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〇〇対策で経営を安定させる!儲かっているのに閉店という事態を避けるために、必要な知識とテクニックとは?

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2013年にAmazon「会社経営」「企業革新」「企業経営」「投資・金融・会社経営」で1位を獲得した本『小さくても儲かる会社をつくれた4つの秘訣』の著者・森田健太郎氏は、IT系の会社で起業しながら、ヘアサロン事業、飲食事業も立ち上げ、大成功したビジネスパーソンだ。森田氏の成功談を基に具体的に「お店」で成功する秘訣をたっぷりお話しいただいた。6回連載でお届けする。

面倒くさい仕事はコンピューターがやればいい…工数削減を難しく考えない!

――森田さんは、著書の『小さくても儲かる会社をつくれた4つの秘訣』の中で、「システム化以外にエクセルなどで管理する管理シートの効率化も非常に大事です」と書かれていて。いかに管理シートを有効的に稼働させるかにすごく注力されていますね。

森田:エクセルの管理シートですね。最初の5年間は、毎週日曜日の朝から晩までこれを作っていましたね(笑)。管理シートで経営数値を作るのが仕事でした。最初から、これは重要だと考えていたので。おかげで、今は仕組みができているので、数字を入れれば自動的に経営数値が出せるようになっています。

――徹底的に工数削減ですね。わかっていても、なかなかできない会社が多いと思います。

びっくりするものをお見せしましょうか。僕らがどこまで工数削減をやっているかなんですけどね。(PCのエクセル画面を指しながら)いいですか、これはうちの美容院のタイムカードです。例えばここを見てください。あるパートさんの欄なのですが、今日は出社していません。これがなぜ僕から見えるのかと言えば、データがオンラインストレージで同期されているからなんですね。各美容院で、このエクセルに出社時刻を入れて保存を押す。そうすると、自動的に僕のところにも送られてきて。そしてこれをプリントアウトすれば、自動的に給与明細になる(笑)。こういうシステムを提供しているIT会社がありますが、少しパソコンができれば、自分で作ってしまってもいいんです。難しく考えることはない。

――業務の圧縮をする最大の理由は?

10分以上同じ仕事はしません。そのぐらい突き詰めてほしいですね。僕は1分だって同じ仕事をしたくなかった(笑)。面倒くさい仕事は、すべてコンピューターがやればいい(笑)。ほとんどの会社は、タイムカードのデータを吸い上げる仕事を総務がやっています。そういう無駄は省いたほうがいいです。うちの会社は、残業するときは申請をしなくてはいけません。ただ、申請したら、僕は即却下すると言っています(笑)。だから、うちの会社のメンバーの給料は毎月一定です。美容院のスタッフは利益が出たら、特別手当が支給されるので変動しますが、給与計算ソフトでクリック押して終わりです。

システム化した結果は?・・・「誰も森田を必要としていない」(笑)

――著書の中にも「事業のシステム化を構築することが本当の社長の仕事」とありましたが、システム化はどのような意味を持つのでしょうか?

いろんな意味のシステム化がありますよね。先ほどのようなコンピューターを使って効率をはかるというシステム化もあれば、「チラシを何枚配ったらいくら売上がいくら上がるか?」というような仕組みを指すこともある。「電話部隊が何件電話したら何件アポが取れる」とか、「紹介サイトにいくら払えば何件の案件が来て、何件がクローズする」とか、数字が見える仕組みですね。この仕組みを作ると、経営は安定しますよね。だからシステム化には「業務の効率化」と「売上の安定化」のふたつの意味がある。今、僕は月の半分はオフィスにいません。カンボジアに行ったりとか、美容院の受付やったりとか(笑)。それでも会社はシステム的に回っています。誰も森田を必要としていないんです(笑)。

――経営が安定した時期の社長の仕事って何ですか?

最近、僕がやっているのは、新店の、のぼりのデザインの仕事(笑)。よく社長が「こういう感じでチラシを作って」とか言うじゃないですか。そしてできあがってきたら、「イメージが違う」と何回も差し替えたりする。僕はそういうのを徹底的に禁止しています。最終決定者が全部ひな形を用意して、そこに希望を具体的に入れて「これで作って」という風にやる。それで、会社のホームページも僕が設計をしています。立て看板も、僕のデザインです(笑)。そのひな形をもとにデザイナーが作るので、できあがりは僕のイメージとほとんど同じ。少し洗練されるくらいです。

翌日に数値結果が出るのと、2ヵ月後に出るのでは、経営に大きな差が出る!

――システムの重要性をわかっていても、どこから手をつけていいかわからない人も多いと思います。そういう人たちは何をするべきでしょうか。

それはやっぱりパソコンですね。パソコンに疎い人がいるじゃないですか。僕、「本当に経営できるのかな?」って思う。たぶん給与計算ソフトの入力も、会計事務所の先生にお願いしたりしてると思うんですが、うちは、例えば10月31日で〆たら、11月1日の午後2時には先月の結果が出ています。社内の人間が全部やっていますから、翌日には全部会計が出てくる。だからすぐに、ああしろ、こうしろという決断ができますよね。僕、他の会社の役員をやったこともあるけど、本当に決算が遅いよね。2ヵ月後ぐらいに出たりするのが当たり前。僕は結構ザル経営をしていますけど、誰がどう何を使っているのかは、きちんと見えるようにしています。それもリアルタイムですよ。お店で経費をピッとエクセルに入れたら、オンラインストレージで外部から見えるようになっています。だから、たぶん、面倒くさがりがいいんですよね、きっと(笑)。僕、すごい面倒くさがりですもん(笑)。独立・開業するときにパソコンが苦手でも、会得するべきですよ。だって、どんな業態だって、コンピューターが必要だから。翌日に数値結果が出るのと、2ヵ月後に出るのとで、経営に大きな差が出るの、明確じゃないですか。

――著者に、労働生産性を上げるには「今の売上、粗利益を確保しながら、社員を半分にしても問題が起きない仕組みが必要」とありました。ただ、労働生産性という言葉ですが、飲食業界ではなかなか実現しづらいですよね。

そうだよね。飲食業は労働生産性を追い過ぎると、おいしくない料理が出てきそう(笑)。ただね、日本はやっぱり飲食の単価が安すぎるんですよ。海外のほうが全然高い。僕がこの間ラスベガスに行ったときなんか、朝食で1,500円。むちゃくちゃ高いです。日本は物価がそこそこ高いのに、なぜか食べ物は安い。だから利益を出しにくいんですよね。

――儲かっている飲食店は何が違うと思います?

日本に関しては、正直わからないですね。海外で言えば、一番儲かっている店は超高い店です。単価がべらぼうに高い。

――それは日本でも言えることかもしれません。

例えば、渋谷のこの付近で一番高いお店って、セルリアンタワーのクーカーニョですよね。あそこのワインリストは、昔、最低が2万円代。しかもその価格帯が2本ぐらいしかない。10万以上のワインがずらっと並んでいるんです。この前も食べに行ったら、僕らのすぐ目の前の老夫婦が、ワイン1本とメインディッシュ1品しか頼んでいない。それなのにわざわざシェフが「今日はこんな感じで…」と説明している。最近クーカーニョのワイン価格は下がってきていますが、彼らが飲んでいたワインはすごく高いんだと思います。べらぼうに高いお店は粗利もあるし、サービスもいい。そういう、ごく一部の層を狙うのがいいと思う。

飲食店の節税対策。〇〇〇〇〇を限界まで行うこと。これで全然経営が違ってくる

――多店舗を展開したいという希望を持っている飲食店もあると思います。

多店舗展開をしているような飲食店は、やり方が決まっているんですよ。例えば、IT企業も上場のやり方は決まっていますよね。IT企業が上場する場合は、まず代理店に自社の株式を持たせるなどのメリットを与え、商品をバーンと売ってもらう。すると一気に売上が上がります。そしたら上場し、売っていた会社はキャピタルゲインをえられる。それが上場で多いパターンです。飲食店も同じように多店舗にするやり方がある。ちょっと話の内容が難しくなっちゃうけど、借り入れと減価償却を上手く使うことです。某焼肉屋が7年で1000店舗という多店舗展開をしたのもその方法を使っているのは間違いありません。しかしその焼肉屋はその後、売却された。多店舗に一気にする方法は見た目の財務諸表は良いけども、キャッシュフローは悪い。借り入れは雪だるま式に増えていく。そういった経営になりがちです。

――例えばどのようにすればよいと思います?

僕たちは利益を出していますが、帳簿上は少しでも利益を減らすように、消耗品計上を限界までやるなどの節税をしています。そうすると利益が小さくなって、財務諸表上は悪くなるけど、税金も減るため、当然、キャッシュリッチにもなります。最近はそこまで細かいことはやらなくなってきましたが、最初はそのくらい細かくやる事をオススメします。それが本来の実態に則した計上だとも思いますし。

――減価償却は重要項目ですよね。こういう知識は得るべきですね。

飲食店はとくに最初が儲かりますから、長期に減価償却を効かせてやると、びっくりするぐらい利益が違ってくるんですよ。新規にお店を出して、売上が上がって、でもちょっとしか減価償却がない。そうするとすごく利益が出ているように見える。でも法人税がバーンと来て、更に借り入れの返済がある。えっ!?こんなはずじゃなかった・・・、みたいな事が平気で起きてしまうんです。多くの人が借り入れは法人税を払った後に払うお金という知識もない。結局、儲かっているのに閉店に追い込まれるケースも出てくるんです。

――そういった知識をお持ちの森田さんなら多店舗展開も怖くないのでは?

僕が目指しているのはちょっと違うんです。僕は、僕が死ぬときに、社内のメンバーが死に目に立ち会うと言ってくれているのが、生きがいです。そのため、多店舗展開には興味は無いです。

――最初はご自身もマネーゲームに参加された事は?

起業してうまくいったときは、ある程度欲もありました。でもある一定超えると、欲がなくなる。自分がいるのはみんなのおかげと思うようになる。そのためには、社長という職業は一度くらいは「やばい」と思うくらい儲けたほうがいいです(笑)。僕も、かなりのとこまでいって、そこまでいくと、マネーゲームをやらなくなります。心がさみしくなるんです。お金のためにやるんだったら、会社経営ではなく不動産投資をやったほうがいい。

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■プロフィール

森田健太郎
1967年広島県生まれ。日本大学大学院理工学研究科物理学専攻博士前期課程修了後、KDDI株式会社に入社。1年間システムエンジニアを経験し、営業部門に異動。2年後、実績が新聞、雑誌などに多数取り上げられ、注文が殺到。東京支店達成率ナンバーワンに躍進。
1998年、ヘッドハンティングによって外資系ソフトウェア会社であるマカフィー株式会社に転職。1999年に日本でナンバーワンセールスとなり、2000年8月には世界ナンバーワンセールスアワードをハワイで表彰。同年11月、最年少部長に昇進。9四半期連続で目標達成という偉業を成し遂げる。
2001年、独立系ソフトウェアベンチャー企業にヘッドハンター経由で役員として転職。入社してわずか4年で売上を13倍にする。
2006年3月、株式会社グリーンツリーを設立。初年度からホームページを容易に制作できるソフトウェア販売(CMS業界)でトップレベルの会社に躍進させる。設立から現在までずっと黒字経営を続けており、2012年11月にはホームページ累計導入社数が1,000社を超える。
2011年11月、コンビニの5倍もある美容事業に参入し、一号店を3カ月で黒字化させる。
2017年11月現在、ホームページ導入社数は約2,000社、美容室は4店舗、一般社団法人 日本優良品協会 監事なども務める。

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