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グルメ漫画が与える飲食店への影響を考えてみた

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料理人が主人公の料理バトルから、サラリーマンの外食風景を描いたドキュメンタリータッチの作品まで。今、日本にはさまざまなグルメ漫画が溢れています。飲食店経営のヒントになるノウハウも盛りだくさん。読んでおいしくタメになる、そんなグルメ漫画をご紹介します。

日本で増え続けるグルメ漫画

今や日本は世界でも有数のグルメ大国です。ミシュランガイド日本版が出版されたときにも、美食の街と称される世界の大都市をはるかに上回る星を獲得して話題になりました。ちなみに2017年度版に掲載されている星付きレストランは、東京が277軒。パリが70軒、ニューヨークが77軒であることを考えると驚きの数です。日本の多種多様な食文化を支える一翼を担っている(かもしれない)のが「グルメ漫画」。グルメ漫画が登場し出したのは約50年前。それから徐々に増え、今では月に30冊ほどが刊行されています。なかには30年以上も連載が続いている作品もあるくらい、日本人に長く愛され続けているジャンルなのです。今回はそのなかでも特に注目の 8作品をご紹介。昔懐かしい王道の料理バトル漫画から、ニッチなノウハウ系料理マンガまで。グルメ漫画なら、手軽に楽しく食の奥深さに触れることができます。

「美味しんぼ」原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ 小学館 111巻(2017年12月現在)

東西新聞の文化部に勤めるグータラ記者の山岡士郎と、社のマドンナである栗田ゆう子が会社から「究極のメニュー」作りを任じられます。一方ライバル会社の帝都新聞社は、山岡の父親であり有名美食家の海原雄山を監修者にたて「至高のメニュー」企画を立案。料理を巡って父子対決を繰り広げます。そこで注目したいのは、彼らが全国津々浦々を取材したグルメ蘊蓄の数々。オムレツを通して調理道具の扱い方の大切さを説いた「卵とフライパン」(第6巻)や、米粒の大きさを揃えるという手間をかけることで平凡な米でもごちそうになると伝える「もてなしの心」(第5巻)など、料理人に必要な心構えや知識が満載。1983年に連載がスタートし、シリーズ累計100巻を突破した、グルメ漫画の金字塔です。

「ミスター味っ子」寺沢大介 講談社 全19巻

亡き父が遺した「日之出食堂」を母親と切り盛りする少年料理人、味吉陽一が主人公。そこへ日本料理界の重鎮で“味皇”と称される村田源二郎が付き人とともに訪れます。店の古びた佇まいや陽一の幼さを目にして、村田の付き人は侮りますが、陽一が作ったのは超絶品のカツ丼。分厚い肉を低温と高温の油で二度揚げすることで中までしっかり火を通し、かつ焦がすことなく色よく揚げたトンカツに村田たちは驚愕します。その後、村田が陽一を一流料理人たちとの闘いの場へと誘い、料理バトルを繰り広げていきます。バトルで登場するチーズインハンバーグや、コーヒーが隠し味のカレーなど、今では当たり前になった料理もこの作品がきっかけで広がりました。トンデモ料理(?)が登場することもありますが、それも魅力のひとつ。料理って楽しい!と思わせてくれる、料理人必読の名作です。

「孤独のグルメ」原作:久住昌之 作画:谷口ジロー 全2巻

個人雑貨輸入商を営む井之頭五郎が、仕事で訪れた先々で立ち寄る店で食事する様を淡々と、しかし味わい深く描いた作品。登場するのはグルメで知られる原作者の久住昌之が厳選した、関東を中心とした実在の店の数々。それも高級店ではなく、中年男性が仕事の合間に食事をするのにうってつけの大衆店が中心です。井之頭五郎の独白を通して、店やメニューの魅力が分かりやすく表現されているので、店づくりの参考にもなりそうです。イタリアやフランス、中国など世界各国で翻訳漫画が出版されるほどの人気ぶりで、松重豊主演のドラマ版も台湾で大人気を博しています。現地のタイトルは「美食不孤独単」(美味しいものがあれば孤独を感じない)。おいしいものを食べたときの幸福感は、世界共通なのかもしれません。

「深夜食堂」安倍夜郎 小学館 18巻(2017年12月現在)

舞台は新宿・花園界隈にある路地裏の小さな食堂です。繁華街の片隅で、寡黙ながらも優しいマスターが一人で深夜0時から朝の7時までの深夜のみ営業することから、ついた名前が「深夜食堂」。店内に張り出されているメニューには、豚汁定食、ビール、酒、焼酎しかありませんが、その日ある材料で作れるものはなんでも作ってくれる。そんな懐の深さゆえ、たくさんの常連客が集まってきます。甘い卵焼きが好物の新宿二丁目でゲイバーを営む初老の小寿々に、昔懐かしい赤いウインナーを注文する地回りヤクザの剣崎竜、恋人が変わる度に食事の好みも変わるストリッパーのマリリン松嶋など、個性豊かな顔ぶればかりです。訪れる客それぞれが背負う人生を素朴なメニューを通して描く、ヒューマングルメドラマとでもいえる作品。飲食店の在り方や常連客との関係の築き方などを考えるきっかけになるはずです。

「どんぶり委員長」市川ヒロシ 双葉社 4巻(2017年12月現在)

マジメで高飛車な女子委員長と、料理上手な男子生徒・吉田が織りなす学園グルメ漫画。厳しいしつけをされて育った委員長にとって、どんぶりは「男だらけの店で食べる品のない食べ物」。しかし調理実習の際に吉田が作ったおいしそうな親子丼を目にて以来どんぶりの魅力に開眼し、事あるごとに吉田にどんぶりを作らせることに。出てくる料理はもちろんどんぶりのみ。食材も家にあるような身近なものばかりですが、少しの工夫で見たこともない創作どんぶりを生み出していきます。例えばナポリタンから着想を得た「パスタを超える絶品ナポリタン丼」やベーコンをたっぷり使った「ベーコンミルフィーユ丼」など、読んですぐ真似したくなるようなメニューばかり。一話ごとに登場したどんぶりのレシピが載っているので、料理本として活用するのもおすすめです。

「本日のバーガー」才谷ウメタロウ 芳文社 7巻(2017年12月現在)

大手食品専門商社でフードバイヤーとして勤務していた神宮寺慧。一流商社マンとして世界各国の料理を見てきたが、脱サラしてオープンしたのがハンバーガーショップでした。ファストフードの代表格として見られることが多いハンバーガーですが、神宮寺に言わせるとその土地ならではの特長がある立派な「世界料理」。現在のトレンドでもあるグルメバーガーの魅力を、背景にある成り立ちにまで遡って描いていきます。また、脱サラして飲食店を軌道に乗せるまでの苦労の数々も読みどころのひとつ。古巣の商社に邪魔をされながら食材の仕入れに四苦八苦する様子や、あえて店舗拡大を拒む理由など、飲食店経営者なら共感するシーンも盛りだくさんです。

「おかゆネコ」吉田戦車 小学館 全7巻

ひとり暮らしの青年サラリーマン・八郎のもとにやってきた、「しゃべり病」に罹ったネコ。なんでも人間並みの知能を持ち、しゃべれるようになってしまう病気なのだとか。そんなネコが食生活の乱れた主人公に作るのが、多種多様なおかゆの数々。すり鉢で擂ったクルミを甘辛く味付けてトッピングしたり、オイスターソースと鶏ガラスープで味付けしてみたり。時には奈良まで茶粥を学びに行くことも。シンプルな料理だからこそ、アレンジの楽しさが際立ちます。作者はギャグの名手である吉田戦車。ゆる~い雰囲気のなかで八郎としっかり者のネコ、癖のあるキャラクターがやりとりするシュールなギャグ漫画です。登場するおかゆを作ってみれば、身も心もほっこりしそうです。

「いぶり暮らし」大島千春 徳間書店 6巻(2017年12月現在)

様々な食材を燻製チップで香りづけして、旨みを閉じ込めることができる燻製。最近では、街中でも燻製カレーを提供する店や、燻製した食材を使ったメニューが売りの居酒屋など、燻製専門店を見かけることが増えました。しかしこの作品は自宅で燻製を楽しむカップルの話。舞台はカフェの店長で料理上手な頼子とフリーターの巡が同棲するアパート。二人の愉しみは週に一回の“燻製の日”です。日曜になると、半熟卵を燻製鍋で熱燻したり、時にはダンボールを使ってスモークした枝豆を肴に河原でビールを飲んだりと、充実した燻製ライフを送ります。二人の恋模様も気になりますが、飲食業に携わる人にとってうれしいのは話の最後に燻製豆知識の解説がついているところ。チップの種類や、温燻と熱燻の違いなど、楽しく燻製について学べます。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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