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飲食店経営に必要な消防法とは?消防署に届け出を出さないとどうなる?

飲食店経営に必要な「消防法」とは?消防署に届け出を出さないとどうなる?

飲食店の開業準備において、厨房機器の選定や内装工事と同じくらい重要なのが消防法に基づく各種手続きです。全国的な火災件数そのものは減少しているにもかかわらず、飲食店の火災は増加傾向にあるという背景があります。
火災のリスクを防ぐ上で欠かせない義務ですが、いざ進めるとなると、いつどんな書類を出すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。手続きを後回しにすると、後から追加の設備工事を指摘され、予定通りのスケジュールで営業を始められなくなるリスクが潜んでいます。
ここでは飲食店開業における消防法の基礎知識と必要な届出の全体像について、事前のスケジュール目安や罰則などの注意点を交えて解説します。まずは自店舗に必要な対応の概要を把握し、スムーズなオープンに向けて余裕を持った準備を進めていきましょう。

飲食店で発生しやすい火災とその原因

現在、全国的に火災件数そのものは減少傾向にあるにもかかわらず、飲食店の火災件数は増加中であることをご存じでしょうか? その原因は「火の消し忘れ」「過熱」「ガス等への接炎引火」が主なもので、東京消防庁によると、厨設備などからの出火が約半数を占めています。

2016年に起きた糸魚川市大規模火災も、ラーメン店の厨房で鍋を火にかけたまま、その場を離れてしまったことが出火の原因。木造建築が密集した地域であったため延焼が拡大し、焼損棟数は147棟、負傷者17名という甚大な被害を出してしまいました。

この火災を受け、2019年には消防法も改正。それまで消火器を設置する義務のなかった延べ床面積150平方メートル未満の飲食店も、原則として消火器具の設置が義務づけられることになりました。

では、なぜ飲食店での火災が増加傾向にあるのか? 東京消防庁がまとめたガイドラインでは、

  • ✔調理方法の多様化、調理の効率化、調理時間の短縮化の為に厨房設備の高火力化や複合化が進んでいること。
  • ✔店舗営業時間が長時間化して昼夜を問わず厨房設備等を使用するため、メンテナンス等に要する時間が短くなっていること。
  • ✔非正規雇用従業員つまりアルバイトの依存率が高まっており、正規の調理人が厨房機器を扱う機会が減ってきていること。


などが、その要因として指摘されています。皮肉なことに、調理における技術の進歩や、効率化をめざす店舗の姿勢が、火災のリスクを高めているというのです。

また、2016年の新宿・歌舞伎町ゴールデン街火災でも、改装工事中の飲食店が火元となり、約500平方メートルが焼けました。出火原因としては放火が有力視されていますが、特に飲食店が密集した区画での火災は被害が拡大しやすく、飲食店での防火対策は通常家屋以上に重要と言えます。

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あなたのお店は大丈夫? 現在の「消防法」とは

飲食店をはじめようとするならば、「消防法」は絶対に知っておかねばならない法律です。消防法の目的は、火災を予防・警戒・鎮圧して、人々の生命や身体および財産を保護するとともに、火災や地震が起こってしまった場合の被害を軽減すること。1948年に制定されて以降、何度かの改正を経て現在に至っています。

厨房などの火を扱う設備を持つため、火災のリスクが他業種よりも格段に高い飲食店には、当然ながら消防法の基準も厳しく定められています。その基準を満たさずに飲食店を運営していることが発覚すれば、罰金刑を課されたり、場合によっては営業停止にもなりかねません。

では、飲食店を運営するにあたって、具体的に何をすれば良いのでしょう?
飲食店の開業時には、店舗の用途や規模、収容人数、厨房設備などに応じて、消防設備の設置、消防署への届出、防炎物品の使用、防火管理体制の整備などが必要です。必要な対応は店舗ごとに異なるため、内装工事を始める前に管轄消防署へ相談しましょう。

飲食店を開業する際に消防署への事前相談が重要な理由

消防署は、完成した届出をただ提出するためだけの場所ではありません。
あらかじめ図面を持って相談しておくことで、基準を満たさずやり直しになる手戻りや、痛手となる追加工事を防ぐことができます。

工事前に相談すべき理由

消防署への事前相談は、必ず内装工事が始まる前に行う必要があります。内装が完成してからでは設備の変更が難しくなるからです。早めに足を運んでおくことで得られるメリットは、大きく分けて3つあります。
1つ目は、工事後の設備変更に伴う追加費用を防げる点です。図面段階なら修正は容易ですが、完成後のやり直しには多額の費用がかかってしまいます。2つ目は、自店舗に必要な消防設備や避難経路を事前に確認できる点です。
そして3つ目は、開業前の消防検査へスムーズに進める点です。あらかじめ要件をクリアしておくことで、検査時の思わぬ指摘や開業の遅れを避けられます。まずは設計図面ができた段階で、一度窓口へ相談しにいきましょう。

消防署へ相談するタイミング

消防署への事前相談は物件を契約した直後、かつ内装の設計に入る前に行うのが最も理想的です。ここを見落として進めると、後から大きな軌道修正を迫られるリスクがあります。
時系列で考えた場合、まずは契約を済ませた段階で管轄の消防署へ足を運ぶのが最初のステップになります。設計が終わってから消防設備の不足を指摘されると、図面の引き直しといった余計な手間と費用が発生しかねません。
そのため、もし設計前の段階で相談するのが難しくても、遅くとも内装工事がスタートする前には必ず事前相談を完了させておく必要があります。少しでも迷うことや不明点が出てきたら、自己判断せず早めに確認しておきましょう。

事前相談で確認される内容

事前相談では、店舗の設計プランが消防法を満たしているか、開業までの手順に抜けがないかを管轄の消防署と直接すり合わせます。
設備については、物件の状況に合わせて必要な消防用設備(消火器や火災報知器、誘導灯など)の設置基準を確認します。居抜き物件の場合でも、既存の設備がそのまま使えるとは限らないため、追加工事の有無を見極めます。初期段階で確認しておけば、後からの手戻りを防げます。
店舗計画に関しては、平面図をもとに安全性をチェックします。客席から屋外への避難経路が確保されているか、ガスコンロなどの厨房設備の周りに不燃材料が使われているか、収容人数に応じた対応が必要かなどを具体的に確認します。
届出とスケジュールについては、自店に必要な書類の種類と提出期限、消防検査(立入検査)を実施する時期を整理します。工事着工前や使用開始の7日前など、書類ごとに期限が決まっています。オープン予定日から逆算して、無理のない進行手順を把握しておきましょう。

飲食店の開業時に確認すべき消防設備の種類

ここからは、消防法で義務づけられている「3つの消防設備」をひとつひとつ詳しく見ていきます。

消火設備

火災が起きた際、速やかに消火するための設備のこと。

  • 消火器具の設置
  • 屋内消火栓設備
  • スプリンクラー設備
  • 水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末設備
  • 屋外消火栓設備
  • 動力消防ポンプ設備

以上の6項目があり、床面積や店舗のある階数、立地条件などによって、どこまで設置すべきなのかの基準が細かく決められています。

警報設備

火災が発生した、もしくはしそうなとき、近隣や消防署に通報する設備のこと。

  • 自動火災報知設備の設置
  • ガス漏れ火災警報設置
  • 漏電火災警報機の設置
  • 消防機関へ通報する火災報知設備
  • 非常警報器具・設備

の5項目があり、こちらも消火設備と同様に細かい基準があります。

避難設備

火災や地震などの災害が発生したとき、店内にいる人々をスムーズに避難させるための設備です。面積や階数にかかわらず、すべての飲食店は、以下の2点を設置せねばなりません。

  • 避難口誘導灯および通路誘導灯
  • 誘導標識

また、2階以上で収容人員50人以上、また3階以上だと場合によっては、収容人員10人以上で避難はしごや救助袋などの避難器具の設置が必要です。

消火活動上必要な施設

消火活動上必要な施設とは、火災発生時に消防隊の消火活動をスムーズにするための設備です。この設備は建物の規模や用途によって設置義務が細かく異なり、一般的な小規模の飲食店であれば、設置を求められないケースも少なくありません。
一方で、高層階や地下街にある大規模店舗では、被害の拡大を防ぐために欠かせない重要な設備となります。代表的な例としては、外部から消防用水を送る連結送水管や、消火活動用の電源を確保する非常コンセントなどが挙げられます。ご自身の店舗に必要かどうかは、事前に確認しておくと安心です。

飲食店開業で消防署へ提出する届出の全体像

消防署への届出は、すべての飲食店で提出が必須となる書類と、店舗の広さや収容人数などの条件によって追加で必要になる書類に分かれます。まずは自店舗に必要な手続きの種類を正しく把握していきましょう。

届出が必要になるタイミング

消防署への届出は開業直前にまとめて提出するのではなく、工事前と営業開始前にそれぞれタイミングが分かれています。
まず内装工事を行う場合、工事着工の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」などの提出が必要です。期限を過ぎてしまうと、完成後に設備基準を満たしていないことが発覚し、工事のやり直しによる想定外の費用が発生して慌てかねません。
続いて、内装が完成して店舗の使用を開始する7日前までに、「防火対象物使用開始届出書」や「防火管理者選任届」などを提出し、消防検査を受けます。
店舗の条件や届出の種類によって提出期限は一律ではありません。まずは管轄の消防署へ設計図面を持参し、自店舗に必要な手続きと正確なスケジュールを工事の契約前に確認しておきましょう。

必須の届出と条件付きの届出

飲食店を開業する際、どの店舗でも提出が必須となる届出と、規模や設備に応じて追加で必要になる届出があります。具体的には以下のような書類が求められます。
・防火対象物使用開始届出書:すべての飲食店が対象。建物やテナントの使用を開始する7日前までに提出します。
・火を使用する設備等の設置届出書:ガスコンロなど火を使用する設備を設置する店舗が対象。設備を設置する前までに提出します。
・防火管理者選任届出書および消防計画作成届出書:従業員と客の合計収容人数が30人以上の店舗が対象。営業開始までに提出します。
・消防用設備等設置届出書:火災報知器や消火器などの消防設備を新たに設置した店舗が対象。設置工事の完了後4日以内に提出します。
居抜き物件なのかスケルトンなのか、建物の構造はどうなっているかによって、求められる手続きは細かく変わってきます。書類の手配漏れは開業の遅れに直結するため、管轄の消防署へ図面を持参して事前に確認しておくのが一番の近道となります。

飲食店開業時に消防署へ提出が必要になる主な届出

次は、飲食店を開業する際に必要な消防署への届出を確認しておきましょう。

消防用設備等設置届出書

上記で説明した「消火設備」「警報設備」「避難設備」の3つを、定められた基準に沿って設置したことを記載・報告する届出です。管轄の消防署に提出すると消防検査を受けることになり、検査をクリアすれば消防用設備等検査結果済証が発行されます。

防火対象物使用開始届出書

店舗の使用開始7日前までに提出しなければならない届出で、具体的には「どんな人物が、どのような工事を行い、どのような飲食店をはじめるのか」を記載し、「消防設備などがきちんと設置されているか」を確認するものです。

消防署のフォーマットに沿って記入し、提出の際には店舗が入居する建物の配置図や立面図、消防用設備などの設計図書などの添付書類も必要になります。何を記入・添付すべきか、消防署によって多少の違いがあるため、事前に管轄消防署に問い合わせておくのがベターです。

火を使用する設備等の設置届出書

火を使用する設備を設置する際に提出しなければならない届出で、温風暖房機や多量の可燃性ガス又は蒸気を発生する炉、350キロワット以上の厨房設備、ボイラーなどが対象です。それぞれの管轄消防署によって、こちらもフォーマットが用意されています。

防火管理者選任届出書

防火管理の責任者を決定する届出です。飲食店では、

  • 延べ床面積が300平方メートル以上かつ収容人数30人以上の店舗では「甲種防火管理者」
  • 延べ床面積が300平方メートル未満かつ収容人数30人以上の店舗では「乙種防火管理者」

の選任を最低1人義務づけられており、「甲種防火管理者」は2日間で約10時間の、「乙種防火管理者」は1日で約5時間の講習を受け、効果測定の試験を受けて合格する必要があります。防火管理者に選任された者には、以後、消防計画を作成して消防署に届け出る義務も発生します。

収容人数30人未満の店舗では、防火管理者の選任・届出は必要ありません。ただし、ここで言う収容人数は客席数ではなく、従業員数も含まれるので注意が必要です。

条件によって提出が必要になる届出

必須の書類とは別に、店舗の広さや収容人数、導入する設備によって追加の提出が求められるケースがあります。
うっかり漏れると開業スケジュールに影響するため、自店舗にどの手続きが発生するのかを確認しておきましょう。

防火対象物工事等計画届出書

防火対象物工事等計画届出書は、店舗の内装工事に着手する前に消防署へ提出する書類です。物件契約や資金繰りなどに気を取られ、意外と着工前の段階では見落とされやすい手続きと言えます。
この届出は、建物の工事計画が防火上適切か、避難経路に問題がないかを消防署が事前に確認する目的で行われます。万が一ここで基準を満たしていないと、工事後に大がかりなやり直しが発生しかねません。
提出期限は自治体の運用によって異なりますが、一般的には工事開始の7日前までが目安です。空き店舗での新規工事はもちろん、居抜き物件での間仕切り変更や、客席のレイアウト変更を伴う工事なども対象になります。

消防計画作成届出書

消防計画作成届出書は、店舗の火災予防や避難体制を定めた「消防計画」を消防署へ提出するための書類です。開業準備に追われる中では後回しにされがちですが、安全に営業を続けるための土台となる手続きです。
消防計画とは、火災の発生を防ぎ、万一起きた際の被害を最小限に抑えるためのルールブックを指します。具体的には、日常の火気管理、従業員の役割分担、避難経路の確保、消火や避難の訓練計画、消防用設備の点検方法などを記載します。
この届出は、防火管理者の選任義務がある店舗で提出が必要です。飲食店の場合、従業員と客席数を合わせた収容人数が30人以上になる店舗が対象となります。選任された防火管理者が計画を作成し、営業開始前までに管轄の消防署へ提出する流れです。

消防用設備等着工届出書

消防用設備等着工届出書は、店舗に新しく消防設備を設置するなどの工事を行う際に必要となる場合がある届出です。
この手続きの目的は、これから設置する設備が消防法の基準を満たしているかについて、消防署から工事前にチェックを受けることにあります。いざ工事が始まってから設備の不備が見つかると、やり直しの時間や費用がかさみかねません。
対象となるのは、屋内消火栓設備や自動火災報知設備といった、専門的な工事を伴う設備です。これらの設置が必要な場合、原則として消防設備の工事に着手する10日前までに届出を行います。
ただし、具体的な対象設備や提出のルールは、自治体によって細かく異なるケースがあります。ここは後回しにするとトラブルになりやすいため、管轄の消防署へ事前に確認しておきましょう。

消防検査(立入検査)の流れとチェックポイント

消防検査は、営業を開始する前に必ずクリアしなければならない重要な工程です。あらかじめ検査の流れや主な確認項目を把握しておけば、手戻りを防ぎスムーズにオープン当日を迎えやすくなります。

消防検査の流れ

消防検査は、事前に管轄の消防署と日程調整を行い、現地で確認を受けたのち、問題がなければ営業開始へと進む手続きです。
検査前の準備として、内装工事が完了する目処が立った段階で消防署へ連絡し、日程調整を行います。早めに動くことで希望のスケジュールを押さえやすくなります。ここは後回しにすると、スケジュール全体に影響が出やすい部分です。
検査当日は消防署の担当者が店舗を訪れ、提出した図面通りに内装が施工されているかを確認します。現地で消防設備や避難経路などを一つひとつチェックし、安全基準を満たしているかを細かく見ていきます。
検査後、特に指摘事項がなく問題がなければ、消防署から書類の控えが交付されて無事に営業開始へ進むことができます。万が一不備が見つかると改善と再検査が必要になるため、オープン日に間に合うよう余裕を持った日程を組んでおきましょう。

消防検査で確認されるポイント

消防検査では、事前の届出通りに工事が行われているかだけでなく、火災を未然に防ぎ安全に避難できる状態かどうかが厳密にチェックされます。
万が一ここで不備を指摘されると、手直し工事が発生して想定していた開業日がずれ込むため、事前の入念な確認が欠かせません。
消防署の担当者が現地で確認する代表的な項目は、以下の通りです。具体的には、設備の位置や動作状況などをチェックします。
・消火器や自動火災報知設備といった消防設備が、規定の位置に正しく設置されているか
・誘導灯が正常に点灯し、避難経路となる通路や出入り口付近に障害物が置かれていないか
・防火戸がスムーズに閉まるか、厨房設備や火気設備周辺が安全な構造になっているか
これらは店舗の面積や収容人数によって求められる基準が変わるため、自店舗の条件を満たしているかが合否を分けます。検査当日に指摘を受けて慌てないよう、内装工事が完了した段階で、施工業者と一緒にこれらのポイントを点検しておくと安心です。

検査で指摘されやすい事例

消防検査で指摘を受けやすいのは、細かな設備配置や、事前の図面と実際の店舗の相違です。ここで再検査になると開業日が後ろ倒しになりかねません。事前に対策できる、よくある指摘事項は大きく3つあります。
1つ目は、消火器の未設置や設置位置の不備です。消火器が厨房の火元近くに置かれているか、すぐ取り出せる場所にあるかが見られます。見栄えを気にして店舗の奥に隠してしまうと、指導の対象になるため注意が必要です。
2つ目は、誘導灯や避難経路の問題です。誘導灯が観葉植物で隠れていたり、避難通路に段ボールや荷物を置いて塞いだりしているケースは頻繁に指摘されます。お客様がスムーズに外へ出られる動線を、常に確保しておきます。
3つ目は、届出内容と実際の店舗が異なるケースです。提出した平面図から直前で客席の配置を変えたり、間仕切りを追加したりすると厳しくチェックされます。図面と違う状態に気づいたら、検査の前に消防署へ相談しておくのが確実です。

飲食店開業から営業開始までの消防手続きの流れ

開業準備では単に届出の書類を揃えるだけでなく、物件の契約から営業開始まで時系列で手続きを進める必要があります。
全体の流れをあらかじめ把握しておくことで、直前になって想定外の対応に追われる事態を防げます。

物件契約後に行うこと

物件の契約を済ませたら、まずは管轄の消防署へ足を運んで事前相談を行うことが第一歩です。
最初に行うのは、図面を手元に用意し、これから始める店舗の用途や規模、既存の設備状況を正確に確認すること。ここで自店舗の現状を把握しておかないと、後の手続きでつまずく原因になります。
その情報を持って、管轄消防署の窓口で事前相談を行います。内装工事の設計を確定させる前に、どのような消防設備が新たに必要になるのか、具体的な要件をすり合わせておくためです。
もし設計完了後に消防法への抵触が発覚すれば、工事のやり直しで余計な費用と時間を奪われかねません。内装設計の前に必ず消防署の確認を取る手順を守り、無駄なく準備を進めていきましょう。

内装工事前に行うこと

内装工事を始める前には、消防関連の手続きや設備の確認を確実に済ませておく必要があります。
まず届出について、工事開始の7日前までに、必要に応じて「防火対象物工事等計画届出書」を所轄の消防署へ提出します。次に設備や内装に関しては、設計図面の段階で必要な消防設備や避難経路が確保できているか、内装制限に違反していないかを細かくチェックします。
ここで見落としがあり、工事が始まってから不備を指摘されると、大がかりなやり直しが発生して費用もかさんでしまいます。そうした手戻りのリスクを避けるためにも、事前に消防署へ図面を持参して相談を重ね、施工会社ともしっかり連携しながら計画を進めることが大切です。

工事中に行うこと

内装工事が始まってからも、消防関連のチェックは欠かせません。完成後に不備が見つかると、大規模な手戻り作業や追加費用が生じてしまうためです。
まずは現場へ足を運び、消火器や火災報知器などの消防設備が、事前相談した図面の設計どおりに設置されているかを確認します。もし工事の過程で座席レイアウトなどの変更が生じた場合は、自己判断で進めず、速やかに消防署へ相談するよう心がけてください。
さらに、工事の進捗と並行して、その後に控える消防検査への準備も進めます。防火対象物使用開始届出書など提出が必要な書類を少しずつ揃えておくと、検査当日に慌てることなく、スムーズな営業開始へと繋げられます。

営業開始前に行うこと

内装工事が完了したら、消防署への届出と立入検査をクリアして営業開始の準備を整えます。最後の仕上げとなるこの段階でつまずかないよう、全体の流れを押さえておく必要があります。
まずは、店舗オープンの7日前までに「防火対象物使用開始届出書」などの必要書類を消防署へ提出します。期限を過ぎて焦ることがないよう、工事完了の目処が立った段階で早めに書類の準備を進めておくのが安心です。
書類提出の後は、オープン前に消防署による立入検査(消防検査)を受けます。消防設備や内装が基準を満たしているか確認されるため、少し緊張する場面かもしれません。もし指摘事項を受けた場合は、速やかに改善対応を行います。すべての不備を解消して合格をもらって初めて、無事に営業をスタートできます。

店舗の規模によって異なる消防法上の基準

消防法で定められた義務は、すべての飲食店で一律に同じというわけではありません。
お店の収容人数や建物の規模などによって、必要となる消防設備や届出の種類が変わるため、ここから詳しく確認していきましょう。

収容人数30人が判断基準になるケース

飲食店における収容人数30人は、消防法上の義務が大きく変わる重要な判断基準の一つです。
ここでの収容人数には、客席に座るお客様だけでなく、厨房などで働く従業員もすべて含まれます。客席数だけを見て基準を下回ると判断してしまうと、後になって手続き漏れに気づいて慌てかねません。
店舗全体の人数が30人以上になると、防火管理者の選任と消防計画の作成・提出が義務付けられます。店舗に有資格者がいない場合は新たに講習を受ける必要があり、開業に向けたスケジュールに少なからず影響してきます。
自店舗の収容人数は、単純な人数の合計ではなく、用途別の面積から規定の計算式を用いて算出します。正確な数字を把握するためにも、まずは店舗の図面を持参して、管轄の消防署へ事前相談しておくと安心です。

延べ面積300㎡が影響するケース

建物の延べ面積が300㎡以上になるかどうかで、消防設備に関する義務の重さが大きく変わります。このラインを超えると大幅な設備投資が必要になる可能性があり、物件選びの段階から意識しておきたいポイントです。
具体的には、店舗が入る建物全体の延べ面積が300㎡以上の場合、自動火災報知設備などの設置が義務付けられるケースが増えます。たとえ自店舗の面積が小さくても、建物全体の面積で判断されるため、テナント入居時には特に注意が必要です。
ただし、建物の構造や他のテナントの用途によっても必要な設備は変動します。そのため、自己判断は避け、契約前に必ず図面を持参して管轄の消防署へ判断方法を確認するようにしてください。

防火管理者が必要になる条件

店舗の規模が一定以上になると、火災被害を防ぐ責任者として「防火管理者」を置かなければなりません。対象になるかどうか、まずは基準の人数を押さえておきましょう。
飲食店の場合、選任が必要になる条件は「収容人員が30人以上」であることです。人数は客席数だけでなく、混雑時の従業員数も含めて計算します。客席が25席で従業員が6人なら合計31人となり、義務が生じます。
主な役割は、消防計画の作成と運用です。それに沿ってスタッフの避難訓練を実施したり、消防用設備の点検を行ったりと、日々の備えを管理します。
選任手続きは、各自治体などが実施する「防火管理講習」を受講して資格を取得するところからスタートします。その後、管轄の消防署へ「防火・防災管理者選任届出書」と「消防計画」を提出すれば完了です。早めに受講予約を済ませておくとスムーズです。

消防法を守らなければどうなる?

必要な届出や設備の設置を怠り、消防法に違反したまま営業を続けるとどうなるのか、不安に思う方も多いはずです。
ここでは、違反とみなされる具体的なケースや科される罰則、店舗経営への深刻な影響について解説します。

消防法違反となる主なケース

飲食店における消防法違反は、必要な手続きの漏れや設備の維持管理を怠ることで発生します。
代表的な事例の一つが、防火対象物使用開始届出書などの必要な届出を提出していないケースです。内装工事前や営業開始前に所轄の消防署へ書類を出す決まりですが、居抜き物件などでそのまま営業を始めてしまうと違反に問われます。手続き漏れは「知らなかった」では済まされないため、早めの確認が欠かせません。
また、消火器や火災報知器といった消防設備を設置・維持していないケースも該当します。設備を置いていても定期的な点検と報告を怠れば違反になります。いざという時に作動しなければ、大きな被害につながる部分です。
さらに、収容人数が30人以上になる店舗で、防火管理者の選任義務を満たしていない場合も違反となります。資格取得には講習を受ける必要があるため、早めにスケジュールを押さえておくと安心して開業準備を進められます。

消防法違反による罰則と店舗経営への影響

消防法への違反は、重い罰則を受けるだけでなく、店舗の営業そのものを揺るがす重大な事態につながります。
まず法的リスクとして、改善命令に従わない場合などには、懲役刑や罰金が科されることが定められています。この部分は決して軽く考えることはできません。
また、営業面への影響も見過ごせません。消防検査で設備の不備が見つかると、追加工事が発生したり、改善が認められるまで営業開始が遅れる可能性があります。家賃だけが先に出ていく苦しい状況になりかねません。
さらに安全管理の観点から、万が一火災が起きた場合の被害拡大や、それに伴う社会的信用の低下も懸念されます。お客様の命を守り、安心して通えるお店をつくるためにも、定められた対策を確実に進めていきましょう。

消防法と建築基準法による「内装制限」にも気を付けよう

店舗の内装を決める際は、デザインだけでなく、消防法と建築基準法の両方で定められた「内装制限」を守る必要があります。ここでは、安全な店舗づくりに欠かせない内装制限の基本的なルールについて解説します。

カーテンやじゅうたんには防炎物品を使用する

飲食店で火災が起きた場合の消火を速やかに行い、火災の拡大を防ぐため、消防法では、カーテン・布製ブラインド・じゅうたんの3つを設置する場合、「防炎物品」を使用することが義務づけられています。防炎物品とは消防法で定められた防炎基準、つまり「燃えにくさ」の基準を満たしたもののことです。加えて、前述の3つの消防設備が消防法における「内装制限」となり、これらを無視して店舗の内装を考えることはできません。

壁や天井には条件に応じた不燃材料を使用する

火災が起きた際の速やかな避難を可能にするため、建築基準法でも壁や天井の仕上げ材に「難燃材料」「準不燃材料」「不燃材料」を使用することが、飲食店には義務づけられています。

3つの材料にはそれぞれ基準があり、最も燃えにくい「不燃材料」の場合は「20分の加熱で燃焼しない」「20分の加熱で損傷や変形をしない」「有害な煙やガスを発生させない」の3つを満たす必要があります。「1.2メートル以上の高さがある天井や壁」など、10の基準のうちどれかに当てはまる場合は、建築基準法における内装制限に従わねばなりません。これに違反すると懲役3年以下または罰金300万円以下、法人の場合は1億円以下の罰金が課せられます。

つまり、店舗の内装をデザインする際には、店舗規模や建物の条件をしっかりと頭に入れた上で、消防法や建築基準法の基準を満たす、防火性の高い内装材やインテリアを準備することが不可欠なのです。

内装設計で避難経路や消防設備を妨げない

店舗のレイアウトを決める際は、デザインだけでなく安全性を確保する視点が必要です。ここを後回しにすると、完成後に消防署から指摘を受けて手戻りが発生する恐れがあります。
内装においては、誘導灯や消火器などの消防設備を什器で隠さないことが大前提となります。見栄えを優先してここを見落とすと、いざというときの避難行動に支障をきたします。防火戸の周辺や避難通路の前にも、物を置かない配置を徹底してください。
さらに、客席の増設や個室を作るために間仕切りを変更すると、消防設備の要件が変わることもあります。間仕切りを変えるなら、内装工事を始める前に図面を持って消防署へ事前相談に向かうのが確実な進め方です。

居抜き物件で飲食店を開業する際の消防上の注意点

内装や設備が残る居抜き物件は、初期費用を大きく抑えられるのが魅力です。しかし、前テナントの届出や消防設備をそのまま引き継げるとは限らないため、契約前に以下のポイントを押さえておく必要があります。

前テナントの届出は引き継げない

居抜き物件であっても前テナントの消防署への届出を引き継ぐことはできません。消防法上の届出は店舗という場所ではなく、経営を行う営業者ごとに義務付けられているからです。内装や設備がそのまま残っていると、手続きも済んでいるように見えてしまいがちですよね。
そのため、物件を引き継いだら新たな営業者として、使用開始の届出など必要な書類を提出し直す必要があります。この切り替え手続きは、コストを抑えて開業できる居抜き物件において見落とされやすい部分です。
もし前の届出のまま放置してしまうと、届出漏れとして消防法違反につながる可能性があります。オープン直前に慌てないためにも、物件契約の段階から管轄の消防署へ相談を入れておくのが確実な進め方です。

消防設備はそのまま使えるとは限らない

居抜き物件に残されている消防設備であっても、そのまま使用できるとは限りません。
まずは、残置された消火器や火災報知器などに劣化や故障がないかを確認する必要があります。ここを見落とすと、いざという時に機能せず大きなトラブルに繋がり兼ねません。
次に、現在の法令や新しい店舗のレイアウトに適合しているかのチェックが求められます。過去の基準では問題がなくても、法改正や間取りの変更によって要件を満たさなくなるケースは珍しくないためです。
もし不備や不適合が見つかった場合は、必要に応じて設備の更新や追加の設置工事を行うことになります。開業前の余計な出費を防ぐためにも、内装を決める段階で専門業者へ調査を依頼しておきましょう。

レイアウト変更で届出が必要になるケース

居抜き物件であっても、内装やレイアウトに手を加える場合は消防署への新たな届出が必要です。前のテナントと同じ業態だからと安心せず、まずはご自身の計画に照らし合わせて確認しましょう。
具体的には、客席を増やして収容人数が変わるケースや、厨房を動かして火気設備が変更になるケースが該当します。また、間仕切りを立てて避難経路が変わる改装も、消防設備の見直しに繋がります。
こうした変更を加えると、既存の設備がそのまま使えるとは限らず、事前の届出が改めて求められます。ここで手続きが漏れると、開業直前の検査で不備を指摘され、オープンが遅れる事態になりかねません。
図面のラフができあがった段階で、管轄の消防署へ足を運んで相談しておくのが最も確実です。

保健所への営業許可との違い

飲食店の開業にあたっては、消防署だけでなく保健所での手続きも欠かせません。
どちらもお店を開くために必要なステップですが、安全を守るための役割や審査で確認されるポイントはそれぞれ大きく異なります。

消防署と保健所の役割の違い

飲食店を開業する際、消防署と保健所の両方で手続きが必要ですが、それぞれの管轄する法律や目的はまったく異なります。ここを混同したまま準備を進めると、開業直前になって書類の不備に気づき、予定通りにオープンできない事態になりかねません。
消防署は消防法に基づき、火災予防や避難経路などの安全管理を目的としています。提出書類は防火対象物使用開始届出書などで、消防設備の確認が行われます。
一方、保健所は食品衛生法に基づき、衛生基準の確認と営業許可を目的としています。提出書類は営業許可申請書などで、厨房設備の確認が中心となります。
このように、消防署は火災から命を守るための設備が整っているかを見るのに対し、保健所は食中毒などを防ぐための衛生面をチェックします。どちらも開業前に店舗での立入検査があるため、スケジュール調整は必須となります。窓口を行き来する手間を減らすためにも、早い段階で双方の要件を把握し、並行して準備を進めておくのが無難です。

手続きを進める順番

手続きは「消防の事前相談」を起点に動かし、内装工事後に「消防検査」と「保健所検査」を並行して受けるのがスムーズな進め方です。
ここの順番を間違えると、後になって想定外の追加工事が生じて予算を圧迫する要因になりかねません。
そのため、消防関連の準備は内装工事に入る前から始める必要があります。まずは消防署へ図面を持ち込み、必要な設備をすり合わせます。
その後、工事が終わる時期を見計らって保健所の営業許可申請と消防の各種届出を進めます。ここで初めて、実際の検査日程が見えてきます。
消防と保健所の担当部署は別々です。開業予定日に間に合うよう双方の検査日程をうまく調整し、余裕を持ったスケジュールを組んでください。

定期的な消防点検と報告を忘れずに!

店舗の大小にかかわらず、飲食店は6ヶ月に1回の機器点検、さらに1年に1回の総合点検を行うことも消防法で定められています。機器点検とは、前述した「消火設備」「警報設備」「避難設備」の適正な配置と、外観と簡単な操作で判別できる事項を確認すること。総合点検とは、これらの設備を実際に作動させて、総合的な機能を確認することです。点検終了後には、管轄の消防署に1年に一度報告する義務もあります。

点検は消防設備士または消防設備点検資格者が行う必要がありますが、「述べ1,000平方メートル以上の建物」「地下または3階以上にあり、かつ、屋内階段が1箇所のみの建物」の2つに該当しなければ、有資格者以外でも点検することができます。

逆に、どちらかに該当する場合は有資格者での点検が必須となり、外注する必要も出てくるでしょう。消防点検を請け負う業者は数多くあり、小規模な店舗であれば2~3万円程度で収まることも多いようです。

飲食店で実践したい日常の防火対策

無事に開業手続きが完了して一息つきたいところですが、安全な店舗運営は日々の積み重ねの上に成り立ちます。厨房での火気点検やスタッフへの教育といった、店舗で日常的に実践すべき防火対策を確認していきましょう。

厨房で火災を防ぐための日常点検

営業中の火災を防ぐためには、立派な消防設備を導入するだけでなく、日頃のこまめな点検や清掃の積み重ねが欠かせません。
まず厨房設備では、排気ダクトや換気扇の油汚れを定期的に清掃します。ここに油が溜まると引火しやすくなるため、営業後の清掃ルーティンに組み込んでおくと安心です。
続いて電気・ガス設備については、ガス機器やIH機器の動作、電気配線の異常がないかを点検します。少しでも焦げ臭いなどの違和感があれば、放置せずに専門業者へ確認を依頼する判断が大切です。
最後に消防設備の管理です。万が一の事態に慌てないよう、消火器が定位置にあるか、使用期限を過ぎていないかなども日常的に確認する習慣をつけておいてください。

従業員への防火教育と避難訓練も重要

消防設備を完璧に整えても、いざという時に人が動けなければ被害は食い止められません。店舗を守るには、ハード面だけでなく従業員への防火教育と避難訓練が重要です。
はじめに初期消火の備えとして、消火器の設置場所や使い方を全員で共有しておく必要があります。出火直後に迷わず初期対応できるかどうかが、その後の状況を大きく左右します。
続いて避難誘導では、お客様を安全に外へ導くため、誰がどのルートを案内するか役割分担を決めておきます。パニックを防ぐための声の掛け方まで、あらかじめ話し合っておくと安心です。
こうした対応は、アルバイトも含めて定期的に教育・訓練を行うことで初めて現場に定着します。スタッフの入れ替わりに合わせて継続し、店舗全体の防災意識を高めていきましょう。

飲食店開業に関する消防署への届出でよくある質問

ここまで全体像をつかんでも、いざ手続きを進めようとすると細かな疑問が次々と湧いてくるものです。
ここからは、飲食店開業前によく寄せられる疑問について、Q&A形式で分かりやすく解説していきます。

消防署への相談は無料?

管轄の消防署への事前相談は、基本的に無料で行えます。初めての手続きだと少し緊張するかもしれませんが、費用面の心配はいりません。
よりスムーズに案内してもらうため、あらかじめ電話で事前予約をしてから向かうのがおすすめです。その際、店舗の平面図やレイアウト図面を持参すると、より具体的なアドバイスをもらいやすくなります。早い段階で疑問を解消して、安心して開業準備を進めていきたいですね。

居抜き物件でも消防検査は必要?

居抜き物件であっても原則として消防署への届け出と消防検査が必要です。前の店舗の届け出をそのまま引き継ぐことはできず、新しく使用開始の手続きを行わなければなりません。
提供するメニューや客席の配置が変われば、求められる消防設備も変化します。ここを前の店舗と同じままで大丈夫と自己判断してしまうと、後から工事の追加を求められかねません。店舗ごとに検査内容は異なるため、管轄の消防署へ早めに相談へ行きましょう。

届出を忘れた場合はどうなる?

万が一届出を忘れたままにしていると、消防法違反となる可能性があります。必要な消防設備が確認できず検査も受けられないため、結果として予定していた営業開始が遅れる場合もあります。
手続きの漏れに気付くと焦ってしまいがちですが、まずは速やかに管轄の消防署へ相談してください。故意の未提出でなければ、現状からどうリカバリーすればよいか指示をもらえます。自己判断で放置せず、正直に状況を伝えることが解決への近道です。

消防署への届出は代理提出できる?

行政書士や消防設備業者などによる代理提出が認められる場合があります。自分で手続きに走る時間が惜しい開業前には、心強い選択肢となるはずです。
ただし、依頼する際の必要書類や委任状の書式は、管轄の消防署によってルールが異なる点に気をつけましょう。二度手間を防ぐためにも、代理人にどこまで任せられるかを含めて、不明点は事前に管轄の消防署へ直接相談し、要件を確認しておきます。

消防設備の点検・報告を怠った場合のリスクは?

点検や報告を怠ると、どのようなリスクがあるのでしょうか。ここは店舗の存続にも直結するため、あらかじめ把握しておきたいポイントです。
まず設備不良で初期消火が遅れ、被害が拡大する恐れがあります。また消防法違反として行政指導の対象になり、悪質な場合は罰則が科されることも。さらに安全管理の不備から店舗の信用が低下し、客離れや休業に追い込まれるなど、経営への深刻なダメージにつながります。

甚大な被害をもたらす店舗火災に気を付けよう

飲食店での火災を防ぐには、厨房機器に最新の安全装置を備えるといったハード面、従業員への知識伝達といったソフト面、両面での対策が必要です。特に、従業員のアルバイト比率が8割を超える飲食業において後者は必須。安全な機器操作の周知徹底や火災リスクに対する啓蒙によって防災意識の向上を図り、日頃から避難訓練などを実施することも、偶発的な事故に備える上で大事なことでしょう。

現在、飲食業は長時間営業の傾向があり、都内の平均営業時間は約11時間にも及びます。営業時間が長くなり、さらに一従業員あたりの勤務時間が長くなれば、より火災リスクが高まるのは言うまでもありません。同じ人間に厨房を長時間任せることは避け、余裕のある人員配置を心掛けるのも、リスク回避には効果的です。

万が一、消防法を守っていない状態で火災を起こし、お客様などに人的被害が生じた場合は、業務上過失致死傷罪に問われる可能性もあります。お客様はもちろん、従業員や周辺の地域、そして店舗そのものを守るためにも、消防法の順守を心がけましょう。

この記事の執筆

 _株式会社USEN canaeru編集部

 

株式会社USEN canaeru編集部

飲食店をはじめ、小売店や美容室などの開業を支援する『canaeru』の運営を行う。店舗開業や経営に役立つ情報を日々提供し、開業者と経営者に向けた無料セミナーの企画・運営も担当。

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