お店のこと、はじめる前も、はじめた後も。

2018/05/18

【第1回】内装について考える前にやるべきこと

「お店を開く」という夢を思い描いたときから、どんな内装にしようかと考えを巡らせている方も多いことでしょう。せっかく自分のお店を構えるのだから自分自身が満足できて、お客様にも愛されるようなこだわりのインテリアにしたいですよね。そこで大事になってくるのがパートナーでもある内装業者。「こんなはずじゃなかった……」と後悔しないための物件探しのコツや内装業者との上手な付き合い方など、内装にまつわるいろはを5回にわたってお届けします。教えてくださるのはこれまでたくさんの店舗の内装を手がけてきたその道のプロ、ユニオンテック株式会社の取締役小林佐理さんです。

内装で成功できるかどうかは、いい物件を選ぶことから始まります。そこで初回のテーマは「いい物件の見つけ方」。店舗となる物件を探すためのはじめの一歩、条件のいい物件を見つけてくれるいい不動産仲介業者と出合うためのポイントをお伝えします。

物件探しの段階で内装業者とのつながりを持つ

小林:開業を志すみなさんは、内装工事が意外と高いものであることをすでにご存知だと思います。そのため、物件探しと同じぐらいに「内装業者はどこにしようかな?」「デザインはどうしようかな?」と考える方が多いと思うんですけど、内装について考える前にまずは店舗の収支計画書を作成する時点で、どれだけ内装にかけられるのかを試算する必要があります。収支計画書の中で客単価や回転率などが試算できますし、1日の見込み客に対しての売り上げの予測も立てられます。そこから逆算して、どのくらいの資金を初期投資として内装にかけられるのかを明確にしていきます。おそらく、自分の持っている「こういう内装にしたい」というイメージと実際にかかる予算は合わないことが多い……というか確実に合わないと思います(笑)。ですから、まず考えるべきこととして、内装業者を選ぶ前にかけられる予算を明確にして欲しいですね。予算を考えることによって「あまり初期費用はかけられないな」とか、「最初は自分ひとりでやらなきゃいけないしアルバイトも採用できないから、家族に手伝ってもらいながらやっていく……となるとお客さんは一度に何人までが限界で、カウンター席とテーブル席はどのくらい必要で……」といった感じで、お店を開いたときのイメージを持てますよね。それから物件探しをすることで物件に必要な条件が明確になりますので探しやすくなるはずです。お店を始めるにあたって過剰な広さの物件を借りる必要はありませんが、狭すぎてもダメです。また、よく居抜きがいいと言いますが、自分のコンセプトや将来のビジョンに居抜き物件の現状がそもそもそぐわないというケースも多々あります。本当に居抜きがいいのか、それとも居抜きから改装していくのか、または、スケルトンから工事をするか、まず検討が必要です。また、是非物件探しの段階で内装業者とのつながりを持っておいて下さい。これについてはこのあとでお話します。

よい物件への近道は「元付け」不動産屋との出会い

さて、資金の部分がきちんとまとめられたら、今度は物件を探すための不動産仲介業者選びということになってくるわけですが、その際にいかによい仲介業者を探せるかが大事です。ここでポイントになってくるのがいわゆる不動産屋の選び方です。意外と知られていないことですが、不動産屋は「元付け」と「客付け」に分かれています。まず「元付け」とは物件オーナーから直接「空き物件にきちんと入居させてほしい」という依頼を受けている業者のことを言います。つまり直接オーナーとやり取りができる関係にあります。一方で直接オーナーとのやりとりはしておらず、不動産業者同士が情報を共有できるサイトに掲載された空き物件を、入居希望者にどんどん紹介することを得意とする、営業的な仲介業者を「客付け」と言います。例えば、店舗で通常通り契約すると保証金12ヶ月分というところが多いのですが、借り手側が「保証金を減額してほしい」とか、「フリーレント(家賃無料)期間をもらいたい」などのお願いをしたい場合に交渉しやすいのです。なぜフリーレントの交渉をするかというと、物件引渡し後に開店までの工事期間が1ヶ月かかるとすると、物件の引き渡しから1ヵ月間はお金を生まないことになるわけです。となるとその間の家賃を払うのは厳しいということでフリーレントという交渉をするのです。これは内装業者的には"基本のき"なんですよ。でも知らない人もたくさんいます。収益がないのに家賃だけ払うっていきなり厳しいじゃないですか(笑)。でもオーナーや仲介業者は家賃が早く入ってきた方がいいので、フリーレント交渉は借り手側からお願いしなければならないのです。そういう交渉事のアドバイスをもらうためにも、物件を契約する前に内装業者とのやり取りを始めるのは大切です。お店を開きたいという方がまずやるべきことは、元付けの不動産仲介業者を見つけることです。そうすれば業者のほうでオーナーと直接交渉をしてもらえます。客付けだと担当者からオーナーに直接交渉に行くことはなく、いったん元付けの営業担当に話がいってそこからオーナーに連絡がいくので話しが遠くなってしまいます。それに元付けの営業だって客付けの不動産の営業を介して相談されるよりも、お店を開きたいと借り手側から直接相談されたほうが交渉事も本気になるものです。ですからまずは元付けの不動産屋を探す、ここをきちんとやってください。ではどうやって元付けの不動産屋を見つけるかというと、これはもう直接聞いてください(笑)。「お宅の物件は客付け案件ですか? それとも元付けですか?」と聞くことは決して失礼なことではありません。ちなみに駅前に古くからある不動産屋は元付け案件を多く扱っているケースが多い気がします。内装業者のほうでそういった仲介業者を紹介することも可能なので、繰り返しになりますが、ぜひ物件を決める前に一度内装業者とコンタクトを取って相談いただきたいですね。

不動産屋との交渉は必ず物件を契約する前に!

借りたいと思う物件が見つかっても、すぐに契約するのは避けましょう。なぜなら、なるべくよい条件で物件を手に入れたいのであれば、契約前にどれだけ条件交渉ができるかが重要だからです。始めに「内装を考える前にまずは物件探し」というお話をしましたが、契約内容によって内装にかけられるコストもまったく変わってきます。500万円の内装費を考えていたとしても、保証金として家賃12ヵ月分を支払うのであれば、家賃が30万円だったとして360万円の保証金を払うことになるわけです。これを6ヵ月に減額できれば180万円を内装費にオンできる。そもそも自分の頭の中にある理想の店舗と予算って合わないことが多いです。だから予算を何にいくらかけられるのかという、総バジェットの分配が非常に大切になってきます。お金が大きくかかってくるのは物件を借りるところと内装工事の二つです。内装費用で困らないためにも物件を決める前に、一度内装業者に相談した方がスムーズに進められるのではないでしょうか。物件が決まった後に内装業者に依頼する方が多いのですが、その時にはもう不動産契約も済んでいて条件が決まっているんですよね。飲食業のコンサル系の雑誌なんかでは、お店を開くまでのフローを、資金計画を立ててから物件契約をして、内装を依頼するという順番で書いている場合が多いです。でも立地やターゲティングに関しての事前調査は自分でやってもいいものの、物件探しに関しては自分でイチから探すよりも、最初の段階から内装業者に声をかけ、一緒に探したほうが実は良い店舗を作れるのではないかと思います。

■プロフィール

ユニオンテック株式会社
取締役 新規事業室長 小林佐理
空間作りのプロフェッショナルとして、多くのオフィスや店舗などの内装を手掛ける。「10年後の建設業界の未来をツクル」をキャッチコピーとする事業「TEAM SUSTINA」を立ち上げ、業界の活性化のための改革プロジェクトも推進する企業。

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