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ヘアサロン業界に参入したのは〇〇〇〇がよいから。出店場所の決定は徹底的にデータを活用

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2013年にAmazon「会社経営」「企業革新」「企業経営」「投資・金融・会社経営」の4部門で1位を獲得した本『小さくても儲かる会社をつくれた4つの秘訣』の著者・森田健太郎氏は、IT系の会社で起業しながら、ヘアサロン事業、飲食事業も立ち上げ、大成功したビジネスパーソンだ。
森田氏の成功談を基に具体的に「お店」で成功する秘訣をたっぷりお話しいただいた。6回連載でお届けする。

社長は経営を安定させること。それを、ずっと続けていくことが大事

――ソフトウェアやホームページを作るIT系の会社や、ヘアサロン、海外では飲食店などを経営する森田さん。ヘアサロン事業のスタッフのために新しい美容院を出店するそうですが、他にどのような戦略が?

森田:なんと、すでにある美容院の目と鼻の先に、競合店を出すんです(笑)。『LUMIC』というお店なのですが、席数は18席。あのエリアでは一番大きいお店ですね。

――なぜそんな近くに競合店を?

理由のひとつとして、僕は社内のメンバーみんなとともに、ずっと働いく事を最も大切にしています。ずっと続けていく、ということが重要。それでヘアサロン事業はドミナント戦略をとっているんです。すでにあるお店の目の前に新規のお店を出せば、盛り上がるじゃないですか(笑)。いままで高島平エリアでは、『FOREVER クレール店』が席数17席が1番大きいお店だったのですが、新店『LUMIC』はそれよりも大きい。そのふたつが競合しつつも、実は同じ会社(笑)。あとはみんなで頑張ってくれって(笑)。

ヘアサロン業界は、〇〇〇〇がよい

――ソフトウェアやホームページを作るIT系の会社から、まったく異業種である美容の世界、ヘアサロン事業を手がけるに至った経緯を教えてください。

ヘアサロン業界は、キャッシュフローがよい業界だからです。新事業をするに当たって、最初はクリーニング店をやろうとしていたんですよ。実はアメリカで一番、億万長者が多い職業がクリーニング屋さん。前金制だからキャッシュフローがとてもよい。よし、それならば僕もクリーニング店をやろうと。ところが、いざ事業計画書を書こうとしたら、全然手が進まない。「シャツ1枚100円で、日に1,000人のお客が来て…」なんて、全然予想がつかなかったんです。僕がクリーニング店をやるのには無理がある。それで同じくキャッシュフローがよい美容院、ヘアサロン業界に参入しようと思いました。さらに、その引き金となったのが、当時、僕の行っていた美容院ですね。とにかくへたくそだったんですよ(笑)。それで腹が立って、であれば僕がやろうと。最初はメンズ専用の美容院にしようとも思ったんですけど、やはりメンズだけで考えると事業計画がうまくいかなくて。客単価を見通せば女性をターゲットにしたほうがよいと考えて、いわゆる美容院を出店することにしました。

異業種であるヘアサロン事業への参入。徹底的にデータを活用

――初めてのお店を出店する場所はどのように考えたのですか?異業種であるヘアサロン事業に参入するわけで、何も知識が無いですよね?

データを徹底的に活用しました。まず、東京と埼玉にある駅とその乗降人員、周辺には何歳の人がどれぐらい住んでいて、美容院が何店舗あるかを調べて。それから、美容院1店舗ごとの人数を出して、多い順に並べてランキング化しました。ただ、ランキング上位の駅にも問題があって。いくら美容院1店舗ごとの人数が多くても、駅の乗降人員が5,000人程度しかいなければ商売にはなりません。住んでいる人が少ないということですからね。それで、乗降人員は2万人以上の駅と決めて、その中から最初の出店候補駅として志村三丁目駅を選びました。ここは乗降人員が約3万人もいるのに、美容院が駅周辺にほとんどない。そして、2店舗目は志村坂上、3店舗目を高島平駅に。でも実は、高島平駅は、このランキングでは842駅中の203位だったんです。その隣の新高島平駅は70位、さらに隣の西高島平駅は16位で、高島平駅よりも上位にある。じゃあなぜ高島平駅を選んだのかというと、数値からは見えない部分があって。新高島平駅、西高島平駅は、駅周辺に美容院も含めて本当に何もないんです。このエリアの人たちは、何をするにも高島平駅までやってくる。スーパーなどの小売店もほとんどないから、普段の買い物をするにも高島平駅周辺まで車で来るんですよ。そこで、その車の通り道に3店舗目を出店しました。みんな車窓から見ますから。これは僕が実際にエリアに足を運んでわかったこと。やはり実際に行ってみないとわからないことも多いんですよ。だから僕は、出店場所を選ぶ前には数値に頼るだけではなく、実際に行ってみることにしているんです。すると「なるほどね」と、分かることがある。お店が少ないエリアには、何らかの理由が必ずあるんですよね。

――なるほど。徹底的にデータを活用する。その数字はどこからピックアップを?

意外とシンプルですよ。例えば、エリアの人口などは国勢調査のデータですね。CSVファイルになって提供されていますから。既存の美容院数などお店の業態データは、タウンページが使えます。例えば、美容院はほぼタウンページに登録するんですよ。電話を引くときに「タウンページに載せますか?」と言われますから。掲載は無料なので、「嫌だ」というお店はほとんどありません。そのふたつのデータをマッチングさせる。実は、このマッチングなどの分析作業が大変なんです。エリアごとに分けて半径何メートル以内に何店舗あるなどなど、いろいろいろと計算しなければならない。僕は面倒くさがり屋なので、外注しています。この作業は1回につき60万円ぐらいだったかな? 1回計算してしまえば、その後数年は変わらないので、絶対にやっておいたほうがいい。そうやって、徹底的にデータを活用して出店したら、1店舗目はオープンして3か月後にはもう黒字になりました。データは正直です。数字に強くない人も、データ集めはシンプルでよいし、分析は外注すればよいし、やってみると難しくないです。やるとやらないとでは大きく違う。

――実際にデータ活用の話しを聞くと、いかに必要な作業かが分かります。他にどのような策を取り入れています?

もちろんサービスです。そして、サービスの向上にも仕組みを導入しています。まずは「スタッフ頑張りランキング」というシステム。どういうシステムかというと、お客様がお店からお帰りになったら、15分後ぐらいにお客様のメールにアンケートが送られるようになっているものです。カットやカラーのメニューに応じて、「思い通りのヘアスタイルになったか」「対応はよかったか」など自動的にアンケートが作られて、それに対してお客様が評価をするアンケートです。そしてこの評価が、スタッフの給料に反映するようになっています。お客様はアンケートに答えることで、シャンプーのクーポンがもらえるようになっているので、回答するメリットも提供しています。そして、お客様からの指名で誰がいくら売り上げているかもデータ化していて、それによっても給料が変動するようになっています。僕はお店には月に2回ぐらいしか足を運ぶことができないのですが、僕がいなくても最高のサービスを提供してほしいという思いで、このシステムを作りました。

画期的な評価システムはマイナスポイントがない

――システムの名前が「スタッフ頑張りランキング」?

そう、名前が重要なんです。「スタッフ評価システム」とかというと、評価されている気がして嫌じゃないですか。このシステムはマイナスポイントがありません。加点しかない。だから、頑張り甲斐がある。頑張りを諦めるスタッフはいないです。

――その「スタッフ頑張りランキング」で、継続的に上位になるスタイリストさんって、何か特徴がありますか?

もう接客のよさですね。いやね、スタッフみんな、接客はいいですよ。接客のよさが、指名、リピートに繋がるのが、このシステムで明確になっている。ヘアサロン業界は、月に70万円以上の売上を上げるスタイリストはすごいと言われています。よって、ひとつの目安が70万円なんですが、うちのスタッフは、月の売上が100万円以下のスタイリストが3人しかいません。ヘアサロン業界の普通で言えば、すごいスタイリストばかりということになってしまう(笑)。売上が月70万円以下のスタッフは、ほぼゼロなんじゃないかな。

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■プロフィール

森田健太郎
1967年広島県生まれ。日本大学大学院理工学研究科物理学専攻博士前期課程修了後、KDDI株式会社に入社。1年間システムエンジニアを経験し、営業部門に異動。2年後、実績が新聞、雑誌などに多数取り上げられ、注文が殺到。東京支店達成率ナンバーワンに躍進。
1998年、ヘッドハンティングによって外資系ソフトウェア会社であるマカフィー株式会社に転職。1999年に日本でナンバーワンセールスとなり、2000年8月には世界ナンバーワンセールスアワードをハワイで表彰。同年11月、最年少部長に昇進。9四半期連続で目標達成という偉業を成し遂げる。
2001年、独立系ソフトウェアベンチャー企業にヘッドハンター経由で役員として転職。入社してわずか4年で売上を13倍にする。
2006年3月、株式会社グリーンツリーを設立。初年度からホームページを容易に制作できるソフトウェア販売(CMS業界)でトップレベルの会社に躍進させる。設立から現在までずっと黒字経営を続けており、2012年11月にはホームページ累計導入社数が1,000社を超える。
2011年11月、コンビニの5倍もある美容事業に参入し、一号店を3カ月で黒字化させる。
2017年11月現在、ホームページ導入社数は約2,000社、美容室は4店舗、一般社団法人 日本優良品協会 監事なども務める。

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