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【2024年版】飲食店で使える補助金・助成金まとめ|通年公募から最新の補助金までご紹介

【2024年版】飲食店で使える補助金・助成金まとめ|通年公募から最新の補助金までご紹介

社会の変化に伴い、飲食店経営者はさまざまな課題に向き合う場面が増えてきました。そのなかでも、働き方改革や社会保険の適用拡大、インボイスの導入、コロナ禍での売上減少などの対応に頭を抱えている経営者も多いのではないでしょうか。これらの課題に対応するためには、相応の「時間」と「費用」をかける必要があります。

本記事では、費用面での負担軽減を目的とした、2024年に飲食店が活用できる補助金や助成金について解説します。新しい補助金や、補助金と助成金の違いも説明しているので、ぜひ最後までチェックしてください。

【2024年】飲食店が使える補助金や助成金の特徴と傾向

制度や時代の変化により、近年の飲食店には生産性の向上が求められています。生産性の向上とは、使った費用や時間に対して、より多くの成果をあげることです。飲食店で言えば、スタッフの人数・就労時間を変えずに、より多くのサービスを提供し、売上を伸ばすことでしょう。

生産性を重視する動きは数年前から始まっており、2024年も引き続き生産性の向上に関わる補助金や助成金が多い傾向にあります。また、新型コロナウイルスの影響で、売上が落ち込んだ飲食店を支援するための補助金や助成金も継続されています。

つまり、2024年は「生産性の向上」と「コロナ禍のダメージ回復」の2点において、補助制度が充実している年と言えるでしょう。

通年で公募可能になった補助金4つ

これまで、中小企業の生産性の向上や制度変更への取り組みを補助する目的で用意されていた以下の4つの補助金が、通年で利用できるようになりました。

●ものづくり補助金
●小規模事業者持続化補助金
●IT導入補助金
●事業承継・引継ぎ補助金

それぞれを詳しく解説します。

通年で公募可能になった補助金4つ

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、生産性の向上や新商品の開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援する補助金です。飲食店の場合、新たな調理機器の導入やレイアウトの改善などに活用できます。

ものづくり補助金には、「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」がありますが、現在(17次締切)募集が行われているのは、省力化(オーダーメイド)枠のみです。(※次回の18次締切では、全て公募される予定)

省力化(オーダーメイド)枠
■基本要件
下記の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定すること。
●給与支給総額の増加
●最低賃金の引き上げ
●付加価値額の増加

■対象者
【小規模企業者・小規模事業者】
常勤の従業員数が下記の数字以下となる会社または個人事業主。
●製造業その他・宿泊業・娯楽業:常勤従業員数20人以下
●卸売業・小売業・サービス業:常勤従業員数5人以下

※上記条件のほか、【中小企業者(組合・法人関連)】【特定事業者の一部】【特定非営利活動法人】【社会福祉法人】も対象

■補助金額
従業員数
●5人以下 :100万円~750万円
●6~20人 :100万円~1,500万円
●21~50人 :100万円~3,000万円
●51~99人 :100万円~5,000万円
●100人以上:100万円~8,000万円

■補助率
【中小企業者】
補助金額が1,500万円まで:補助対象経費の1/2
1,500万円を超える部分:補助対象経費の1/3

【小規模企業者・小規模事業者】
補助金額が1,500万円まで:補助対象経費の2/3
1,500万円を超える部分:補助対象経費の1/3

※上記条件のほか、大幅な賃上げに取り組む事業者には補助金上限額を引き上げる特例あり

■補助対象経費
●機械装置・システム構築費
●技術導入費
●専門家経費
●運搬費
●クラウドサービス利用費
●原材料費
●外注費
●知的財産権等関連経費

■申請受付
申請は、電子申請システムの オンライン申請フォーム(jGrants)で行うため、あらかじめ「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。

【申請受付期間】17次締切分
●申請締切 :2024年3月1日(金)17:00まで

申請先 ものづくり補助金総合サイト
GビズIDプライムアカウント作成先 デジタル庁のWebサイト
参考 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(17次締切分)省力化(オーダーメイド)枠 1.1版

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が経営計画に基づく販路拡大や、業務効率化に取り組む経費の一部をサポートする補助金です。飲食店であれば、メニュー開発やマーケティング戦略の強化などに利用できます。

■対象者
下記要件をいずれも満たす、日本国内に所在する小規模事業者(日本国内に居住する個人、または日本国内に本店を有する法人)等であること。
●商業・サービス業:常時使用する従業員の数 5人以下
●宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数 20人以下
●製造業その他:常時使用する従業員の数 20人以下

■補助金額(上限)
[通常枠]50万円
[賃金引き上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠]200万円
※インボイス特例対象事業者は、上記金額に 50 万円の上乗せ

■補助率
補助対象経費の2/3(賃金引き上げ枠のうち赤字事業者は3/4)

■補助対象経費
●機械装置等費
●広報費
●Webサイト関連費
●展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)
●旅費
●新商品開発費
●資料購入費
●借料
●設備処分費
●委託・外注費

■申請受付
申請は オンライン申請フォーム(jGrants)で行います。
●申請受付開始:未定
●申請受付締切予定:第 15 回:2024年3月14日(木)17:00[郵送:締切日当日消印有効](事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 原則2024年3月7日(木))
※予定は変更される場合があります

申請先 小規模事業者持続化補助金事務局サイト
参考 小規模事業者持続化補助金<一般型>第 15 回公募要領

IT導入補助金

IT導入補助金は、ITツールの導入によって業務効率の向上やサービスの質の改善を支援する補助金です。例えば、POSレジや予約システム、在庫管理システムの導入などに活用できます。

POSレジ導入事例 お客様との世間話がお店のファン化(常連客)に繋がりました

■対象者
【小規模事業者】
常勤の従業員数が下記の数字以下となる会社または個人事業主。
●商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常勤従業員数5人以下
●サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常勤従業員数20人以下
●製造業その他:常勤従業員数20人以下

■補助金額
【通常枠(A・B類型)】
1プロセス以上:5万円〜150万円未満
4プロセス以上:150万円〜450万円以下

【インボイス枠(インボイス対応類型)】
インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト:50万円以下/50万円超~350万円以下
※導入する機能によって異なる
PC・タブレット等:10万円以下
レジ・券売機等:20万円以下

【インボイス枠(電子取引類型)】
中小企業・小規模事業者等が申請する場合の補助率:補助対象経費の2/3以内、~350万円以下
その他の事業者等が申請する場合の補助率:補助対象経費の1/2以内、~350万円以下

【セキュリティ対策推進枠】
5万円〜100万円

【複数社連携IT導入枠】
業務上つながりのある「サプライチェーン」や、特定の商圏で事業を営む「商業集積地」に属する複数の中小企業・小規模事業者等が連携してITツールを導入し、生産性の向上を図る取り組みを支援するもの。金額は、導入するツールによって異なります。


■補助対象経費
●ITツール及びハードウェアの導入(インボイス対応システム、予約受付、顧客管理、受発注、EC関連などに必要なソフトや機材)
●デジタル化の推進費用
●セキュリティ対策費用

■申請受付
申請は、電子申請システムの オンライン申請フォーム(jGrants)で行います。
●申請受付締切:【通常枠】2024年3月15日(金)17:00
※申請受付締切日は枠によって異なる

交付申請には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要です。この宣言は、中小企業・小規模事業者等自らが、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度で、「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言を要件としています。詳細な情報や手続きは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のWebページで確認しましょう。

「SECURITY ACTION」宣言のあと、さらに「みらデジ」へ登録し、「みらデジ経営チェック」を行います。「みらデジ」は、中小企業庁が実施する中小企業・小規模事業者等の経営課題をデジタル化により解決することをサポートする制度です。

【IT導入補助金2024】 公募スケジュール
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)ECURITY ACTION
「みらデジ」新規利用者登録ページ

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、事業の承継や引継ぎに必要な費用をサポートする補助金です。
飲食店での事業承継や新たな事業展開に際して、必要な経費をカバーするために役立ちます。

■対象者
事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業者等及び、事業再編・事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業者等

■補助対象
補助対象事業の遂行に必要な経費であり、補助事業期間内に契約・発注を行い支払った経費。また、補助事業期間終了後の実績報告で提出する証拠書類等によって金額・支払い等が確認できる経費(原則、相見積の取得が必要)が対象。

上記の条件を踏まえた上で、事業承継・引継ぎ補助金は3つの枠が用意されています。

【経済革新枠】
●補助率:補助対象経費の3分の2以内または2分の1以内
●補助上限額:950万円
●専門家活用及び廃業・再チャレンジ枠との重複申請が可能

【専門家活用枠】
●補助率:補助対象経費の3分の2以内または2分の1以内
●補助上限額:750万円
●経営革新枠及び廃業・再チャレンジ枠との重複申請が可能

【廃業・再チャレンジ枠】
●補助率:補助対象経費の3分の2以内

■申請受付
申請は、電子申請システムの オンライン申請フォーム(jGrants)で行います。
●申請受付締切:2024年2月16日(17:00時)

参考 事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金の公募要領等ダウンロード、申請ページ

コロナ禍によりダメージを受けた事業を支援する補助金や助成金

コロナ禍の影響を大きく受け、売上減少により困難な状況にある飲食店の事業者が、経営の再構築や雇用の維持に取り組む際に利用できる補助金や助成金を紹介します。

コロナ禍によりダメージを受けた事業を支援する補助金や助成金

事業再構築補助金

売上減少により事業の再構築を余儀なくされている中小企業に対して、新分野転換や業態転換、事業・業種転換、事業再編などに取り組む事業者を支援する制度です。補助金額や補助率はプロジェクトによって異なります。

事業再構築補助金には下記の枠があり、それぞれ条件等が異なります。対象事業者の詳細は、「事業再構築補助金:必須申請要件」にて確認してください。

全ての枠に共通する必須要件は「事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること」と「付加価値額を向上させること」です。

【支援枠】
●成長枠
●グリーン成長枠
●卒業促進枠
●大規模賃金引上促進枠
●産業構造転換枠
●サプライチェーン強靱化枠
●最低賃金枠
●物価高騰対策・回復再生応援枠

もっとも補助金が少ない「最低賃金枠」で補助上限が500万円、そのほかの枠では補助上限が2,000万円〜と補助上限金額が高いのが特徴です。

■申請受付
申請は、電子申請システムの オンライン申請フォーム(jGrants)で行います。
今年度の公募時期は未定(2023年度は8月10日に公募開始)

事業再構築補助金:必須申請要件
参考 事業再構築補助金

産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)

新型コロナウイルス感染症の影響等で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主向けの助成金です。新たな事業への進出等の事業再構築を行うための人材を円滑に受け入れるために活用できます。

■対象者
●令和5年4月1日以降に中小企業庁の実施する「事業再構築補助金」の応募書類を提出し、交付決定を受けていること
●下記の【労働者】の雇入れにあたって、次のa~cまでの全ての条件を満たすこと
a. 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れること
b. 期間の定めのない労働契約を締結する労働者(パートタイム労働者は除く)として雇い入れること
c. 「事業再構築補助金」の補助事業実施期間の初日から当該期間の末日までに雇い入れること
●労働者の雇入れ日前6か月から本助成金の支給申請までの期間に、雇用する労働者を解雇等していないこと

■助成額
280万円/人※
(140万円×2期※)
※1事業主あたり5人までの支給に限ります。

■助成対象期間
1年

■申請受付
雇用関係助成金ポータルにて受付中。(「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です)

申請先 雇用関係助成金ポータル
参考 厚生労働省|産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)

雇用調整助成金

売上減少などにより雇用の維持が困難になった事業主に対して、休業手当の支払いや教育訓練費用の一部を助成する制度です。

■対象者
●雇用保険の適用事業主であること
●売上高または生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること等

■助成額

助成内容と受給できる金額中小企業中小企業以外
休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成(率)
※対象労働者1人あたり8,490円が上限(令和5年8月1日現在)
対象経費の2/3対象経費の1/2
教育訓練を実施したときの加算(額)(1人1日当たり)
1,200円


■申請受付
雇用関係助成金ポータルにて受付中。(「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です)

申請先 雇用関係助成金ポータル
参考 厚生労働省|雇用調整助成金

2024年から始まる補助金「中小企業省力化投資補助金」にも注目!

2024年から始まる「中小企業省力化投資補助金」は、飲食店を含む中小企業の省力化投資を支援する新たな補助金です。こちらの補助金は、業務効率化や生産性向上のための設備投資の促進を目的としています。

具体的には、セルフオーダーシステムや配膳ロボット、店内の温度管理システムなど、IoT技術等の導入に対する費用をサポートし、人手不足の解消や作業効率の向上が図れます。

■補助金額(上限)
●従業員数5名以下200万円(300万円)
●従業員数6~20名500万円(750万円)
●従業員数21名以上1,000万円(1,500万円)
※賃上げ要件を達成した場合、()内の値に補助上限額を引き上げ

■補助率
対象経費の1/2

■申請受付
詳細や公募の時期はまだ公表されていません

参考 経済産業省|令和5年度補正予算の事業概要

自治体によっては独自の補助金や助成金があるケースも

地方自治体によっては、国の補助金や助成金に加えて、独自の支援策を提供している場合があります。

例えば、東京都中央区では「ECサイト活用補助金」という独自の制度を設けています。こちらの補助金は、中央区内の事業者がオンラインでの販売を強化するためのWebサイトやECサイトの開設・強化に必要な費用の一部を補助するものです。

補助限度額は6万円と少額ですが、補助率は100%に設定されています。このような支援制度は多数あるため、補助金や助成金を検討する際は自店が属する自治体の情報もチェックしましょう。

参考 中央区|ECサイト活用補助金

支援制度を活用するなら知っておきたい補助金と助成金の違い

補助金と助成金は、どちらも国や自治体、民間の財団などが行う財政援助ですが、いくつかの違いがあります。補助金は、事業者が特定のプロジェクトや活動に取り組む際に、その費用の一部を国や地方公共団体が負担するものです。

補助金の申請には、具体的な事業計画や目的が必要であり、申請者は計画の実施に伴う全体の費用の一部を自己負担するのが一般的です。また、補助金は予算や定員が限定されており、厳しい審査を受ける必要があります。

対して助成金は、労働条件の改善、雇用の創出、環境保護など、公共の利益に資する特定の目的を達成するために用意されたものです。社会貢献に関わることから、助成金は制度の要件を満たせば申請が通りやすい傾向が見られます。

資金調達の代表的な選択肢である助成金と補助金、そして融資を加えて比較したものが下記の表です。

助成金補助金融資
目的労働環境の改善
雇用増加・安定
など
事業拡大の補填
創業支援
など
資金の補填
採択条件要件を満たす要件を満たし、優秀な提案であること返済能力があること
募集期間長期間、通年数週間随時
支給金額少額が多い少額~数千万円以上自己資金の3倍が目安
支給時期後払い後払い審査通過後すぐ
難易度
返済の有無なしなしあり

補助金や助成金を活用して売上拡大を目指そう

本記事では、飲食店が使える補助金や助成金について、2024年版の最新情報をまとめて解説しました。補助金や助成金を活用すれば、経営の負担を軽減できるだけでなく、売上の拡大や競争力の強化に繋がる可能性もあります。

補助金や助成金を活用するにあたって重要なのは、各補助金や助成金の申請条件や特徴を理解し、自店のニーズに合ったものを選ぶことです。本記事で紹介した内容を参考に、最適な支援制度を活用し、自店の発展に繋げていきましょう。

※本記事で紹介した情報は、2024年1月時点の最新情報です。今後、補助金や助成金に関する条件等が変更になるケースも考えられるため、継続的に関連情報をチェックすることをおすすめします。

補助金や助成金を活用して売上拡大を目指そう

この記事の執筆

ライター・飲食店経営_大杉元則

ライター・飲食店経営

大杉元則

調理師学校卒業後、大手老舗ホテルの西洋料理部門に勤務。フレンチレストランやベーカリー、給食会社を経て2010年、無農薬野菜にこだわったイタリアンを開業。現在は店舗のオーナーシェフを務めながら飲食関連を中心としたライターとして活動中。

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