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一度物件を決めたものの、「やはりもう一度考え直したくなった」、「もっと魅力的な物件を見つけてしまった」という場合、いわゆるクーリングオフはできるのでしょうか?不動産のクーリングオフについて解説してきます。
クーリングオフとは
クーリングオフとは、契約の意思表示を行った後でも契約を取り消すことができる制度のことです。契約の意思表示を行うと、基本的にはその意思表示を取り消すことができません。これを認めてしまうことになると、両者にとって平等な売買ができず、売主が不利になってしまうためです。
しかし、もしこの契約の意思表示が詐欺だった場合にはどうなるでしょうか?意思表示を取り消すことができないという原則に基づくのであれば、契約を解除できないため、買主にとって不利な状況になってしまいます。そこで登場したのがクーリングオフです。
クーリングオフの期間内であれば、原則ルールが適用されず、特別法であるクーリングオフ制度が適用されます。売主の許可を必要とせず、買主から一方的に契約を解除できますが、クーリングオフの期間を過ぎてしまうとクーリングオフが適用できなくなるので注意しましょう。賃貸物件にクーリングオフは認められない
不動産取引を規制する法律を「宅地建物取引業法」と言い、宅地や建物の売買、賃貸については基本的にこの法律のもとに規制されています。実は、この宅地建物取引業法(宅建法)には、不動産賃貸契約におけるクーリングオフを認める規定はありません。ですから、基本的には賃貸物件のクーリングオフというのはできないのです。
※話し合いや契約内容によっては合意があれば途中解約できる場合もあります。特定商取引法でクーリングオフ対象となることがある
宅建業法では、賃貸物件のクーリングオフは規定されていません。しかし、業者が宅建業の免許を持たない不動産賃貸業者や不動産管理業者と契約した場合は、「特定商取引法」という法律に基づき、賃貸物件でもクーリングオフできることがあります。たとえば、自己所有の土地や建物を貸す不動産賃貸業には宅建資格は不要で、宅建業者には当たりません。そうなると当然、宅建業法の規定は適用されないので、クーリングオフの対象となる可能性があります。
賃貸物件でクーリングオフが認められる場合とは?
宅建業の資格を持たない不動産業者と賃貸契約を結んだ場合、販売方法によっては、クーリングオフの対象となる可能性があります。具体的には、訪問販売や電話勧誘などでの販売がこれにあてはまります。さらに、契約が不動産業者の事務所や店舗ではなく、喫茶店や自動車の車内といった場所で交わされた場合も、特定商取引法のクーリングオフが適用される可能性があります。
不動産の売買契約の場合はクーリングオフできる
宅建法では賃貸物件のクーリングオフはできないものの、不動産売買契約の場合は8日間のクーリングオフ期間が認められています。この場合、下のすべての条件を満たしていることが条件となるので、参考にしてみてください。
宅建業者自らが売り主になっている宅地や建物である
宅建業の免許を持っている業者が売り主となっている宅地・建物を購入した場合、クーリングオフの対象となる可能性があります。ただし、新築や改築工事の請負業者との契約は、宅建業法のクーリングオフの対象にはなりません。
不動産売買の契約を宅建業者の事務所以外の場所で交わした
店舗、営業所、モデルルームなどが宅建業者の事務所にあたり、それ以外の場所で契約を交わした場合はこの条件に当てはまります。たとえば、喫茶店やホテルの部屋で契約した場合には、クーリングオフの対象となるということです。ただし、買主が自ら申し出て買主の自宅や勤務先で契約した際は、対象外となります。
宅地・建物の引き渡しをしていないor代金を全額支払っていない
このどちらかに該当している場合は、クーリングオフの対象となります。つまり、引き渡しを受け、代金を全額支払った後はクーリングオフができないということです。
契約のキャンセルはできる
クーリングオフできないからといって、必ず契約しなければならないわけではありません。クーリングオフできない場合でも契約のキャンセルは可能です。
しかし、契約のキャンセルはタイミングによってはキャンセルできない可能性もあるので注意が必要です。各タイミングによるキャンセルの可否について見ていきましょう。申込後のキャンセル
いくつか店舗を絞って内見を行い、契約する店舗を決めた後は申込を行います。申込を行うということは「借りる」と宣言したことになって「もうキャンセルできない」と思っている人も多いのではないでしょうか?
申込の段階では、まだ契約には至っていないため、申込をキャンセルすることが可能です。「申込後のキャンセル不可」を提示している不動産会社がいる場合もありますが、基本的にはキャンセル可能なので、納得いかない場合にはキャンセルしましょう。申込金を支払った後のキャンセル
賃貸契約であっても、申込の際に申込金や預り金を徴収する不動産会社もあります。金銭のやり取りを行うと、「さすがにキャンセルできない」と思っている人も多いと思いますが、まだ売買契約を貸主と交わしていないのでキャンセル可能です。
「キャンセルすれば申込金や預り金が返ってこないのでは?」と心配になる人もいるかもしれませんが、申込金や預り金は返金されます。ペナルティなどが適用されることもなく、全額返金となるので覚えておくと良いでしょう。賃貸の審査中・審査後のキャンセル
内見、申込、申込金の支払いを行った後は借主に問題がないか審査を行います。その審査中または審査後でもキャンセルを行うことができるのでしょうか。
宅建業法の第35条には、「宅建業者は契約成立までに、宅地建物取引主任者により、物件に関する重要な事項を相手方に文書を交付して説明しなければならない」と書かれています。つまり、いくら審査後でも、重要事項説明や契約書への署名捺印が行われていない場合には契約が行われていないと判断されるため、審査中または審査後でも契約を解除することは可能です。賃貸契約後・入居後のキャンセル
キャンセルできるのは契約を交わす前までなので、賃貸契約を締結した後はキャンセルを行うことができません。そのため、重要事項説明を受けた、賃貸契約書に記名押印を行った、契約金の支払いを行った場合には、もう契約をキャンセルできないので注意しましょう。
では、キャンセルできなければ、もう打つ手はないのでしょうか?賃貸契約を締結した後はキャンセルできませんが解約は可能です。キャンセルの場合には、最初から何もなかったという扱いになります。しかし、解約の場合には、一度契約したもののその契約を解消したという扱いになります。
そのため、キャンセルの場合は、申込金や預り金などが返金されましたが、解約の場合は、これらが返金されません。どのような賃貸契約の内容かによって異なりますが、仲介手数料、礼金などは返金されない可能性が高いです。また、敷金、火災保険、前家賃、保証料などは状況によって異なります。契約書に「解約時には1ヶ月前に告知が必要」と記載されている場合には、最低でも1ヶ月分の家賃を支払うことになるため、店舗の契約に対して何かしら不満がある場合には、契約前になるべく早く解約するようにしましょう。この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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