ラーメンは、専用の食べ歩きブックなどが発売されるほど多くの方に愛されている食べ物です。
中には、ラーメン好きが高じて「自分でラーメン屋を開業したい」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、ラーメン屋の開業を思い立っても、必要な費用や準備方法が分からないと、なかなか行動に移せません。開業するなら、事前に準備すべきことから経営のノウハウまで把握してから挑戦したいものです。
この記事では、ラーメン屋を開業するためにかかる費用や準備方法などを紹介します。開業に失敗しないポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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目次
ラーメン屋は開業して1年以内に4割以上の店舗が廃業している…
ラーメン屋の経営は決して甘いものではありません。開業してから利益を出せずに悩む方は多く、営業開始から1年以内に4割以上のラーメン屋が廃業するといわれています。
競合も多く、ラーメン屋の店舗は全国に約25,000件ほどあります。ほかのラーメン屋と違う強みがないと、生き残るのはなかなか難しいのが現状です。
しかし、ラーメン屋は開業する敷居が低く、比較的挑戦しやすいジャンルでもあります。もちろん、廃業しないためにはあらゆる工夫が必要になりますが、それはどの業界でも同じです。
ラーメン屋の開業は、費用や準備の面でかかる労力が少ないことからも、これから飲食店の開業を考えている方にはおすすめの業種だといえます。
ラーメン屋を開業する3つのメリット
ラーメン屋を開業するメリットはさまざまありますが、とくに大きなメリットとして挙げられるのは以下3点です。
●少ない費用で始められる
●専門資格を取得する必要がない
●フランチャイズも利用できる
それぞれのメリットについて、順番に紹介します。
少ない費用で始められる
ラーメン屋を開業するメリットのひとつが、開業時にかかる費用の少なさです。
実店舗を持つ営業形態で開業する場合、前もって店舗物件の確保や内装工事が必要になります。店舗の規模が大きいと、物件の取得費や工事費などの初期費用だけで数千万円かかることも珍しくありません。
その点、ラーメン屋は10坪以下の小規模な店舗でも始められるため、大規模な店舗よりも家賃が安い物件を選ぶことができます。また、もともとラーメン屋を経営していた居抜き物件を探せば、既に設置されている設備を利用できるので設備投資をさらに控えることができます。
このように店舗の規模や選び方などを工夫すれば、手持ちの資金が数百万円程度でも開業できる可能性があります。
専門資格を取得する必要がない
ラーメン屋は、6時間の講習を受けることで取得できる「食品衛生責任者」の資格があれば始めることができます。
「調理師免許」の取得が必要だと勘違いされがちですが、このような専門資格は必要ありません。専門資格の取得が不要な分、開業準備に専念できます。
フランチャイズも利用できる
ラーメンの調理方法に詳しくない方や、飲食店の経営方法の知識がない方でも、フランチャイズを利用すればラーメン屋を開業することができます。
大半のフランチャイズ本部では、調理方法や経営方法などを習得するための研修を行っています。研修体制の整ったフランチャイズを利用すれば、ラーメンに精通していなくても開業が可能です。
また、フランチャイズ本部によっては、物件探しやマーケティング面のサポートをしてもらえるため、開業までの準備期間を短縮することができます。
ほかにも、ブランド名を利用できることから売上が伸ばしやすい、設備面のサポートを受けられるなど、フランチャイズを利用するメリットは数多くあります。ラーメン屋での勤務経験がない場合は、フランチャイズを利用するのがおすすめです。
ラーメン屋の開業に必要な費用
ラーメン屋の経営には、初期費用と運転資金の2つが必要です。それぞれいくらほど必要なのか、金額の目安について解説します。
なお、開業に必要な費用が手持ちの資金だけでは足りない場合、日本政策金融公庫や各自治体が設けている融資制度を活用することで資金調達ができます。
借入には審査があり、制度によって融資限度額は異なります。また、無担保・無利子で利用できる制度のほか、融資の内容によっては利子を含めて返済していく必要がある点は覚えておいてください。
費用面に不安を抱えている方は、このような融資制度の利用も検討しましょう。
初期費用
ラーメン屋を開業する際、初期費用として以下の支出が発生します。
●店舗の取得費
●内装や外装の工事費
●厨房の設備費
●宣伝費
取得した店舗を営業できる状態にするためには、内装や外装の工事、厨房の設備の準備など、ハード面を整えるための費用が必要です。
店舗の規模によってかかる費用は異なりますが、一般的には合計で1,000万円程度の初期費用が必要だといわれています。
運転資金
ラーメン屋を開業して営業を行う際、家賃や人件費、原材料や光熱費などが定期的に発生します。
最初から黒字経営ができるとは限らないため、開業時にはある程度の運転資金を確保しておきましょう。
必要な運転資金は店舗によってそれぞれですが、500万円程度あれば売上がなくても半年間は営業を続けられるといわれています。開業後は用意した運転資金を活用しつつ、集客や売上アップに努めましょう。
資金調達のサポートを受けることも
開業が初めての場合、融資制度を活用しようとしても上手くいかず資金調達につまずいてしまうこともあるでしょう。
そんな方には、資金調達のアドバイスが受けられる「開業支援サポート」を利用するのも有力な選択肢のひとつです。
融資に限らず、開業に関するさまざまな悩みについて支援を受けられる開業支援サポートが多いため、複数の悩みをまとめて解決できる可能性があります。
飲食店や美容院、ショップなどの開業を支援している「canaeru(カナエル)」も、そんな開業支援サポートのひとつです。
融資をはじめとした資金調達に関する相談はもちろん、物件の取得や内装工事についての相談も受け付けているので、開業に向けて困っていることや悩んでいることがある方は、ぜひ利用を検討してみてください。
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ラーメン屋を開業するために必要な準備とは
万全な状態でラーメン屋を開業するためにも、事前に済ませておくべきことが4点あります。
●ラーメン屋で修行を積む
●店舗を用意する
●従業員の採用や教育をおこなう
●資格取得や営業許可の申請をする
上記4点は、どれも開業前に必要となる準備です。それぞれの準備について、さらに詳しい内容を紹介します。
ラーメン屋で修行を積む
ラーメン屋で勤務したことがない方は、すでに営業しているラーメン屋である程度の期間、修行を積んでから開業することをおすすめします。修行を積むことで、ラーメンの調理方法や経営ノウハウを学んでから開業できるためです。
もちろん、調理方法や経営ノウハウは営業をしながら学ぶこともできるでしょう。しかし、自力で習得するとなると時間がかかるうえに、学ぶ時間の分だけ競合に遅れを取ってしまいます。
また、ラーメン屋で修行を積むことで「ラーメン屋で勤務することの大変さ」を把握できます。事前に身をもって大変さを実感していれば、開業したあとに辛いことがあっても気持ちが折れづらくなるでしょう。
なお、フランチャイズを利用する場合は、未経験者に向けて調理方法の研修や経営面のサポートをしてくれるため、修行を積まなくても開業可能です。
店舗を用意する
ラーメン屋を開業するには、店舗を用意する必要があります。立地によって客層はかなり変わるため、自分がアプローチしたい層が多い立地で物件を取得してください。
また、新規で店舗を用意する場合は、開業に向けて内装や外装の工事が必要になります。店舗の規模によって工事費は異なるので、自身の予算に合わせた規模の物件を選ぶことが大切です。
なるべく初期費用を抑えたい方は、必要な設備が整っている「居抜き物件」を活用しましょう。ゼロから工事をおこなう必要がなく、物件によっては厨房設備をそのまま使用できるため、初期費用を大幅に抑えることができます。
従業員の採用や教育をおこなう
従業員を雇ってラーメン屋を営業する場合は、従業員の採用や教育を行いましょう。
人材の募集には、ハローワークやWebサービスを活用する方法があります。実際に雇用する際には、雇用保険や労災保険などの手続きを忘れないよう注意してください。
ちなみに、フランチャイズを利用する場合、本部によっては従業員の採用や教育などの業務をサポートしてくれることがあります。
資格取得や営業許可の申請をする
ラーメン屋を開業するためには、「食品衛生責任者」の資格取得と「飲食店営業許可」の申請が必要です。
食品衛生責任者は、各都道府県の食品衛生協会がおこなう講習を受けることで取得できます。受講には申し込みが必要なので、早めに手続きを済ませましょう。
飲食店営業許可は、営業許可を保健所へ申請し、施設の検査を経てから許可書が交付されます。手続きには時間がかかるため、遅くとも開業予定の10日から1週間前には届け出るようにしてください。
なお、店舗の収容人数が30人以上の場合は、「防火管理者」の資格を取得しなくてはなりません。防火管理者の資格は、食品衛生責任者と同様に講習を受けることで取得可能です。
ラーメン屋の開業に失敗しないための4つのポイント
ラーメン屋の経営に失敗しないためにも、開業の際は以下4点を意識しましょう。
●市場調査を徹底的におこなう
●回転率を上げるために調理や接客の効率化を図る
●販促活動をおこなう
●競合のラーメン屋と差別化する
それぞれの内容について、詳しく解説します。
市場調査を徹底的におこなう
ラーメン屋に限ったことではありませんが、開業をする際は土地の特徴や客層を調査し、具体的なニーズを把握することが重要です。
たとえばビジネス街で営業する場合、お昼のランチを目的としたビジネスマンがメインの客層になるでしょう。お昼休憩の時間は限られているため、「注文してから早くラーメンを提供してほしい」というニーズがあることが予想できます。
一方、飲み屋街で営業する場合は、締めの一杯を目的とした方が多くなるでしょう。こういった客層は、「深夜帯のような遅い時間でも営業してほしい」と考えている方が多いため、営業時間を調整するといった形でニーズに応えることができます。
開業するエリアのニーズを徹底的に把握して需要が高いラーメン屋を目指すことで、売上の安定に繋がります。経営に失敗しないためにも、市場調査は綿密に行いましょう。
回転率を上げるために調理や接客の効率化を図る
ラーメン屋の売上を伸ばすためには、回転率を上げることが大切です。回転率が上がれば上がるほど、売上アップにも繋がります。
経営を安定させるために回転率を上げる工夫をする場合、具体的には、ラーメンの提供スピードを上げる、接客の効率化を図るなどの方法があります。
とくに、ラーメンの提供スピードは回転率に大きく影響するため、優先的に効率化したいところです。ランチタイムなどのピーク時でも早くラーメンを提供できるよう、調理方法に工夫を取り入れてください。
販促活動をおこなう
ラーメン屋の経営を安定させるために欠かせないのが、販促活動です。
新規顧客を獲得するためには、チラシを活用して積極的に販促活動をおこなう必要があります。ポイントカードの導入やクーポン券の配布など、リピーターを獲得するための活動も忘れずに行いましょう。
ちなみに、チラシのように物理的な広告だけでなく、インターネットを活用した販促活動も効果的です。
とくに、費用をかけずに店舗の宣伝ができるSNSは、多くの方が販促活動を目的として利用しています。まだSNSを活用していない方は、販促活動に使用するアカウントを開設しましょう。
なお、SNSを活用する際には、ほかの飲食店を参考にするのがおすすめです。フォロワー数が多い、または投稿に対する反応率が高い飲食店のアカウントを探し、その飲食店がどうやってSNSを活用しているのかを観察してから自分の販促活動に役立ててください。
競合のラーメン屋と差別化する
ラーメン屋を開業する際には、近隣エリアにある競合と差別化することも重要です。今はどこにでもラーメン屋がある時代なので、安定して集客をするためには自分の店舗にしかない強みが必要となります。
ほかの店舗にはない独自の味のラーメンを提供する、内装や外装にこだわるなどして、競合との差別化を図りましょう。上手く差別化できれば話題性が生まれ、集客に繋がります。
ただし、差別化の方法によっては、大きな費用が発生する可能性もあるため注意してください。
たとえば、内装にこだわりすぎると、高額の工事費が発生することもあります。差別化を図る際は、低コストで実行できるかという点をまずは考えましょう。
入念に準備してラーメン屋の経営を成功させましょう
ラーメン屋は廃業率が高い業種ですが、専門資格の取得が必要なく、比較的参入しやすい業種でもあります。
フランチャイズを利用すれば、ラーメンに詳しくない方でも開業できるうえに、本部によっては物件探しやマーケティング面までサポートしてもらえる場合もあります。
もちろん、経営を安定させるのは大変ですが、ラーメン屋に限らず開業にリスクはつきものです。しっかりと準備をしておけば、どんな方にもチャンスがあるのがラーメン屋の魅力といえます。
大切なのは、開業後に売り上げをアップさせるための努力を怠らないことです。入念に計画を立てて最大限にリスクを減らしたうえで、ラーメン屋の経営を成功させましょう。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。
