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「自分らしく生きる美しい女性を増やしたい」とライフスタイリストとして活躍する北條久美子さん。きっかけは20代前半どん底だった自分が時間をかけて今のスタイルを確立した時。悩める女性たちに自身のメソッドを伝えることでいち早く、力強く人生を生きることができるのではないかと感じたから。それまではキャリアやビジネスマナーなどで広くセミナーを行っていたが、今は企業だけではなく個に対してもセミナー等を開催している。そんな北條さんに女性開業者に向けて商売をする上でのおもてなし&マナーについて伺いました。
お客様相手の仕事のマナーとして絶対に必要な大前提はなんでしょうか?
やっぱり一番大切なことは、目の前のお客様との関係は一期一会である、と心得ることだと思います。次はないものと思って全力でそのお客様と接する。それはまず「第一印象をよくする」ということから始まります。
第一印象をよくする、というと具体的にどんなことになるのでしょうか?
私はよく“おへそビーム”と言うのですが、おへそをしっかりお客様へ向ける。そして自分のおへそからお客様のおへそへ「想いよ届け~!」と念じながら接客をする。おへそってお母さんと直接繋がっていた、ものすごく大切な場所で、ここから栄養や感情も送られてきていたとも言われているんです。だから、感情をおへそに届けることできっと想いが伝わるはずです(笑)。そして表情。笑顔であるということは大前提ですが、お客様がいらしてから笑顔を作ると、「いかにも作りました!」といったこわばった印象になることがあります。ですから、お客様がいらっしゃる前から笑顔を作っておく。顔に関してはメイクも大切です。自分に似合ったメイクをすること。流行りのメイクをする必要はありません。相手に違和感を与えてはいけませんからね。
身だしなみについてはどうでしょうか?
もちろん大切です。シワシワのブラウスやスカートを着ている人に安心して何かを任せようという気になりますでしょうか?「だらしがないのかな?」と思われてしまったらお終いです。その日はお客様でいてくれるかもしれませんが2回目はきっとないでしょう。大切なことは誰かに伝えたくなる印象を与えることです。それが口コミにも繋がっていきます。
誰かに伝えたくなる印象を与えるというのは具体的にはどうしたらいいのでしょうか?
まずは自分が相手にどんな印象を与えたいのか具体的にイメージすることです。例えば女優の○○さんのような印象を与えたい。と思ったらその女優さんのヘアメイクを真似してみたり、ファッションを参考にしたり、話し方のトーンやペースなどを研究してみる。目の前にいるお客様は1人かもしれませんが、そのお客様がもしかしたら10人の新しいお客様を連れてきてくれるかもしれないんです。そう考えたら目の前の出会いには可能性しかありません。自分ができる限りの準備をして臨むこと。それが基本だと思います。
個人のお客さま相手の仕事でない場合のビジネスマナーやおもてなしについて教えてください。
初めて出会った時の商談ですべてが決まる、と思ってはいけません。最初はどんなに商品や企画の説明をしても相手の耳に具体的に内容は入っていないと思った方がいいでしょう。初回は興味を持ってもらう、知ってもらうという意識でいることが大切です。
どうしたら興味をもってもらえるのでしょうか?
自分本位な話し方、今までの成功体験を踏襲する、マニュアル通り、などではだめです。あくまでも目の前の人に対してどうプレゼンテーションするか、なのです。相手がどういう距離感、空気感でいるのか、ということをよく観察してみてください。なんとなく袖をまくり上げたりしたら「暑いですか?空調入れましょうか?」と聞いてみる。時計を気にしていたら「お時間大丈夫ですか?急ぎましょうか?」と、問いかける。目に見えない気配みたいなものも大切です。相手が求めている感じをこちら側は受け止めてそれに応える。そうすることで、たとえその時は商品や企画自体に興味をもってもらえなくても、あなた自身に好印象を持ち、次に繋がる可能性があるのです。
好印象を持ってもらう時に大切なことはなんでしょうか?
相手の心の扉を無理に急いで開けようとしないことです。心の扉というのは内側からしか開かないんです。いくらドンドンノックしても力づくで開けようとしても絶対に開きません。壊れてしまうだけです。相手に自分から扉を開けてもらえるように、相手が気持ちよく時間を過ごせるように心配りをする。それが一番大切なことです。
技術や話術などを磨くことは大切ではないでしょうか?
もちろんそれも大切なことです。ですが、いくら技術があっても“人間力”がなければ、リピートには繋がりません。なぜなら、“この人にしかできない”という技術はそうないですよね。「技術力があるけど、不快な印象を与える人」と「技術力は少し劣るけど、気持ちよく仕事ができる人」。だとしたら心情として後者を選びませんか? 自分がお客様の立場で考えてみるととても分かりやすいと思います。それに、超一流の人というものは技術も最高、人間力も最高、であると私は思っています。
お客様商売でのマナーやおもてなしの例を教えてください。
私自身が体験したことですが、あるネイルサロンに初めて行った時のことです。会話の最後の方にお互いカレー好きであるということが分かってカレー談義に花が咲き、私がおススメのカレー屋さんをお伝えしました。すると、次に行ったときにそのネイリストさんが「あのカレー屋さん行ったんです! すごく美味しかったです」と話してくれたんです。これってすごくないですか? たくさんいるお客様のなかのひとりだという意識ではなく、特別感を感じませんか? まず、「覚えていてくれたんだ」ということだけでも嬉しいのに、おススメしたところに行ってくれたなんて、自分が認められたような気もしますよね。そういうあなただけの特別感。というのをお客様に味合わせてあげるのもとても大切だと思います。
特別感を味合わせてあげるコツはありますか?
カルテ作成などがとても大切になります。たくさんいるお客様との膨大な会話のなかで、私とのカレー話を覚えていてくれたことが不思議でネイリストさんに聞いてみたんです。すると、そのネイリストさんはお客様のことで特に心に残ったことについて必ずカルテにメモをしていたんですね。そうすることで、次回の会話にも困らないし、特別感を演出することにも繋がります。また、最初は1人で営業していたとしても、そのうちスタッフが増えるかもしれない。その時に情報共有がなされていないと、一気に特別感が薄れ、逆効果になりお客様が離れてしまう原因になります。そのためにもカルテづくりというのはとても大切なんです。
商売をすることとお客様満足と自分満足。その3つをすべて満たして共存してビジネスをする方法ってあるのでしょうか?
私は「will・can・must」だと思っています。「したいこと・できること・しなければいけないこと」です。それぞれの輪が重なる部分を大きくしていけばしていけるほど、満足度はどんどん高まっていくのだと思うんです。最初から100%満足! なんてことはないと思います。私自身、「輝く女性を増やしたい!」と思い活動を始めて約5年。ようやく最近、「仕事もプライベートも毎日が楽しくてしょうがない!」 という状態になりました。
そんな状態にするためにはどんな風に日々を過ごせばいいのでしょうか?
最初はどんな仕事も気持ちよく受けて120%の力でやりきることです。「気持ちよく仕事をする」ということにまずは焦点を当てる。できるかできないかなんて考えない。指名されて仕事を依頼されたらとにかく「やります!」と答える。だって、その依頼をしてくださった方は「あなたに仕事をして欲しい」と思ってくれたんです。こんな嬉しいことはないですよね。だから断らない。本当にできないこととわかっていることを除いては、「やります!」と気持ちよく引き受けるんです。
ですが受けたはいいけど、「できない」なんてことになったら大変ですよね?
引き受けた以上やりきる。だから120%なんです。「引き受けた!でもどうするかわからない!」そういう時は人に頼るんです。「徹底的に調べた!でもわからないことがある。足りない人脈がある。教えてください!」とプロとしてプロに頼るんです。そして必死に情報を集める。自信というのは「ある・ない」ではなく「もつか・もたないか」なんです。つまり、“自信を持って”プロとして仕事をする。そうすることで自ずと助けてくれる人が周りに集まってきます。本物のプロの人たちは、自分の足で立って必死に努力している人はわかるはずです。そして、他力本願でやろうとしている人のこともちゃんと分かってしまうんです。だから、いつも120%。「まだやれるんじゃない?もっとやれるんじゃない?」と自分に問いかけてみてください。
最後に…北條さんが考える失敗しないために絶対に必要なことってなんでしょうか?
絶対に失敗しないってことはないと思うんです。失敗があるから成功があるし、試行錯誤することで向上すると思います。でもそれを踏まえた上で、成功している人たちの特徴としては“即断即決”だと思います。第一線で活躍している人たちって本当に早いです。寝かせたりしません。行きたいのに行かないってこともありません。優柔不断でもない。決めたらすぐ行動に移す。それが基本だと思います。
即断即決が難しくてなかなかできない、ついついネガティブに考えてしまう、という人はどうしたらいいでしょうか?
潔さってやはりビジネスの基本だと思います。クヨクヨしない。ネガティブな気持ちを引きずらない。だってネガティブな感情を反芻してもネガティブで居続けることしかできないんです。それって自分で自分を傷つけているに等しいです。それは悲しいことですよね。だからネガティブは引きずらない。潔く決める。行動に移す。それが大切です。
他に失敗しないために必要なことはありますでしょうか?
とにかく事前準備をすることです。事前準備をこれでもか!というほど完璧にする。仕事って甘くないんです。「これぐらいでいいか」という油断が大きな失敗に繋がります。全力でやる! インプットを全力でやればアウトプットも全力でできるようになります。とにかく今日出せる全力を出し切ってください。…あとは…とにかくたくさんの人に夢を語ってください。「私はこういうことをしていきたい!」「こんな世の中にしたい!」と夢を語るのです。決して自分や商品の売り込みをするのではありません。あくまで夢を人に話すんです。すると、ある日、思いがけない人が思いがけない人を紹介してくださったり、思いがけない出会いを引き寄せたりします。笑顔で夢を語る人って素敵ですよね。ぜひそんな人になって大きな夢を叶えてくださいね。
「WOMe」の北條久美子さんの記事をみる>>
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