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飲食店のFL比率と原価率の目安は?計算方法と改善のポイントを解説[人気記事]
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飲食店のFL比率は、売上高に対する食材費と人件費の割合を示す指標です。昨今は食材価格や最低賃金の上昇が続いており、売上が増えても手元にお金が残りにくい状況が生まれています。
家賃などの固定費もかかるため、適正なコスト配分を維持できなければ、日々の営業努力が利益に結びつきません。
日々の店舗運営に追われる中で、利益を圧迫する原因をどう特定し、どのメニューやシフトから見直すべきか、判断に迷う方も多いのではないでしょうか。
今回は各種コストが高騰する背景と飲食店のFL比率や原価率の目安について、具体的な計算方法や経営改善のポイントを交えて解説します。
目次
FL比率・FLコストとは
飲食店で手元に利益を残すためには、売上を伸ばすだけでなく経費の状況を正確に把握する必要があります。ここが曖昧なままだと、忙しく働いているのに利益が出ないという事態になりかねません。
基本となるFLコストとは、Food(食材費)とLabor(人件費)を合計した費用のことです。これは店舗運営の大部分を占める大きな支出であり、実際の金額そのものを指します。
一方のFL比率とは、全体の売上高に対してFLコストが占める割合を示す指標です。FLコストが金額であるのに対し、FL比率は割合(%)を表すという違いがあります。
まずはこの2つの意味を区別し、自店舗の経費バランスが適正かどうかを客観的な数値で確認できる状態をつくっておきましょう。
原価率とは?
原価率は、売上高に対する原価の割合を示す指標です。具体的には、提供する商品やサービスの原材料費や製造コストが売上の何%を占めるかを表します。
飲食店の適正な原価率は25〜30%が上限といわれていますが、業種やビジネスモデルによりさまざまです。原価率が高いと売上に対する材料費の割合が多くなり、結果として利益が少なくなります。逆に原価率が低ければ、同じ売上でも利益が増えます。つまり、利益を増やしたければ原価率を低く抑えればいいわけです。
しかし、利益を増やすために無理に原価率を下げると、商品やサービスの品質が低下する恐れもあるためやりすぎは禁物です。いかに適正な原価率を設定、維持するのかが飲食店経営を継続するポイントになってきます。
また、季節による食材の高騰や予期せぬロスを考慮し、原価率には一定のバッファーを持たせることが大切です。健全な飲食店経営を行うためには、原価率を適切にコントロールし、品質を維持しつつ利益を確保することが重要です。
原価率の業界別基準値と分析方法
原価率は業界によって異なる基準値があります。中小企業実態基本調査のデータによると、例えば建設業の原価率は約60%、製造業は約70%、小売業は約80%、飲食業は約30%とされています。
これらの業界別基準値を知ることで、自社の経営状況を客観的に分析することが可能になります。
詳しいデータについてはこちらをご覧ください。
業界ごとの原価率の特徴を理解することも重要です。
例えば、飲食業では食材の原価が大きな割合を占めるため、仕入れ先の選定や仕入れ量の調整が重要です。
小売業では仕入原価を低く抑えることが利益率向上のカギとなります。
製造業では製造原価の管理が重要で、効率的な生産プロセスの構築が求められます。
これらの具体例をもとに自社の原価率を分析し、適切な経営戦略を立てることがポイントです。
飲食店経営で原価率を把握しておくメリット
飲食店経営において原価率を把握しておくと、適正な販売価格を設定でき、どのメニューが儲かりやすいのかを知ることができます。健全な経営には、利益のコントロールが欠かせません。決して不利益にならない価格設定と、利益を得るための戦略は重要です。
それに加えて、人件費の予算上限を把握しやすくなる点も大きなメリットです。人件費と原価率の合計は60%以下が目安と言われており、この数値を上回ると赤字になる可能性が高まります。つまり、原価率を把握しておけば、利益を確保するための人員配置もはっきりするのです。原価率とFL比率の違い
原価率とFL比率の違いは、計算に含めるコストの範囲です。この2つの指標は、以下の4項目で整理すると一目で全体像を比較できます。
1つ目の対象となる費用は、原価率が食材費や飲料代などの原価のみを指すのに対し、FL比率は食材費と人件費の合計を対象とします。
2つ目の計算式は、原価率が原価÷売上高×100で求めるのに対し、FL比率は(食材費+人件費)÷売上高×100で算出します。
3つ目の数値からわかることは、原価率がメニューごとの採算性や食材のロス状況を示すのに対し、FL比率は店舗全体のコストバランスや収益性を可視化する指標です。
4つ目の主な活用場面は、原価率が提供価格の決定や仕入れの見直しに使われるのに対し、FL比率はシフト作成や営業時間の最適化など、全体の経費コントロールに役立ちます。
比較項目 原価率 FL比率 対象となる費用 食材費や飲料代などの原価 食材費と人件費 計算式 原価÷売上高×100 (食材費+人件費)÷売上高×100 わかること メニューごとの採算性や食材のロス状況 店舗全体のコストバランスや収益性 主な活用場面 提供価格の決定や仕入れの見直し シフト作成や営業時間の最適化
実際の店舗運営では、どちらか一方だけを見るのではなく両方の指標を併用することが求められます。原価率が理想的な水準に収まっていても、仕込みや接客に手間がかかり人件費が膨らんでいれば、最終的な利益は大きく目減りしてしまうからです。
原価率だけでは人件費の過不足を判断できないため、店舗全体の収益性を正確に確認する際は必ずFL比率も併用します。ここでコストの偏りを客観的に把握しておけば、売上は十分なのに利益が残らないという事態を未然に防ぐことができます。
原価率の計算方法とは?
原価率は売上に対する原価の割合で求められます。計算式は次のようになります。
原価÷売値×100(%)=原価率(%)
たとえば、800円で仕入れたものを1000円で販売したとします。上記の計算式に当てはめると、原価800円÷売値1000円×100%=80%となります。つまり、この場合の原価率は80%だということがわかります。
原価率から売値を決める計算式
原価率とは、売上に対する原価の割合を示す指標です。この原価率を基に売値を決めることで、適切な利益を確保することができます。
例えば、ラーメンの場合、食材の原価が300円で原価率を30%と設定すると、売値は1,000円になります。同様に、定食で食材の原価が400円で原価率を35%と設定すれば、売値は約1,143円、ドリンクなら、原価が100円で原価率を25%に設定すると、売値は400円になります。
このように、原価率を理解し、それに基づいて売値を設定することで、飲食店の利益率を最適化することが可能です。
特に飲食店では、食材の価格変動や季節ごとの需要変化を考慮に入れた柔軟な価格設定が求められます。そのため、原価率を常に把握し、適切な売値設定を行うことが重要です。
FL比率・FLコストの計算方法
FL比率はF=フード(材料費)とL=レイバー(人件費)を合計したFLコストを売上高で割り、100を掛けることで算出します。例えば月の売上高が200万円だとして、FLコストが80万円なら40%、100万円なら50%、110万円なら55%、120万円なら60%という具合です。
つまり、売上高が200万円でFLコストが100万円以下なら合格、それ以上でも120万程度までなら許容ライン、120万円を超えたら早急に材料費や人件費の見直しが必要でしょう。

FL比率の計算式と具体例
自店舗の利益が適正かどうかを見極めるためには、具体的な数字を出してみることが第一歩です。まずは、基本となるFL比率の計算式を確認しておきましょう。
FL比率の計算式は「(食材費+人件費)÷売上高×100」です。
実際にどのようになるのか、月間売上高300万円、食材費90万円、人件費75万円の店舗を例に計算してみます。手元に自店舗の数字があれば、ぜひ当てはめながら進めてみてください。
まず、食材費を示すF比率は90万円÷300万円×100で30%です。
次に人件費を示すL比率は75万円÷300万円×100で25%となります。この2つを合計した結果、FL比率は55%になります。
項目 金額 計算式 比率 月間売上高 300万円 ― ― 食材費 90万円 90万円÷300万円×100 30% 人件費 75万円 75万円÷300万円×100 25% FL比率 165万円 (90万円+75万円)÷300万円×100 55%
このように算出された数字は、一度計算して終わりではなく、毎月の推移を追うことで経営悪化の兆候に気づきやすくなります。
月ごとの変化を正しく比較するためには、食材費と人件費の集計において、毎月同じ基準・範囲の金額を用いて統一しておくことが必要です。
FL比率から売上目標を逆算する方法
FL比率を活用してほしい1つめのシーンは、売上目標を設定するとき。
例えば材料費が100万円、人件費が50万円かかる場合、FL比率を50%にするために必要な売上を計算すると、300万円という数値が出ます。つまり、健全な経営のために目指すべき売上目標は300万円となり、それを1か月の営業日で割れば1日の売上目標も算出できるのです。
その金額を達成できているのか経営状態を確認し、もし、できていないとしたら売上を上げる、もしくはFLコストを下げるための方策を考えるべきでしょう。
FL比率から削減すべき経費を見つける方法
もともと飲食店は原価・経費がかかる業態のため、その費用や内容を定期的に見直し、無駄な支出を削減する必要があります。その際はまずFL比率を算出し、さらに経費を細分化して割合が高い箇所を見つけると、効果的な対策が可能になるでしょう。
例えば取り扱う食材の種類が多い喫茶店や、新鮮なネタを必要とするぶん材料費がかさむ寿司屋などは、同じ飲食店でもFL比率が高くなる傾向があります。また、セルフサービス式よりもフルサービス式の店舗は人件費がかさむなど、それぞれの特性を踏まえながら問題点を洗い出し、何を削減すべきか検討しましょう。
原価率の目安は企業規模・業界で異なる
原価率は業種や企業規模によって大きく異なります。一般的な目安として、飲食店では25〜30%程度が適正とされていますが、具体的な適正原価率は各ビジネスの特性や経営方針によって変動します。例えば、製造業は原材料費が高く原価率も高めで、サービス業は人件費が高く原価率はやや低めです。
また、同じ飲食業界内であっても、企業の規模や経営方針によって原価率の設定は異なります。小規模な飲食店では、コスト削減を重視して原価率を低く抑える戦略がよく見られます。逆に、大規模なチェーン店では、スケールメリットを活かし、原材料を大量購入することで低い原価率を実現しています。
関連記事 ラーメン屋の利益率とは?原価率や経費についても解説!
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飲食店を安定して経営していくためには、FL比率を適正な水準に保つ必要があります。ここを把握しておかないと、利益が残らない原因を見落としてしまいます。
FL比率の適正値
飲食店のFL比率は55~60%が一般的であると上記で説明しましたが、FL比率ごとによる状況について細かく見ていくと以下のようになります。
<FL比率50%以下>
食材費と人件費の比率が高い水準でコントロールできており、まったく問題のないお店と言っていいでしょう。
<FL比率50~55%>
食材費と人件費の比率が高い水準でコントロールできています。良いお店の基準になるライン。
<FL比率55~60%>
状況は悪くありませんが、改善の余地はありそうです。
<FL比率60~65%>
人件費のほか、食材費のコントロールがうまくいってない可能性があります。早急な見直しが必要です。
<FL比率65%以上>
経営が破綻する可能性があります。一刻も早い見直しが必要でしょう。業態別FL比率の水準
飲食店と一口に言っても、喫茶店やうどん屋さんなど種類は様々です。業種別のFL比率のおおまかな水準は以下の通りです。
<中華料理屋さん>
F(材料費):31% L(人件費):28% FL比率:59%
<喫茶店>
F(材料費):34% L(人件費):26% FL比率:60%
<蕎麦・うどん屋さん>
F(材料費):31% L(人件費):29% FL比率:60%
<イタリアン・フレンチ>
F(材料費):32% L(人件費):28% FL比率:60%
<日本料理屋さん>
F(材料費):35% L(人件費):27% FL比率:62%
<お寿司屋さん>
F(材料費):42% L(人件費):24% FL比率:66%
喫茶店とイタリアン・フレンチ、蕎麦・うどん屋さんは同じFL比率でも、FとLの比率はそれぞれ異なっています。蕎麦・うどん屋さんやイタリアン・フレンチよりも、喫茶店の方が手軽に始められそうな印象ですが、意外と取り扱う食材の種類が多く、使う材料が限られている蕎麦・うどん屋さんやイタリアン・フレンチよりもF比率が高くなります。お寿司屋さんは調理を担当の人数が少ないことでL比率が最も低いものの、新鮮なネタを扱う分、材料費が高くなります。業種によってそれぞれ課題となる項目が異なるので、それぞれの違いをあらかじめ把握しておくことも重要と言えるでしょう。
FL比率が60%を超える場合の経営リスク
FL比率が60%を超える状態が続くと、ほかの経費や利益に充てられる金額が不足しやすくなります。飲食店のFL比率は一般的に50〜60%が目安とされており、これを超える場合は経営改善に向けた見直しが必要なサインといえます。
たとえば売上100万円の場合、FL比率が60%に達すると、食材費と人件費だけで60万円を消費する計算です。手元に残る40万円から家賃や水道光熱費などを支払うことになるため、ここを放置すると想定以上に手元のお金が減って慌てかねません。
この状態が続くと、利益や資金繰りを圧迫し、手元資金が枯渇しやすくなります。設備の故障など、突発的な支出にも対応しにくくなるため注意が必要です。
項目 売上100万円の場合 FL比率60%の場合 売上高 100万円 100万円 食材費+人件費 ― 60万円 FL比率 ― 60% その他に使える金額 ― 40万円 主な費用 ― 家賃・水道光熱費など
ただし、60%という数値だけで一律に経営不振とは断定できません。まずはF比率(食材費)とL比率(人件費)に分解し、業態の特性や複数月の推移を踏まえて、どちらが原因かを確認してみてください。なお、70%という数値は家賃を含めたFLR比率の一般的な目安です。FL比率の目安と混同しないよう区別して、自店舗の数値を冷静に読み解いていきましょう。
原価率が高くなる原因と下げるための対処法
原価率が高くなる原因は多岐にわたりますが、適切に管理することで、健全な経営の維持が可能になります。以下に、原価率が高くなる代表的な原因とその対処法を説明します。
不良在庫|在庫管理の方法を変更する
不良在庫が発生すると、その原価分が売上に反映されないため、原価率が上がってしまいます。不良在庫を減らすには、定期的な棚卸しや在庫管理システムの導入が効果的です。また、売上データを分析して需要予測を行い、必要最低限の在庫を保つことが継続的な不良在庫問題の解決に繋がります。
さらに、季節やトレンドを考慮した上での在庫の回転促進や、不良在庫の発生を防ぐためのプロモーション活動を行うことも効果的です。これにより、在庫の適正化が進み、原価率を抑えられるようになります。食品ロス|賞味期限の管理を徹底する
食品ロスは直接的に原価率を上昇させるため、賞味期限の管理を徹底することはコスト削減に直結します。入荷した食材は必ず鮮度や製造日、賞味期限を確認し、古いものから順に使う「先入れ先出し」の原則を徹底しましょう。また、定期的に在庫をチェックし、賞味期限が近い食材を優先的に使うようにします。
さらに、調理プロセスの効率化や、ロスを減らすための創意工夫をスタッフと共有することも重要です。料理の提供量や調理方法を見直し、余剰食材の活用法を考えることで、食品ロスを最小限に抑え、原価率の適正化が図れます。保存環境が悪い|設備の導入や保存方法を見直す
保存環境が悪いと、食材の劣化が早まり、廃棄が増えて原価率が高くなります。対策として、冷蔵庫・冷凍庫の性能を見直し、必要な設備を導入することが効果的です。設備の導入にはまとまった費用が必要になりますが、長期的な視点で捉えると安くつくケースもあります。購入が厳しい場合は月払いのリースを活用するとよいでしょう。
また、保存方法も適切に見直すと食材が長持ちする可能性があります。食材ごとに最適な保存温度や湿度を確認し、適切に管理する方法が理想ではありますが、温度や湿度の調整ができない場合は保存容器の見直しや、冷蔵庫内の配置変えが有効です。こうした対策を通じて保存環境の改善を図り、食材の廃棄を減らすと原価率が抑えられます。オーバーポーション|適切なポーションに抑える
オーバーポーションとは、料理に規定以上の量を使用することです。これが頻発すると、想定よりも多くの食材を消費し、結果として原価率が上昇します。
対策としては、調理スタッフに対してポーション管理のトレーニングを実施し、クッキングスケールなどを用いて正確な量を測るようにすれば問題ありません。また、レシピを明確にし、標準化することでオーバーポーションは防げます。さらに、定期的なキッチン監査を行い、ポーションが最適かどうか確認することも重要です。こうした取り組みによって、材料の無駄を減らし、原価率の適正化が図れるでしょう。原価率が高い料理の注文率が高い|全体の原価率を調整する
一部の高原価率メニューの注文が多いと、全体の原価率が上がります。対策としては、集客力のある高原価率商品については適正価格を設定する一方、低原価率商品の販売を促進し、バランスの取れたメニュー構成を組むことが重要です。
加えて、原価率を抑えたセットメニューやコース料理を設定して、積極的にプロモーションを打ち出すことも効果的です。具体的には、季節限定や数量限定といった特別感を打ち出すことで目当てのメニューに顧客の関心を引きつけ、注文を促します。
そのほか、定期的にメニューの分析と見直しを行い、売れ筋商品と利益率のバランスが崩れていないか確認することも大切です。仕入れ額が高額|仕入れ先を再考する
仕入れ原価が高いと、その分を商品の売価に転嫁しきれず、原価率が高くなります。これを防ぐには、複数の業者と交渉し、価格比較を行い、より安価で高品質な材料を提供してくれる仕入れ先を見つける必要があります。
また、業者によっては一度に大量に仕入れることで価格交渉を有利に進めることが可能です。地元の生産者や農園などと直接取引を行うことで、中間マージンを削減し、コストを抑えることを検討してみても良いでしょう。価格が安定している冷凍食材を活用するのも一案です。
ただし、仕入れは信頼のおける業者と継続的な関係を築くことも重要です。新規取引のタイミングだけ安く見積もる業者もいるため、既存の業者への交渉を優先しましょう。原価に対して売値が安すぎる|販売価格を適正にする
販売価格が原価に対して低すぎると、いくら売上が向上しても利益が出にくくなってしまいます。十分な利益を出すためには販売価格を適正に設定し、原価率と利益率のバランスを取ることが重要です。市場調査を行い、競合他社の価格帯を参考にしながら適切価格を設定します。
また、価格に見合った価値を提供するために、サービスの質を向上させることも大切です。顧客に対して、商品の価値をしっかりと伝え、納得してもらえる価格設定を行うことで、長期的な信頼関係が築けます。これらの取り組みにより、健全な利益を確保し、持続可能な経営が実現できるでしょう。突発的な原価の高騰|適宜、販売価格を変更する
市場の変動により、突発的に原価が高騰することは多々あります。この場合、原価率を維持するためには、販売価格を一時的に調整することも検討しましょう。ただし、コスト増加による価格変更であることを顧客に納得してもらわなければなりません。
また、可能であれば高騰する前に大量購入や長期契約を行い、価格の安定化を図ることも一つの手段です。価格変更に際しては、顧客への告知を迅速かつ丁寧に行い、理解を得るようにしましょう。こうした柔軟な価格設定と事前対策によって、一時的なコスト増加に対応できるようになります。
FL比率を改善するための人件費管理
もう1つのFLコストの要素であるL=レイバー(人件費)は、売上高に対して20%ほどに抑えられると合格点。30%を超えてしまうとコントロールができていない状況であると見なされ、早期の改善が必要となります。
それでは、どうすれば人件費を削減できるのか? 次に、いくつか具体例を挙げていきます。
システムをデジタル化する
ITの発展が著しい今、人件費を削減するために、まず着目すべきはシステムのデジタル化、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)化でしょう。
例えばタブレットで運用でき、人が注文を取りに行く必要のないテーブルオーダーシステムや配膳ロボット、顧客情報まで一元管理できるPOSレジなど、有用なシステムが現在、次々に開発されています。中には注文数から原価率を管理できるPOSレジなど、材料費の見直しもできて一石二鳥なものも。店舗に合ったシステムを導入すれば、業務効率の飛躍的な改善につながり、結果的に人件費を抑えることができます。
関連記事 【飲食店のDX】デジタルを取り入れたスタッフ教育でモチベーションを変える
オペレーションを見直す
店舗を回すために必要な人員が一人減るだけで、毎月の人件費は大きく変動します。まずは、より効率的な動線を検討し、厨房やホールの適正人数を見直してみましょう。その上で従業員の労働時間やシフトを調整して、無駄のないシフトを組んでいくことも大事です。
ただし、無理に人数を減らして人手不足となり、サービス低下に陥ると、今度は売上高の低下に直結しかねません。あくまでも「適正な」スタッフ人数と構成を心がけましょう。
管理者や従業員の教育体制を整える
社員に店舗を任せている場合は、管理者用マニュアルの整備やセミナーへの参加を促す
ことも一計です。管理者のスキルが上がり、スタッフに効率よく指示出しをできるようになれば、より店が上手く回るようになり、結果的に人件費が下がります。
また、社員のモチベーションが低下するとスタッフの管理もおろそかになる恐れがあるため、待遇面に気を配ることも大事。社員のやる気を高めることも、オーナーの重要な仕事の1つです。
人時売上高をもとにシフトを最適化する
人件費は削減するだけでなく、生産性を高める視点で管理することが重要です。単にスタッフの人数を減らすだけでは、お客様への対応が遅れるなどサービス品質の低下を招く恐れがあります。
そこで客観的な指標となるのが、スタッフ1人が1時間あたりに稼ぎ出す金額を示す人時売上高です。この数値は、売上を総労働時間で割ることで算出できます。シフト作成へ活用するために、まずは店舗の繁忙時間と閑散時間の売上データを詳細に分析してください。
忙しい時間帯には十分な人員を配置して売り逃しを防ぎ、客足が落ち着く時間帯は最小限に抑えるといった調整がポイントです。繁閑に応じた適正な人員配置ができれば、無駄な労働時間を減らせます。サービス品質を維持しながら生産性を向上させることが、結果的にFL比率の改善へとつながります。
FL比率を継続的に管理する方法
一度計算して適正範囲に収まったからといって、安心して放置するのは禁物です。日々の営業負担にならない範囲で定点観測を続け、経営のブレを早めに察知する仕組みを整えます。
FL比率を月次で記録して推移を確認する
FL比率は毎月記録し、数値の推移を確認することが重要です。日々の忙しさから一度計算しただけで満足してしまいがちですが、定点観測することで初めて経営の全体像が見えてきます。
毎月の記録項目として、売上高・食材費・人件費・F比率・L比率・FL比率の6つを揃えておきます。このとき、集計期間や費用の範囲は毎月必ず統一します。常に同じ条件で比較できるように整えておくのがポイントです。
記録項目 確認する内容 売上高 月間の売上金額 食材費 食材にかかった費用 人件費 人件費の合計 F比率 食材費の売上に対する割合 L比率 人件費の売上に対する割合 FL比率 食材費+人件費の売上に対する割合
単月の結果だけで判断せず、前月比や前年同月比と見比べることが肝心です。数か月分の数値を並べることで、食材費や人件費の変化に早く気づけます。たまたま生じた一時的な変動なのか、継続的な悪化なのかを冷静に区別できるはずです。
予算と実績の差から改善箇所を特定する
FL比率の改善には、目標値と実績値の差を確認する予実管理が有効です。
まず、売上高・F比率・L比率・FL比率の4つを項目例として表にまとめ、月次の予算や目標値を設定します。あらかじめ基準を持っておかないと、結果が出たあとに何が悪かったのかを見失いがちです。
実績との差が生じた場合は、全体の数値だけでなく各項目を分解して比較します。売上不足なのか、食材費が増加したのか、それとも人件費がかさみすぎたのか、悪化の原因を特定するためです。
原因がわかれば、次に打つべき手が明確になります。食材費が原因なら仕入れや価格設定の見直しを、人件費が原因ならシフトの最適化を検討するなど、状況に応じた施策へつなげてください。
季節や繁閑による変動を踏まえて判断する
FL比率は季節や店舗の繁閑によって変動するため、単月の数値だけで判断しないことが重要です。まずは、年間を通した売上の波を踏まえて数字を見ていく必要があります。
たとえば閑散期は、売上が減少することで、同じ人件費でもL比率(人件費率)が高くなりやすい傾向にあります。逆に繁忙期には、仕入れ量の増加や食品ロス、残業時間の発生などにより、F比率(食材原価率)やL比率が一時的に上昇する場合があります。焦ってシフトを削ると、サービスの質を落としかねません。
こうした変動に振り回されないためにも、前年同月や同じ曜日構成の期間と比較してみてください。季節特有の要因なのか、それとも経営上の問題なのかを分けて判断する視点が、改善への着実な一歩となります。
FL比率は低いほど良いわけではない
FL比率を抑えるために必要なのは、材料費と人件費を下げること。とはいえ、仕入れる食材のレベルを落としたり、メニューの種類やスタッフの人員を減らした結果、料理の味が落ちる、スタッフのサービスの質が低下するなどの事態を招き、顧客離れにつながっては本末転倒です。
まずは、お客様へのサービスを第一に考え、その質をキープした上で食材費やシフト管理を再検討し、可能な経費削減案から実行していきましょう。
料理やサービスの品質低下に注意する
FL比率は低ければ良いというものではありません。数字の改善だけを追い求めて強引にコストを削ると、お店の魅力そのものを損なう恐れがあります。
たとえば、原価を下げるために食材のランクを極端に落としたり、人件費削減のためにピーク時のホールスタッフまで減らしたりしたとします。その結果、料理の味が落ち、注文の提供が遅れるようになれば、顧客満足度やリピート率は確実に下がっていきます。一時的にコストは減らせても、客離れが起きて長期的な利益の減少につながっては本末転倒です。
そのため、コスト削減ばかりに目を向けるのではなく、客単価や来店頻度を上げるといった売上向上も同時に考える必要があります。FL比率は単独で引き下げを狙うのではなく、最終的な利益とのバランスを見ながら丁寧に改善していきましょう。
コスト削減と売上維持のバランスを取る
FL比率を改善するには、単なるコスト削減だけでなく、売上を増やすアプローチを組み合わせることが不可欠です。
食材の廃棄ロスや無駄なシフトを減らすコスト削減は即効性がありますが、それだけでは限界が来やすいものです。そこで、客単価や来店客数を伸ばす売上増加の施策を並行して進める視点が求められます。
たとえば、原価率が低く利益が出やすいメニューをおすすめとして積極的に案内したり、ドリンクとのセット販売を提案したりする工夫が有効です。
最後に忘れてはいけないのが、毎月必ず数値を振り返る作業です。打った手が本当に効果を上げているか定期的に検証し、無理のない店舗づくりを進めていきましょう。
原価率を踏まえた販売価格の決め方
販売価格は商品の原価や人件費、利益などを総合して決定します。ここからは、基本となる販売価格の決め方を、計算式を交えて詳しく解説します。お店のスタイルや客層、回転率などを考慮し、自店に合ったものを取り入れましょう。
仕入れ価格で決める
多くの飲食店で採用しているのが、あらかじめ原価率を設定しておき、仕入れ価格から販売価格を決める方法です。この方法が多く採用される理由は、考え方がシンプルで計算もしやすいからでしょう。
エクセルなどの表計算ソフトに数式を入れておけば、仕入れ価格を入力するだけで販売価格が算出できます。この方法は仕入れ価格が変化した場合にも役立つのでおすすめです。
仕入れ価格から販売価格を決める際は、以下の計算式を使用します。
仕入れ価格÷原価率=販売価格
例えば、仕入れ価格が300円の場合、原価率を30%に設定すると以下の計算式によって、販売価格は1,000円となります。
300円(仕入れ価格)÷0.3(原価率)=1,000円(販売価格)
ただし、この計算方法はあくまで店側の都合によるものです。市場価格や、料理そのものの価値などは考慮しない価格設定になるため、「相場より割高」「コスパが悪い」といった印象を与えてしまうことがあります。また、競合店より高い価格設定になることもあるため、価格競争で不利になる可能性もあるので注意が必要です。利益率から計算する
あらかじめ利益率を設定しておき、販売価格を算出する方法もあります。この方法のメリットは、販売価格を容易に決められる上、利益を一定に保ちやすい点です。
こちらも決まった計算式によって算出できるため、エクセル等の表計算ソフトで作業を効率化できます。
利益率から販売価格を計算する計算式は以下の通りです。
仕入れ価格÷(1−利益率)=販売価格
例えば、仕入価格が600円の場合、利益率を70%に設定すると以下の計算式により、販売価格は2,000円となります。
600円(仕入れ価格)÷0.3(1−利益率0.7)=2,000円
ただし、こちらの計算式も仕入れ価格から計算する方法と同様に、市場価格や競合店の価格設定などを考慮した方法ではありません。店側の都合による設定方法になるため、商品に設定した料金の価値があるのかを慎重に見極める必要があります。利益の確保は大切ですが、顧客のニーズから大幅に外れないよう注意しましょう。
市場の動向や競合店の価格から算出する
計算式を使わず、商品の市場の動向や競合店の価格から販売価格を決める方法もあります。いわゆるマーケティング戦略に基づいて、販売方法を決めていく方法です。
市場や競合店の価格とメニューの内容を把握することで、同等の価格設定ができたり、価格
競争で優位に立てる可能性が生まれます。また、他店にないメニューを開発・提供できれば、多少販売価格を高くしても、顧客は支払ってもよいと感じるでしょう。
この方法は顧客のニーズに沿った価格設定方法ではありますが、原価率や利益率をベースにした方法とは異なり、先ほど紹介したような計算式は使用できません。多くのリサーチによって販売価格を決めるため、価格設定の難易度が大幅に上がります。
市場の動向を把握し、理解するにはマーケティングの知識が必要になります。マーケティングの知識がなかったり、調査を行う時間がない方は、専門業者への外注を検討してみましょう。
原価率と利益を踏まえて販売価格を決める際の注意点
販売価格を決めるときは、原価率以外にも以下の3つの注意すべき点があります。
✔利益率に余白はあるか
✔市場の相場や競合の価格に近いか
✔顧客が納得する価格か
それぞれ詳しく解説します。利益率に余白はあるか
利益率を設定する際、少し余裕を持っておくことが大切です。近頃は食材や備品の値上がりが頻繁にあるため、利益率をギリギリにしてしまうと、仕入れ価格向上のたびに値上げを行う必要が生じます。実際のところ、毎月のように取引業者から値上げの告知を受けているお店もあるはずです。
しかし、頻繁に値上げを行うと、顧客が離れてしまう可能性が高まるため、そう簡単に値上げはできません。多少仕入れ価格が上がっても利益を確保できるよう、前もって利益率に少しばかり余白を持たせておきましょう。市場の相場や競合店の価格に近いか
市場の相場や競合店の価格とかけ離れていると、集客が非常に困難になります。特別に抜きん出た料理やサービスなどの付加価値を提供する場合は例外ですが、一般的な飲食店は、相場価格を外さないことが重要です。
相場に比べて価格が安すぎると、材料や調理法などに不信感を抱かれる可能性があり、価格が高すぎると来店してもらいにくくなります。価格を設定する際は利益率を考慮した上で、相場や競合店と近しい価格に設定しましょう。
顧客が納得する価格か
販売価格を適正にしても、顧客は高いと感じている場合があります。これは店のコンセプトがうまく打ち出せていなかったり、メニュー名や料理説明が不十分な際に起こる現象です。
解決するには、価格の根拠を明確にして、店側と顧客のギャップを埋める必要があります。例えば、どのくらい仕込みに手間と時間をかけたのか、どれほど希少な食材なのか、ボリュームはどのくらいなのかをメニューやホームページ等に記載し、顧客の理解を促しましょう。FLR比率とは?家賃を含めた経営指標
FLコストに加えて、毎月の固定費として重くのしかかる家賃の存在も忘れてはいけません。ここを見落とすと、全体の収益性を正しく把握できなくなります。
FLR比率とFLRコストの意味
FLR比率とは、売上高に対してFLRコストが占める比率を表した数値です。FLRコストとは材料費と人件費を合計したFLコストに、さらに「R=レント(家賃)」をプラスしたもの。
飲食店の経営には店舗が必須であり、その家賃の大小が経営コストに大きな影響を与えるため、より健全な経営を目指すにはFLR比率も考慮する必要があります。
FLR比率の計算方法
FLR比率の算出方法も、基本的にはFL比率と変わりません。F=フード(材料費)、L=レイバー(人件費)、R=レント(家賃)を合計したFLRコストを売上高で割り、100を掛けることで算出できます。例えば月の売上高が200万円だとして、FLRコストが100万円なら50%、120万円なら60%、140万円なら70%となります。
FLR比率の目安
FL比率の目標が50%なのに対し、FLR比率は70%を超えないようにするのが一般的な目安です。事業計画を立てる際にはFLR比率も視野に入れ、家賃がいくらまでなら70%を超えないかを計算し、その範囲で店舗用の物件を決めるようにしましょう。
そうすれば利益を確保しつつ、問題のない店舗経営ができる可能性が高くなります。
FL比率とFLR比率の使い分け
FL比率とFLR比率は、用途に応じて使い分けることが重要です。まずは、それぞれの役割の違いをしっかりと押さえておきましょう。
FL比率は、日々の店舗運営において食材費と人件費を管理するための指標です。一方でFLR比率は、固定費である家賃を含め、店舗全体の収益性を確認する際に用います。
家賃が経営コストに与える影響は決して小さくありません。そのため、近年はFL比率とあわせてFLR比率を重視する考え方が広く浸透しています。
日々の運営改善にはFL比率を、新規出店や物件選定の計画にはFLR比率を活用してみてください。二つの指標を適切に使い分けることで、より的確な経営判断につながります。
指標 含まれるコスト 主な用途 FL比率 食材費+人件費 日々の店舗運営・コスト管理 FLR比率 食材費+人件費+家賃 店舗全体の収益性・新規出店や物件選定
FL比率に関するよくある質問
FL比率の計算や考え方について、いざ自分の店舗に当てはめようとすると迷うポイントは少なくありません。ここでは、よく寄せられる疑問にお答えします。
FL比率は税込売上と税抜売上のどちらで計算する?
FL比率は、売上高と費用を同じ税区分にそろえて計算します。売上を税込にするなら、食材費などの費用も税込で集計しなければ正確な数値を把握できません。ここで基準がずれてしまうと、日々の見直し作業も空回りしてしまいます。
基本的には、店舗の会計処理や社内資料の基準に合わせて税込・税抜のどちらか一方に統一します。毎月同じ方法で集計し、過去の数値と正しく比較できるようにしておくことが改善への近道です。
個人事業主である店主自身の人件費はFLコストに含める?
店主自身の人件費を含めるかは、FL比率を計算する目的によって異なります。個人事業主本人への支払いは、一般的に従業員の給与とは会計上の扱いが違うためです。ここを混同すると本当の利益が見えにくくなるので、少し注意がいります。
FL比率を経営判断に使う場合は、店主の労働時間に見合う想定人件費を加える方法があります。日々の資金繰りを見る数値と、事業の採算性を見る数値を分けて管理しておけば、店舗の現状をより正確に把握できるはずです。
テイクアウトやデリバリーの手数料はFLコストに含まれる?
デリバリー手数料は、一般的にFLコストには含めません。プラットフォームへの販売手数料は、食材費(F)や人件費(L)のどちらにも該当しないためです。
また、容器代や包装資材費も食材原価とは分けて管理しましょう。ここをごちゃ混ぜにすると、どこで利益が削られているのか見えにくくなります。店内飲食・テイクアウト・デリバリーのチャネル別に採算を分け、手数料を引いた実際の利益額や利益率を確認することが大切です。
開業に関するお悩みは「canaeru」にご相談ください
飲食店開業に関してお困りのことやご不明点があれば、「canaeru(カナエル」)にご相談ください。
「canaeru」を運営する株式会社USENは、国が定める経営革新等支援機関(認定支援機関)です。税務、金融および企業財務に関する専門的知識や支援にかかる実務経験が一定レベル以上ある支援機関として国に認められています。飲食店開業経験者や元金融機関出身者が、事業計画書の作成や資金調達など飲食店開業をトータルでサポートいたします。
canaeruとは?FL比率を定期的に見直して利益の残る飲食店経営を目指そう
原価率を適切に管理することは、飲食店経営において極めて重要です。原価率が高すぎると利益が出にくくなり、低すぎると品質の低下を招く恐れがあります。
飲食店が健全な経営を実現するためには、原価率の目標値を設定し、それに見合った価格設定と品質維持を行いながら、利益確保に努める必要があります。原価率は業種や規模で異なりますが、バランスの取れた原価率の管理こそが飲食店を長く続ける秘訣といえるでしょう。
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