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メニューでの栄養成分表示はお客様に「安心」を与えます。その安心が、結果として常連客獲得へと繋がっていくこともあるので、侮ってはいけません。
1980年代、エネルギー量の表示から始まった栄養成分表示。エネルギーを示すカロリー表示から始まり、2000年代に入ると、資質や食物繊維などの表示も始まりました。最近ではスーパーの食料品売り場はもちろん、コンビニエンスストアやレストランのメニューまで詳しく栄養表示されています。健康と食事に対する意識が高まる昨今、お客様はどの部分の表示を見ているのでしょうか?栄養成分表示とは?
栄養成分表示とは、食品にどのような栄養成分がどの程度含まれているのか一目で分かりやすくしたものです。人間の身体が必要としている栄養素は大きく3つに分かれており、タンパク質と脂質と炭水化物です。これら3つを三大栄養素と言います。
タンパク質は人体の骨格や筋肉などの組織を構成します。脂質は細胞膜の構成成分、炭水化物はエネルギー源として機能しています。
この3つの栄養素を、バランスよく取り入れることが重要です。
例えば、タンパク質は13~20%、脂質は20~30%、炭水化物は50~65%の割合で摂取するのが良いとされています。これらを具体的に把握するためにも、栄養表示成分に記載されている内容をしっかりとチェックすることが大切と言えるでしょう。必要な栄養素は年齢や性別で異なる
タンパク質は13~20%、脂質は20~30%、炭水化物は50~65%の割合で摂取すると上記で触れましたが、これはエネルギーを基準に算出します。しかし、年齢や性別によって必要なエネルギーの基準は異なるため、おおよその違いを把握しておくことが重要です。
例えば、18~29歳の男性でもどんな生活を送っているかによって異なります。座っていることが多い場合(Ⅰ)には2300kcal、多少動く場合(Ⅱ)には2650kcal、移動が多い場合(Ⅲ)には3050kcalなどの違いがあります。また、同じ年齢でも女性の場合には、Ⅰで1650kcal、Ⅱで1950kcal、Ⅲで2200kcalです。
もちろん加齢とともに必要なエネルギーは少なくなりますが、自分がどの程度の栄養素をどれだけ取ればいいのかは、健康管理のためにも覚えておくようにしましょう。栄養成分表示の重要さ
とある調査では女性の7割以上、男性の6割近くが「外食メニューや加工食品での栄養成分表示が必要」と答えています。しかし、実際に詳細まで表示している提供者は多くないでしょう。それだけに、栄養成分表示をきちんと行っている店舗やメーカーは、お客様から信頼を得られるでしょう。また、2003年に施行された健康増進法に基づいて、各自治体は栄養成分の表示を推進。自治体ごとに設定されている条件を満たせば、「栄養成分表示の店」や「健康づくり協力店」として登録されて、ステッカーなどを貸与されることがあります。つまり、成分表示を行うことは、店舗や小売店を運営する上で欠かせない大事な要素となっているのです。
一番よく見られている栄養素とは?
では、商品選択の際、栄養成分表示の具体的にどの部分を意識してみているのでしょうか?まず20~60代の男性、女性ともに一番見られている栄養素が、骨や身体を作る役割があるカルシウムなどの「ミネラル」です。ほかにも、20~40代までの男性は「ビタミン」や「エネルギー(カロリー)」を重視していますが、50~60代になると「塩分」に変わり、年齢と共に食生活への関心が変化する傾向があります。また、30代からの女性は「食物繊維」を気にしており、これは健康面、美容面への意識が高い傾向にある女性にとって重視されている栄養素と推測できます。このように、お客様に求められる栄養成分表示は、健康や美容への関心とともに移り変わることがよくわかります。
栄養成分表示の計算方法はふたつ
レストランや定食屋など、飲食店で栄養成分を表示する場合、その計測方法はふたつあります。ひとつはできた料理を分析して成分を出す方法=「実測値」。もうひとつは参考文献などから材料や分量ごとの栄養成分を算出する方法=「理論値」です。
一般的に「実測値」の方がより正確だと言われています。理由は調理の過程で発生する油や塩の吸収、塩ゆでなどで食材に残る塩分の量などまで細かく計測できるからです。一方、「理論値」も、調理法ごとの吸油率、付着率などのデータを集めた資料なども存在しており、それらを参考にすることでより正確な値に近づけることができます。「実測値」を正確に算出するには、専用の計測機の導入やレンタルが必要になり、その分費用も高額になります。そのため、メニューの開発に費用を割ける大手チェーンレストランなどならともかく、中小規模や個人経営の飲食店では「実測値」で計算するのはあまり現実的とは言えないでしょう。
さらに、「理論値」での栄養表示のポイントは、うそ偽りのない栄養成分表示をすること。カロリーや塩分をごまかしても、食について関心の高い人や、持病のある人など、普段から栄養成分表示をチェックしている人たちは、表示内容に誤りやウソがあればすぐに見破ることができます。トラブルを防ぐためにも「理論値」の場合は、計算の参考にした文献や計算方法も書き添えるなどして、あらかじめ保健所などにも相談しておくようにしましょう。どこまで表示するかは、顧客層に合わせる
実際にどこまでを表示するのが望ましいのでしょうか?作成する手間やメニュー欄の大きさなどの制限を考えると、すべての栄養素を表示することは現実的ではありません。そこで参考となるのが、厚生労働省が提示している「外食料理の栄養成分表示ガイドライン報告書」です。
表示が推奨される主な栄養成分として、エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩、カルシウムなどが挙げられています。さらに、女性客が多いお店であれば食物繊維の表示を追加するなど、顧客層に合わせて求められる栄養素を表示するようにしましょう。時代のニーズに合わせて顧客を獲得する
食の欧米化で摂取エネルギーに占める脂質摂取の増加、運動習慣の減少による肥満の増加などの生活習慣病の人が増えてきたこともあって、食の安全性や重要性が改めて注目されています。
ご飯やパン、麺などの炭水化物を多く含む主食と魚、肉、卵などのたんぱく質や資質を多く含む主菜、野菜や芋などのビタミンやミネラル、食物繊維を多く含む副菜といったように、バランスの良い食事を取ることが生活習慣病の予防につながります。
「塩分控えめ」と聞くと「味が薄そう」と思う人もいるかもしれませんが、認識から変えていくことが重要です。外食産業も提供している定食などの栄養成分表示を積極的に行って、食の安全性と重要性を訴えつつ、リピーターを獲得していく必要があると言えるでしょう。ウソは絶対だめ!
栄養成分表示に関しては、明確な規則やルールがないため、お店側の都合のよい面だけ記載したり、ひどいところではウソ偽りを記載したりするお店もあります。しかし目と舌の肥えたお客様なら、誤りやウソには必ず気が付きます。健康面を意識したお客様のことをターゲットにするなら、「カロリーや塩分が多すぎるから表示したくない」ではなく、「カロリーや塩分が多すぎるから、調理方法をもう一度見直す」というように、根本的な部分から見直すことが必要となるでしょう。きちんと栄養成分を表示する誠実な姿勢こそ、安定した集客に繋がっていくのです。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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