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「フランチャイズ」という言葉は知っていても、具体的にどのような事業形態なのか、どのような手順で加盟するのかなど、細かい仕組みまで理解している人は少ないのではないでしょうか。
研修や経営指導など、本部からさまざまなサポートが受けられるフランチャイズは、開業の経験がない経営初心者の方におすすめの起業方法です。
この記事では、これからフランチャイズでの独立・開業を目指す人に向けて、フランチャイズの概要やメリット・デメリット、本部を選ぶ際のポイントや開業資金の調達方法などについて解説していきます。
参考記事:フランチャイズ経営の仕組みとは?経営するメリットやデメリットを解説
目次
フランチャイズとは?
フランチャイズとは、ブランドやビジネスモデルを所有するフランチャイザー(本部)
と、その権利を借りて事業を運営するフランチャイジー(加盟店)との間の契約関係を指します。
フランチャイジーは、フランチャイザーに保証金や月々のロイヤリティを支払うことで、フランチャイザーが保有する商標やブランド力、経営に関する様々なノウハウを利用して事業を展開できます。
すでに成功しているビジネスモデルを活用するため、リスクを低減し、短期間で事業を軌道に乗せることが可能です。
フランチャイズの市場規模は年々拡大しており、日本フランチャイズチェーン協会の調査によると、2022年度のフランチャイズによる売上高は約27兆円。2020年度の25兆円、2021年度の26兆円と比較すると増加傾向にあります。
フランチャイズチェーンは主に、小売業、外食業、サービス業に分けられ、チェーン数が最も多いのは、コンビニを含む小売業です。代表的なものとしてセブンイレブンやファミリーマートが挙げられるコンビニは、本部の種類こそ少ないですが、店舗数は約5万7000件、売上高は約11兆円と、小売業全体の半分を占めています。
外食業とサービス業も軒並み売上高は上昇傾向にあり、外食業は前年度から2734億円増(+7.4%)の3兆9000万円、サービス業は同278 億円増(+1.0%)の2兆9000万円となっています。
参考 『日本フランチャイズチェーン協会』フランチャイズチェーン統計調査フランチャイズの主な業種
一口にフランチャイズといっても、その業種は実にさまざまです。前述した小売業、外食業、サービス業の中でもさらに細かく分けられ、小売業ではコンビニや書店、外食業ではレストランや居酒屋、サービス業では学習塾やカルチャースクール、美容室などが代表的です。
それぞれの業種によって開業資金や運営方法が異なるので、フランチャイズに加盟する際は「どの業種で開業するか」を事前に決めておくことをおすすめします。フランチャイズのメリット
フランチャイズに加盟することで得られるメリットには、主に次のようなものがあります。
✔経営指導や集客支援などのサポートが受けられる
✔フランチャイズチェーンのブランド力を利用できる
✔未経験でも開業しやすい
それぞれどのような内容なのか、ひとつずつ解説していきます。
関連記事 フランチャイズ加入時に注意するべきこととは?経営指導や集客支援などのサポートが受けられる
フランチャイズに加盟するメリットとしてもっとも大きいのが、フランチャイズ本部からサポートが受けられることです。開業前の研修はもちろん、お店をオープンした後も商品の仕入れや販売方法などの経営指導を継続して受けることができます。
また、個人経営の場合は自費でチラシを印刷したり、Web広告を活用したりしてお店の宣伝をする必要がありますが、フランチャイズの場合は本部がある程度代わりに宣伝をしてくれるので、集客にかかる費用を節約することもできます。
フランチャイズチェーンのブランド力を利用できる
フランチャイズチェーンの知名度が高い場合、本部のもつブランド力を利用して集客することも可能です。人気のあるチェーンに加盟した場合は、オープン初日から行列ができることも珍しくありません。これは、個人経営では受けられないフランチャイズならではのメリットといえるでしょう。
ただし、ネームバリューがないチェーンや展開している店舗数が少ないチェーンの場合、加盟しても上記のようなメリットは受けられないことがあるので注意が必要です。
未経験でも開業しやすい
過去に起業や店舗運営をしたことがない未経験者の場合、お店をオープンするまでの手順や準備の仕方がわからなかったり、開店後も売上をあげるためにどのような経営をしていったら良いのか悩んでしまったりすることがあります。
この点に関して、フランチャイズでは開業に必要な知識やノウハウを研修でレクチャーしてもらえるので、経営の知識や経験がなくても開業することができます。また、開業後も本部の担当者が店舗づくりのアドバイスをしてくれるので、未経験者でも安心して経営することが可能です。
フランチャイズのデメリット
さまざまなメリットが受けられる一方で、フランチャイズには次のようなデメリットもあります。
✔本部にロイヤリティを支払う必要がある
✔本部のマニュアル通りに営業しなくてはいけない
✔契約終了後に同業種での出店ができなくなる場合がある
各内容について詳しく解説していきます。
関連記事 フランチャイズにおける7つのリスク&デメリットを解説。失敗しないためのポイントとは?本部にロイヤリティを支払う必要がある
加盟店は、フランチャイズ本部が権利をもっている商号や商標を利用して、本部と類似する商品やサービスを提供させてもらう対価として、ロイヤリティと呼ばれる使用料を定期的に支払う必要があります。
ロイヤリティの支払義務は、たとえ思うように利益が出ていなくても発生する可能性があります。契約後に問題が起きるのを避けるためにも、ロイヤリティの支払条件や算定方法などは事前にフランチャイズ本部に確認しておきましょう。本部のマニュアル通りに営業しなくてはいけないケースが多い
原則として、フランチャイズ加盟店は本部が作成したマニュアル通りに営業しなくてはなりません。フランチャイズは本部からさまざまなサポートが受けられる反面、個人経営と比べて経営の自由度が低くなりやすい傾向があります。実際に、フランチャイズ本部のなかには加盟店が独自にメニューを開発したり、キャンペーンを行ったりすることを禁止しているところが多く存在します。
ただ、昨今はこのような不満を解消するようなフランチャイザーが現れ始めています。仕入れやメニュー、オペレーション、はたまた屋号まで自由というところもあります。
「マニュアル通りに営業する代わりに手厚いサポートを享受できるパターン」か「ある程度の自由裁量で運営できるが、その代わりサポートが薄いパターン」か…。これらを選択できるのも最近の傾向と言えます。
契約終了後に同業種での出店ができなくなる場合がある
チェーンによっては、契約書に「競業避止義務」を規定しているところもあります。競業避止義務とは、フランチャイズ契約が終了しても一定期間は同業種での開業を禁止する誓約のことで、違反すると競合行為の差し止め請求や損害賠償の請求などの措置がとられることもあります。
契約終了後にトラブルにならないように、競業避止義務の有無は契約を結ぶときに忘れずに確認しましょう。フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)はビジネスパートナー 新規
フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)の関係は互いに利益を追求し、成功を共有するための協力関係と言えます。
本部は、加盟店の成功が自社の成功にもつながるため、加盟店をサポートし指導することに努めます。一方で加盟店は、本部のブランド力やビジネスモデルを活用して成功を目指します。
両者は契約によって結ばれており、互いの役割や責任が明確に定められています。しかし、どちらか一方でもそれぞれの役割や責任を放棄してしまうと、互いの求める成功にはたどり着けません。
相互の協力を前提としたビジネスモデルであることから、フランチャイザーとフランチャイジーは対等なビジネスパートナーとしての認識が必要となります。フランチャイズ=成功ではない
フランチャイズは成功を保証するものではありません。確立されたブランドやビジネスモデル、サポート体制などの利点がありますが、初期費用やロイヤリティ、運営制約などのリスクも伴います。
店舗を経営していくのはあくまで自分自身。市場競争や経営の失敗による経済的損失の可能性も考慮しながら、市場調査、適切なフランチャイズの選択、効果的な運営とマーケティングなど、成功のために必要な準備や努力を怠らないようにしましょう。本部の経営理念を遵守する
フランチャイズにおいて本部の経営理念を遵守することは、ブランドの一貫性を保ち、顧客満足度を高めるために重要です。理念遵守は、ブランド価値の向上、運営効率の改善、そして長期的な成功の基盤となるため、フランチャイジーにとって重要な責務といえます。
マニュアルを守って創意工夫する
フランチャイズ経営において、定められたマニュアルの遵守は不可欠です。これにより、品質と一貫性が保証され、ブランド価値の維持につながります。
しかしながら、マニュアルを忠実に守ることが必ずしも成功を保証するものではありません。同一ブランド内での競合が存在する以上、差別化を図ることが重要となります。
フランチャイズによっては、企業理念やマニュアルに基づいた独自のサービスや商品開発を奨励している場合もあります。そうでない場合でも、以下のような方法で創意工夫を行うことが可能です。
✔従業員教育の充実
✔店舗の雰囲気づくり
✔地域特性に応じた販促活動の展開
これらの取り組みを通じて、ブランドの本質を損なうことなく、独自性を追求することが大切です。フランチャイズ本部を選ぶ際の3つのポイント
フランチャイズ経営に成功するには、本部と良好な関係を築くことが不可欠です。しかし、フランチャイズで開業するのが初めてという場合は、良い本部と、好ましいとは言えない本部の見分けがつかないのが普通でしょう。
フランチャイズ本部は、以下の3つのポイントを基準に選びましょう。
①サポート体制は整っているか?
②事業が成長する可能性はどのくらいあるか?
③本部は信頼できるか?
それぞれのチェックポイントの内容を、以下で確認していきましょう。
①サポート体制は整っているか?
加盟店のサポートをしてくれる本部の担当者のことを、スーパーバイザー(SV)といいます。スーパーバイザーがどの程度まで協力してくれるかはチェーンによって異なり、経営全般に関するサポートをしてくれるケースもあれば、本部との連絡など最低限のことしかしてくれない場合もあります。
本部とフランチャイズ契約を結ぶ前に、スーパーバイザーが月に何回くらい担当店舗を巡回するのかなどを質問して、協力体制の有無を確認しておきましょう。②事業が成長する可能性はどのくらいあるか?
加盟を検討しているチェーンが、将来的に成長する可能性があるのかを見極めることも大切です。既存店の利益率や廃業率などをチェックして、長期的に利益を出せるビジネスなのかを判断しましょう。
③本部は信頼できるか?
フランチャイズチェーンを運営する企業は、契約前に加盟希望者に対してチェーン本部の事業概要と主な契約内容を書面で開示し、説明することが中小小売商業振興法によって義務付けられています。
法律で定められているにもかかわらず、事業内容や契約内容を開示しようとしない場合、加盟金や研修費を騙し取るのが目的の詐欺の可能性も考えられます。そのようなチェーンとは、絶対に契約しないように気をつけましょう。フランチャイズに向いている人とは
フランチャイズを利用した開業に向いている人の特徴として、主に以下の5つが挙げられます。
①安定したサポートを求める人
②規則を守ることができる人
③自己資金がある程度ある人
④顧客サービスに力を入れられる人
⑤リーダーシップのある人
①安定したサポートを求める人
フランチャイズでは、本部からのサポートやノウハウの提供が受けられます。独立して開業したいけど、何から始めればいいかわからない、開業しても長く続けられる自信がないなどの悩みがある方は、安定したサポートを受けられるフランチャイズを利用した開業をおすすめします。
②規則を守ることができる人
フランチャイズは経営に関するサポートやノウハウを得られる一方、本部が設定したルールやガイドラインに従うことが求められます。独自のやり方に固執せず、フランチャイズの規範に従える人が向いています。
③自己資金がある程度ある人
フランチャイズを利用した開業は加盟金や保証金を本部に支払うため、初期費用は一般的な開業よりも高くなる傾向にあります。例えば10坪の居酒屋を開業する場合、一般的な初期費用は700万円~1200万円が相場と言われていますが、フランチャイズに加盟する場合はここに加盟金や保証金が上乗せし、1500万円~2000万円ほどかかるケースもあります。
④顧客サービスに力を入れられる人
同じ商標やブランドの競合が多いフランチャイズにおいて、いかに顧客満足度を高め他店との差別化を図れるかどうかは売上に直結する重要な要素です。日々、お客様のことを考え、お店のサービスの質を高める努力を惜しまない人が向いていると言えるでしょう。
⑤リーダーシップがある人
経営を成功させるためには、スタッフの育成やモチベーション管理も非常に重要です。スタッフに対してビジョンを明確に提示し、効果的なコミュニケーションをとって模範となる姿勢を示しましょう。人材育成に注力しながら、協力的なチーム環境を構築する能力が求められます。
フランチャイズ開業に必要な資金
フランチャイズに必要な初期費用は業種やチェーンによって異なりますが、大まかには以下の3つに分類することができます。
✔加盟金などフランチャイズ本部に支払う費用
✔店舗開業に必要な費用
✔上記以外のビジネス開始に必要な初期費用
それぞれどのような費用なのか、順番に解説していきます。加盟金などフランチャイズ本部に支払う費用
加盟店がフランチャイズ本部に支払う費用には、前述の加盟金やロイヤリティのほかに、保証金や開店準備手数料、研修費などがあります。
加盟金の金額は業種によって異なり、店舗が必要となる飲食店の場合、規模にもよりますが300万円前後かかると考えておくと良いでしょう。もっともフランチャイズ店舗の多いコンビニの場合、200万円〜300万円程度であることが一般的です。
保証金とは、契約時にフランチャイズ本部に預ける一時金のことで、加盟店がロイヤリティの支払いをおこなわなかった場合などに、該当の金額が保証金から差し引かれます。契約期間を通じてロイヤリティの未払いなどがなかった場合は、契約終了時に全額が返還されます。
ただし、何らかの理由があり全額が返還されない場合もあるので、事前に契約書をよく確認しておきましょう。店舗開業に必要な費用
店舗の開店にかかる費用としては、保証金や改装費、設備や備品の購入費などがあります。
上記以外のビジネス開始に必要な初期費用
上記以外の費用としては、オーナーを含む従業員の人件費や広告宣伝費、食材や資材などの仕入れ費用などがあります。
関連記事 フランチャイズ開業に必要な資金とは?内訳や集め方を紹介!フランチャイズを開業するための資金調達法
フランチャイズの開業資金の調達方法には、主に次の2つがあります。
①自己資金でまかなう
②金融機関から融資を受ける
①自己資金でまかなう
貯金や退職金などの自己資金だけで開業資金を用意する方法です。フランチャイズの開業には数百万円単位の資金がかかるのが一般的なため、まとまった金額を用意できるだけの経済的な余裕が必要です。
②金融機関から融資を受ける
日本政策金融公庫などの公的金融機関や、銀行など民間の金融機関から融資を受けて資金を調達する方法です。また、地方自治体が独自で行っている融資制度を利用する方法もあります。
ここでは資金の調達方法を2つに分けて説明しましたが、実際には①の自己資金と②の借入金を合わせて開業資金を用意するのが一般的です。
たとえば開業資金が500万円かかる場合、自己資金で300万円、金融機関からの借入で200万円というような形で資金を工面して、借りた200万円に関しては開業してから毎月返済していくというやり方です。自己資金だけでは足りない場合、このような形で開業資金を調達することができます。
フランチャイズ開業の流れ
ここまでフランチャイズの構造や、メリット・デメリットなどを多角的に見ていきましたが、実際にフランチャイズを利用した開業までの流れを確認していきましょう。
①情報収集
フランチャイズビジネスを始めるには情報収集が重要です。まずはフランチャイズ関連のウェブサイトや書籍で様々な業界やブランドのフランチャイズ情報をチェックしましょう。また、実際にフランチャイズを運営しているオーナーや過去に経験した人々のレビューや意見も重要な情報源です。インターネットで調べたり、イベント・展示会などに参加したりして、自分に合ったフランチャイズを見つけます。
②無料説明会に参加
次に、興味のあるフランチャイズ本部が主催する無料説明会に参加します。説明会では次の要点を重点的に確認しておきましょう。
1.ビジネスモデルの詳細
2.初期費用と運転費用
3.サポート体制
4.契約内容
説明会では、ビジネスモデルや運営方法、成功事例などについて詳しい説明が行われます。フランチャイズ本部から提供されるサポート内容をしっかり確認し、それが諸費用に見合うものであるかどうかを見極めましょう。疑問点がある場合は、質問をして必ず解消してください。③先輩オーナーの声を聞く
実際にフランチャイズを運営している先輩オーナーの話を聞くことで、より具体的に経営のイメージを膨らませることができます。日々の運営状況、課題、本部との関係など、説明会では得られない現場の生の声を聞いて、フランチャイズを成功させるためのアドバイスやヒントをもらいましょう。
④加盟契約
最後に、フランチャイズに加盟するための契約を締結します。契約内容を慎重に確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。契約締結後は、フランチャイズ本部が提供する研修に参加し、ビジネスの運営方法を学びます。その後、物件の選定や店舗の準備、スタッフの採用など、開業に向けた具体的な準備を進めていきます。
まとめ
研修や経営指導などのサポートが受けられるフランチャイズは、これまで店舗運営をしたことがない経営初心者の方におすすめの起業方法です。有名企業のブランドを利用して集客もできるので、早い段階から利益を見込める点もメリットとして挙げられます。
開業に必要な資金や店舗の運営方法などは業種やチェーンによって違うため、興味があるチェーンが見つかったら、まずは詳しい事業内容や契約内容を本部に問い合わせましょう。
昨今は「メニューをアレンジしにくい」「自由度が小さい」など、従来の本部主導型と異なる革新的なフランチャイズも多く登場しています。比較しながら内容を確認したうえで加盟を検討することをおすすめします。この記事の監修
USEN開業プランナー
松村俊治
株式会社USEN 開業サポートチームに所属。飲食店経営歴8年。その経験を活かし、開業に関するあらゆる支援を行う。開業に必要なサービスや設備、業者などの紹介のほか、店舗のコンセプト設計、事業計画書の作成サポートにも精通。
【主なサポート内容】
・開業手続きの支援
・開業に必要なサービス、設備、業者を紹介
・創業計画書の作成サポート
・事業計画書の作成サポート
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