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小さな飲食店を開業するメリットは?必要な資格や手続きについても解説!

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飲食店開業に興味があるけれど、開業資金や開業後のリスクが心配で、なかなか一歩が踏み出せない…。そんな方に注目されているのが「小さな飲食店」です。

少しでもリスクを抑えて開業したい方に人気のある小さな飲食店には、具体的にどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

開業時のポイントや注意点も含めて解説します。

小さな飲食店の定義と特徴

小さな飲食店に決まった定義はありませんが、座席10席以下の飲食店を指すのが一般的です。
店舗の作りは業態によってさまざまですが、テーブル席よりもカウンター席をメインとする店舗が多く見られます。

特に一人で切り盛りする際は、カウンター席の方が注文・配膳・片付けなどの作業を行いやすく、座席をより効率良く回すことが可能です。

客席の少ない、小さな飲食店には、回転率の高いラーメンや定食屋が向いていると言われる一方、サービスの質を重視し高単価で勝負するカフェも多く見られます。

参考記事:飲食店を開業するには?必要な準備の4ステップをわかりやすく解説

小さな飲食店を始めるメリット

開業資金やランニングコストを抑えることができる

店舗面積が小さいほど、開業資金(物件取得費、内装工事費など)、ランニングコスト(家賃、光熱費、人件費など)が低くなります。

特に人件費は飲食店の利益を大きく左右する要素であり、一人で切り盛りできる小さな飲食店なら、利益も残りやすくなります。反対に一定数のスタッフが必要となる大きな飲食店では、給料や手当だけでなく、人材を募集するにも費用が発生する場合も。家族経営の小さな飲食店が何十年も営業を続けられるのは、人件費や家賃を抑えられる点が大きく関係しています。

サービスの質を高めやすい

店舗面積が小さく、座席が少ないほどお客様に目が行き届き、接客サービスの質を高めやすくなります。
例えば「お客様が箸を落としたら、呼ばれる前に気づいて席へ持っていく」「料理や飲み物を注文しようとするタイミングで、すばやく声を掛ける」など。小さな飲食店は店内やお客様の様子を見渡しやすく、きめ細やかなサービスが提供しやすい環境です。

サービスの質が高まると、結果的に顧客満足度のアップ、リピーター獲得にもつながります。そうした理由から、一日4組限定のフレンチレストランのように、戦略的にあえて席数を絞る飲食店も多く存在します。

ファンを作りやすい

サービスの質と同様に、座席数が少ないほどお客様とのコミュニケーションが取りやすく、ファンの増加につながります。料理のおいしさや店舗の居心地を気に入っていただくことはもちろん、店主に会うために来店してくれるお客様を増やせると、店舗経営も安定するでしょう。

行列を作りやすい

一度に入店できるお客様の数が少ないため、小さな飲食店は行列ができやすい環境だといえます。
店の前に並ぶお客様が自然と広告塔となることで、通行客へ集客を促すことができます。開業資金が少なく、広告宣伝費にまで手が回らない方にとっても大きなメリットです。

小さな飲食店の抱えるデメリット

儲けが少ない

座席数が少なければ、その分得られる売上や利益は当然少なくなってしまいます。一人で切り盛りする飲食店であっても、家賃などの経費を差し引いて残る儲けが少なければ、営業を続けていくのが難しくなる場合があります。

休みを取りづらい

小さな飲食店なら一人や家族だけで営業可能ですが、代わりに働いてくれるスタッフがいないと休みを取ることができません。定休日を設けることは可能ですが、飲食店の売上は営業日数・営業時間に比例しますので、その点も留意しておきましょう。

小さな飲食店の開業に必要な資格

小さな飲食店の開業にあたって最低限必要とされる資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」です。それぞれについて解説します。

食品衛生責任者

食品衛生責任者とは、飲食店をはじめとする食品を扱う店舗において、食品衛生の管理運営を行う責任者のことです。飲食店を開業する場合、食品衛生責任者を必ず置いて保健所に届け出るとともに、営業時にもこの食品衛生責任者を置かなくてはなりません。

食品衛生責任者の資格を取るには、各都道府県の食品衛生協会が主催する講習会の受講が必要です。費用は10,000円ほどで、公衆衛生学、衛生法規、食品衛生学の3つの科目を1日で学びます。

なお、調理師や栄養士などの免許を持っている方であれば、講習を受けずに食品衛生責任者の資格申請が可能となっています。

防火管理者

収容人数が30人以上の飲食店を開業する場合に必要な資格です。
店舗の延床面積が300平米以上なら「甲種防火管理者」、300平米未満なら「乙種防火管理者」の届け出が必要となります。

消防署などで行われる講習会に受講することで、甲種は2日、乙種は1日で取得可能です。受講費はテキスト代として3,000~5,000円程度となっています。

「収容人数が30人以上」というのは、店舗で働くスタッフを含む数字となりますが、30人に満たない小さな飲食店は、防火管理者の資格取得が不要となります。1〜2日で取得できる資格とはいえ、その時間と手間が省けるメリットはとても大きいといえます。

小さな飲食店の開業に必要な手続き

小さな飲食店の開業時に必要な手続きとして、主なものに保健所や消防署、警察署への届け出があります。それぞれについて解説します。

飲食店営業許可申請

店舗が完成する10日前までに、店舗所在地の管轄の保健所へ届け出る必要があります。必要となる書類は営業許可申請書、店舗の図面資料、食品衛生責任者の資格証明書、申請料など。申請料は、地域や営業形態によって異なり、許可取得までには2~3週間ほどかかります。

防火管理者選任届

収容人数が30人を超える店舗の場合、営業開始日までに管轄の消防署に届け出が必要です。

防火対象設備使用開始届

建物や建物の一部を新たに使用し始める場合、使用開始7日前までに管轄の消防署に届け出が必要です。

火を使用する設備等の設置届

火を使用する設備を設置する場合、設備設置前までに管轄の消防署に届け出が必要です。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出書

深夜24時以降もお酒を提供する場合、営業開始の10日前までに管轄の警察署に届け出が必要です。

風俗営業許可申請

スナックやパブ、クラブ、ラウンジなど、接待行為を含む飲食業の場合には、営業開始の約2ヶ月前までに管轄の警察署に届け出が必要です。店内の構造や照明の明るさ、遊技設備の有無によっても届け出が必要になる場合があります。

その他にも、業種や営業内容によって必要な手続きがありますので、事前に確認してください。

小さな飲食店を開業する際のポイントと注意点

コンセプトを明確に

人気があり、安定した経営を行っている飲食店は、規模の大小を問わずコンセプトが明確です。「5W1H」の6つの要素に基づいたコンセプト設計を行うことで、開業後も軸がブレることなく、お客様にも店の理念や魅力が伝わりやすくなります。

What(何を):カレー、コーヒー、オーガニック食材など、何に特化した店にするか。
Who(誰に):学生、主婦、会社員、高齢者など、どんな層をターゲットにするか。
Where(どこで):駅前、住宅地、観光地、ビジネス街など、どこに店を構えるか。
When(いつ):ランチ、カフェ、ディナー、バータイムなど、どんなシーンで使われるか。
Why(なぜ):コーヒーとジャズ音楽を楽しめる空間が作りたいなど、自分が開業する目的は何か。
How(どのように):テイクアウト専門、ペット来店可など、どのようなサービスを行うか。

小さな飲食店は店舗面積が小さい分、規模の大きな飲食店に比べて個性やこだわりを極めやすい環境にあります。だからこそコンセプト設計を徹底し、他店との差別化を図っていきましょう。

オペレーションの徹底

一人もしくは少人数で切り盛りするためには、厨房内での調理、接客、会計など、各所でオペレーションの徹底が必要です。
例えば、調理から配膳の動線を考慮して設備の配置変更を行う、事前精算の食券方式にする、タブレットを使った注文ができるようにするなど。自分たちだけでなく、お客様のメリットを意識した工夫や改善は、結果的に多くのお客様から支持される店作りにつながります。

小さな飲食店だからこそ得られるメリットを武器に、飲食店開業へ一歩踏み出されてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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