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【山梨モデル】今注目される新型コロナ感染症対策、「山梨モデル」は何が違う?

今、評価されるコロナ対策「山梨モデル」とは?_記事画像

新型コロナウイルス感染症のまん延によって、大打撃を受けた飲食店。2021年の現在も、まん延防止等重点措置と緊急事態宣言が繰り返し発出され、厳しい状況が続いています。

そんな中、政府は4月30日に「飲食店が実施している対策を第三者が認証する制度」を導入するよう、全国の都道府県知事に通知しました。その参考モデルとして掲げているのが「山梨モデル」です。

一体、どのような内容なのか。詳しくみていきましょう。

山梨モデルとは?

そもそも山梨モデルとは、感染症対策と経済の両立を目指し、山梨県で2020年5月に創設された「やまなしグリーン・ゾーン認証」のこと。

飲食業のほかにも、宿泊業、ワイナリー、酒蔵が申請対象になっています。

基準を満たして認証を受けた店舗や施設は、「変異株対策」「キャッシュレス決済環境整備」「設備改修工事」など、感染症予防のための支援金・補助金を受けられる仕組みです。

感染防止対策を行っている店舗にステッカー等の掲示を許可するなどの施策をとっている自治体はほかにもありますが、基準を満たしているかどうかに関しては自己申告となっていました。一方、山梨の場合は自治体側が実地調査を行い、“お墨付き”を出すことになっているので、消費者に対してより感染防止対策の徹底を証明しやすくなっています。

山梨は実際にコロナを封じ込めている?

政府が参考モデルにするというのなら、それ相当の効果がなければいけません。
ちなみにNHKがまとめた「都道府県ごとの感染者数」によると、2021年6月30日時点の累計で、東京都が最も多くて17万3220人。
山梨県は2097人で全国37番目となっていますが、それより下位で首都圏に隣接している県はありません。
同じく首都圏に隣接する茨城県は1万517人、静岡県は9283人なので、こうした地理的な条件から見ても山梨県の施策は成功していると言えるでしょう。

認証を得るための基準とは?

それでは、山梨モデルの基準を説明していきます。(例外などの細かい条件は「やまなしグリーン・ゾーン認証事務局」のウェブサイトgreenzone-ninsho.jpを確認してください)

参考
やまなしグリーン・ゾーン認証事務局

1.来店者の感染予防

1)入店・注文・支払い
・利用者に氏名、連絡先等を記入するように要請。 店舗側で最低1ヶ月間保管
・入口に消毒設備を設置し、入場時等に手指消毒を実施するよう表示
・最低1m(マスクなしの場合は2m)の来店者同士の対人距離を確保するよう誘導
・対面接客時にアクリル板などで遮蔽。コイントレイ、キャッシュレス決済を導入
・発熱や風邪、嘔吐・下痢等の症状がある者は入場しないよう表示
・飲食時以外はマスク着用を周知し、定期的な手洗い・手指消毒を要請
・咳エチケットを徹底するよう注意喚起
・エレベーターの乗員制限を実施
・送迎車は人数を制限し、運転席と後部座席をアクリル板等で遮蔽

2)食事・店内利用
・テーブルの間は対人距離を1m以上確保、もしくはアクリル板等で遮蔽
・真正面での着席配置はしない。座席の間隔は1m以上確保。もしくはパーティション等で遮蔽
・規定の高さ、幅、形状のパーティションを設置して遮蔽
・席の近くに手指消毒用のアルコールを設置
・ビュッフェスタイルの場合、利用者はマスク、使い捨て手袋等を着用し、トングや箸は共有せずに毎回新たな小皿を使用。食品などはカバーをして保護する。もしくは、料理を小皿に盛って提供するか、スタッフが料理を取り分ける。
・卓上の共用調味料、ポット等の設置は避けるか、客入れ替え時に消毒
・お酌や回し飲み、スプーン等の食器の共有や使い回しは避けるように注意喚起
・BGMの音量を低減させ、大声での会話を避けるように注意喚起
・咳エチケットを徹底するよう注意喚起
・個室を使用する場合は、常時換気
・トイレの入り口付近(店舗側)に消毒液を設置
・トイレの蓋を閉めて汚物を流す、使用後は手洗いや手指消毒を実施するよう表示
・喫煙スペースでは、一度に利用する人数を減らすなどで3密を避けるよう要請

2.従業員の感染予防

・マスク着用を遵守し、大声での会話を避ける。
・業務開始前に検温・体調確認を行う。発熱や風邪、嘔吐、下痢等の症状がある場合は出勤を停止させる。
・感染もしくは感染疑いのある従業員、濃厚接触者として判断された従業員の就業は禁止
・就業開始時、他者の接触が多い場所や物品に触れた後、清掃後、トイレ使用後に、手指消毒や手洗いを実施
・注文の受付や料理提供時は、利用者の正面に立たない。対人距離を確保。
・休憩スペースではマスクを着用。人数を減らし、対面での食事や会話を避ける。常時換気。共用する物品は定期的に消毒
・従業員のユニフォームは当該日業務終了後など定期的に洗濯

3.施設・設備の衛生管理の徹底

・ビル管理法の対象施設は、法に基づく空気環境の調整に関する基準を満たす。
・ビル管理法の対象外の施設は、換気設備により必要換気量(一人あたり毎時30㎥)を確保する。足りない場合は入店者数を調整して必要換気量を確保し、換気設備の清掃、整備等の維持管理を適切に行う。もしくは、30分に1 回、5分程度、2方向の窓を全開して十分な換気を実施。また、換気のため窓やドアを開放している旨利用者に周知し、協力を要請する
・ビル管理法の対象外施設は、HEPAフィルタによるろ過式で風量が毎分5㎥以上の空気清浄機を、メーカーが指定する適用床面積に応じて設置
・二酸化炭素濃度測定器を設置。濃度が1000ppmを超えたら即座に窓を開放し、換気を実施。
・ハンドドライヤー、共通のタオルを禁止
・他人と共用する物品や複数の人の手が触れる場所は消毒用エタノール等を用いて定期的に清拭消毒
・ゴミを回収する者はマスクや手袋を着用。作業後に手を洗う
・食品残さ、鼻水、唾液などが付着した可能性のあるゴミ、おしぼり等は、ビニール袋に密閉して処理

4.チェックリストの作成・公表

・施設内のリスク評価をしたうえで、具体的な方法や手順、清掃・消毒の頻度、人と人との間隔の空け方などを定めたチェックリストを作成。毎日公表する。

5.感染者発生に備えた対処方針

・従業員の感染が判明したら、保健所の指示・調査等に対応・協力して感染拡大防止策を講じ、必要に応じて感染の可能性のある営業日などの情報を公表
・従業員に対し、感染疑いがある場合は検査結果が判明するまで出勤を控えさせる
・感染者が利用していたことが判明したら、保健所の助言・指示等に対応・協力して、必要に応じ感染の可能性のある営業日などの情報を公表

全国に広がる山梨モデル

政府の要請を受け、山梨モデルは徐々に全国の自治体で採用されつつあります。

大阪府でも導入を発表し、6月16日から申請を受け付け始めました。店舗が自己申告を行い、書類審査を通った飲食店を府が現地調査。
基準を満たしていたら府独自の「ゴールドステッカー」を交付するという仕組みです。

また、神奈川県では「マスク飲食実施店の認証制度」を導入。
基本的な感染対策に加え、「マスク飲食に協力しない方に対する早期退店の要請」など、マスクに関するより細かな認証条件を付けています。

認証を受けた優良店には、感染状況の改善に応じて時短要請の対象から外すなど、何らかのインセンティブを与えることが検討されています。

同様の施策を考えている自治体はほかにもありますが、どこまで具体的にメリットを示せるかが今後の鍵となってきそうです。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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