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横浜・関内にある「ステーキライスの店 センタービーフ 横浜関内本店」。
ステーキライスの美味しさに加え、繁盛店としても雑誌で取り上げられるほど、今注目を集めているお店です。
そこで「ステーキライスの店 センタービーフ 横浜関内本店」の開業前から繁盛店になるまでのストーリーをオーナーの鹿野和敏さんにお聞きしました。
鹿野さんが実際に開業までに行ったこ行動とともに、繁盛店になるまでの道のりを紹介していきます。
今回は開業後編と題し、オープンから現在までのお話をお聞きしています。目次
開業~3ヵ月目までに主に行ったこと
・認知拡大、店の問題点の早期改善
・レシピ改善
・デリバリー販売の導入
・SNSでの情報発信
・スタッフ補強、トレーニングでの立て直し
・時間帯責任者または店長代理等の育成開業前のコンセプトは、半分以上使えたら上出来
――店舗開業後は当初の計画通りに進んでいきましたか?
入念に磨き上げられた店舗コンセプトであっても、実はその半分くらいは使い物にならないものです。
センタービーフもレシピ、メニュー内容、オペレーション等、日々見直しの連続で、私も朝は6時に店に来て、帰るのは終電ギリギリ、そんな日々がしばらくずっと続きました。
半年で10㎏痩せたという事でご想像いただければと思います(笑)。
開業準備期間中にランチも、セットメニューも、テイクアウトメニューも、事前にたくさん考えておいて、初動3ヵ月目ぐらいまでに何が使えるか、使えないかをどんどん判断していく事が大切です。
そしてオペレーションやレイアウト、商品名称や使用器具等も見直す、要するに徹底的な改善をやるんです。
この改善力が4か月目以降のトレンドを作っていくと思います。
――すぐにレシピ改善も行ったそうですね。
商売を始める前の1年間で作ったものなんて、商売が始まったら使い物ならないものばかりです。
お店が開けば、お客様の反応がダイレクトに入ってきますので、早い段階で軌道修正してアジャストさせていく事が大事です。
誤解を恐れずに申し上げれば、とくにお身内の方に多いのですが、ご私的やいただくアドバイスのほとんどはまったく的外れな意見も実際には多いんです。
その商売を一番真剣に考え、汗をかいてきたのは自分ですから、そこは自分の目とインスピレーション、あるいは実際数値を検証する中で、自分がおかしいと思ったら手を入れる。
間違ったと思ったら、すぐに直す、戻す。
ある意味ではトップダウン的な強いリーダーシップが求められる時も増えてくると思います。
自分のセンスで丸ごと勝負しなければならないので、プレッシャーも相当ですが、それこそが経営者である自分の仕事場ですから、ダメなら直すという意識で日々の改善を行うと良いと思います。
コロナ渦で多くの飲食店さんが苦しい事業環境にあって、売上を落としているというお話は私の周りでも多いのですが、よくよく店長さんなんかにお話を聞いてみると、この3年間一度もメニュー改善していない、食材の入替もレシピの見直しもした記憶がない、店内POPは汚れて破れたまま…。
なるほど、お客様がどんどん進化していくのに、お店が進歩改善しなければ、そりゃそうなるよねって思いました。3ヵ月目~半年目までに主に行ったこと
・無駄、ムラの排除
・ビジネスモデルの軌道修正
・営業時間の見直し
・レシピ改善、メニュー改善の見直し
・社員とのコミュニケーションを意識、
・新規事業のスタート日々の充実感が成功のバロメーターではない
――半年ぐらい経つと店舗運営は落ち着いてくるものでしょうか?
そうですね、店舗運営に関してはある程度落ち着いてくる時期です。
しかし開業半年という時期は経営上の問題点にも視野を広げていかねばならない時期です。
それは店舗の収益性と、追加費用も伴うハード面の改善です。
「段々良い営業ができるようになって、毎日達成感もあって素敵だけど全然儲かってない」。
その問題点が出てきた時に、次の一手をどう打つか?それを決めるという事です。
例えばセンタービーフではこの時期に水光熱のお取引先を見直すことで、だいたい水光熱費全体で10%くらいコストダンを図りました。
週間あたりのゴミ廃棄量を点検し、ゴミ回収の頻度を見直すことでコストを圧縮し、その総分で使っている調味料をより高品質のものに乗り換えて、商品レベルを引き上げたりしました。
ウチの場合は水道代は家主さんからビル全体の利用料案分をされた金額が出てくるのですが、その負担単価がはたして適正かどうか、水道局にも問い合わせながら確認をとったり。
店頭の照明を増やすなどの改善もこの時期にしましたね。
要するに死に金が発生していないか総点検し、死に金には1銭も払わない、そうやってお店がより良くなるための生き金投資に変えていく。
そうして筋肉質な店づくりを進めていく時期ですね。半年目~1年目までに主に行ったこと
・効率的な営業へ
・強みを伸ばす
・マネジメントの見直し1年目~2年目までに主に行ったこと
・多店舗化への準備
・アルバイト中心の組織づくり
・借入完済
・リニューアル実施
・ゴーストレストラン開始
・レシピ改善、メニュー改善新型コロナウィルス発生、その時センタービーフでは?
――全国的に新型コロナウイルスが蔓延し始めた、その時の様子はいかがでしたか?
最初に緊急事態宣言が出た時に、要請は全面的に受け入れていましたが、ウチのお店は休業まではしなかったんですよ。
そうしたら何が起きたかと言うと、売上げが伸びた。
近隣の飲食店は休業するところも多くて、新規のお客様が急に増えたからです。
ただ、これが長引くようならマズイな、集客は確実にダメージを受けるなと思っていたのですが、5月に最高日商と最高月商を更新した。
『Uber Eats』のてっぺんが急激に上がったのです。
このことがあって、これからデリバリーに傾注していく流れは間違いないなと思いましたので、今のうちにデリバリーという販路は強化していきたいということで商品のさらなる見直し、バリエーションも広げました。
その後もオペレーション強化と対策を重ねていき、8月にまた最高売上を更新、その冬の12月にはゴーストレストランも始めました。
――デリバリーが売上を後押ししてくれたと。
イートインの客足は10~15%程度のダメージはありました。
でも開業当時から販路をイートインに絞っていませんでしたので、テイクアウト、デリバリーというのは利用動機を広く取るという意味では間違いなく強みになる。
それに店舗というのは商圏が狭いですが、デリバリーというのは基本的にはスマホ画面等の中で視認されるのと、商品が届くという利便性があるので、店舗商圏を突き破るポテンシャルがある。
横浜関内のように足元人口の多いエリアであれば、その効果は比較的早い段階で成果として現れるはずだと。
一般的に言って、私たちのような独立開業者にみなとみらいや横浜駅前のような優良物件は回ってきません。
デリバリー業者に支払う手数料が高すぎるという経営者の方も多いと思いますが、店舗ではカバーできない商圏規模が手に入るという意味では、十分手ごたえを感じさせてくれる設定だと私は思います。
センタービーフは19年の段階からデリバリーを主力に育てる気で取り組んできました。
それはご注文されたお客様の評価を得て、サイト内で上位表示されるようなレベルまで高めておくことで、UberEatsの利用者が拡大された時に最大の効果を発揮することを見越していたからです。
コロナによる自粛でそのタイミングが想定より早まった。
取組み当初の4倍もの売上が出たのはそのためです。
ただ、この先はどんどん難しくなってくると思います。
UberEatsもどんどんカバーエリアを全国に広げているため、チェーン店の参入も増えました。
そうなると、これまでのように「個人店のこだわりの味を自宅や職場で楽しめる」という価値から、「美味しいものを安く食べられる」チェーン店の魅力的なバリューをユーザーが改めて評価し始めます。
矛盾するように聞こえてしまうかも知れませんが、手数料の高さがネックになるのは実はこれからだと思うのです。
お客様にご自宅でのデリバリーグルメをより楽しんでいただくためにも、店はさらに高品質のものを出したいと考えるようになる。
そういう店側のニーズにUberEat側が手数料の見直しをどのタイミングで検討できるかという問題が出てくると思いますね。お店の価値とは「やっぱり出来立ての一番おいしい状態で食べれる」ということ
――この先の戦略が気になります。何か考えていることはありますか?
事業展開という意味ではフランチャイズ化のお話もたくさんいただいておりますし、私のところに掛かってくる加盟希望者さんのご相談も増えてきてますので、これから本格的な準備を進めていきたいと思っています。
私自身も元々フランチャイズ業界にいた人間ですから、いっぺんにたくさんの人の幸せに関われるフランチャイズビジネスには大きな魅力を感じています。
また横浜関内という拠点の中での展開を考えると、当然新業態の展開も考えています。
センタービーフ店舗としてはイートイン、とくに今は看板商品であるステーキライスの磨き込みを課題化させています。
やはり専門店ですから、そこには圧倒的な商品に対する満足度がなきゃいけないのです。
おかげ様で収益性も安全領域に入りつつありますし、顧客還元といったらカッコつけすぎかも知れませんが、お客様の「美味しいね、お店で食べるのが一番だね、また来ようね」をもうワンステップ引上げ、店舗力の底上げを図るつもりです。
もちろんスタッフたちの物心両面での幸せというのも同じベクトルですね。
お客様に喜んでいただいて、どうしたらもっとファンのお客様を増やせるかを考えた時、最も多く頼まれるその店の看板商品のレベルアップは本来、新規メニュー開発より重要視されるべきです。
忙しい時はデリバリー、ご自宅で好きなテレビでも見ながら、あるいは、家族みんなで楽しくグルメしたいよねって時はテイクアウトでもいい。
でも「美味しいものが食べたいね」という欲求を一番満たせる場所はやはり店舗での出来立て、そのイートインの強みを徹底的に磨き込む。
そのてっぺんを上げる改善活動がすべての販路をより太くしていく好循環になるものと考えています。
とくに3年目に入ったセンタービーフは、そろそろ客離れが起きるタイミングですから、主力のステーキライスのレベルアップはスピード感を持って、取り組んでいきたいと考えています。
そういうことで現在は酒、醤油等のソースに使う原料そのもの、そして米をより高品質なものに見直しをしている最中です。
お米に関してはステーキライス専用米の開発をお付き合いのある五つ星お米マイスターの方とこれから具体的に取り組みたいと考えています。
商品の改善進化、メニューの改善進化に終わりはないんだなと思いますね。
ウチが今やっているようなメインに関わる商品改善というのは、本当はものすごく怖いものなんです。
なぜなら、これまでずっと右肩上がりできた商品をイジルっていうことは、その良い流れを止めてしまう可能性をはらむからです。
でもお客様に答えを先に出されてしまってからでは、取り返せないものがある。
お店というのは崩れるときには一気に加速がつくものです。
だから贔屓にしてくださっているお客様が離反しない範囲を意識しつつ、少しづつ確実に前進させる、そういう根気のいる取り組みになるのです。
しかし一方では「お客様がその味にハマるまで待つ」という期間も必要で、とにかく何でもかんでも変えまくったら良いのかと言ったら、そうではないのです。
2度、3度とお召し上がりいただく中で、「やっぱりココの店、うまいよな」と脳みそに浸み込ませている最中に、大きすぎる変化はむしろ阻害要因になる。
そういう難しい判断の中でやっていくので、ここはやはり経営者のリーダーシップがなきゃとてもできない取り組みです。
今コロナ渦で多くのお店さんがお弁当をはじめたり、ノンアルコール商品を新たに出したりと色々と工夫されていますよね。
目線がそういう外に向いている時期だからこそ、我々は「この店のこれが食べたいんだよ」と、わざわざご来店くださるお客様の期待を超えていく進化を目指さねばならないと思っています。
今はお店さんよりもお客様の方が飲食店をよく知っていて、むしろ色々な意味で先にいかれる時代です。
3年目、我々は改めてステーキライスの専門店としてのあり方と向き合いたい、と考えています。
そうしてさらなるお客様のご支持と、店の収益をバランスさせて、またお客様やスタッフに還していくというような流れを経営の中に作りたいと思いますね。〇お話を聞いた方
ステーキライスの店 センタービーフ 横浜関内本店 鹿野和敏(株式会社リングベル 代表取締役)
”我が子にも食べさせられる牛肉”にこだわり、成長ホルモン剤等を一切排除して育てた厳選牛を使用したステーキライス専門店を運営する株式会社リングベルの創業経営者。
外食歴20年以上、これまで個人店~大手チェーンの店長・SVを経験。その後FC業界においても活躍し、独立後の現在は店舗経営の傍ら、FC開発、人財開発、人財教育等のコンサルティング事業も幅広く展開中。JFA公認フランチャイズ経営士。この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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