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オンラインデリバリーでのみ注文を受け付ける無店舗型の飲食店であるゴーストレストラン。シェアキッチンやデリバリー代行サービスの発達により、日本でも注目されつつあります。初期投資を抑えつつ開業できるゴーストレストランについて、その仕組みや準備方法などをご紹介します。
目次
ゴーストレストランとは ?「注目されて当然」なそのワケ
ゴーストレストランはニューヨークで誕生した新しい飲食店の営業スタイルです。電話やネット、アプリからの注文にのみ対応する、実店舗を持たないデリバリー専門店であることが最大の特徴です。配達も外部のデリバリー代行サービスを活用することが多く、最小限の準備と資金で開業できることで注目を集めています。
なぜゴーストレストランが注目されてるの?
従来、デリバリーサービスを行うためには、自社で配達員を雇う必要がありました。しかし、2014年にデリバリーサービス「Uber Eats」が出現したことで、NYを中心にゴーストレストランが普及。日本でも、2016年に「Uber Eats」が上陸し、新たなビジネスモデルとして無店舗型の飲食店が注目されるようになりました。また新型コロナウイルスの流行によるデリバリー需要の高まりをきっかけに、ゴーストレストランの勢いはますます高まっています。
こんなにある!ゴーストレストランのメリット を解説
実店舗を持たないゴーストレストランには実店舗の飲食店にはないメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。
初期投資を抑えられる
実店舗を持たないため、家賃や人件費、光熱費などの固定費を抑えられます。シェアキッチンなどの活用により、調理器具などの備品購入も最小限に抑えられる可能性もあります。初期費用を抑えることで、飲食店を開業するハードルをグッと下げられます。また、ランニングコストも少なくて済み、営業を続けていく負担が減るのは嬉しいメリットです。
コンセプトの方向転換に融通が利く
ゴーストレストランを営業していて、コンセプトがユーザーニーズにあっていない場合、メニューの変更など労力が少なく済みます。
メニューに合わせて店舗の内装を変更する必要がないので、臨機応変に業態の軌道修正がしやすいのはゴーストレストランの大きな特徴です。実店舗を持たないため、営業場所も気軽に変更しやすく、試行錯誤して売上を伸ばしていける可能性があります。
複数の業態を掛け持ちできる
ゴーストレストランは実店舗と違い、業態の縛りを受けにくい特徴があります。例えば、同じ調理場を使って、複数の業態を掛け持ちすることも可能です。つまり同じキッチンでカレー業態、中華業態、サラダ業態などを同時展開していくこともできるのです。このように、トレンドや思いつきをすぐ形にできるスピード感は、従来の実店舗にはない強みと言えるでしょう。
客席に左右されずに売上を伸ばせる
通常の飲食店であれば、客席が満席になってしまえばそれ以上の注文は受け付けられません。しかし、ゴーストレストランであれば、席数に縛られる心配がありません。キッチンの業務効率化が上手くいけば、基本的に受けられる注文は増えていきます。
調理スペースや調理スタッフの人数にもよりますが、配達スタッフを外部に委託しているので、自分のスタッフの業務を調理にのみ集中させられ、実店舗以上に効率よく多くの注文を捌けます。
天候に左右されず業績を伸ばせる
一般的な飲食店では天候によって売上が左右され、特に雨の日は売上が落ちやすいと言われています。
一方、ゴーストレストランは直接お客様に料理を届けるスタイルなので、天候に客足が左右されません。むしろ、一般的な飲食店において客足が遠のく雨の日こそ、デリバリーの強みを活かせるともいえます。
他のゴーストレストランと情報交換ができる
飲食店の調理場を間借りしたり、シェアキッチンを活用したりする場合、同じ調理場にいる料理人同士で情報交換が可能です。コミュニケーションを取る中で、新たな調理ノウハウや気づきを得られることもあり、今後の営業の参考になるかもしれません。
データを活 用しやすい
ゴーストレストランは、デリバリープラットフォームを活用することにより、リピート率や支持層などのデータ分析が容易にできます。実店舗運営の場合は、「売れているから美味しいはず」といった感覚だけで人気を判断してしまうケースも少なくありません。デリバリープラットフォームで注文を受けることで、データが蓄積していくため、売れるメニューを正確に分析できます。
たったの4ステップ!ゴーストレストランの開業に必要な準備
ゴーストレストランの開業に必要な準備をステップごとに解説いたします。開業に必要な準備は次のとおりです。
ステップ1:調理場となる店舗物件の用意
実店舗を持たないとはいえ、調理場は必要です。そのため、まずは料理を作るための場所を確保します。調理場は実店舗を借りることも可能ですが、シェアキッチンを活用したり、どこかのお店のキッチンを間借りしたりする場合もあります。
必須のインフラやグリーストラップなど、店舗物件を探すポイントについて詳しくはこちらの記事でも解説しています
ステップ2:食品衛生責任者の資格取得
食品衛生責任者とは、食品の衛生管理が必要な事業を行うための資格です。通常は食品衛生責任者養成講習会を受講することで取得が可能することができます。栄養士や調理師の免許、食品衛生管理者の資格を持っている人は、新たに食品衛生責任者の資格取得が不要です。
食品衛生責任者取得の所要時間についてはこちらの記事で解説しています
ステップ3:飲食店営業許可の取得
調理場となる店舗に食品衛生責任者を1名以上配置し、店舗が所在する保健所で申請を行います。申請書類提出後、施設の設備等が要件を満たしているか検査が行われます。基準を満たしていれば、晴れて飲食店営業許可が下りることとなります。
すでに営業許可が下りている店舗のキッチンを間借りする場合、新たに飲食店営業許可の取得は不要なこともあります。ただし食品衛生責任者の資格がなければ販売を行うことはできません。
飲食店の営業許可取得についてはこちらの記事で詳しく解説しています
ステップ4:デリバリー代行サービスへの登録
ウーバーイーツなどのデリバリー代行サービスに登録し、配達をしてもらうよう準備を行います。デリバリー代行サービスにも審査があり、必ず登録できるわけではないので注意が必要です。審査の基準は各サービスによって異なるので、基準を満たしているサービスを選ぶようにしましょう。また、登録には登録手数料と配送手数料がかかるので、各サービスを比較検討し採算のとれるものを選ぶことも大切です。
デリバリーサービスですぐに出前を始める方法はこちらの記事で詳しく解説しています
ここがポイント!ゴーストレストランを開業する際の注意点
ゴーストレストランを開業するにあたって気をつけるべきポイントがいくつかあります。主な注意点は次の7つです。
一般的な飲食店の開業に必要な準備や注意点はこちらの記事で詳しく解説しています自宅を調理場にするのは難しい
ゴーストレストランは調理場があればいいので、自宅のキッチンで調理をしようと考えている方もいるかもしれません。しかし、自宅のキッチンのままでは飲食店営業許可が下りるのは難しいので注意しましょう。
自宅のキッチンで営業許可を貰うためには、大規模なリフォームを行い、設備を整える必要があります。当然、多額の費用がかかるため、自宅でゴーストレストランを始めるのは現実的ではありません。
食材の保管・管理が大変
実店舗を持たないため、当然、冷蔵・冷凍庫などの設備が乏しくなりがちです。そのため、食材の管理・保管が大変です。料理場を複数人でシェアしている場合、通常以上に食材の保管場所や衛生管理などに気を配る必要が出てきます。
調理スペースのルールをしっかり守る
調理場を間借りしたり、シェアキッチンを活用したりする場合、どのスペースまで使用していいかを明確にしておきましょう。冷蔵庫や調理器具の使用方法、ゴミ出しやお金の管理方法などトラブルになりそうなことは事前にルールを明確に決めておき、しっかりとそれに従うようにしましょう。また備品や設備が破損した際の対処法も予め決めておくのもおすすめです。
お客様からフィードバックを貰うのが難しい
実店舗であれば、料理の感想を直接お客様から貰うこともでき、それをもとに料理開発や調理に工夫を凝らすことができます。
一方で、ゴーストレストランでは直接お客様と顔を合わせる機会がなく、生の感想を知ることは難しくなります。提供した料理がどのような評価を受けているのかを見極めるのが困難です。
宣伝・集客が難しい
実店舗を持たないため、料理以外のサービスによる差別化が難しいと言えます。また店舗を見つけたお客様がふらっと入ってくることもありません。
通常の実店舗とは違った集客戦略が必要になるため、しっかりと工夫を凝らして宣伝活動を行わないと他の店舗のメニューに埋もれてしまう可能性もあります。
配送手数料などを考慮した値段設定にする
ゴーストレストランは初期費用が安いのがメリットとは言うものの、それでもそれなりの準備は必要です。デリバリー代行サービスを活用する場合の配送手数料や、調理した料理を詰める包装容器や割り箸、おしぼりなど思いもよらない費用が発生することも。それら全てを加味したうえで、後悔のないようにメニュー価格へ反映させていきましょう。
外部要因に大きく左右される
ゴーストレストランは調理場や配達を外部サービスに依存しています。つまり、外部サービスの仕様変更や料金改定の影響を受けやすいともいえます。登録しているデリバリー代行サービスが突然配達手数料を値上げすることもあり、来月から赤字になってしまうこともあり得ます。
ゴーストレストランとして資金と手間を最小限にして開業するとしても、将来的には外部プラットフォーム依存から抜け出すことを検討しましょう。
今注目のゴーストレストランで開業リスクを最小限に!
ゴーストレストランは実店舗を持たずに済むため、リスクと手間を最小限にして飲食店の経営を始められるのがメリットです。万が一失敗したとしても、営業の方針の軌道修正が簡単にできるので、業態を変えて再度挑戦することもできます。
飲食店の開業を検討している方は、ゴーストレストランによる開業も選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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