焼肉屋を開業するには? 開業資金や準備、失敗しないポイント!
ここ数年の高級牛ブームに加え後継者不足問題で牛肉は高騰する傾向にあります。焼き肉店はダクト設備などの初期投資もあり開業資金が高くつくと言われる業態です。一方で経験値や肉の専門知識を生かして成功する業界でもあります。ここでは、焼肉屋を開業するための準備や開業資金など成功へのポイントをご紹介します。
1. 焼肉屋を開業するのに必要な準備
焼肉屋を開業するためにまず準備しなくてはいけない事項に、次の7つがあります。各項目を以下で、詳しく解説していきます。
- 開業資金
- 焼肉屋のタイプ(コンセプト)
- 事業計画書
- 資金調達
- 開業の資格取得と手続き
- 設備工事
- 仕入れ確保
開業資金
焼肉屋開業は飲食店の中でも設備投資に資金がかかるため開業資金が高額になることが多い業態です。ダクトやグリルの設置から店舗の規模もカフェやラーメン屋と比較して大きくなる傾向があります。また立地条件や規模によっても上下するので注意しましょう。
焼肉屋のタイプ(コンセプト)
焼肉屋開業では、繁盛店の調査と視察、競合に勝つためのコンセプト作りを入念に行いましょう。他店の内装の雰囲気、テーブルや設備の使いやすさ、スタッフの対応などを参考にすると差別化でき、ユニークな店舗作りができるでしょう。
事業計画書
事業計画は、運営を軌道に乗せるための重要なロードマップです。まずは、客単価(目標)× 席数 × 回転率(目標)× 営業日数の計算式で、月商を試算します。焼肉屋では、仕入れ原価ではなく、内装や設備でコスト削減するのがテクニックです。
資金調達
高額の融資が必要な場合、個人事業は日本政策金融公庫の融資がよいと言われています。一般の金融機関と比較して、自己資金の2倍から3倍の融資を受けることができる可能性もあります。
開業の資格取得と手続き
飲食店を開業するために必要な「食品衛生責任者」の資格取得は必須です。また店舗営業開始のための「食品営業許可申請」届け出などを一定期間内に済ませておく必要があります。他にも火気取扱いの届け出、酒類販売など営業に必要となる申請提出の準備を進めておきましょう。
設備工事
焼肉屋開業では、焼肉専用のロースターテーブルやダクトといった設備が必要です。各テーブルに設置する無煙ロースターは約20万円、ダクト工事は約10万が相場とも言われています。店舗の給排気工事や排煙工事費には約200万から300万円程度かかることも。居抜き店舗、スケルトン、立地条件や店舗規模によっても設備工事にかかる費用には幅がありますので、あらかじめ確認しましょう。
仕入れ確保
独自ルートで上質の肉仕入れを確保できることが経営のキモとも言えます。ファーム直営や卸専門など、独自の仕入れルートを開拓しましょう。こうした肉の質にこだわることは競合との差別化に直結します。
飲食店を開業する上で欠かせない事前準備について、こちらの記事でもご紹介しています。
2. 焼肉屋開業までのスケジュール
焼肉屋を開業するために準備からオープンまで時系列に沿ってスケジュールの一例をご紹介します。以下で、項目に合わせた準備のポイントについても触れていきます。
焼肉屋開業までのスケジュール例
時期 | 項目 |
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1年~6ヶ月前 |
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6ヶ月~3ヶ月前 |
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3ヶ月~1ヶ月 |
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1ヶ月~10日前 |
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当日 |
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上記のスケジュールは、一般的な焼肉屋開業を想定した一例です。店舗の規模、タイプ、立地条件によっても詳細は変わりますので、参考資料としてご覧ください。
1年~6ヶ月前
- 店舗物件探し
店舗内装費節約にも居抜き物件を中心にターゲットを絞るのが効果的と言えます。前テナントが異業種の場合、匂いや煙対策などの調査・確認も必要でしょう。一般的に、物件家賃にかかる割合は、月商の10%程度が理想的であるようです。資金調達の時に作成する事業計画書も加味して、支出を概算しておきましょう。 - 立地条件調査
繁盛店が近隣にある場合、競合になりそうな店舗の分析をおすすめします。肉の品質、独自性、店舗の内装、入りやすさ、接客のクオリティ、など詳しく研究してみましょう。周辺地域の顧客に聞き込み調査で評判を集めるのも有効です。 - 資格取得
飲食業を営むための資格「食品衛生責任者」は、営業許可を受ける際に必要ですので、必須の資格です。食品提供する店舗営業のための「飲食店営業許可申請」は、工事完了10日前までに管轄の保健所に提出します。
6ヶ月~3ヶ月前
- 設備工事、内装工事計画
焼肉屋の主な設備には、シンク、貯蔵冷蔵庫、業務用コンロ、食洗器、盛り付け台、などが挙げられます。また専門設備となる無煙ロースター、吸煙設備取り付け、店舗全体のダクト工事は内装工事時に必要となるでしょう。料理の性質上、煙や油で汚れにくい、清掃しやすい壁や床材など、工夫を盛り込んだ内装にするのが理想といえます。居抜き物件にすることでコスト削減が可能ですが、焼肉屋ではない異業種の居抜き物件ではスケルトンと同様コストがかかる場合もあるので、よく検討したいものです。 - メニューの構築
コンセプトは「看板商品は何か?」から絞り込んでいくようにします。また競合店に負けないオリジナルメニュー作りやサイドメニューの開発は、成功のための重要な要素です。あわせて仕入れでロスが出ないようなストック方法と配達の仕方も検討しておきましょう。 - 仕入れ業者の確保
原価が高騰する傾向にある牛肉市場では優良業者との直接ルートを開拓したいものです。大手チェーンの大量生産式とは異なり、新鮮さや品質の良さは、そのままお店の特徴になります。小口仕入れだからこそ実現できる限定部位や希少部位など、仕入れへのこだわりが自店の魅力となるでしょう。 - 事業計画書
事業計画書では売り上げの他に、客単価や客数、回転率、営業日数など、詳細な算出が必要です。内装費、ランニングコスト、運転資金に至るまで細かく計上してみましょう。さらに事業計画書には、材料仕入れやドリンク搬入業者、営業戦略も記載が求められます。特に制度融資を受ける場合は、事業計画の内容で高額融資の実現も期待できるため、丁寧に記載しましょう。 - 資金調達
焼肉屋開業の資金は一般的な飲食店に比べ、高めです。そのため飲食業の中でも必要資金が多くなる傾向にあります。しかし銀行や信用金庫で多額の融資が難しいケースも多いため、日本政策金融公庫融資を有効に活用しましょう。自己資金は融資金額に影響するので、親戚や家族の協力も仰ぎ、できるだけ多く準備しておくことをおすすめします。
3ヶ月~1ヶ月前
- 店舗物件契約
物件契約時には、保証金(一般的に家賃の6ヶ月から12ヶ月程度)・礼金・仲介料(家賃1ヶ月)・初月の家賃がかかるのが一般的です。立地条件や店舗の状況にも左右されますが、初期費用の約20%から30%の金額が物件契約の費用になると言われています。契約の際は内容を十分把握し、設備の権利やリース条件などがあれば確認しておきましょう。 - 工事着工
電気やガスの契約容量を確認し、十分な容量でなければ内装と同時に工事を追加しておきます。排水、排煙設備についても同様に工事が必要であれば着工しておきましょう。厨房機器を再利用する場合は、耐久性、厨房の導線などの確認も重要です。工事業者に一任せず、事業主自らチェックすることも確実な工事完成につながります。 - 設備、備品搬入
営業に必要な設備や備品などを搬入し、オープンに備えましょう。看板準備では、10万円から20万円程度の製作費がかかるのが一般的です。最後に装飾品や、営業に必要な備品の搬入などの確認を進めていきます。
1ヶ月~10日前
- スタッフ募集
オープンに向けて、キッチンスタッフとホールスタッフの募集をかけます。スタッフの報酬概算として、一般的にアルバイト時給×約100時間、社員飲食店平均約20万から25万円が目安と言われています。人件費のロスを軽減するために、忙しい時間と暇な時間を想定。それを基にシフト分けを決めておくのも良いでしょう。 - 営業のための書類申請
内装工事が終了する10日前までに「飲食店営業許可書」を保健所に提出します。従業員を含み30人以上の収容人数である店舗は「防火管理者選任届」を消防署へ提出することが義務付けられています。 - スタッフ研修
接客や掃除マニュアルを準備し研修を行いましょう。オペーレーションシステム導入による管理の簡素化も効果的です。研修では、焼肉屋のコンセプトを伝え、リピーターが増える接客を実現できるようにしましょう。 - 広告、告知
オープンに先立って、周辺でのチラシ配りや告知イベントを開催するのも効果的です。店頭前、店舗周辺にのぼりや旗を立てるのも、有効な宣伝方法でしょう。
当日
- オープン当日は、キャンペーンやクーポン発行、イベントなどで開業のお知らせを拡散しましょう。当日のみの特典やオープンメニューも宣伝効果をアップに貢献します。
飲食店開業に向けた準備の流れに関して、さらに詳しくはこちらの記事でイラスト付きで紹介しています。
3. 焼肉屋の開業資金はいくら?
焼肉屋の開業のために必要となる資金の内訳は、主に4つに分類できます。以下で詳しい内容について解説していきます。
- 店舗物件
- 内装工事
- 設備費用
- 運転資金
店舗物件
店舗物件の家賃は月商に対し10%前後が目標といわれています。例えば、坪席数を1.5人とすると、45席(30坪の店舗)で客単価3千円を想定。26日稼働で2回転と仮定すると、約540万円の月商があるという概算が出ます。その10%なので、この場合約50万から55万円の家賃をターゲットにするというような逆算ができます。金額値についてはあくまでも仮定です。立地条件などによっても変化するので、参考にしながら保証金、礼金などの固定費の算出もおこないましょう。
内装工事
焼肉屋の開業では内装工事の占める割合が一番高いと言われ、開業費の約50%から60%を占めるようです。焼肉屋では、排気システムの設置が必要なため、ダクトの工事は必須です。ダクトの工事費は一般的に約200万から300万ほど必要とも言われています。
設備費用
焼肉屋開業には、使用する無煙ロースターや卓上ダクトなどが設備投資として必要です。一般的なあるデータでは、この設備投資に開業資金の約15%から20%を投入するのが目安といわれています。
運転資金
飲食店で準備すべき運転資金は、一般的に6ヶ月分の赤字決済が可能な金額と言われるようです。主にかかる費用は、家賃、水道光熱費、仕入れ、人件費です。焼肉屋では、仕入れの占める割合が高い傾向があり、運転資金の約40%から70%程度が仕入れに費やされます。オープンしたては、開業資金の約25%から30%を運転資金として計上するところが多いようです。
開業資金に関してはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。
4. 焼肉屋開業に必要な資金の調達方法
焼肉屋の開業資金は飲食店の中でも高い傾向にあり、調達すべき資金も高額になることが予想されます。そのため融資を受ける場合には、日本政策金融公庫を利用するのがおすすめです。
日本政策金融公庫は、融資を受けることができない中小企業経営者や個人事業主のサポートを目的とする機関です。日本政策金融公庫の制度は、銀行に比べ融資を受けやすいため、開業を目指す人には特に適した融資制度と言えるでしょう。
焼肉屋を開業するにあたり、資金が足りないと困っている方は、ぜひ利用を検討してみてください。
日本政策金融公庫に関しては、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
5. 焼肉屋を開業するのに必要な資格
焼肉屋を開業するにあたり必要な資格は2種類あります。以下でそれぞれ詳しく説明していきます。
「食品衛生責任者」
飲食店を営むために必須の資格です。自治体の講習を受講して取得します。自治体によって8,000から10,000円の受講料で、全国どこでも受講できます。事業主以外でも営業にかかわる就業者が所持していればよい資格なので、他の人に取得してもらうのも手です。
「防火管理者」
事業者もしくは店長が取得しておくべき資格です。30人以上の収容数(従業員も含む)である店舗には、この資格を保持している人材が必要です。地域によっても上下しますが、取得には5,000円程度の講習料がかかります。また店舗が300平米以上かどうかで、講習内容が違うので、管轄の消防署に確認しましょう。
飲食店を開業で持っていると便利な資格に関してはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。
6. 焼肉屋を開業するのに必要な届け出(店舗に関する届け出)
焼肉屋を開業するために必要な店舗に関する届け出は、5種類あります。
- 食品営業許可申請
- 防火管理者選任届
- 防火対象設備使用開始届
- 火気使用設備等の設置届
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
それぞれどのような届け出なのか、以下で詳しくご紹介します。
食品営業許可申請
営業基準を満たしているという保健所の認可を受けるための届け出です。内装が完了する10日前までに保健所に申請しておきましょう。
防火管理者選任届
防火管理者資格を所得した人材が運営に関与するための申請書です。営業開始日までに消防署に提出しておきます。
防火対象設備使用開始届
新店舗や店舗内の一部で火気を使用する場合の届け出です。内装完成の7日前までに消防署へ申請しておきます。内装工事関係者から申請される場合が多いので、工事会社に確認しましょう。
火気使用設備等の設置届
焼肉屋で使用するバーナー、温風暖房機など、火気設備の使用がある場合は、火気使用設備等の設置届出が必要です。管轄の消防署へ書類の申請を済ませておきましょう。
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
12時以降に酒類を提供する場合に、この届出が必要です。営業開始の10日前までに警察署へ申請する必要があります。
営業許可の流れや保健所手続きに関しては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
7. 焼肉屋を開業するのに必要な届け出(雇用や税金に関する届け出)
焼肉屋を開業するうえで、従業員雇用や税金に関する事業主の届け出は4種類あります。
- 個人事業の開廃業等届出書
- 労災保険加入手続き
- 雇用保険加入手続き
- 社会保険加入手続き
それぞれどのような届け出か、以下で詳しくご紹介します。
個人事業の開廃業等届出書
個人事業者の場合は、開業より1ヶ月以内に税務署への申請が必要です。確定申告の際には控除により納税額が減ることもあるので、速やかに申請しておきましょう。
労災保険加入手続き
従業員を雇用する際に必要な手続きです。雇用の翌日から10日以内に、労働基準監督署へ申請しておきます。
雇用保険加入手続き
従業員を雇用した場合、雇用保険にも加入する必要があります。従業員雇用の翌日から10日以内に公共職業安定所へ申請しましょう。
社会保険加入手続き
個人事業主は任意加入であり、法人では強制加入です。両者共にできるだけ速やかに手続きを済ませておきましょう。
飲食店開業にあたり、社員・アルバイトの雇用ついてはこちらの記事でもご紹介しています。
8. 焼肉屋を開業するのに必要な設備
焼肉屋を開業するには、一般的な飲食店とは違い主に3つの専門設備が必要です。
- 無煙ロースター
- 給排気設備
- 店舗外排気設備工事
無煙ロースター
煙を吸い取るためのロースターが焼肉屋には必要です。客卓のテーブルに設置する、もしくはロースター付きテーブルを用意しましょう。一般的に一台20万円相当からあるようで、タイプや機能によっても値段は様々です。
給排気設備
ロースターだけでなく、焼肉で発生する煙を 給排するシステムが必要です。一台10万円ほどの値段が一般的です。
店舗外排気設備工事
ロースターから出た煙や店舗の排気システムの工事も進めていきましょう。具体的には、排気ファン、ダクトや吸気ファン、ガラリなどの総合排気設備を設置する必要があります。一般的に約200万から300万相当の設備投入と言われていますが、店舗サイズやタイプによっても価格帯は様々です。
こちらのインタビュー記事で焼き肉店などを経営する「たむらけんじさん流」のお店作り方についてご紹介しています。
9. 焼肉屋を開業するときの仕入れはどうしたらいい?
焼肉屋のメイン素材となる肉の仕入れ方法は主に3つあります。以下で、内容を詳しく説明していきます。
- 専門業者の紹介
- 業務用食品卸店
- 卸業者をネットで探す
専門業者の紹介
焼肉屋で働いた経験があれば取引先業者の紹介が容易となるでしょう。知り合いの飲食業者から卸専門業者を紹介してもらうと、急に尋ねるよりも信用性があり交渉しやすくなります。
業務用食品卸店
業務用食品卸店を利用するのも一つの方法です。この手の卸業者は、月間購入すると割安だったり、配達してくれたりするサービスを活用することもできます。事業者のみが購入できる業務品配送会社にも同じような特典とシステムがあるので確認しましょう。
卸業者をネットで探す
ネットで卸業者を見つけ、卸売契約を結ぶのも手です。割引率は低くなる可能性もありますが、独自のルートを持ち、長いお付き合いができるのは大きなメリットです。店舗拡大などで業績が上がれば、仕入れの量や価格の交渉もしやすくなることがあります。
仕入れ業者の探し方や価格を抑える方法についてはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。
10. 焼肉屋開業で失敗しないポイント
焼肉屋を開業するまえに心得ておきたいポイントが5つあります。それぞれのポイントを以下で解説していきます。
- ターゲットとなる客単価を絞り込む
- 開業コストに見合った店舗投資
- メニュー戦略で売上高確保
- 客単価があがる接客術
- リピーター確保
ターゲットとなる客単価を絞り込む
客単価を決めることで肉やメニュー構成が明確になります。例えば大人の団体客にターゲットを絞った場合、相乗効果で追加注文が増える傾向があると言います。そのためテーブル席の組単価アップが期待できます。このように、客単価を決めることで戦略が立てやすくなります。
開業コストに見合った店舗投資
焼肉屋の店舗内装は設備投資が大きいと言われ、内装などを予算内で検討したいものです。スケルトンや異業種からの開業とは異なり、居抜き物件はコストダウンにつながります。好立地である場合は、家賃が高価になってしまいがちです。資金力に難がある場合は、宣伝の工夫や駐車場の確保など、他の強みで補いましょう。
メニュー戦略で売上高確保
焼肉屋は相席が難しいため、グループ来店時に得られる特典を工夫してみましょう。ターゲット商品価格を一番高くせず、価格比較で中堅価格が注文しやすい心理を狙います。オプションメニューはセットで2,3品一度に注文するようなメニュー構成が効果的です。マンネリにならないように期日限定や季節メニューなどを用意して売り上げ向上に役立てましょう。
客単価があがる接客術
接客術も店舗経営では重要です。店員のおすすめは客の注目と興味を引くため、接客術を向上するトレーニングを定着させましょう。店頭広告だけでなく、キャンペーンや期間限定を口頭で告知することによって、利用客へのアピールができます。店員がお得感ある話術で接客できるスキルがあれば、利用客にも自店にも有益なビジネスを確立できるでしょう。
リピーター確保
セット券やドリンク券などリピートする理由を提供してみましょう。リピーターや常連の確保は、繁盛店になるには必要不可欠です。「何日以内の来店で」と期間を区切ると、利用客がリピートしやすくなります。
飲食店を開業する上で失敗しないためのコツや失敗してしまう場合についてはこちらの記事でもご紹介しています。
11. 焼肉屋を開業するのに必要な物件の条件
焼肉屋開業に適した物件の条件を、4つ紹介。以下で詳しく解説していきます。
- 居抜き物件
- 家賃が売り上げの10%
- 路面店
- 天井の高い物件
居抜き物件
前テナントが焼肉屋だった居抜き物件は、設備費用が節約でき、有利と言えます。既存のダクトや排気で周囲環境にも問題がないかは確認しておきましょう。無煙ロースターの再利用は火事の危険もあるため、十分検査が必要です。
家賃が売り上げの10%
焼肉屋は肉の仕入れ上、従来の飲食業よりも原価が高くつく場合があります。固定費として出費になる家賃は、売り上げの10%くらいが好ましいと言われています。原材料の質を落とさずに経営を安定させるためにも、家賃価格設定は慎重に行いましょう。
路面店
路面店と2階の店舗では売り上げに約2倍の差がつくと言われています。2階店舗は子供が入りにくいという傾向があり、家族客の入りを妨げる要因になるようです。車通りからでも見やすい店内などで、路面店の物件は集客が容易となるでしょう。
天井の高い物件
建築設計の傾向から見ても天井が高い物件は築年数が浅く新しいという特徴があるようです。坪数が小さい物件でも天井が高いと空間が広く感じられるため、印象が変わります。ダクトやファンの設備が天井に多くなる焼肉屋では、おしゃれなデザインに展開しやすいのもメリットと言えるでしょう。
物件選びで知っておきたい基礎知識についてはこちらの記事でも紹介しています。
12. 「焼肉屋開業」繁盛店の参考データ(canaeru調べ)
canaeruの独自調査による、繁盛店の各種データを紹介します。焼肉屋を開業にあたり、今回紹介するデータを参考に、開業の計画と目標を立てていきましょう。
開業資金
canaeru独自調査によると、繁盛店のおおよその開業資金は約1,900万円から4,000万円でした。あくまで参考の数値ですが、焼肉屋開業は飲食店でも設備投資に出費の比重がかかることが予想されます。日本政策金融公庫の融資や協調融資などを効率的に利用しての資金投入も効果的といえるでしょう。
月商
canaeru独自調査では、繁盛店舗の月商は約900~1,200万円程度という参考データが得られました。月商には売り上げと他に家賃、仕入れなどの総収支も含まれています。コストや人件費を差し引くと飲食店では、一般的に5%~8%が利益になると言われています。数値は店舗規模、立地条件など様々な条件で変化しますので、参考値としてご覧ください。
客単価
焼き肉繁盛店の客単価平均は約2,500円から6,000円と言われています。 焼肉屋の場合、焼く時間などがあることから、比較的長時間の滞在が見込まれます。こうした背景から焼肉屋は回転率が低くなってしまいがちです。そのため客単価を上げることが売り上げ向上には必要でしょう。
回転数
焼肉屋繁盛店の平均回転数について、あくまで参考地ですが、独自調査では約1.9~7.2回という結果に。焼肉屋で回転数を上げる秘訣は客席稼働率を上げることです。カウンターなどの設置で「1人、2人でテーブルを占領」とならないためにカウンターを設置するといった工夫が必要です。
席数
canaeru独自調査の結果、繁盛店の平均的座席数は、30~48席でした。焼肉屋の厨房面積比は厨房20%、ホール80%が一般的といわれています。飲食店での座席数は1坪2.0程度が平均的と想定すると、それ以下の場合は比較的ゆったりとした作りであると言えるでしょう。
1席あたりの1日の平均売上
繁盛店の1席あたりの1日平均売上は約6,250円~20,800円という結果が独自調査では出ています。あくまで参考値ですが、飲食業の中で比較すると、焼肉屋のこの数値は高い水準であると言えそうです。
焼肉屋を開業するために綿密な事業計画と資金調達成功を
焼肉屋開業は飲食業の中でも開業投資資金が多くかかる傾向があるようです。事業計画から目標とする売り上げを明確化。それに見合った投資と上手な借り入れを計画しましょう。焼肉屋のメインとなる原材料を妥協せず、他の出費を抑える計画が成功への第一歩と言えそうです。ターゲット層へのアピールと客単価向上の戦略も綿密に練っていきましょう。