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喫茶店を開業するために必要なこととは?

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自分でも喫茶店を開業してみたいとは思いつつ、実際にどういう準備をすればいいのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事ではそういった方のために、喫茶店での収入の得方や経営を長続きさせるためのアイデア、開業に必要な資金や資格、困ったときの相談窓口などをまとめました。

喫茶店で稼ぐには

喫茶店の経営者はどのような形で収入を得るのでしょうか。日本政策金融公庫が2012年にまとめた経営指標によると、売上高に対する人件費の比率は37.8パーセントでした。喫茶店で稼ぐためには、日本政策金融公庫が出している経営指標をひとつの目安に、売上=客数×客単価という原則のもと、固定費などの出費を抑え、客数を増やすか客単価を上げるための工夫が必要です。それぞれを詳細に見ていきましょう。

出費

喫茶店経営における出費とは、固定費用と変動費用の2点です。固定費用とは、売上額などによって増減しない費用のことで、代表的なものとしては家賃や借入を行った場合の利息、人件費(正規雇用の場合)が挙げられます。変動費用とは、固定費用とは逆に売上額などによって増減するものを指し、代表的なものとしては材料費や光熱費、人件費(アルバイト・パート雇用の場合)が挙げられます。

客単価

客単価は利用客一人当たりが来店時に支払う金額を平均したものです。厚生労働省の「喫茶店営業の実態と経営改善の方策」によると、喫茶店の客単価は株式会社で1,105円、個人経営では1,573円です。
個人経営の喫茶店では1,573円という金額を基準に客単価を増やす工夫が必要です。客単価を増やす方法として、セットメニューなど値段の高いメニューを注文してもらうか、複数のメニューを注文してもらう必要があります。セットメニューや限定メニューなど客単価の高いメニューの考案や店側から特定の商品をおすすめすることも1つの方法です。

客数

客数を増やすためには、喫茶店の特徴やコンセプトを具体的に押し出すことが必要です。クロス・マーケティングが2013年に行った「飲食店の利用実態に関する調査」 によると、初めて訪れる喫茶店(カフェ)を選んだ理由として多く挙げられたのが「店舗のつくり(外観・看板など)」でした。喫茶店は通常の飲食店よりも居心地を重視される傾向にあるため、どのような喫茶店かわかる外観や看板など、店舗のコンセプトが明確に伝わる雰囲気づくりを意識しましょう。

回転数

回転数とは1日あたりひとつの座席を何人の利用客が使ったのかという数値です。回転数と座席数をかけたものが1日の客数になります。座席数は店舗の広さによってある程度決まってしまうため、客数を増やすには回転数を上げることが重要です。
しかし、喫茶店という形をとっている以上、利用客に(例えばファーストフード店のように)短い時間で退店してもらうことは望めないでしょう。そのため、喫茶店で回転数を上げるためには、商品の提供や呼び出しへの対応などを迅速に行い、少しでも時間のロスをなくすことが必要です。

喫茶店を長く続けるために必要なこと

喫茶店をはじめとした飲食店は新規開業の多い業種ですが、その分廃業の多い業種でもあります。日本政策金融公庫が2016年に発表した「新規開業パネル調査」 によると、飲食店・宿泊業の廃業率は18.9%と、全体の平均である10.2%を大きく上回っていることがわかります。
では、いったいどのような人が喫茶店経営に失敗するのでしょうか。よく挙げられる特徴として「理想に固執するあまり、現実とギャップが生まれている」「収支についての見通しが甘い」「コンセプトがはっきりせず、大型コーヒーチェーンとの差別化ができていない」といったものがあります。それぞれへの対策を考えていきましょう。

①自分の理想形にこだわりすぎない

喫茶店をはじめたいと考える方の中には、「こういうお店にしたい」という理想を強く持っている人も多いかと思います。もちろんそれを持つこと自体は後述するコンセプトにもつながりますし、必要です。しかし、「理想のお店」にこだわりすぎるのは危険です。
例えば提供する料理やドリンクの質にこだわりすぎるあまり原価が高くなってしまったり、内装や外装に凝りすぎた結果入りづらい雰囲気になってしまったり、とにかくこだわりすぎると様々な形で独り善がりなお店となってしまう可能性があります。
お店側の理想も重要ですが、喫茶店を長く続けるために店舗の立地や利用客のニーズも考慮したバランスの良い店舗づくりを意識することが必要です。

②収支計画や採算管理を徹底して行う

開業の段階でしっかりと練ったはずの収支計画が、実際にお店を開いてみると大きくはずれていた、ということもあります。その理由として考えられるのが喫茶店という業態の「客単価の低さ」です。
日本政策金融公庫が2013年に実施した「外食に関する消費者意識と飲食店の経営実態調査」 によると、祝日夜の客単価が飲食店全体の平均が4,214円であるのに対し喫茶店の平均は1,260円と大きな差があります。朝昼の時間帯ですと開きは小さくなりますが、それでも全体の平均は下回っている状態です。
客単価が飲食業全体から見てもかなり低く利益が上げにくいという事実を考慮した上で、しっかりと利益を出せる見通しが立てられるようになってから開業しましょう。

③お店のコンセプトを明確にする

最近では街のいたるところにチェーンの喫茶店やカフェがあり、どこもそれなりに賑わっています。個人経営で喫茶店を始めた場合、チェーン店などの競合と争うことになりますが、打ち勝つのは容易なことではありません。チェーン店には入店のしやすさやマニュアルによるサービスの質の安定といった強みがあります。
そこで、チェーン店との差別化を図るためにもコンセプトを明確に打ち出しましょう。チェーン店やその他の同業種にはない特徴を売りにして集客を狙います。競合と差別化する方法として、こだわりを持って提供されるメニューでもいいですし、特徴的な内装でもいいでしょう。
ですが、ここで忘れてはいけないのが前述したようにそのコンセプトが独り善がりになってはいけないということです。顧客のニーズとお店のコンセプトのバランスを上手くとり、競合する他店との差別化をすすめるようにしましょう。

喫茶店の開業に必要なもの

喫茶店を開業するためには、資金と資格の準備が必要です。資金は100~1,500万円程度と言われることが多く、資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」が必要になります。どちらもお店ごとに必要な金額や資格が変わってきますので、もう少し詳細に見ていきましょう。

資金

都内で小さめの喫茶店を開く場合を想定して必要な資金を考えていきます。一般的に、喫茶店の開業時は100~1,500万円程度の資金がかかる言われることが多いです。金額の範囲が広いのは、店舗の物件や設備にどれだけ投資するかがオーナーの考え方次第だからです。
なるべく費用を抑えて100万円程度での開業を目指す場合、広い物件は借りることが困難なため、お店は数席程度の狭小な物件などを探すことになります。この方針で物件を探すと、物件の選択肢が少ないことや、店舗の内装などにこだわれないといったことがネックとなります。とにかくお店を開きたい、という方向けの開業と言えます。
資金を1,000~1,500万円ほど用意した場合、物件についてはもう少し条件を広げて探すことができます。また、設備や内装にもこだわることができ、自身の理想に近い形でお店づくりができるでしょう。
このように、事業主がどのようなコンセプトで喫茶店をつくっていくかによって、必要な資金が大きく変わってくるのが喫茶店の開業になります。自身の理想の喫茶店開業にどれぐらいの資金が必要か分からないという方は、開業者向けの無料相談などに参加し、開業サポートの専門家におおよその金額がいくらになるのか相談してみてください。

資格

喫茶店の開業には「食品衛生責任者」の資格が必要です。また、お店の収容人数が30人以上になる場合は「防火管理者」の資格も必要となります。
食品衛生責任者は食中毒や食品衛生法違反が発生しないように店舗の食品衛生を管理する役割があり、食品を扱って店舗を営業するには1名以上の資格所持者を置くことが義務付けられています。資格は食品衛生責任者養成講習会を受講することで取得可能です。
防火管理者は火災による被害を防止するために防火管理を行う責任者を指す資格です。防火管理者の資格は、防火管理講習を受講することで取得可能です。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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