自宅の一部を店舗などとして利用する自宅開業。
また、物件を借りないで開業する、プチカフェや週末だけのお店。
自宅開業や、プチカフェ、週末カフェなどは自分の時間を確保しやすいこともあり、開業を志す男性だけでなく子育て中の主婦などからも注目されています。
物件を借りないため、少ない資金で開業できるのが何よりの魅力です。
ここでは、自宅などを利用して開業する時に知っておきたいことなどをまとめてみました。
参考記事:開業とは?起業・独立との違いは?必要な準備についてもわかりやすく解説
目次
自宅開業におすすめの業種5選
自宅開業におすすめの業種として、以下の5つが挙げられます。
1.エステサロン
2.学習塾・習い事教室
3.Web、ECサイトの運営
4.ライター
5.家事代行
いずれも初期費用を抑えて始められるビジネスです。それぞれのビジネスの特徴を見ていきましょう。
1.エステサロン
女性に人気があるエステサロンやネイルサロンといった美容系の事業は、自宅でも開業できます。知識や技術があり、接客できる部屋と施術用のベッドやソファなどの設備を用意できれば開業することが可能です。
知識・技術がない場合でも、スクールを受講する、フランチャイズに加盟する、資格を取得するなどしてスキルを身に付けることができます。
2.学習塾・習い事教室
書道や英語学習などの習い事教室は、人に教えられるスキルとスペースさえあれば自宅で開業できます。好きなことや得意なことをそのまま仕事にできるため、高いモチベーションで働けるでしょう。
最近では、ZoomやGoogle Meetなどを使ってオンラインでも開講できます。自宅に人を入れたくないという方にもおすすめのビジネスです。
3.Web、ECサイトの運営
Web、ECサイトの運営はオンライン上でビジネスを行うので、自宅でも開業できます。サイトの開設や維持費などがかかりますが、比較的費用を抑えて始められるのもうれしいポイント。
「オンライン上で何か販売したい」「Web系の知識やスキルを活かしたい」という方におすすめのビジネスです。
4.ライター
Webライターであれば、パソコンとネット環境さえあればすぐに事業を開始できます。資格も必要ないため、手軽に自宅開業をしたい方におすすめです。
自宅以外でもパソコンとネット環境があれば、カフェや旅行先でも仕事ができます。さまざまな場所で自由に働きたいという方にも向いているでしょう。
5.家事代行
家事代行は、お客様の自宅に訪問して家事全般を代行するサービスです。テナントを借りる必要がなく、近年では共働き世帯や高齢者世帯からの需要が高まっています。
特別な資格や経験がなくても始められるうえに、初期費用もほとんどかからないのがメリットです。手軽に始められるビジネスで開業したい方は、ぜひ検討してみましょう。
自宅で開業するメリットとは?
低予算でスタートできる
自宅開業ができるビジネスは、初期費用や維持費を抑えられるものが多く、低予算でのスタートが可能です。資金を準備する必要がないため、初心者でも安心して始められるでしょう。
オフィスの賃料がかからない
自宅で開業できるビジネスは自宅やオンラインで仕事をするため、オフィスを借りる必要がありません。しかし、自宅が賃貸住宅の場合は事務所利用できないこともあるので、家主や管理会社に確認したほうがよいでしょう。
移動時間がかからない
自宅でビジネスができれば、通勤する手間がなくなります。通勤時間を節約できるうえに、満員電車に乗るストレスからも解放されます。交通費もかからないので経済的です。
家事や育児と両立できる
自宅で開業できるビジネスであれば、家事や育児との両立が可能です。家事や育児にも力を入れたい方でもビジネスを続けられます。
落ち着いて働ける
自宅で開業すると、落ち着いて働けるのもメリットの1つです。とくに、1人で黙々と作業することが好きな方にはベストな環境でしょう。最近ではメールやチャット、ビデオ通話ツールで完結できる仕事も多いので、人と対面しなくてもビジネスが成り立ちます。
自宅で開業するデメリットとは?
店舗業の場合、改装が必要になる
もし、飲食店や美容院などの店舗業を始める場合、自宅を改装する必要が出てきます。費用が掛かるのはもちろん、近隣に迷惑をかけないか考えましょう。
例え一軒家であっても、自宅で飲食店を開業する場合、人の出入りやにおいが出るため苦情が入る可能性があります。自宅で店舗業を行うことはリスクが伴うので、あらかじめ把握しておきましょう。
プライバシー対策をする必要がある
自宅で開業する場合、名刺やメールの署名などに自宅の住所を載せる場合があります。もし住所を明かしたくないのであれば、バーチャルオフィスを契約するのも1つの手段です。
バーチャルオフィスのサービスには、住所や電話番号の提供、郵便物の受取・転送などがあるため、個人情報を明かすことなくビジネスができます。
プライベートで人を招きづらくなる場合がある
自宅で習い事教室やエステサロンを開く場合、人の出入りが多く、備品などもあることから、プライベートで人を招きづらくなる可能性があります。同居している家族がいる場合、家族も気苦労する面があるかもしれません。
自宅の雰囲気を壊したくない方はオンラインで開講できる事業にするか、Web、ECサイトの運営やWebライターなど自宅を改装しなくても始められるビジネスを選びましょう。
情報セキュリティが不安
自宅開業は、情報セキュリティが強化された会社勤めと比べると、セキュリティが万全ではないのが難点です。仕事場とプライベートスペースを分けていないと、家族や子どもがパソコンや資料に触ってしまう可能性があります。
家族であっても、ビジネスの情報を漏らすことはご法度。トラブルにつながることもあるのでパソコンや仕事に関わるもののセキュリティは強化しておくとよいでしょう。
仕事とプライベートの区別が難しくなる
昼夜や曜日を問わず好きな時間に、好きなだけ仕事ができるため、プライベートの区別がつきづらくなります。仕事場と自宅が同じだとメリハリがつかず、仕事がなかなか終わらないことも。自宅開業をする際は、セルフマネジメントも大切です。
開業までは手続きの繰り返し
例えば、自宅の「お店」などをオープンさせる場合、開業までの工程は、許可証などの取得、届け出など「手続き」の繰り返しです。
逆に言えば、難しく特殊な作業はなく、順番にやっていけば、誰でも開業できる、とも言えます。
個人事業主の開業は1ヵ月以内に「開業届」を提出する
自宅開業の場合、その地区の税務署に開業から1ヵ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。
これは新しく事業を開始したときや、廃止したときに提出する書類です。
従業員の居ない個人事業主なら用紙に記入するだけですので、あっけない程に簡単に完了します。
開業届を書く際、店の名前となる「屋号」を記入する欄があるので事前に決定しておきましょう。
屋号を決める際のポイントとは
屋号はお客さまの第一印象を大きく左右するものです。
名前のインパクトが集客にも影響を与えるため、安易な名前づけで簡単には決められません。
では、どのようなポイントに気を付けて決めればいいのでしょうか?ポイントは以下の4つです。
・事業内容が分かりやすい
看板にお店の名前が書いてあったとしても、何のお店か分からなければお客さまがすぐに足を運んでくれません。カフェであれば「○○カフェ」、美容院であれば「○○美容院」など、事業内容を含む方がより足を運んでもらいやすくなります。
・覚えやすい
インパクトを与えるためにかっこいい英語の名前を付けても、覚えてもらうことができなければ意味がありません。良いお店と思われても、名前が思い出されないと多くの人へ周知しずらくなります。短くて覚えやすい店名が良いでしょう。
・言いやすく書きやすい
SNSなどで情報が拡散されやすい時代になっているため、入力しやすい文字、文字数を心がけることも重要です。長すぎる文字やアルファベットとひらがなを両方使う店名は、SNSでの周知に影響します。
・個性的である
他店と同じ名前では差別化を図ることができません。ネット検索では、同じ名称でもアクセス数の多い店の方が上位に表示されます。自分のお店が他店に埋もれてしまう場合があるのです。個性的でオリジナリティ溢れる店名をつけましょう。
青色申告と白色申告、どちらがいいの?
「開業届」を提出すると同時に、決めておきたいのが確定申告の方法です。
青色申告の場合、帳簿のレベルによって10万円もしくは65万円の所得控除が受けられます。
さらに赤字が3年間繰り越せるのも大きなメリットです。
白色申告の場合、控除などはありません。
青色申告をする場合には、税務署に開業から2ヵ月以内に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
開業準備で忘れがちですので、開業届と一緒に提出することをおすすめします。
控除面でみると青色申告のほうがメリットが大きいように思えますが、白色申告にも利点はあります。
双方のメリットとデメリットを理解したうえで、確定申告をすることが重要です。
白色申告のメリットとデメリット
白色申告は、以前まで帳簿つけが義務付けられていなかったため、帳簿つけが義務化されている青色申告との間には大きな業務量の差がありました。
そのため、白色申告は少しでも業務量を抑えたいという目的から選ばれていました。
しかし、現在は白色申告も帳簿つけが義務化されました。
そのため、さほど業務量に大きな変化は生じなくなっています。
それでも白色申告を選ぶ人は、単式帳簿であるという点にメリットを感じているためです。
青色申告のように複式帳簿ではないため、業務量を減らせるというメリットがいまだに残っているのです。
逆に白色申告のデメリットは、特別控除を受けることができないということです。
また、赤字を3年間繰り越すことができないため、赤字が続いて黒字転換した時や赤字と黒字を繰り返すような時には、青色申告よりも税負担が大きくなることもデメリットです。
青色申告のメリットとデメリット
青色申告のメリットは冒頭で少し触れましたが、それ以外にも多くのメリットがあります。
例えば、家族への給与を全額経費として計上できる点です。
白色申告の場合、専従者給与として差し引くことができるのは配偶者86万円、その他の親族50万円と一定の金額でした。
しかし、青色申告は給与が妥当な金額であれば、特に上限が設定されていません。
また、通常は事業に用いる10万円を超える資産を購入した場合、耐用年数に応じて経費化していきますが、青色申告は30万円未満まで一括で経費にできます。
自宅を事務所にすることで家賃や電気代の一部も経費にできるなど、節税効果が高いと言えるでしょう。
逆に青色申告のデメリットは、届け出が必要になることや65万円の特別控除を受けるためには、複式帳簿での帳簿つけが必要になることなどが挙げられます。
最近は、会計ソフトで簡単に作成できますが、苦手な方は税理士に依頼するのも1つの選択肢と言えるでしょう。
例えば、雑貨屋を開業する際に、特に注意したい届けとは?
中古品やアンティーク雑貨などを扱う場合、特別な手続きが必要になります。
中古品やアンティーク雑貨を扱う場合に必要な「古物商許可申請」
アンティーク雑貨や古着、古本、リサイクル品などを販売する場合は「古物商許可申請」の手続きが必要。
申請はお店の所在地を管轄する警察署の防犯係で行います。
申請費用は1万9千円で、許可をもらうのに40日程かかります。
また申請の際には身分証明書や住民票などさまざまな書類の提出も必要です。無許可で古物の売買を行うと「懲役3年または100万円以下の罰金」が課せられます!
簡単そうに見えて課題も多い、自宅を利用したカフェ開業
自宅の一角を利用した「おうちカフェ」の開業が、最近人気を集めています。
「週末だけ」など営業時間を自由に設定できるのも自宅だからこそ。
ただし、クリアすべき課題が少なくありません。
自宅カフェの開業には地域の保健所の許可が必要
カフェの開業には「飲食店営業許可」、もしくは「喫茶店営業許可」が必要です。
地域の保健所で申請しますが、まず店舗が許可の基準に達しているか、保健所の調査があります。
保健所によって違いがありますが、主な基準は以下の通り。
●調理場が仕切られていること。
●シンクが2槽以上あること。
●給湯設備があること。
●食器棚に扉がついていること。
「食品衛生管理者」の資格は講習で取得できる
営業許可を申請するには、お店の衛生面を管理する責任者、「食品衛生管理者」の資格を持つ人が1名必要です。
調理師や栄養士の資格がなくても、食品衛生協会が行っている講習を修了すれば1日で取得できます。
また、「食品衛生責任者」という資格もあります。
こちらは、食品販売や製造を行う全ての事業所に配置しなければならない有資格者です。
自治体が管轄する公的資格で、資格要件が決まっているものであるため、混同しないように気を付けましょう。
ただし、両者の業務内容は同じです。
食中毒が発生しないように職場の衛生管理を徹底するほか、従業員の食中毒に対する意識向上を徹底することが求められます。
また、食の安全を守るための役割も担い、食中毒が発生した場合には速やかに保健所に通報するなど被害の拡大を防ぐことも食品衛生管理者と食品衛生責任者の役目です。
「自宅を改装して自分のお店を開くんだ!」と行動を始める際に、忘れず「届け出」を行いましょう。
自宅で開業する際はメリットとデメリットを必ず把握しましょう
自宅で開業する最大のメリットは、コストを安く抑えられることです。物件探し、内装工事などの時間・費用も節約できるので、準備を始めてから開業までの時間も短縮できます。
一方で、ビジネスとプライベートの境目があいまいになり、モチベーションの維持が難しくなる可能性も。メリット・デメリットを十分に把握した上で、自宅開業を始めるのがよいでしょう。
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この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。
