思統一もスムーズに進むでしょう。

融資や出資が必要なタイミング

出資や融資が必要なときにも事業計画書は欠かせません。資金調達の際、多くの金融機関や投資家は、資金を提供する前に事業の全容を把握するため事業計画書の提出を求めます。事業計画書の出来栄えが、融資や出資の決定を左右すると言っても過言ではないでしょう。

事業の価値や可能性、リスクやトラブル回避の方法なども盛り込んで、事業の計画性をアピールすることが重要です。

事業計画書の書式は?テンプレートがおすすめ?

事業計画書の枚数について

事業計画書の枚数については特に規定はありませんが、1枚で完結させることが理想的です。作成時の大事な点は何よりも「わかりやすく、しっかりと相手に伝わるかどうか」です。

一般的には創業補助金やベンチャーキャピタルなどの投資を目的としている場合、ページ数は多くなる傾向にあります。一方で金融機関から融資を受ける場合は少ない分量の方が担当者に喜ばれる場合があります。

記載したい情報が多く、どうしても分量が多くなってしまう場合は、結論を一枚にまとめた要約(サマリー)を用意しましょう。

社内用?社外用?テンプレートで簡単に使い分け

事業計画書は融資や投資、補助金だけでなく、社内に向けたものも存在します。社内向けの場合、目的は社員の事業理解や、モチベーションの向上などです。このように一口に事業計画書と言ってもその目的は様々です。用途別にテンプレートを探すことで、自分の目的を効果的に達成できる可能性が高まります。

事業計画書はどこでもらえる?事業計画書のテンプレート入手方法

事業計画書は、多くのテンプレートがさまざまな機関・企業によって用意されています。基本的にはどれを使っても問題ありません。また、既存テンプレートを使わず、自分で作成してもOKです。

数あるテンプレートのなかでも、おすすめなのは日本政策金融公庫がホームページで公開しているテンプレートです。以下、その理由を紹介します。

日本政策金融金庫

日本政策金融公庫は、起業・創業・事業をはじめる方々を支援する政府系の金融機関です。日本の経済成長や地域活性化への貢献を役割とし、はじめて事業を興す方を金融力・情報力・ネットワーク力で応援しています。

その背景から、日本政策金融公庫が配布しているテンプレートは、はじめて事業計画書を書く方にもやさしく、わかりやすい内容になっており、必要事項がすべて網羅されています。そのため、日本政策金融公庫のテンプレートを活用すれば大きな間違いはないでしょう。

日本政策金融公庫の事業計画書(創業計画書)テンプレートは日本政策金融公庫のホームページから無料でダウンロードできます。PDFとExcelの形式があるので、手書きか、パソコンで作成するかに合わせてフォーマットを選択してください。

テンプレートはこちら

より質を高めるには?用途ごとのおすすめアレンジ法

事業計画書の活用場面はさまざまであり、活用場面や用途によってアピールすべきポイントを変えることが大切です。誰に内容を伝えるのかを理解して事業計画書を書けると、事業内容が伝わりやすく、協力が得やすくなります。

融資を受けるなら

融資担当者は事業計画書から「事業に将来性があるか」「返済が滞りなくなされるか」を読み取ろうとします。そのため利息を含めて借入金を全額返せる事業プランが書かれているかがポイントです。書かれている数字は希望的観測ではなく、しっかりとした根拠に基づいて算出されたものを心がけましょう。
また融資は窓口の担当者だけではなく、組織で最終的な可否を決めます。記入している内容に抜け漏れがないことはもちろん、誰が読んでも明瞭な事業計画書であることが求められます。書類を提出する前には、周りの人に読んでもらい、自分が売りたい商品をしっかりと伝え、売上が上げられる構造になっているかどうかなど、わかりやすく書けているか客観的に判断してもらうと良いでしょう。

補助金や助成金を受けるなら

実施機関によって要件が異なるので、まず実施機関の要件を確認しましょう。その上で、要件に沿った計画書を作成します。補助金や助成金制度の目的を踏まえて作成することも大切です。事業に取り組む目的やもたらす影響が機関の目的と繋がるような内容にしましょう。

ベンチャーキャピタルに申請するなら

高い成長性・収益性を有している事業であることを証明することが求められます。ベンチャーキャピタルは投資先の株式公開や事業売却によって投資した資金を回収するビジネスモデルです。そのため、上場ができるだけの成長性、事業を売却できるような高い収益性があることを示す必要があります。

いざ書き始める前に!事業計画書作成で気をつけたいこと

事業計画書の書き方は自由ですが、気をつけておくとよいポイントがあります。事業計画書作成で気をつけたいのは次の2つです。

関連記事事業計画書とはどんなもの?書き方や作成する目的を解説

補足資料の作成ポイント

事業計画書のサンプル通りに作っても融資審査が通らないことは珍しくありません。例えば日本政策公庫の創業計画書には記入例がついていますが、例の通りの文字数で書いてしまうと、内容によっては説明不足とされ審査が通らないことがあります。その場合は事業計画書を補完する「補足資料」を用意する必要があります。

補足資料は事業計画書の各項目に別紙を1ページ作成するイメージです。補足資料は事業計画書同様、「計画本文」「数値計画」の2つを組み合わせて作成します。事業計画書は要約として、補足資料の方で詳しく解説するつもりで作成すると良いでしょう。

図やグラフを活用する

情報は文章だけで伝えるよりも、図やグラフを用いて視覚的に示す方がより具体性が出てわかりやすくなります。特に、市場のトレンドや売上の予測、財務データなどの情報は、グラフや図表で示さなければ読み手に伝わりにくいものです。

図やグラフを用いて、必要な情報をシンプルかつ明確に伝える工夫が事業計画書には求められます。

6W2Hのフレームワークを使う

事業計画書を作成する際は、6W2Hのフレームワークを活用しましょう。

【6W2Hとは】
・When(いつ):実行するタイミング
・Where(どこで):どの市場でサービスを展開するのか
・Who(誰が):誰が事業を展開するのか
・Whom(誰に):どういった顧客を狙うのか
・What(何を):どんなサービスを展開するのか
・Why(なぜ):事業を行う理由
・How(どのように):どのように事業を展開するのか
・How much(いくらかかるか):事業を始める際にどのくらいの資金を必要とするのか

6W2Hに沿って項目をまとめると、事業計画書に明記すべき内容が浮かび上がってきます。細かな数値や資料は後付けするとして、まずは草案のつもりで書き出してみましょう。

事業計画書作成を手書きかPCか決める

事業計画書は手書きでもPCでも作成可能です。しかし記載する内容が多く、書きながら修正することもあるので、編集や修正がしやすいパソコンでの作成がおすすめです。
もし手書きする場合、テンプレート用紙をダウンロードするためのパソコンとテンプレート閲覧に必要なPDFリーダーソフトが必要です。一方、パソコン上で作成する場合は、ExcelやWord、PowerPointなどの編集ソフトが必要です。

これでもう方向性に迷わない!飲食店の事業計画書例・見本

飲食店の事業計画書サンプルは日本政策金融公庫と中小企業基盤整備機構が運営するJ-Netから出ています。

事業計画書の作成例はこちら

基本的にどのような業種であっても事業計画書に記載しておくべき項目は同じです。ただし、収支計画に記載する売上高の計算は業種によって異なるので注意が必要です。飲食店の場合は「客単価×設備単位数(席数)×回転数」で算出するのが一般的です。

その他の業態の見本や記入例

飲食店以外の事業計画書の見本や記入例もJ-Netや日本政策金融公庫に記載されていますので参考にしてみてください。

『日本政策金融公庫』各書式ダウンロード

これで安心!テンプレートを活用した事業計画書の書き方

事業計画書のテンプレートを見ただけでは具体的にどのようなことを書けばいいかわかりにくいことがあります。例えば「事業内容」の項目を場合、どこの範囲までどれだけ書けばいいのか迷ってしまう場合もあるでしょう。
基本的には分かりやすく詳細に書くことが求められます。テンプレートのスペースが小さい場合は要約のみを記載し、別紙にて詳細な内容を用意します。「事業内容」であれば、「誰に」「何を」「どのように商品を提供するか」の3点が必ず必要です。「資金調達」や「収支計画」などの数字を多用する項目は表で書くなどして見やすさを心掛けましょう。

テンプレートはあくまで記載すべき項目の一例です。項目ごとに自身の状況に応じた事業計画書を作成しましょう。

事業計画書の書き方について詳しくはこちらの記事で解説しています。

参考記事:【簡単解説】融資を引き出す事業計画書の書き方

テンプレートを活用して事業計画書を完成させよう!

事業計画書は書く内容が多く、また書き方が自由であるがゆえに作成が難しいと感じる方もいるかもしれません。テンプレートを活用することで迷わずに必要な項目を埋めることができ、事業計画書の作成が容易になることでしょう。ただしテンプレートはあくまで参考です。必要に応じて項目を増やしたり、削ったり、売上を予測を考えたり、自分の売りたり商品をもう一度調査したり、さまざまな角度から検討しましょう。資金繰りのための事業計画書かもしれませんが、この書類が後々の経営の指針になったりもします。今回の記事を参考に、事業や実情に合わせたオリジナルの事業計画書を作成してしっかりと書類を完成させてみてください。

事業計画書の作成に悩む方はcanaeruで無料相談!

事業計画書は書く内容が多く、また書き方が自由であるがゆえに作成が難しいと感じる方もいるかもしれません。その場合は、テンプレートを活用すると、迷わず事業計画書の作成を進められるでしょう。

ただし、テンプレートはあくまでも参考です。必要に応じて項目を増やす、削る、図や資料を添付する、市場や商圏調査をするなどしてブラッシュアップしましょう。

canaeruでは、事業計画書の作成に悩む方向けに「無料開業相談」を実施しています。日本政策金融公庫や金融機関出身のプロフェッショナルが、豊富な経験から事業計画書の作成をサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修

株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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