関西の食べ物としての印象が強い鉄板焼き屋やお好み焼き屋ですが、近年は東京をはじめ、全国的に親しまれているファンフードです。そんなお好み焼き屋を開業するには業界の特長や店舗のスタイルなどを熟知しておく必要がありそうです。お好み焼き屋を開業するために、知っておきたい基礎知識をご紹介します。
お好み焼き屋を開業するには準備が必要です。必要なものは次の5つです。
お好み焼きというと関西風を思い浮かべますが、関西風、広島風、時にはもんじゃなどもこの業態に含むことができます。いわゆる鉄板焼きという分類で総括できるこの店舗。お好み焼き屋開業では、どのようなお好み焼きを提供するのか、お客が鉄板で焼くのか、あるいは、焼いたものが提供されるのかのようなコンセプト設定が必要です。お好み焼き屋の形態は、店舗内装やデザインにも大きく影響しますので、十分熟考したいものです。
お好み焼き屋の開業には、店舗物件の取得費や設備投資など初期費用を捻出しなくてはなりません。自己資金で賄えない場合は、銀行などの金融機関から融資を受けましょう。その際、多くのケースは一定の自己資金の確保が融資条件として求められるようです。ある程度の自己資金準備を進めておきましょう。また融資の計上には、運転資金も必ず加味しておきます。
お好み焼き屋開業には、店舗物件の確保が必要です。店舗を契約する場所は、集客力のある駅周辺、駅ビル、商圏などのエリアが理想と言えます。コンセプトによっては、家賃がリーズナブルな住宅地や階上店舗などであっても、低料金で繁盛店へ成長させることも可能です。
お好み焼き屋を開業するのに必要な資格の取得を進めます。飲食店の営業のための義務資格「食品衛生責任者」は早めに準備をしておきましょう。営業許可を受ける際に必ず求められる資格で、事業主以外が所持していても構いません。
厨房機器や鉄板など、設備・備品の準備も進めていきましょう。特にお好み焼き屋の鉄板は、お店の命です。ガス式、電気式、あるいはテーブルはめ込み式など、用途に合わせて選ぶようにします。分厚い鉄板は高価ですが、その分パフォーマンスにも優れています。初期投資が嵩んだ分、長期的にはメンテナンス上もコスパが高いと言えるかもしれません。
開業の準備に関して、さらに詳しくはこちらの記事で紹介しています。
お好み焼き屋を開業するにはさまざまな準備が必要です。時系列で考えるお好み焼き屋開業のフローを想定してみました。平均的なお好み焼き開業のためのスケジュールについて以下でご紹介します。
お好み焼き屋開業までのスケジュール例
時期 | 項目 |
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1年~半年前 |
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3ヶ月~6ヶ月前 |
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3ヶ月前 |
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2ヶ月前 |
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1ヶ月前 |
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10日前 |
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当日 |
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スケジュールはお好み焼き屋の規模により前後します。準備の手順も店舗によって変わる可能性はありますが、平均的なスケジュールを想定していますので、参考にご覧ください。
準備の流れに関して、さらに詳しくはこちらの記事でイラスト付きで紹介しています。
お好み焼き屋の開業資金は高額になる傾向があります。お好み焼き屋の開業には次の費用が必要です。
賃貸物件を借りるためには、初期投資費用がかかります。一般的な店舗物件では、保証金が家賃の約6ヶ月から12ヶ月分、そのほかに礼金や仲介料が含まれます。立地条件や店舗の規模にもよりますが、通常家賃の1年分の確保が必要と言われています。また店舗内装中は、空家賃がかかり、コスト削減には内装のスムーズ化と迅速化がカギを握ります。
店舗の内装工事では、一般的に設計費、材料費、家具、インテリア、などが費用に含まれます。またお好み焼き屋に機能的なダクトがない場合や、ガス、電気の容量が不足なケースでも基礎工事が必要になるでしょう。お好み焼きは油が充満しやすく、壁や床素材にも注意が必要です。内装計画では、デザインと同様に素材の詳細確認も怠らないようにしましょう。
厨房器具は、レンタル契約、または購入によっても金額が異なります。居抜きの店舗物件の場合は、既存の厨房機器を使用するのが一般的です。しかし、お好み焼き屋は専用鉄板を用いるため、必ず既存の用具が適切とは限りません。鉄板は種類によっても値段に幅があります。分厚い素材で、高価なものほど長持ちすると言われ、開業資金のうち、どの内容にウエイトを置くか検討しておきましょう。
飲食店の開業では大きな出費以外に諸経費として考慮したい項目があります。食器類やお手拭き、お箸や従業員のユニフォームなどがその部類です。他にも看板製作やお店のPOPなども諸経費として資金調達に組み込んでおきましょう。
お好み焼き屋経営が軌道に乗るまでの予備資金のことを運転資金といいます。運転資金に含まれるのは、固定費と呼ばれる家賃、厨房レンタル料、水道光熱費、人件費などがあります。そのほかに材料費や雑費などを合算した月額支出を割り出し、最低でも6ヶ月分の運転資金を確保できることが望ましいと言われています。
独立資金はどれくらいかかるか?についてこちらの記事でも紹介しています。
お好み焼き屋を開業するにあたり、高額の初期投資の場合資金の調達が必要です。お好み焼き屋開業での、開業資金の調達方法についてまとめました。
自己資金は、定期積立などで計画的に貯金しておきましょう。融資などを金融機関から受ける場合も、自己資金の確保を求められます。時間がかかりますが、利息や返済の心配もなく、また面倒な審査や書類準備も回避することができます。なるべく多くの自己資金を準備しておきましょう。
開業資金の融資は、銀行などの金融機関や政府管轄の日本政策金融公庫から借り入れをするこができます。借り入れ機関にもよりますが、ほとんどの場合自己資金の割合によって融資金額にも影響が出ます。家族や親せきが同意してくれるケースでは、利息や返済も融通が利くため、なるべく相談してみましょう。
飲食店の開業でも国が指導する助成金や地方自治体ごとの助成金などを活用することが可能です。代表的なものに、地域中小企業応援ファンドや小規模事業者持続化補助金などや、ものづくり補助金などの制度があります。ただし、募集枠や条件となる規定も異なるため、事前準備が欠かせません。早め早めの行動を心がけましょう。
補助金・助成金活用に関してはこちらの記事で紹介しています。
好み焼き屋を開業するために必須となる資格があります。開業にあたって必要な資格は次の2点が主になります。
飲食店を経営するための必須資格が「食品衛生責任者」です。出店場所に関係なく、全国で講習を約1万円前後で受けることができます。保健所に営業許可を申請する際に必ず求められる資格ですので早めに取得しておきましょう。店舗につき、1人はこの資格を所持することが求められます。所有者は事業主本人でなくても構いません。また調理師免許がある場合は免除される資格です。
お好み焼き屋の収容人数が30人を超える場合はこの資格取得が必要です。日本防火・防災協会の主催する講座を受けることで、この資格を取得することができます。受講料は6500円から7500円前後が一般的です。お好み焼き屋の延べ面積300平方メートル以上かそれ以下かによって受講時間と項目が変わります。もし不安な場合は管轄の消防署に問い合わせをしておきましょう。
その他開業に向けて役に立つ資格についてはこちらの記事で紹介しています。
お好み焼き屋を開業するにはいくつか届け出をする必要があります。申請場所や申請時期が異なるので確認の上、なるべく早めに済ませておくとよいでしょう。
「飲食店営業許可申請」は国の衛生法で定められており、飲食店経営のために保健所に申請する必要があります。申請後は、保健所から衛生法に定められた基準を満たした店舗であるかという検査が行われます。お好み焼き屋内装工事完了の2週間前を目途に申請書や手数料の準備を進めておきます。
お好み焼き屋で、深夜12時以降にアルコールを提供する場合に必要となる申請です。開業日の10日前までに管轄の警察署に届け出を済ませておきましょう。
個人事業主としてお好み焼き屋を運営する場合、管轄の税務署への申請が必要です。お好み焼き屋オープンから1ヶ月以内が届け出期限と指定されています。この申請によって、確定申告の際に「青色申告特別控除」で10万から65万の控除や、赤字を3年間繰り越せる損益通算や親類等の給与の経費計上などの特典を活用できます。
開業に向けた手続きの注意点についてはこちらの記事で紹介しています。
お好み焼き屋では、必須となる設備に鉄板があります。お店のコンセプトによって鉄板の種類やタイプも異なるでしょう。知っておきたいお好み焼き鉄板の設置方法をご紹介します。
カウンター式の店舗で、鉄板を囲んでお客が着席するタイプのお好み焼き屋では、メインの鉄板が必要です。お客の前で華麗な手さばきでお好み焼きをつくってみせるパフォーマンスは臨場感があり、お客との距離も近くなるのが特徴。親近感のある雰囲気作りに効果的です。
テーブルに鉄板が設置されて、お客自身がお好み焼きを焼く店舗では、作る楽しみを提供することができます。グループや家族での来店ではわきあいあいとした雰囲気作りが容易になります。数台のテーブル確保、保温費用が発生することから、初期投資とランニングコストがかかるというデメリットもあります。また各テーブルの排気設備を増設する必要がある場合は、内装費用も高くついてしまいます。
内装工事にかかる費用に関して、こちらの記事から紹介しています。
お好み焼き屋開業では、安定的な経営をしていくための指標が大切です。開業後、経営難に陥らないためにも、成功のコツを押さえておきましょう。知っておきたい4つのポイントをご紹介します。
自分が鉄板で焼くという楽しみは、エンターテイメント性のあるお好み焼きならではの楽しみです。あるいは、店主の巧妙な技術や、スピード感のあるパフォーマンスに圧倒されるお客も多いことでしょう。またトッピングなどを自由に組み合わせることでオリジナリティを演出することも可能です。お好み焼きの持つ、食の楽しさを最大限に活かせるサービスを提供できることが成功のカギと言えます。
お好み焼き屋は鉄板の油はねで、どうしても店内が不衛生になりがちです。また中には、煙の匂いを気にするお客もいます。内装の際には、壁素材などにも意識し、店内は清掃を徹底して、清潔な印象を保つよう努力しましょう。
一般的に粉ものは、原価率がもともと低く、利率がよいと言われます。ただし、魚介類や上質の食肉などを使用する場合は、原価があがるため単価も上乗せする必要があります。お好み焼き屋では単品注文も多く、客単価が上がりにくいため、サイドメニューやドリンクなどにも工夫を加え、できるだけ原価率を抑えながらも、客単価を上げていく努力が重要です。
お好み焼き屋は、焼く時間がかかるため、回転率が悪くなってしまいます。売り上げにつなげるためには、客単価の向上、損益回避などで回転率の悪さをカバーする工夫が重要です。仕入れの際は、冷蔵庫での保管ロスを減らすなどの対策も有効といえるでしょう。
成功者に学ぶ飲食店経営について、こちらの記事で紹介しています。
お好み焼き屋を開業する場合に、どのような物件を取得すればいいのでしょうか。次に狙うべき物件の特徴を紹介します。
お好み焼き屋は、煙がでるため、ダクトのある店舗でなければなりません。店舗選択の際には、ダクト設備があると工事の手間と費用が省けます。また周辺のビルが接近している店舗では、ダクトの方向を変更するなど、周辺への配慮も必要です。
前テナントが同業の居抜き物件であればすでにダクトが設置されている可能性が高いといえます。その他にも、お好み焼き屋を開業するにあたり必要な設備が一通りそろっている可能性も高く、工事費が安く済ませられるかもしれません。厨房設備も再利用できれば、かなりのコスト削減につながります。
お好み焼きは服に匂いがつくため、ビジネス街では避けられてしまうこともあるので注意しましょう。また調理時間がかかるため、ランチタイムのビジネスマンを対象とするのが難しい業態でもあります。
最後に、お好み焼き屋開業を成功させるためにお好み焼き屋の経営状況や儲けに関して参考データをチェックしておきましょう。
開業するために最低限必要とする資金のことを開業資金と言います。独自調査の結果、お好み焼き屋の開業資金は平均で約900~3,700万円程度と想定されているようです。お好み焼き屋の開業資金に含まれるものは主に「物件取得費」「内装工事」「厨房機器」「食器・備品」「運転資金」などが挙げられます。
月商は、(客単価(目標)× 席数 × 回転率(目標))× 営業日数で求めることができます。月商には、月の売り上げを始め、水道光熱費、人件費、家賃、材料代などの支出も含まれています。独自調査から、お好み焼き屋の開業資金は平均で約250~1,000万円を目安に考えられそうです。
客単価は一度に一人のお客が支払った金額の平均を示しています。独自調査から、お好み焼き屋では約1,100円〜4,600円の数字が見えてきました。お好み焼き屋は客の回転数が低い業態ですので、客単価が高いほど有利な経営につながると言えるでしょう。
回転数は、1日の利用客÷座席数で割り出される数字です。独自調査では、平均2.4回から4.2回が相場というデータが出ました。しかしお好み焼き屋の店舗規模によっても上下します。あくまで目安として念頭に置いておきましょう。
座席数はお好み焼き屋の収容人数を示しています。独自調査では、お好み焼き屋の場合、 16~56席程度という結果に。ただし、カウンター席のみやテーブル席の有無など、レイアウトによってもこの数字は上下します。
1日の売り上げを座席数で割った金額です。独自調査では1席平均3,800円から19,200円という参考数値が算出されました。日ごとのデータは、特定の曜日や週末など、集客の傾向を分析するのに役に立ちます。しかし店舗規模や、営業日数によっても変化するので、今回の数値は1例として参考にしてみてください。
お好み焼き屋の原価率は低いと言われ、一般的に利率の高い業態です。しかし焼き時間がかかる性質から、どうしてもお客の回転率は停滞してしまいがち。そこで、客単価を上げられるような価値のあるメニュー作りや、付加価値のある独自性を強調していくお店作りが重要です。お好み焼き屋の開業にあたり、しっかりとコンセプトを練った上で、将来のビジョンについても明確化することが成功のポイントと言えるでしょう。
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