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【結論】飲み放題メニューは「誰が」儲かるのか試算してみた

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「アルコール飲み放題」の飲食店。
時間制限があるとは言え、お酒は単価が高そうだし、お客様の方が得するのでは?

しかし、飲み放題の飲食店は減ることがありません。
さて、飲み放題の仕組みは一体どうなっているのでしょうか。

飲み放題を提供している飲食店は採算が取れているのか?

宴会シーズンになってくると、店の予約を取ろうとしますが、「飲み放題の付いている店にしてくれよ」と上司から頼まれることもあります。
また、巷には飲み放題の店だけでなく、焼き肉食べ放題の店、串カツ食べ放題の店、多国籍メニュー食べ放題の店など、様々な食べ放題の店が溢れています。
実際に、焼き肉などで考えると、食べ放題ではない焼き肉屋さんに食べに行けば、1人あたり2,000~3,000円するのが一般的です。
もし焼き肉屋さんが3,000円台で食べ放題を提供されていたとすると、バラエティに富んだメニューに「食べ放題」という安さを連想する言葉に魅力を感じ予約・来店する方が多いと言えるでしょう。
しかし、食べ放題に関しては小食の人もいるため、採算がある程度取れそうな気がしますが、飲み放題を提供している飲食店は採算が取れているのでしょうか?

飲み放題にかかる一杯あたりのコストは?

一般的な飲食店の原価率は、約30%と言われています。
価格や時間の設定は店によってさまざまですが、一般的な飲食店での「90分1,500円飲み放題」のメニューを例に、ドリンク1杯ごとの原価をみてみましょう。

【生ビール】150円~180円
【チューハイ・サワー類】20円~60円
【カクテル】40円~60円
【ワイン】120円~150円
【日本酒】120円~150円
【焼酎】30円~40円
【ソフトドリンク】15円~50円

原価の安いサワー類から原価の高いワインや日本酒まで揃えたとしても、原価率は平均30%ほどに抑えることができます。
ちなみに生ビールは、主なメーカーの銘柄では、それほど差がつきませんが、生のフルーツを絞ったサワーや、フルーツを添えたカクテルなら、もちろん原価は高くなり、コストもかかります。
店側としては、原価の安いチューハイやカクテルの種類を増やし、いかに誘導するか、そして、飲み放題に限っては、ドリンクよりもフードの注文数をいかに増やすかが利益アップのカギとなっているのです。

飲み放題の時間を延ばしてもオーダー杯数が増えないワケとは?

好きなものを好きな分だけ注文できる飲み放題。
店側にとって気になるのは、1人あたりどのくらいの杯数が出るのか?ということ。
もちろん客層にもよりますが、時間制限を90分とすれば、平均して4杯〜5杯が限度と言われています。
というのも、グループで来店される場合、メインはやはり、会話を楽しむこと。
時間内、ひたすらドリンクばかりを飲み続けるお客様は多くありません。
また、時間が経過するにつれ、杯数を重ねるスピードも落ちていくのが一般的。
時間が延びれば必ずしも杯数が増えるという訳でもないのです。
そして、比較的、原価の安いカクテルやサワー類などに注文が偏りがちな女性のグループは、店側にとって非常にありがたいお客様。
女子会プランや、女性限定のサービスを掲げるお店が多いのは、そんな理由もあるのです。
カクテルやサワー類のメニューの幅を広げ、女性グループ限定の飲み放題プランを設定するなど、工夫次第では大きな利益アップも見込めます。

実は「オイシイ」システムのドリンクバー

ドリンクバーの原価は非常に安く、炭酸飲料は5円程度とも言われ、ティーパックなどでお茶を出した場合でも1杯あたり10円未満、原価の高い100%果汁のジュースを出したとしても1杯30円程度に抑えることができます。
ドリンクバーを実施している店を見てみると、やはり、炭酸飲料やお茶などのメニューを充実させた店が多い傾向にあります。
なお、チェーン店ではドリンクバー専用機を導入している店がほとんどですが、一般的な飲食店では、ピッチャーやデカンタにドリンクを入れ、セルフで注ぐようなスタイルも。
ドリンク補充の手間はかかるものの、これならば場所をとらず、メンテナンスの必要もないので気軽に導入することができます。
また“カサ増し”効果のある氷を用意することも重要なポイントです。
時間が限定されるランチタイムでの提供ならば、1人あたり1~2杯程度がせいぜい。どんなに偏った飲み方をされても、赤字になることは、おおよそありません。
ドリンクバー(飲み放題)は、お客様に喜ばれる上、店側にとっては接客や材料のコストが抑えられ、集客のアップには非常に“オイシイ”システムと言えます。

なぜドリンクバーは低価格なのか?原価っていくら?

「それでも一人が10杯くらい飲んだ場合にはさすがに赤字になるのでは?」と思った人もいるのではないでしょうか?
しかし、余程のことがない限り赤字になることがありません。
ドリンクバーの機械には、ジュースや炭酸がそのまま設置されているわけではありません。
濃縮シロップを水で薄めて提供しているため、かなり価格を抑えることに成功しているのです。
「でもコーラなどの炭酸水はさすがに違うでしょ?」と思った人もいるかもしれませんが、炭酸水も同様です。
水を二酸化炭素のタンクを通すことで炭酸水に変えているため、驚きの価格に抑えることに成功しています。
ファミリーレストランなどでは、ドリンクバーが200円前後で提供されていますが、1杯の価格を10円程度に抑えられているため、結果的に20杯以上は飲まないと元を取ることができません。
これがドリンクバーを低価格で提供できる仕組みです。

結論:飲み放題は誰が得?

飲み放題を導入することでメリットがあるのは、飲食店側だけではありません。
お客様にもメリットがあります。
飲み放題のどこにお客様のメリットがあるのでしょうか?
それは第一に飲み会の幹事が楽になるという点が挙げられます。
もし、飲み放題でない場合、飲み会の幹事さんは大変です。
頭割りの場合には合計金額を単純に頭数で割れば問題ありませんが、もし誰がどれだけ飲んだかをいちいち計算しなければならない場合には手間がかかって仕方がないと言えるでしょう。
しかし、飲み放題であれば、誰がどれだけ飲んだかに関係なく一定料金であるため、幹事にとっては計算の手間を省くことができます。
また、飲み会に参加したメンバーにとっては、飲み放題メニューの中であればどれだけ飲んでも何を飲んでも料金は変わらないので得をしたように感じられます。
「たくさん飲んだし高いお酒も飲んだのに料金はこれだけでいいの?」とお得感と満足感を得てもらえたにも関わらず、店も一定の利益を得られるため、双方にとってメリットのある商品と言えるでしょう。

飲み放題の価格設定はどうなっているのか?

飲み放題で提供している飲み物の原価が低いからと言って、他の飲食店との差別化を図るために、飲み放題の価格設定を引き下げるのはリスクが高いと言えます。
もちろん、飲み放題メニューでもある程度利益は期待できますが、飲むことが中心になってしまうと、利益率が高い食事メニューを頼まなくなるなど、業績が悪化してしまう可能性があります。
また、価格は変更しなくても、原価の高いお酒を準備して差別化を図る場合にも注意が必要です。
原価の高いお酒ばかりをピンポイントに飲まれてしまうと、採算が合わなくなってしまい、結果的にそのメニューを撤収せざるを得なくなります。
そうなると、店の信用を失ってしまうことにもなりかねないので、飲み放題を導入する際に他店との差別化を計る場合には十分に注意が必要なんです。

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この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

※この記事は、2017年8月3日に公開した内容を加筆修正したものです

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