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【繁盛店レポ】センタービーフ 横浜関内本店ができるまで~第2回 お店づくり編

【繁盛店レポ】ステーキライスの店 センタービーフができるまで~お店づくり編

横浜・関内にある「ステーキライスの店 センタービーフ 横浜関内本店」。
ステーキライスの美味しさに加え、繁盛店としても雑誌で取り上げられるほど、今注目を集めているお店です。
そこで「ステーキライスの店 センタービーフ 横浜関内本店」の開業前から繁盛店になるまでのストーリーをオーナーの鹿野和敏さんにお聞きしました。
鹿野さんが実際に行った行動とともに、繁盛店になるまでの道のりを全3回にわけて紹介していきます。
ここではお店づくり編と題し、物件探しから内装、求人募集、開業までの話をお聞きしています。

開業3ヵ月前に主に行ったこと

・開業届提出
・物件契約
・口座開設と資金調達
・具体的な内装計画(外観・内観・厨房配置)
・商品設計(メニュー・オペレーション関連)
・全仕入れ先、取引先の確定
・営業時間と初期販路の決定

ポイント
意思決定が自分に集中してくるので日々の情報管理、スケジュール管理が重要

開業3ヵ月前に主に行ったこと

物件獲得はスピード勝負!

――立地や物件によって出店する業種・業態が変わってくるとのことですが、鹿野さんはこの物件をどのように見つけたのでしょう?
元々ここは別のお店が営業をしていたのですが、ちょっと物件と業種業態がマッチングしているのかなぁ?物件自体は良いんだけど、お店の雰囲気も暗くてお客さんも入ってなさそうだから、早くどいてくれたらいいのに…って思っていたんです(笑)
そんなある時、物件サイトに丁度この物件が掲載されているのを発見しました。
すぐに電話で「すみません、ここでやります!今すぐ契約準備を進めますので、サイトからこの物件をすぐに下してください」とお願いしました。
もちろん私が一番候補です、なんせ情報発見から5分で電話していますから。
競争相手が物件視察したり、交通量調査だってやっている間に、条件面の口頭合意と賃貸借契約日までサッサと決めるつもりでした。
我々のような独立開業者の物件探しは、突き詰めればお金かスピードで解決するのが実態です。
賃料30万円の募集だけど、申込み段階で競合相手がもう5万上乗せするから今すぐ自分で決めて下さいって言ったら、家主さんだって人間ですから、そちらを選びたくなりますよね。
でも、手元資金の乏しい我々にとって、記載金額に上乗せ勝負というのはどうしても厳しいですよね。
それであればスピードで勝負するしかないと思いますね。

店舗デザインの失敗は、独立開業そのものの失敗に直結する

――店舗はどのように作り上げていきましたか?
店舗経営というのはお店がオープンした瞬間から金融機関への返済が始まりますよね。
ということは『少しずつお客様が増えていってくれればいいよね』なんて悠長なことは、我々は言ってはいられないわけですよね。
そういう意味では、フランチャイズのような知られたブランドでない限り、固定客ゼロのノーブランドから始まるというのが独立開業の宿命ということになります。
この時に、初動の来客数を引き上げられるのは店舗デザインの力なんですね。
ネット認知というのもありますが、お店の前を通る方々をダイレクトに刺激できるという意味で店舗デザインの力に及ぶものではありません。
オープン期の来客数はほぼこの店舗デザインの力で決まる。
決して大げさに言っているつもりはないんですよ。
例えばセンタービーフの場合だと、看板メニューはステーキライスという誰も食べたことのないものですから(笑)、10m手前からはランチの大きなマーケットがとれる洋食屋さんのように見えることが重要だと考え、5m手前では肉に特徴のあるお店だという事が伝わること、何がどれくらいの価格で食べられるかは1m手前で十分ですから、重要なのは10mから5m、5mから1m手前へと引き付ける訴求力をどう作るか、それを間違えると苦しい初動になってしまいますから、都内にも出て、たくさんのお店を見てヒントを探りましたよ。
その後、内装業者さん決めの際、数社と面談して、ラフをもらうのですが、ほとんどのデザイナーさんはやはり『ザ・ステーキ屋』というデザインを出してこられる。
だからセンタービーフの場合は私が95%、デザインを細かく指示をして作ることとなりました。
塗装もペンキ屋さんからカタログでどの色って指定するのですが、本当にその色になるか、ダメならすぐに変更しなければ追加作業として料金も発生してしまうので、塗料の調色時には目の前で立ち会い、もう少し赤を混ぜてくれだの何だのって喧しいことも言いました。親方さんたちにはだいぶ面倒くさい奴だと思われていたと思います(笑)。
工事費削減のために、自分でも塗りましたよ。
それでわかったことは、白い部分は素人が手を出さない方がいいということ。
白は技術のなさが綺麗に浮かび上がるんです(笑)。
成果ですか?
現在は坪売上50万とか、出る月は60万を超える月もありますが、実は開店初動から坪売30万円を売っていましたので、やはり時間とお金をかけた価値はあったと思いますね。

開業2ヵ月前に主に行ったこと

・近隣への挨拶
・工事金額交渉→着工
・開業後の販促促進の具体的なスケジュール立案・準備・契約
・求人活動

ポイント
・工事業者は最低3社から見積りとデザイン案を比較して決める
・Googleアカウントは取得に1週間ぐらいかかるので要注意
・求人活動は物件契約したら早めに動く

物件契約後、直ちに求人募集すべし

――求人は早くから募集をかけていたのですね。
求人活動は物件を契約したら、すぐに行った方がいいことのひとつです。
オープン時に一番ポイントになってくるのは、これはやっぱりヒトです。
工事業者はプロとして仕事を請け負うので、納期や出来栄えに対しても真剣に取り組みますが、しかしスタッフはそうではない。
嫌だと思ったらすぐに放棄してしまう脆さがあります。
採用の失敗=開業の失敗だと思っています。
ただ早めに採用したからと言って、すぐに働ける環境があるかと言うとそうではないですよね。
お店も出来上がっていないし、研修が始まるまでも随分タイムラグがありますし、顔合わせの最終連絡をした際に、他でアルバイトを始めてしまったという人もいました。
それならギリギリで採用をすればいいじゃないかってことになるかもしれませんが、採用が失敗したら、研修が失敗します、そうすると最悪はオープン日をズラさなければなりません。
開業というのは、このオープン日という基軸に合わせて、諸々の準備を追いこみますから、この基軸がズレるという事は、そのカバーリングにも相当の時間が取られますし、また、ようやく信頼関係が生まれ始めたスタッフたちにとっても『このお店大丈夫かな?このお店の人、大丈夫かな?』と不安を与えてしまうのです。

開業1ヵ月前に主に行ったこと

・営業許可申請
・食品衛生管理責任者選定
・防火管理者責任届の手続き
・管理帳票類などの準備

ポイント
内定スタッフとのコミュニケーションが途絶えないよう進捗情報をアナウンス

勤務予定者とのコミュニケーションで大切なのは内容よりマメさ

――オープンまでタイムラグがある期間、どのように採用したスタッフをつなぎとめるのでしょう?
オーナーさんや店長さんの想いを発信していく、で良いと思います。
あるいは、みんなが気になる商品のこだわりや、「今日の工事はこんなことやりました」というのをビフォーアフター画像でLINEで送ったりというのも、スタッフにとっては新鮮で刺激的なものです。
また「今日は誰々君がお店を見に来てくれました!」や、「オリエンテーションまであと何日!持参物総点検!!今から言うよ~!!」なんてのも良いですよね。
要は内容は何でも良いんです。
重要なのはマメさ。
お店が開くまでの臨場感や自分が必要とされている自己重要感を通して、気持ちがどんどん上がってくる。
良い店にしたいって思えるようになってくる。
一番重要なのは『自分が必要とされている』と個々に感じさせてあげることです。
自己肯定感の低い人が多いと言われる時代ですが、誰だってそのお店でヒーローになりたいものでしょう。
新店応募というのは、前の職場で人間関係で嫌な思いをしたとか、大事にしてもらえなかったとか、そういう背景があって、「今度のお店では心機一転、頑張ってみたい!」という鮮度を持ってくる人が集まりやすい。
日々の発信などを通して、店長さんやオーナーさんの人となりを伝え、少しずつで良いので、「みんなでこんなお店にしようね!お客様にこんな体験をご提供したいね!」を伝えていくことで、彼らとの共感を図っていくことができます。
研修前のこういう時間が、実はその後の研修効果を高めるファンデーションのような大きな役割を果たすのです。

開業10日前に主に行ったこと

・厨房機器や機材搬入、備品・衛生管理用品等の購入
・工事引き渡し
・スタッフ教育
・近隣への開店案内、ご挨拶
・レジ釣銭金の用意

ポイント
・工事引き渡し時は隅々までチェックし、破損・汚れ等は当日中に修正を要求する
・スタッフ教育は7割仕上げで良しとし、残りは開業後に仕上げるつもりで

挨拶上手は商売上手-近隣へのご挨拶

――内装工事着工時もそうですが、ここでも近隣の方へ挨拶を行っていますね。
横浜・関内と言う場所は古くから商売人の街ですから、挨拶というのはとても大事にされる方が多いです。
お店の開業に限らず、人から嫌われない方が当然良いですよね。
開業前に菓子折り持って挨拶周りされる方が多いと思いますが、ご挨拶を通して、自分のいい笑顔を知ってもらう、お名前を憶えて帰る、またお会いした時に、こちらから名前を呼んで挨拶ができるように人間関係を作る、そういう事を大事にしようと思うと、やっぱり真剣な時間なんですよ。
結局、誰が店長さんかが分からなかった…で返ってくるようなご挨拶ではいけない。
お友達になってください、そんな気持ちで元気よく出かけるくらいで丁度良いです。
私は今でも食事や買い物は極力関内でするようにしています。
そうすると毎日、色んな方々とお話しますから『あそこの誰々がセンタービーフ行ってみたいって言ってたよ』『今度、〇〇ってとこが△△だったトコに入るんだってさ!』あるいは『社長のトコのあの髪の毛長くて目ぱっちりの子、明るくていいな!』とか、色々な話が入ってくるようになりますし、中にはウチの店のココは直した方がいいよって、問題点を指摘してくれるような人とも繋がりができたり。
そういう地域の人とのつながりの中で、新しいビジネスのご縁をいただくことだってあるんです。
内装工事屋さんのご挨拶はあくまでも工事期間中におけるご挨拶ですから、親方が行ってくれたから自分は行かないでいいよね、という方もいらっしゃいますが、果たしてどうなのでしょうかね…。
商売人というのは、隣のお店が気になる人も多くて、仲良い人相手なら「アイツ、元気に頑張ってるよな!」だし、好きじゃない人なら「良く知らないけどさ、どうせ大した者じゃないんだろう」という(笑)、ある意味、人間臭い部分があるもんです。
実際にあった会話をご紹介します。

近隣オーナー「あの店の人って社長のトコ挨拶来た?」
私「いえ、僕は特に受けてないですけど…」
近隣オーナー「ウチにもないんだよ、どんな奴だよ、何か知らないの??」

…知らない人を好意的に受け止める人ってそんなに多くはないんですよね。
同じ地域で商売をしているのだから、例えライバル店であろうと、看板やのぼりが倒れていたら起こしてあげる、近隣のスタッフさんが働いている前を通ったら「お疲れさま、今日も暑いね!頑張ってね!」と声をかける。
食事をしに行く際には、どうせなら差し入れも持っていく。
甘いモノなんて若い人は好きだからとても喜ばれますよね。
若い人は「挨拶する」というのを“宜しくお願いします”を言ったかどうかという風に表面的に捉えちゃう人が結構多い気がします。
本当はそういう意味じゃなくて、人と人としてきちんと自分たちと付き合える人間かどうかを地域の方は見ているんですね。
挨拶した、してない、という話ではないんですよ。
最近は挨拶の意味を教えてくれる先輩も少なくなりましたが、ぜひこの開業前の時期に、自分より大人の人と付き合って、挨拶を含めた世の中の常識というのを教わるということも大事じゃないかなと思いますね。
挨拶上手は商売上手への近道、地域の人との関わり、どうか大切にされると良いと思いますよ。

開業当日

・お祝いの花、返礼ご連絡、お手紙、メール等
・トラブル対応
・業務管理のスタート

開業当日

オープン当初に100点満点の完成度を求めない理由

――いよいよオープンとなったわけですが、この時期に注意していたことはありますか?
開業時というのは最もスタッフが仕上がっていない時期に、最も大きな期待を持ったお客様が一度にたくさんお見えになる、残念ながら最も問題が多発する時期です。
その対応と改善に集中するという意味では、相当なパワーを求められる場面でもあるのです。
問題ないと思っていた看板商品がお客様に全く刺さらないかも知れないし、価格に対する拒絶反応もあるかもしれない。
まだオペレーションを覚えたてのスタッフがいる中で、店長を中心に変更事項がドンドン追加されていく。
そこには当然ストレスがたくさんかかるのです。
新店開店時というのは、営業電話もひっきりなしにかかってきては「一日も早い繁盛のためにこれを導入するのが良い」と色々な販促ツールの提案を受けますが、どの販促ツールもタイミングと取り扱いを間違えるとエライ目に会うことが少なくありません。
あのお店は料理が冷たい美味しくない、出てくるの遅いよね、そんな悪評があれば、離反客とその周りで「あの店どうだった?」様子を探っている多くの新規客予備軍のお客様の取りこぼしが発生しています。
そういう営業上の問題解決をしないまま、安易な販売促進等をすれば、そのお店の最高の状態を知らないままお帰りになるお客様を増産させるだけで、結果は先細りしてゆくのは明白でしょう。
一般に初動の数週間にご来店されるお客様というのは、情報感度が高く、SNS等での発信力も持った方が多いですから、早期繁盛店化を目指すあまりに、営業状態を軽視した前のめりなブランディングや販売促進は、しばらく見送るくらいで丁度よいのです。
“サイレントオープン”でも良いんじゃないでしょうか。
ウチも告知無し営業期間、それも短時間営業の日を1週間とって、ようやくグランドオープンとしました。
オペレーションが固まらない、商品が本当に評価してもらえるかわからない段階で「とにかくお客様に来てほしい、売れればいい」という思想は危険です。
センタービーフも当初からデリバリーを事業計画に加えていましたが、実際にスタートしたのはオペレーションにある程度〇が出せるようになった開業4ヵ月目です。
販売促進費は未だにほぼ使っていません。
食べログですら未だに無料会員です。
開店当初は商品改善、オペレーション改善、追加のスタッフ教育などにしっかり集中し、85点くらいの営業を毎日安定して再現できるようになることに全力投球し、それ以外のことはやらない。
むしろ睡眠や食事を大事にとって、元気な姿で店に立つことを目標にする。
チェーン店などで優秀な実績を収めたような自信満々の方が意外に、このケースにハマることが多いですから、ぜひお気を付けいただきたいと思いますね。

〇お話を聞いた方
ステーキライスの店 センタービーフ 横浜関内本店 鹿野和敏(株式会社リングベル 代表取締役)
”我が子にも食べさせられる牛肉”にこだわり、成長ホルモン剤等を一切排除して育てた厳選牛を使用したステーキライス専門店を運営する株式会社リングベルの創業経営者。
外食歴20年以上、これまで個人店~大手チェーンの店長・SVを経験。その後FC業界においても活躍し、独立後の現在は店舗経営の傍ら、FC開発、人財開発、人財教育等のコンサルティング事業も幅広く展開中。JFA公認フランチャイズ経営士。

【繁盛店レポ】センタービーフ 横浜関内本店ができるまで~第2回 お店づくり編_記事画像6

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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