感染症拡大の影響により、お弁当の需要が拡大しています。それに伴い、キッチンカーでのお弁当の移動販売の人気も高まっています。キッチンカーは初期費用が安く、始めやすいのですが、開業にあたっては資格取得や許可の申請が必要不可欠です。キッチンカーで移動販売を始めるために必要な許可や資格の取得方法について、また開業までの事前準備の方法について解説します。
目次
- キッチンカー(フードトラック)での移動販売が流行っている理由
- なぜ人気?キッチンカー開業によるメリット
- キッチンカーでの開業が向いている人の特徴とは?
- これだけでOK!キッチンカー開業に必要な資格、許可とは
- 【始めの一歩】キッチンカー開業の3ステップ
- ここが大事!キッチンカーを購入するには
- 差がつくポイント!キッチンカーに必要な設備とは
- キッチンカーの開発費用ってどれくらいなの?
- キッチンカー開業のための資金の調達方法
- 始めるなら必見!キッチンカー開業の際に役立つ補助金
- キッチンカー開業の際におすすめの保険とは?
- キッチンカーの集客にはやっぱりこれ!おすすめのアイテム
- キッチンカーの集客に活用すべきSNSとは
- ここで気を抜かない!キッチンカー開業時における注意点
- キッチンカーの強みを活かして開業を成功させよう!
キッチンカー(フードトラック)での移動販売が流行っている理由
感染症拡大により、現在、3密を避けて食事を取る人が増えています。そのため、キッチンカーの屋外販売が有利に働き、移動販売の需要が増しています。キッチンカーは初期投資を抑えて開業できるうえ、国や自治体もテイクアウトやキッチンカーによる食事提供推奨のために補助金を出しているので、現在はキッチンカーの開業がしやすい状況と言えます。
キッチンカーの流行はライフスタイルの変化にある
キッチンカー業界が活況を呈している主な理由は、ライフスタイルの変化が挙げられます。
特に、新型コロナウイルスの流行に伴い、三密を避けなければならないなど今までの常識が通用せず新しいライフスタイルを求められていることも大きな要因です。
キッチンカーが流行している要因として、次のような点が挙げられます。
【個人の副業や独立】
昨今、企業において副業が認められるケースが増えています。
通常は、就業規則の中で明確に「副業は禁止」と記載され、副業をおこなうことは就業規則違反となってしまいます。
ただ、働き方改革の一環として日本国の方針として副業を推奨されたことに伴い、それに追随して副業を許可する企業が増えました。
キッチンカーの場合、キッチンカーさえ確保すれば空いた時間に気軽に副業できるとあり、人気を博しています。
副業としてだけでなく、飲食店で働く中で独立してキッチンカーを利用して働きたいという人も増加しています。
独立する場合、ビジネスとして売上や利益を追求するのではなく、ライフスタイルに合わせて取り組むケースが多いです。
【飲食店のキッチンカー導入】
個人が独立してキッチンカーで事業を始めるだけでなく、既存の飲食店がキッチンカーを導入するケースも増えています。
これは、新型コロナウイルスの流行により、三密を回避するための手段としてキッチンカーで販売する形式を採用しているためです。
また、固定店舗と比較して初期費用が安く、移動できるメリットを活かして、イベントなどの参加を見据えてキッチンカーを導入している場合もあります。
新型コロナウイルス流行時は、飲食店に対して時短営業を求められたり酒類の提供も制限されていました。
その中で、休業を決断した飲食店も多く見られましたが、家賃は継続して支払わなければなりません。
そこで、キッチンカーであれば自動車の維持費はかかりますが、家賃を支払うよりは安価で済み、また各種助成金によって導入しやすい環境が整っていたことにより、多くの飲食店が参入した形です。
【他業界企業の新規参入】
飲食店だけでなく、他業界企業もキッチンカー導入に動き出しています。
代表的な業種としてはホテルや飲食チェーンです。
ホテルの場合、ホテルの目の前にキッチンカーを設置して、ホテルで提供しているメニューをテイクアウトできるサービスを提供しているケースがあります。
これにより、ホテルの雰囲気をよりおしゃれに演出できたり、ホテルのイメージをアップさせる効果があります。
また、別の場所でキッチンカーにより出店する場合、ホテルのイメージをそのままで新たな客層の開拓も期待されています。
なぜ人気?キッチンカー開業によるメリット
キッチンカーにはキッチンカー開業ならではのメリットがあります。主なメリットは次の3つです。
初期費用を抑えて開業できる
一般的にキッチンカーの開業に必要な資金は店舗型飲食店を始めるのに比べて、おおよそ半分と言われています。初期費用が抑えられる分、開業のハードルが低く、始めやすいのが最大のメリットです。
固定費を抑えられる
キッチンカーは店舗で飲食店を経営するよりも、家賃やスタッフなどの人件費、光熱費などの固定費を安く抑えられる傾向にあります。運転資金を抑えられるため、その分、広告費や仕入れに費用をかけることができるのは大きなメリットです。
販売地域を自由に決められる
キッチンカーによる移動販売は、販売場所を自由に変えられるのが強みです。店舗型のようにお客さまが来るのを待つだけでなく、オフィス街やイベント会場など人が多い場所に自ら出向いて販売できるので、効率のよい集客が期待できます。
キッチンカーでの開業が向いている人の特徴とは?
キッチンカーの開業は、誰でも成功できるわけではありません。
開業に向いている人が存在し、より成功を収める確率が高まります。
ここでは、開業に向いている人の特徴を紹介します。
コミュニケーション能力に長けている人
キッチンカーの特徴として、固定店舗と違って許可さえ得られればどこにでも移動して販売することができる点にあります。
固定店舗では、長く営業していると常連客を確保でき、ある程度コミュニケーションを取りやすいメリットがあります。
一方で、キッチンカーでも常連客を確保できますが、まったく新しい場所に出店した場合は顔見知りがいません。
そこで、新規のお客様を確保するためにはコミュニケーション能力が高くなければなりません。
接客の丁寧さだけでなく、世間話などを交えて自分自身が魅力的な存在であることを知ってもらい、常連客を増やせるかが鍵となります。
失敗を受け入れることができる人
キッチンカーが出店する主な場所として、イベント会場やオフィス街の一角があります。
イベント会場では、イベントの来場客をターゲットとして多くの売上を期待できる反面、イベント自体の盛り上がりによって売り上げが左右されるリスクがあるのです。
また、天候も重要なファクターであり、思ったほど気温が上がらない状況でアイスクリームや冷たいドリンクを販売しても、売上は伸ばせません。
オフィス街でも、道路関係の規制によって直前に営業場所を変更しなければならない場合もあります。
以上のように、自分が思い描いていたビジョン通りにならないケースも多々あります。
その場合、失敗を素直に受け入れて失敗しないためにはどのようにすればよいかなどを冷静に考えられる人が、キッチンカーの開業に向いているのです。
自己管理能力がある
個人でキッチンカーを運営している場合、個人事業主となるため自分自身でほぼすべてのことをコントロールしていなかければなりません。
そのためには、自分で決めたことを遂行できる力が必要になります。
目標や目的を明確にすることはもちろん、それらを達成するためにどういう行動をいつまでにするべきなのかを自分自身で考えて進めていくことが必要です。
自己管理能力を身に付けている人の特徴としては、規則正しい生活をしている人や、目標を常に持って行動を習慣づけていることが多いです。
いまからでも身に付けられることですので、キッチンカーを開業されたい方はぜひやってみてください。
これだけでOK!キッチンカー開業に必要な資格、許可とは
キッチンカーでお弁当販売を始める際には、必要な資格や許可があります。主に必要な許可や申請は次の4つです。
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、食品の製造や販売を行う場合に必要な資格のことです。
自治体により規定が若干異なりますが、小さな個人店舗や大規模チェーンであっても、飲食の営業を行う場合は最低でも1店舗に一人は食品衛生責任者を配置しなければなりません。
当然、キッチンカーによる営業であっても、食品の製造と販売を行うため食品衛生責任者を設置する必要があります。
食品衛生責任者の資格を取得する場合、各自治体において以下の食品衛生責任者養成講習を受講しなければなりません。
・衛生法規(約2時間)
・公衆衛生学(約1時間)
・食品衛生学(約3時間)
なお、受講費用は自己負担しなければならず、概ね10,000円程度かかります。
講習受講後は、出店したいエリアの保健所に申請することで資格取得可能です。
なお、以下の資格を持つ人の場合は、講習が免除となり窓口に申請するだけで資格取得できます。
・栄養士
・調理師
・製菓衛生師
・食鳥処理衛生管理者
・船舶料理士
・食品衛生管理者等の有資格者
・その他医師
・薬剤師
営業許可(自動車営業)
キッチンカーでの移動販売で必要な営業許可(自動車営業)は取り扱うメニューによって異なります。
車内で調理をして販売をする場合、基本的に必要なのは「飲食店営業」の許可です。
もしスイーツなどを販売する場合は「菓子製造業」、ドリンクなどを販売する場合は「喫茶店営業」の許可が必要です。
もし、ランチメニューと菓子を同時に販売する際には「飲食店営業」と「菓子製造業」、それぞれの許可を取得しなければなりません。
ただし、保健所によってはどちらか1つの許可しか取得できないなどの制限を設けている場合がありますので、出店先の保健所の規則を事前に確かめておきましょう。
一方、車内で調理をせず、販売のみを行う場合は、取り扱う料理や食材に応じて「食料品等販売業」「食肉販売業」「乳類販売業」「魚介類販売業」の営業許可を取得する必要があります。
保健所での手続きに関しては、以下記事を参考にしてください。
関連記事:意外な盲点あり…飲食店開業における保健所での手続き、何をすればよい?
特殊用途自動車用の8ナンバー登録
キッチンカーは特殊用途自動車である8ナンバー登録が絶対必要というわけではありません。普通貨物車ナンバーや小型貨物車ナンバーでも登録は可能です。ただし、普通貨物車や小型貨物車で登録をしていると、車検の際に車内の設備を一度全て取り外さなければいけなくなります。8ナンバーであればキッチンカーの設備を外さず車検を受けられるので、長い目で見て8ナンバーを取得するほうが得策です。
販売場所の使用許可
キッチンカーでの営業許可が下りたからといって、どこでも好き勝手に移動販売をしていいというわけではありません。営業を行う際は、営業場所の使用許可が必要なことがほとんどです。使用許可の申請先は販売場所を管理する会社です。ショッピングモールの敷地ならショッピングモールの運営会社、大学のキャンパスなら大学が申請先になります。また、道路を使って路上販売を行う際は、その場所を管轄する警察署にて「道路使用許可」の申請を行います。無断で販売をすると、駐車違反で反則金が発生するので気をつけてください。
運転免許
キッチンカーを運転するための特別な免許はなく、車種によっては普通免許だけで運転可能です。
ただし、免許を取得した時期によって普通免許で運転できる車両の総重量が変化する点には注意が必要です。
具体的には、道路交通法の改正に伴って中型車の運転区分が追加された2007年以降と、準中型車が追加された2017年以降に免許取得された人は、運転できる車両総重量が異なります。
2007年6月2日以降に普通免許を取得した方は、以下の条件を確認してください。
・2007年6月1日までに取得した場合:車両総重量:8t未満
・2007年6月2日~2017年3月11日までに取得した場合:車両総重量:5t未満
・2017年3月12日以降に取得した場合:車両総重量:3.5t未満
キッチンカーの車両総重量の計算式は、以下の通りです。
・車両総重量 = 車両重量 + (乗車定員×55kg) + 最大積載量
また、最大積載量の計算式は以下となります。
・車両総重量 - ( 車両重量 + 乗車定員 × 55kg ) = 最大積載量
以上より、一般的なキッチンカーのサイズとなる2tトラックを運転するためには、準中型免許が必要です。
牽引タイプのキッチンカーの場合、750kg以下の車両を牽引する場合は普通免許で対応できます。
ただ、車両総重量750kgを超える車を牽引する場合は牽引免許が必要となるため、注意してください。
【始めの一歩】キッチンカー開業の3ステップ
キッチンカーでの移動販売を始めるには、次の流れで手続きを行う必要がります。
ステップ1:キッチンカーの購入/レンタル
移動販売に使用するキッチンカー、フードトラックを購入、またはレンタルします。すでにキッチンカーとして売り出されている車を購入・レンタルする場合もあれば、軽トラックなどを購入し、キッチンカーへ改造する場合もあります。車両を改造してキッチンカーにする場合、車体の高さや幅、長さに上限があるので注意が必要です。
ステップ2:メニューの開発
キッチンカー開業において、早期の段階でメニューの開発に取り掛かる必要があります。
その理由は、メニューによって売上が大きく変動するためです。
売上が大きい傾向にある食べ物を提供すれば、その分だけ売り上げを伸ばせるチャンスがあります。
また、販売しやすい商品であることも重要であり、仮に売れやすいメニューであっても提供時間がかかると回転率が落ちてしまう恐れがあり、売上に影響するリスクがあります。
食材や扱う料理によって難易度や費用が変化する点にも注意が必要であり、その点でも早期なメニュー開発は重要です。
さらに、商品によっては特別な営業許可が必要になることもあり、どのようなメニューを提供するのかは早期に決定してください。
ステップ3:資格、許可の取得
営業に必要な資格や許可を取得します。まずは食品衛生責任者養成講習会を受講して食品衛生責任者の資格を取得します。
そのうえで、出店予定先の保健所にて営業許可の申請を行います。必要書類に不備がなければ、キッチンカーを持ち込み、保健所職員による確認検査が行われます。保健所の要件を満たしていれば、晴れて営業許可証が交付されます。
ステップ4:販売
保健所からの営業許可が下りたら実際に営業を開始します。販売するメニューを決め、仕入れを行い、実際に調理・販売を行います。オフィス街やイベント会場など人が多い場所を狙って販売場所は決めるとよいでしょう。
ここが大事!キッチンカーを購入するには
キッチンカーを用意するには、以下の4つの方法があります。
新車のキッチンカーを専門業者に制作してもらう
専門の業者に依頼して、新しくキッチンカーを制作してもらう方法です。新車キッチンカーは、理想のデザインを手に入れられる、中古車よりも長く使えるといったメリットがあります。さまざまなキッチンカーを見て具体的なイメージを決めておくと、業者とも話が進みやすくなるでしょう。
中古のキッチンカーを購入する
中古のキッチンカーを購入し、そのまま使う、または一部を変更して使うという方法です。中古車は、新車を購入するよりも費用を抑えられるというメリットがあります。ただし、購入してから不備に気付き、修理をするのに思わぬ出費が発生してしまう場合も。あまりに安い中古車には注意が必要です。
キッチンカーをレンタルする
まだ購入には踏み出せない、とりあえず始めてみたいという人には、レンタルもおすすめです。面倒な手続きがなく初期費用もかからないため、精神的な不安も少ないでしょう。ただし、月額費用としては割高になってしまうため、長期的に使う場合は注意が必要です。
自分で車をキッチンカーに改造する
自分で購入した軽トラックやバンを、キッチンカーに改造するという方法もあります。自作する場合は時間と手間がかかりますが、費用を安く抑えながら自分仕様に作れます。保健所の許可が取れるように、あらかじめ要件を確認しておきましょう。知識や技術に自信がない場合は、業者に依頼して改造するのがおすすめです。
差がつくポイント!キッチンカーに必要な設備とは
保健所に営業許可を申請する際には、保健所が求める設備がキッチンカーに整っている必要があります。必要な設備は取得する営業許可の種類によって異なりますが、車内で調理を行う飲食、菓子、喫茶営業許可において必要な設備は同じで、以下のものになります。
・流水式またはアルコール式の手洗い設備
・2槽以上の洗浄施設
・給湯設備
・給水量200L以上の給水タンク
・給水タンクの容量以上の排水設備
・冷蔵庫
・密閉できる合成樹脂の食品保管設備
・密閉できる合成樹脂の食器器具保管設備
・蓋付きゴミ箱
キッチンカーの開発費用ってどれくらいなの?
キッチンカーを開業するには、だいたい250~300万円の費用が必要です。開業費用の内訳は以下の通りです。
キッチンカーにかかる費用
キッチンカーの入手方法と費用は以下の通りです。
・新車のキッチンカーを購入する…250~600万円
・中古のキッチンカーを購入する…100~500万円
・キッチンカーをレンタルする…5万円/日、18万円/週程度
・自分の車を自力で改造する…約50万円
・自分の車を業者に改造してもらう…100~130万円
新車を購入する場合は、費用が高くなる可能性が高いです。逆に、レンタルする場合は初期費用を安く抑えられます。ただし、長期で使用する場合は購入した方が最終的に安く済む可能性があるため、注意しましょう。
調理器具を準備するのにかかる費用
食べ物を販売する場合は、調理器具の費用もかかります。たとえば、焼きそばやお好み焼きの場合は鉄板7~10万円、ケバブを販売する場合は専用マシーン7~8万円程度必要です。ただし、調理器具はモノによってピンキリです。クオリティの高い物や業務用マシーンを購入する場合は、30万円かかることもあります。
消耗品や販促にかかる費用
キッチンカーで食べ物を販売する場合、トレーやスプーン、コップなどの使い捨て容器が必要です。また、チラシや看板、広告費などの販促にもお金がかかります。使用する容器や販促方法によって費用は異なりますが、たとえば透明カップ100個400円、看板3,000~2万円程度の必要が必要でしょう。
保健所の許可取得にかかる費用
食品を調理して販売する店舗に対しては、どのような販売方法であっても保健所の許可が必要です。
キッチンカーも例外ではなく、保健所の許可を得てお客様が見やすい位置に掲示する義務があります。
保健所の許可を取得するためには、食品衛生法の条例を満たし、食品衛生責任者1名を配置しなければなりません。
かつ複数の自治体で出店する場合は、各自治体で保健所の許可を得る必要があります。
1カ所に固定して保健所の許可を得る場合、申請費用として10,000円程度かかります。
さらに食品衛生責任者の資格において講習費用10,000円ほどかかり、もし許可を得るためにキッチンカーの業者や行政書士のサポートを受ける場合、別途費用がかかります。
月に必要な運転資金
キッチンカーで営業を続けるためには、初期費用のほか、以下の費用がかかります。
キッチンカーの開業費用
キッチンカーを開業するには、だいたい250~300万円の費用が必要です。開業費用の内訳は以下の通りです。
・キッチンカーの維持費…駐車場代(月2~6万円)、保険料(年間4~7万円)、車検代(2年で4~7万円)
・消耗品や販促費用…使い捨て容器(100個400円)、チラシなど(2~3万円)
・出店料…平日2,500円~、土日祝日1万円~
営業を続けるためには、キッチンカーや食材以外にもさまざまな費用がかかります。無理なく続けられるように、必要な物を入念にチェックしておきましょう。
キッチンカー開業のための資金の調達方法
●自己資金
自己資金とは、自分が得た収入を元手となっている資金のことを指します。
自己資金の場合、過去に得た給与や賞与から、生活費などを除いて貯蓄した資金が該当します。
キッチンカーにかかる費用を、すべて自己資金で準備する方法があります。
例えば、今まで積み立てた貯金や定年退職時の退職金、賞与などがあった場合に準備資金とできます。
他にも、仲間から出資を募ったり家族や知人、友人に借りたりするなどで資金調達可能です。
●銀行からの融資
銀行では、開業資金に関する融資を行っている場合が多いです。
他にも融資を受けられる方法がありますが、銀行の場合は比較的低い金利で融資を受けやすいメリットがあります。
開業資金に関する融資を受けるためには、事業計画書を作成してどのような計画で事業を展開するのかを提示しなければなりません。
銀行側を納得させられる計画でない場合、融資を受けることは難しいでしょう。
●日本政策金融公庫
財務省所管の特殊会社であり、政策金融機関の1つでもある日本政策金融公庫でも、融資を受けられます。
日本政策金融公庫では、創業時点での審査が銀行よりも通りやすい場合が多いです。
また、金利面で見ても銀行よりも低めとなっており、キッチンカーの開業時は日本政策金融公庫を選択する場合が多いです。
但し、銀行同様に事業計画書の提出が必要になるため準備が必要です。
●リース契約
リースとは、リース会社から機械や設備を長期間賃貸することを意味します。
リースでキッチンカーを借りる場合、ローンの分割支払いと違ってキッチンカーが自分の所有物ではなくリース会社のものとなります。
契約期間中は、キッチンカーを借りた状態で利用でき、月々のリース料を支払う必要があります。
新車で購入した方がトータル金額では安くなる可能性がありますが、リース料金は経費として計上可能です。
また、リース期間終了後にはリース会社から事前に設定された残価を支払えば、買い取りも可能となります。
但し、契約期間が3年以上などと長期な場合が多く、仮に途中で契約を打ち切ると違約金が発生するため注意が必要です。
●キッチンカーローンの利用
ローン会社では、様々なシーンに応じたローン商品が用意されている場合があります。
中でも、キッチンカーに限定したローンもあり、気軽に資金調達できることで人気です。
キッチンカーローンは、通常の自動車ローンと違って車両部分だけでなくキッチンボックスや換気扇、照明、給排水設備などもローンの対象とできます。
よって、キッチンカー開業に必要となる資金をほぼ賄えるのが特徴です。
●クラウドファンディングなどの出資
資金調達の方法として、最近注目されているのがクラウドファンディングです。
クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人から資金を集める仕組みのことです。
キッチンカーだけでなく、様々な業種や個人単位でもクラウドファンディングで資金調達して、事業を起こすケースが増えています。
また、多くのクラウドファンディングサービスがあり、気軽に出資を募りやすいのがメリットです。
クラウドファンディングの場合、融資と異なり返済が不要な点がメリットとなりますが、リターンという形で還元する必要があります。
クラウドファンディングについては、以下記事で詳しく解説しています。
関連記事:ファン作りにも有効!飲食店がクラウドファンディングを始めるメリットや手順を解説
●ローンの借り入れ
古くから存在する資金の調達方法として、ローンがあります。
ローンは、特定の目的にのみ利用できる借入の仕組みであり、一般的なものとして住宅ローンや自動車ローンなどが有名です。
キッチンカーの開業においても、キッチンカーの製作費を分割できるローン会社と提携しているケースがあります。
キッチンカーのローンは、概ね3年から5年のものが一般的であり、36分割から60分割で返済可能です。
始めるなら必見!キッチンカー開業の際に役立つ補助金
キッチンカー開業に役立つ補助金として、地域創造的起業補助金やものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金があります。
地域創造的起業補助金は、日本経済を活性化させる事業の開業に向けて、必要な資金を補助する制度のことです。
原則として返済する義務はありませんが、利益が発生すると一部返済を要求される可能性があります。
ものづくり補助金は、新しいものづくりなどに挑戦する中小企業と小規模事業者に交付される補助金。
ものづくり技術と革新的サービスに該当する事業が対象となる補助金であり、キッチンカーでも使用可能であり、原則として返済義務もありません。
小規模事業者持続化補助金について
「小規模事業者持続化補助金」は、新型コロナウイルスの流行拡大により新たに創設された制度です。商工会議書の管轄地内で事業を行う小規模事業者や一定の要件を満たす特定非営利活動法人が対象となっています。たとえば、新たな販路獲得のためのキッチンカー導入、メニューを新しく作る場合などに補助金を受けられます。
このほか、業態転換支援事業(東京都)や中小企業経営革新実行支援補助金(福岡県)など、自治体独自の補助金制度が導入されています。詳しくは開業予定地に問い合わせてみましょう。
キッチンカー開業の際におすすめの保険とは?
キッチンカーを開業するにあたり、順調に進めば問題ないものの各種トラブルがつきものです。
仮に、自責で大きな事故などを起こした場合、賠償金なども発生する可能性もあるため各種保険に加入するのがおすすめです。
特に、次の保険に加入することをおすすめします。
PL保険
PL保険とは「生産物賠償責任保険」のことを指し、製造業者等が製造または販売した製品等が原因となって、他人に怪我などを負わせた際に、事業者が法律上の損害賠償責任を負担する場合の損害について補償を受けられる保険です。
広く製造業で用いられる保険のイメージがありますが、キッチンカーを運営する際にも適用可能です。
例えば、提供したメニューを食べたお客様が食中毒にかかった場合や、コーヒーを提供する際にこぼしてしまい火傷を負わせるなどのケースでPL保険が適用できます。
なお、営業エリアによってはPL保険の加入が必須の場合があります。
自動車保険
キッチンカーの場合、カスタマイズした車両となるため、多くの場合で8ナンバーとして登録されますが、場合によっては小型貨物自動車である4ナンバーや普通貨物自動車である1ナンバーで登録でき、一般の保険会社に加入できます。
8ナンバーの場合、一般の保険とは違い特別な保険に加入しなければなりません。
キッチンカーが加入する自動車保険の場合、保険料は一般的に年間10万円から15万円と高額です。
ただ、事故を起こした際の賠償額などを考えれば、加入しておくべき保険の1つです。
ドライバー保険
ドライバー保険とは、 記名被保険者が他人の自動車を借りて運転中に発生させた事故に対して、補償する自動車保険の事です。
記名被保険者とは、保険証券などの記名被保険者欄に記載された、補償の対象となる人を指します。
例えば、レンタルでキッチンカーを借りて営業する場合に適用できる保険であり、加入は任意です。
もしキッチンカーの運転に少しでも心配がある場合、ドライバーズ保険に加入しておくことをおすすめします。
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険とは、保険証券に記載されている建物の欠陥や、建物における保険証券記載の業務遂行に起因する偶然な事故が発生し、他人に怪我を負わせたり他人の財物を壊したりした場合に適用される保険です。
施設賠償責任保険では、法律上の損害賠償責任を負担することにより被る損害を補償してもらえる保険であり、以下が対象となります。
●小売店
●料理飲食店
●事務所
●マンション賃貸・管理業
なお、キッチンカーにも適用できる保険であり、例えば設置した看板が落ちてお客様に怪我をさせてしまう場合や、フライヤーの油をこぼして出店先の道路を汚してしまうなどの場合で補償を受けることが可能です。
キッチンカーの集客にはやっぱりこれ!おすすめのアイテム
キッチンカーでは、如何にお客様にインパクトを残せる集客ができるかが鍵です。
主に、集客時におすすめしたいアイテムとして、以下があります。
・タペストリー
・のぼり
・黒板
・看板
タペストリーは、主にキッチンカーの販売面や側面で使用することが多いアイテムです。
なお、運転席などの側面に設置すれば車内を目隠しできます。
のぼりは、キッチンカー周辺に設置してどのようなお店なのかを知らせることが可能なアイテムです。
インパクトに残るフレーズを使用すれば、お客様の目に留まり来店してもらえるきっかけとなります。
黒板はメニューやおすすめ商品をアピールする際に役立ち、看板は店舗名をアピールする際に最適です。
キッチンカーの集客に活用すべきSNSとは
以前からの集客方法に加えて、最近では如何にSNSを駆使して効率よく集客できるかが重要です。
ここでは、キッチンカーの集客に活用すべきSNSを解説します。
実際にSNSを使用する際のコツは、以下記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
関連記事:SNSフォロワー数10K超え!バズってるお店のSNS使い方のコツ
比較的ボリュームを持たせて、しっかりとお店の良さをアピールできるSNSとして、Facebookがおすすめです。
Facebookではレストラン予約機能があり、TableCheckの飲食店予約システムを導入している飲食店であればFacebookページに「席を予約する」ボタンを設置可能です。
いいね!機能によって情報が拡散される可能性があり、またコメント機能があるためお客様とのコミュニケーションを図れる点も評価できます。
さらに、Facebookのグループ機能を使用すれば多くの方と同時に交流を図れます。
Twitterは、Facebook以上に情報を拡散させやすいSNSとして有名です。
定期的につぶやくことが可能なbot機能によって、手間をかけずに定期的に情報を提供できます。
また、ダイレクトメッセージ機能があるため、メッセージ上で商品の予約を受け付けたりできます。
Twitterの投稿文では、全角で140文字、半角で280文字の文字制限がありますが、その制限が逆にフレーズを吟味することに繋がり、訴求力を高められる点も魅力的です。
他にも、つぶやいた場所を追加できる機能があり、今どこで営業しているのかを知らせることができます。
Instagramは、FacebookやTwitterとは異なり、文字ではなく写真をベースとして投稿できるSNSです。
若者に特に絶大な人気を誇っており、特に若者をターゲットとしたキッチンカーの場合に必須のSNSです。
新作メニューを開発した際に、コメントを添えて写真を投稿すれば注目度が俄然増します。
また、イベント会場に出店する際には、イベント写真を投稿するだけでも集客効果を見込める場合があります。
さらに、動画をアップすると臨場感が高まるため、積極的に取り入れましょう。
ここで気を抜かない!キッチンカー開業時における注意点
キッチンカーで移動販売を始めるにあたって注意しなければいけないことがいくつかあります。主な注意点は次の5つです。
扱える食材が異なる
食品衛生上の関係で、キッチンカーで扱える食品は限定的です。車内の設備によって扱える食品や種類が異なるうえ、販売を予定しているメニューに合わせて営業許可を取得しなければいけません。また、いかなる場合であっても生ものを扱うのはNGです。
別途仕込み場所が必要な場合もある
自治体によっては、キッチンカー以外で仕込み場所を別途確保する必要があります。既製品を盛り付けるだけの場合は不要ですが、切る・混ぜるなどの下準備が発生する場合は仕込み場所が必要なことが多いです。仕込み場所が必要かは出店予定先の保健所に事前に確認しておきましょう。仕込み場所が必要な場合は、キッチンカーとは別に仕込み場所の営業許可も取得しなければいけないので注意が必要です。
衛生管理を徹底する
キッチンカーは通常の飲食店に比べ、設備が乏しく、場所も狭いです。加えて、屋外に近い状態での調理になるため、季節によっては菌が繁殖しやすい傾向にあります。そのため、食材の取り扱いは慎重に行うことが求められます。もし食中毒などを出してしまえば、営業停止命令を受けるだけではなく、損害賠償請求をされる可能性もあります。手洗いや設備の除菌はこまめに行うようにしましょう。
営業許可は出店する都道府県や地域ごとに申請が必要
食品衛生責任者の資格は全国共通ですが、一方、保健所の営業許可は出店先の都道府県や地域ごとに必要です。そのため、販売地域を変える場合は、新たに出店予定先の保健所にて営業許可の申請を忘れずに取得しておきましょう。
営業許可の有効期限は5年
保健所の営業許可の有効期限は5年です。有効期限を越えて営業を続ける場合は、有効期限満了日の約1ヶ月前に更新手続きを行う必要があります。もし更新手続きをせずに有効期限を越えて営業すると、食品衛生法違反になり、2年以下の懲役、または200万円以下の罰金が課せられる可能性があります。さらに、営業停止命令を受け、2年間営業許可の取得ができなくなる場合もあります。
キッチンカーの強みを活かして開業を成功させよう!
食品衛生責任者の資格と営業許可があれば、キッチンカーでの移動販売はすぐに始められます。キッチンカーは販売先を変えるたびに出店先の都道府県や地域の保健所の許可が必要になる点に注意しましょう。
キッチンカーは複数の地域で自由に販売できる強みを生かして、大きな集客・売上が期待できます。気になる方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。
