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テレビや雑誌などで話題になりやすい「デカ盛り」。山のように高くそびえるハンバーガーや、お皿からはみ出すほどのステーキなど、最近ではSNSやインスタ映えを狙った新しいデカ盛りメニューが続々と登場しています。そこで気になるのが、お店の利益です。デカ盛りを驚くほど低価格で提供しているお店もあり、売れば売るほど赤字になりそうですが、きちんと利益は出ているのでしょうか。デカ盛りで経営が成り立つ仕組みについて考察します。
デカ盛りはインパクトが命
「デカ盛り」とは、通常より明らかに多い量の料理を1人前として盛り、提供することをいいます。大盛りを大きく超える量ということで、「超大盛り」と言われることも
ありますが、雑誌やテレビの情報番組では「デカ盛り」が多く使用されるようです。他にも、「メガ盛り」や「激盛り」、「爆盛り」など、メニューやお店の雰囲気によって
使い分けられます。どれも提供された瞬間に「とても食べ切れない」と思わせるくらいの量とインパクトがないといけません。デカ盛りと名乗るからには誰もが“デカい!”と驚くほどの迫力を目指しましょう。デカ盛りブームはいつから始まった?
「デカ盛り」の歴史をひもとくと、2007年に遡ります。この年、大手ハンバーガーチェーンの「マクドナルド」が4枚のパテを使った「メガマック」を期間限定で発売。大きな話題となり、各店舗にお客さんが殺到。製造が追いつかずに期間限定から数量限定販売に切り替えるほどの爆発的な大ヒットになりました。この年のマクドナルドの当期純利益は、前年比で5倍にメガ増!実は「メガマック」の基本的な味付けは「ビッグマック」と変わらないといい、パテを倍の4枚にしただけの「メガ化」が大きな利益に結びついたのです。そして、同じ2007年に、牛丼チェーンの「すき家」が、ご飯大盛り、肉3倍の「メガ牛丼」を発売。他の牛丼チェーンも、負けずと参戦。メガブームは、カップラーメンやコンビニでの「メガ盛り弁当」など様々な食品に派生し、この2007年の流行語にも「メガ○○」「大食い」が選ばれるほどの社会現象になりました。その後、ブームは去りましたが、当時のデカ盛りメニューが定番となったお店も多いようです。
“原価率100%超え”のデカ盛りでも経営が成り立つ仕組み
「デカ盛り」をメニューに取り入れることで、お店にはどんなメリットがあるのでしょうか。お店によっては原価率100%を超えて、出せば出すだけ赤字になるデカ盛りを提供していることも。経営が成り立つのかと心配になりますが、赤字のデカ盛りでも、メリットはあるようです。デカ盛りで儲けを生み出す仕組みについて考察します。
デカ盛りで集客
「デカ盛り」には、お客さんの心をつかむ力があります。安い価格でボリューム満点のデカ盛りは、若いサラリーマンやお腹を空かせた学生たちに大人気。とくに学生街や地方などには、昔から「量と安さ」を売りにしたデカ盛りのお店があり、そういったお店にはリピーターが多く、経営が安定しています。さらに、インスタ映えするビジュアルのデカ盛りは、SNSを利用している女性の集客に効果的です。デカ盛りの画像がSNSで盛り上がれば人気店になれる可能性も。しかも、話題になるための広告費はゼロ円ですから、こんなにうれしい話はありません。デカ盛りのために多少オーバーした原価率も、広告費として考えれば許容範囲でしょう。また、人気メニューの量だけをデカ盛りにした「大食いチャレンジ」は、新メニュー開発の手間もなく導入しやすいといえます。お店のファンの間で盛りあがることも期待できるでしょう。そして、インパクトのあるデカ盛りなら、マスコミから取材がくるかもしれません。とくにテレビで放送されると集客率が一気にアップ!遠方からも客が押し寄せます。そうなればデカ盛りでの集客は大成功です。
回転率が決め手
デカ盛りは原価率が上がる傾向がありますから、お店によってはデカ盛りが売れるほど利益が少なくなるケースも出てきます。その問題を解消するひとつの方法は、客の回転率を上げること。つまり「薄利多売」、できるだけ多くのお客様に提供することです。高い原価率でも集客力のあるメニューで客を集め、1日2回転だったところを3回転、4回転と客の回転率をあげることで利益を出すのです。回転率をあげるためには、立食形式にしたり、時間制限を設けるなど、様々な手法がありますが、くれぐれも回転率をあげるために、お店を居心地の悪い空間にしないように。お客様には「デカ盛りでコスパがいいし、また来よう」と、リピーターになってもらうことが一番大切なのです。
原価率30%はもう古い!?
飲食店の原価率は、一般的に30%といわれています。そんな中、最近は実際に利益を上げているお店ほど、原価率が30%を超えて高くなっている傾向がみられます。40%をこえて50% 、中にはなんと70%というお店も!そんな原価率でやっていけるはずがないと思うのは当然のこと。そこにはもちろん、店の作戦があるのです。メニュー全部の原価率を上げる必要はありません。高級食材を使った料理など一部だけを安く提供することで「コスパのいい店」という印象を与えることが一番の目的です。コスパのいい店は、リピート客が増えます。そして、原価率の高いメニューのついでに、原価率の低いメニューも注文してもらうことで採算を合わせるという作戦なのです。これは「デカ盛り」でも使える作戦。デカ盛りメニューの原価率は高くなりがちですが、「デカ盛りがおいしかったし、他のものも食べてみたい」と思わせることができれば、大成功。長い目でみて採算がとれそうなら、デカ盛りメニューの原価率を上げることも視野に入れましょう。
量の話、質の話
「デカ盛り」は、美味しいものを思う存分食べることに醍醐味があります。やみくもに量が多いだけのデカ盛りに魅力はありませんし、お客さんも喜びません。むしろ、デカ盛りといいつつ、安い食材でカサ増ししていることが丸分かりの残念なメニューでは、お客さんのテンションも下がります。デカ盛りにケチくさい手段はNG。マイナスのイメージは取り返しのつかない事態を招きます。デカ盛りこそ、美味しさにこだわるべき。
美味しいものをお腹いっぱい食べたというプラスのイメージは、リピートにつながります。デカ盛り女子にもご配慮を
デカ盛りを好むのは、男性だけではありません。女性も本音ではデカ盛りが大好き!
美味しいものをお腹いっぱい食べたいと思う気持ちは女性も同じですが、デカ盛りメニューは挑戦しにくいと感じている女性が多いのも実情です。女性客に来てもらうにはSNSにあげたくなるような盛り付けを工夫し、カラフルに彩りよくするなど見た目も重要。さらに、デカ盛りを食べながらカロリーが気になるのも女性です。低カロリーな食材を使用したメニューは喜ばれます。女性客にとってはデカ盛りメニューを食べること自体がイベントになることも多いので、より楽しい気分になれるようなサービスを心掛けましょう。この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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