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【小阪裕司コラム】第88回:「店」とは「スペクタクル」2

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

大きい店はあるが、面白い店はない

 前回、「店」というものの本来の役割、そこはお客さんにとって「スペクタクル」なのだ、というお話をした。私のYouTubeチャンネルでは別の文脈から同じ趣旨で発信したが、いずれも大きな反響をいただいた。そこで今回も通ずる話をしよう。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある文具店からのご報告だ。
 ある日のこと。留学生だというスペイン人の男子学生が、日本人の彼女と二人で来店した。いろいろ見ていかれ、そのとき長期欠品していた、ある国産メーカーのシャープペン(約5千円)を、彼女と色違いのお揃いで1本ずつ注文。同店のLINEにも登録し、入荷したら連絡下さい、と、帰られた。
 それからしばらく経ち、入荷したので連絡すると、その留学生と彼女が再び来店し、前回以上に日本のシャープペンの話で大盛り上がり。その際に、なんと彼らは、隣県にある町から、わざわざレンタカーまで借り、3時間近くかけ、同店まで来てくれていたことが分かった。
 前回「留学生」と聞いたことから、てっきり地元の大学への留学生と思い込んでいた店主らはびっくり。しかも彼らが住んでいる町は大都市。同店があるのはずっと小さな町だ。思わず、「お住まいの町にもたくさん文房具屋さんはありますよね?」と聞くと、彼はこう言った。「大きいお店はあるけれど、面白いお店がない」。さらに彼はこう続けた。「閉店したりと、個店が少なくなっている。こんな風にいろいろお話しできるお店はない。○○(同店の名前)は面白いです」。
 大きい店はあるが、面白い店はない――これは大変示唆に富んだ言葉ではないだろうか。前回、お店はスペクタクルであるべきだという話をした。その際、「その店に行くたびに、ちょっとした驚きやドキドキ・ワクワク、知らなかった何かを教わる喜びなどがあったら、どうだろう」と問いかけたが、ここで彼が言う「面白い店」とは、何がある店だと思うだろうか。

「選ばれるお店」になるために

 ちなみに、彼が同店で取り寄せたシャープペンは、もちろん、彼が住む町でも取り寄せられる。しかし彼はこの店で注文し、再びここに来た。彼はきっと、今後も3時間かけ、この店に通うだろう。それは不便なことだし、経費も時間もかかる。しかし彼はそうする。なぜならここが「面白い店」だからだ。
 「面白い店」になろう。それがこれからの社会における「選ばれる店」となるのである。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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