「開業(起業)したいけど経営のノウハウもないし、事業を成功させられる自信がない」といった不安を抱えている方は、フランチャイズへの加盟で開業するという手もあります。
フランチャイズのオーナーも個人開業(独自開業)の事業者も、自営業を営む個人事業主であるという点に違いはありません。
しかしながら、フランチャイズ加盟と個人開業はさまざまな面で異なっており、それらの違いについて知ることで、自分が開業したい事業にとってはどちらが有利なのかを判断できるようになるのです。
目次
フランチャイズに加盟する6つのメリット
フランチャイズに加盟するメリットはいくつもあるので、それらのメリットを魅力的に感じるのであれば、フランチャイズに加盟する形での起業・独立がおすすめです。
ここからは、フランチャイズに加盟する具体的なメリットについて、以下で説明します。
業界・経営の未経験者でも参入できる
たとえば、ゼロベースからイタリアンレストランを開業する場合、相応の下積みや業務経験が必要になるでしょう。
しかし、フランチャイズでの開業ならば本部の継続的なサポートと指導があるため、業務や経営の経験がなくとも事業を開始しやすいです。
また、フランチャイズのオーナーは会社員などと異なり、あくまで自らの事業を持つ個人事業主となります。
そのため税務署に開業届けを提出し、自ら確定申告を行い、税金を納付する義務があります。
とはいえ届出書の作成や会計処理を行い、帳簿を作成して青色申告をする、といった仕事をこなすのは、経営や会計の知識が浅い方にとっては低くないハードルです。
税務申告は税理士にお願いするというのも手ではありますが、こうした手続きや書類の作成をサポートしてくれるフランチャイズ本部もあります。
始めた事業をどのように軌道に乗せて売り上げを拡大していけばよいかについても、事業や経営の経験がなければ手探りで行っていくしかありません。
しかし、フランチャイズに加盟することで、本部がこれまでに蓄積してきたノウハウを利用できるということも、見逃せないメリットです。
フランチャイズ本部のブランド力を借りられる
すでに認知されたブランド名称を利用できることも、フランチャイズに加盟するポイントです。
知名度・信頼度という武器を持った状態で事業を始めることができるので、呼び込みなどに力を入れなくても個人経営の店よりも集客を見込むことができるでしょう。
また、広告や宣伝、キャンペーンなどの販売促進活動についても、テレビCMや新聞広告といったフランチャイズチェーンならではのスケールの集客が期待できます。
これらの宣伝効果を享受できるのもフランチャイズに加盟するメリットと言えるでしょう。
商品の販売やサービスの提供に関しても、フランチャイズ店舗間で差が付くことのないようにマニュアルが用意されているので、オープンしたばかりでも一定の水準での接客を行うことができます。
商品開発もフランチャイズ本部が行ってくれる
お店を運営するにあたっては、新商品の開発も売り上げアップのための重要なポイントのひとつですが、商品開発にはセンスも要求されるため、苦戦することも多いでしょう。
また、商品開発にばかり意識を向けてしまうと、お店の運営に支障が出てしまう可能性もあります。
フランチャイズの場合は商品開発を本部が行ってくれるため、商品開発にリソースを割く必要がなく、店舗運営に集中することができます。
ただ、せっかく自分の城を持ったのであれば自分の考えや意見を多少なりとも反映させた商品開発を行いたい、という方もいらっしゃるかもしれません。
フランチャイズによってはオーナーにある程度の裁量権を与えているところもあるので、そういったフランチャイズを選ぶことで、商品開発を行うことも可能です。
仕入れ先を一から探す必要がない
お店をオープンするうえでは仕入れ先の確保に苦戦する方も多いですが、フランチャイズの場合は本部がすでに仕入れ先を確保しているので、一から探す必要がありません。
また、フランチャイズは多店舗展開しているという性質上、仕入れの量もかなりのものになります。
そのためスケールメリットを生かすことができて、低価格で仕入れを行うことができるというのも、オーナーにとっては大きなメリットでしょう。
必要な設備が最初から整っている
お店の業態にもよりますが、レストランや居酒屋などの場合、椅子やテーブル、食器類、調理器具などは、オープンにあたって必ず用意しなければなりません。
これらを一からすべて買いそろえようと思うとかなりの出費になりますが、フランチャイズに加盟していれば、これらを提供してもらえたり貸し出してもらえたりすることが多いです。
準備に必要な費用を抑えられるだけでなく、それらを探して選んで購入するといった一連の流れも必要なくなるので、手間と時間も大幅にカットできます。
開業資金を調達しやすい
開業資金の調達は、開業を志す多くの方が頭を悩ませるポイントです。
個人で開業を行う際には開業資金の問題は大きなハードルとなりますが、フランチャイズに加盟する場合、本部のサポートの下に事業計画書を作成することができたり、融資の窓口を紹介してくれたりする場合もあり、自己資金が十分でない場合でも事業を開始しやすいのがポイントです。
また、コンビニや一部の飲食店フランチャイズでは、店舗や設備の費用をすべて本部が負担してくれる場合もあります。
この場合には商品仕入れやリース料のみで開業を行うことができるため、個人で一から開業を目指す場合よりも費用を安く抑えられます。
本部からの融資の窓口紹介がなく、自分で融資の申し込みをしなければならない場合でも、フランチャイズという看板があることで金融機関からの信用が得られやすく資金調達を行いやすいという点も、見逃せません。
フランチャイズに加盟する4つのデメリット
上述してきたように多くのメリットがあるフランチャイズへの加盟ですが、デメリットもあります。
フランチャイズに加盟すべきかどうかは、メリットとデメリットを理解したうえで判断することが重要です。
以下でフランチャイズに加盟することによるデメリットについて説明します。
加盟金とロイヤリティの存在がある
本部の経営ノウハウやブランド力といったフランチャイズパッケージの利用料として、フランチャイズ加盟時にかかる加盟金と、毎月継続的にかかるロイヤリティを支払う必要があります。こうしたコストの存在は、フランチャイズならではのデメリットと言えるでしょう。
しかしながら、加盟の際に受ける教育やノウハウの提供に加えて経営のアドバイスや従業員の育成支援、マーケティングの代行といったサポートを受けられるのであれば、イニシャルコストである加盟金や月々のランニングコストであるロイヤリティを支払ってもよい、という考えの方もいるでしょう。
これらのコストを「経営の顧問料」であると割り切ったうえで、フランチャイズ本部に加盟するメリットに対して支払う加盟金やロイヤリティ率が妥当かどうかを判断するのが、フランチャイズ開業の肝と言えます。
ブランド毀損により売上や集客力が落ちるリスクがある
近年、アルバイト従業員がSNS上でいたずら写真や動画を公開して炎上し、ブランドイメージが傷つけられるといった出来事が大きな社会問題となっています。
たとえ自分の経営している店舗が炎上と無関係だったとしても、他の支店でこうした不祥事が起こると「あの店(ブランド)は従業員が炎上した店なので、質が悪いだろう」といったイメージ低下に繋がることがあり、結果としてフランチャイズ加盟店全体の集客や売上に悪影響が及ぶことがあります。
フランチャイズに加盟する大きなメリットのひとつとして、フランチャイズチェーンのブランド力を利用して集客を行うことができるというものがありますが、同時にブランドイメージが損なわれた際のリスクもあり、これらのメリットとデメリットは表裏一体と言えるでしょう。
運営の自由度や契約を意識しなければならない
フランチャイズ加盟者と本部はそれぞれ独立した存在ではありますが、本部のブランドを借りて営業している以上、加盟店は本部の方針を守り、ブランド価値と品質を維持する義務があります。
そのため、原則として商品の価格や仕入れ先をオーナーの裁量で変えるといったことはできず、本部の経営方針を守る必要性があることから、経営の自由は制限されます。
契約期間が決められている
ほとんどのフランチャイズ本部は契約期間を定めており、契約期間中にフランチャイズ契約を解約する場合には、違約金が発生する場合があります。
他にもノウハウ流出を防止するために競合避止義務契約を結び、契約終了後にも同業種での営業を禁止しているケースが多く、個人開業と比べると様々な制約が付いて回ります。
フランチャイズにはメリットもデメリットもある!
フランチャイズに加盟して開業や独立することには、メリットもあればデメリットもあります。
業界や経営の未経験者でも開業しやすいことや、フランチャイズ本部のブランド力を利用できることなどは、開業にあたって大きなメリットと言えます。
一方で、加盟金やロイヤリティを支払わなければならなかったり、事業運営に関する自由度が低かったりするデメリットが気になってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
こういったメリット・デメリットを把握したうえで、フランチャイズに加盟するかどうかを判断するようにしましょう。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。
