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飲食店の消費税について|気になる軽減税率の仕組みもわかりやすく解説!

飲食店の消費税について|気になる軽減税率の仕組みもわかりやすく解説!

飲食店の経営にはさまざまな税金がかかりますが、その中の1つに「消費税」があります。一般的には、消費税といえば商品を購入した際に支払う税金というイメージがありますが、飲食店が納税する消費税はそれとはまた性質が異なります。

2019年に軽減税率が導入されてからは、飲食店の中でも外食なのかテイクアウトなのかによって、10%が課税されるところと8%が課税されるところに分かれるようになりました。軽減税率の導入後は消費税の仕組みがより複雑になったので、納税額の計算方法や申告の仕方がわからずに困っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、飲食店経営における消費税の基礎知識や納税額の計算方法、軽減税率の仕組みなどについてわかりやすく解説していきます。

飲食店は開業から2年間は消費税を納めなくていい

法人ではなく個人事業主の場合、開業してから2年間は消費税の納税が免除されます。また、3年目以降も基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていなければ、消費税の支払義務は発生しません。

基準期間に課税売上高が1,000万円を超えた場合

消費税は、【基準期間→準備期間→課税年度】という3年のサイクルで回っています。

基準期間とは、消費税の納税義務を判定する基準となる期間のことです。具体的には、納税する年の「2年前」が基準期間となり、2年前の課税売上高が1,000万円を超えているかどうかで、その年に納税義務が発生するかが判定されます。課税売上高とは、簡単にいうと「消費税抜きの売上」のことを指します。

たとえば令和1年に開業をして、初年度からお店が繁盛し、課税売上高が1,500万円だったケースを考えてみましょう。

課税売上高が1,500万円の場合、年間の課税売上高が1,000万円を超えているので、課税対象となります。ただし、実際に納税するのはその年ではなく、2年後の令和3年になります。

課税対象になるかは年度ごとに判定される

消費税は一度課税対象になったからといって、毎年支払わなくてはいけないわけではありません。

先ほどの例では、開業初年度は課税売上高が1,000万円を超えていたので課税対象となりました。しかし、翌年の令和2年の課税売上高が1,000万円以下だった場合、2年後の令和4年は納税が免除されます。

消費税の納税義務は、「基準期間の課税売上高が1,000万円を超えているかどうかで、年度ごとに判定される」ということを理解しておきましょう。

飲食店の消費税額は計算方法によって変わる

消費税の納付税額の計算方法には、一般課税(本則課税)と簡易課税の2種類があります。計算方法によって税額が変わるため、飲食店を経営されている方はそれぞれどのような計算方法なのか覚えておきましょう。

一般課税(本則課税)

一般課税は、お客様から受け取った消費税額から仕入れの際に支払った消費税額を差し引いて計算する方法です。計算式にすると、次のようになります。

【消費税の納付税額 = 受け取った消費税額 − 仕入れにかかった消費税額】

簡易課税

簡易課税も一般課税と同じように、受け取った消費税から仕入れにかかった消費税を差し引いて計算します。ただし、簡易課税の場合は仕入れにかかった消費税を実際の金額で計算するのではなく、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を使って算出します。

計算式にすると、次のようになります。

【消費税の納付税額 = 受け取った消費税額 × 60%】
(仕入れにかかった消費税額 = 受け取った消費税額 × みなし仕入率)

飲食業はみなし仕入率は60%です。売上高が1,000万円だった場合の納付額を簡易課税で計算すると、以下のようになります。

受け取った消費税:1,000万円 × 10% = 100万円
仕入れにかかった消費税:100万円 × 60% = 60万円
国に納める消費税 = 100万円 − 60万円 = 40万円

つまり、簡易課税で計算すると、売上高が1,000万円の場合の納税額は40万円となります。


参考: 国税庁「No.6509 簡易課税制度の事業区分」

一般課税と簡易課税、どちらがお得?

一般課税と簡易課税のどちらで納税した方がお得かというのは、原価率の高さなどによって異なるため一概にはいえません。実際の売上高で試算してみて、税額が低くなる方を選びましょう。

ただし、簡易課税には以下のような決まりがあるので注意が必要です。

・課税売上高が5,000万円以下でないと選択できない
・事前に税務署に届出をする必要がある
・一度選択したら2年間は変更できない

飲食店は標準税率10%、軽減税率8%どちらが適用される?

2019年10月の増税にともない、消費税はそれまでの8%から10%に引き上げられました。また、一部の特定品目に関しては消費税を8%のままにする「軽減税率制度」が導入されました。

軽減税率はすべての食料品に適用されるわけではなく、販売する商品や業態などによって適用対象になるか否かが決まります。

飲食店の場合、どのような業態で営業するかによって、標準課税の10%が適用されるのか、それとも軽減税率の8%が適用されるのかが変わってきます。ここでは、飲食店における軽減税率の適用範囲について解説していきます。

飲食店は標準税率10%、軽減税率8%どちらが適用される?

店内での飲食物の提供は10%(標準税率)

飲食店での「外食」には標準税率の10%が適用されます。ここでいう外食とは、椅子やテーブルが置いてある店の中で飲食をすることを指します。

具体的には、レストランやカフェ、居酒屋やフードコートなどでの飲食物の提供がこれに該当します。また、ホテルのルームサービスやカラオケボックスなどでの飲食も、施設内での提供となるため軽減税率の対象外となります。

テイクアウトや宅配は8%(軽減税率)

テイクアウトや宅配などは外食には該当しないため、軽減税率の8%が適用されます。また、キッチンカーや弁当の路上販売なども、飲食設備を設置しない形での提供となるため、軽減税率が適用されます。

標準税率と軽減税率が混在する場合、請求書や領収書はどうする?

店内での飲食物の提供とテイクアウトサービスの両方を行っている飲食店の場合、標準税率と軽減税率が混在することになります。その場合、領収書や請求書の書き方を「区分記載請求書等保存方式」に切り替える必要があります。

区分記載請求書等保存方式とは

軽減税率制度の導入に伴い、標準税率と軽減税率という2種類の消費税率に対応するために、それまでの「請求書保存形式」に代わる新しいルールとして、「区分記載請求書等保存方式」が導入されました。

区分記載請求書等保存方式では、軽減税率の対象となる業態で営業を行う飲食店には、取引等を税率ごとに分けて記帳する「区分経理」に対応した帳簿の作成が求められます。また請求書に関しても、同方式に従った形で発行しなくてはいけません。

区分記載請求書等保存方式における「帳簿の記載事項」と「請求書の記載事項」は、以下の通りです。

【帳簿の記載事項】
・課税仕入れの相手方の氏名または名称
・仕入れを行なった年月日
・仕入れの内容(軽減税率の対象品目である旨)
・仕入れにかかる支払対価の額

【請求書の記載事項】
・請求書発行者の氏名または名称
・取引を行なった年月日
・取引の内容(軽減税率の対象品目である旨)
・税率ごとに合計した取引の対価の額(税込)
・書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

飲食店経営に欠かせない消費税の知識を身につけましょう

飲食店の売上にかかる消費税と軽減税率について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。最後に、特に重要なポイントをまとめてみました。

・課税対象になるかは2年前の売上を基準に判定される
・基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合のみ、課税対象になる
・納税額の計算方法には一般課税と簡易課税がある
・軽減税率の対象となる場合、「区分記載請求書等保存方式」で請求書を発行する必要がある

飲食店を開業・経営していく上で、消費税に関する知識は不可欠です。正しい申告ができるように、納税額の計算方法や軽減税率などについてきちんと理解しておきましょう。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
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