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飲食店は廃業率が高い、という話はご存じでしょうか。これから飲食店を開業しようと考えている方の中には、廃業率の高いビジネスに足を踏み入れることを躊躇している方もいるかもしれません。
この記事では、飲食店経営が難しいと言われる理由のほか、飲食店経営の成功の鍵や年収まで徹底解説します。飲食店経営を始める手順も解説しているので、課題を把握しながら開業の準備を進めていきましょう。
目次
なんで飲食店経営は難しいの?
飲食店経営が難しいとされている大きな理由として、開業率と廃業率の高さが挙げられます。中小企業庁が2021年に発表した調査結果(上記の表)によると、宿泊業・飲食サービス業の開業率と廃業率は産業分野の中でどちらも断然トップです。この結果から飲食業は継続するのが難しく、非常に入れ替わりの激しい業種だということが伺えます。
また、コロナ禍のような外的要因により、開業を断念したり廃業を余儀なくされるケースもあります。NTTタウンページの発表によると、2010年に開業した業種ランキングでは居酒屋が約8,350件と1位でしたが、2021年には847件と激減し、ランク圏外になりました。
これらは飲食業界全体の問題として捉える必要がありますが、飲食店を成功させるためには経営者自身の努力も不可欠です。しかし、飲食店の現場で料理やサービス等のスキルを身につけた方のなかには、経営に関する知識が不足している状態で開業するケースも多く見られ、廃業率を高める原因となっています。
飲食店で成功を収めるには、飲食店のビジネス構造を理解することが重要です。飲食店経営のリスクやコスト、利益構造を正確に把握し、的確な販売推進を進めていく必要があります。ここからは、飲食店ビジネスの主なリスクついて掘り下げていきましょう。売り上げが安定しない:季節変動と外部要因
飲食店の経営が難しい最大の理由は、社会情勢や気候などの要因で売り上げが安定しないこと>です。
昨今はコロナの影響により、外出自粛が増え、外食をする方が以前よりも減少しました。天候にも大きな影響を受け、台風や大雪の日は来店客数が著しく落ち込みます。さらに社会情勢により食材価格が高騰することで、店舗の収益性に大きな打撃を与えることもあります。
飲食経営においては、このような困難な状況に直面した場合、事業の継続が危ぶまれる事態に陥りかねません。たとえ繁盛している飲食店であっても、外的要因を確実に予測することは困難であり、安定した売り上げを維持することは大きな課題となっています。
初期費用がかかる:開業資金の現実
飲食店の開業は、多くの起業家の夢でありながら、想像以上の資金が必要となる現実があります。飲食店開業には、立地や規模にもよりますが、平均して1,500万円から2,500万円程度の資金が必要とされます。以下に、一般的な初期費用の内訳を示します。
項目 費用 備考
保証金・敷金 200~350万円 家賃の6~10ヶ月分
内装工事費 400~600万円 床・壁・天井・設備工事など
厨房設備費 300~400万円 調理機器・冷蔵庫など
店舗備品費 150~200万円 テーブル・椅子・食器など
開業諸経費 80~150万円 各種申請料・保険料など
運転資金 400~600万円 6ヶ月分の人件費・仕入など
業態別の平均的な開業資金は、居酒屋が1,500~2,000万円、カフェが1,200~1,600万円、ラーメン店が1,000~1,500万円程度となっています。厳しい競争環境の中で成功するためには、十分な資金計画と綿密な事業計画の策定が不可欠です。運転資金が不足してしまう:資金繰りの重要性
飲食店が軌道に乗るまで店舗を維持するためには、ある程度の運転資金が必要です。しかし、予算に限りのある個人店の場合、用意した資金の多くを開業資金に当ててしまい、黒字化するまでに運転資金が尽きて廃業に至るケースが多くあります。
また、飲食店は通常の仕入れ以外にも調理機器や空調設備の故障、電気系統、排水トラブルなど、予想外の出来事に対し費用が発生します。そのほか、経営者や主要スタッフが病気やけがなどで一時的に働けなくなり、店を開けられないこともあるはずです。
そのような状況に対処するためには、適切な運転資金を残しておく必要があります。運転資金の金額は、売上がゼロであっても6か月〜8か月間、経営者の生活費とスタッフの給料を支払える額にしましょう。
競争率が高い:差別化の必要性
競争率が高いことも飲食店経営を難しくさせる要因。飲食業界は誰でも気軽にチャレンジできるため、参入するハードルが低いです。難関資格も必要なく、食品衛生責任者資格、防火管理者の資格を取得することで開業できます。そのため、似たような飲食店も多く出店しており、自然と競争率が高くなります。
顧客を確保するためには、他店との差別化を図ることがポイント。開店当初は新鮮さから来店することも多いですが、その飲食店の魅力を最大限に引き出さないと、客足は遠のいてしまいます。安定した顧客を確保するためには、リピーターを増やすことや、SNSやウェブサイトでのアピールが大切です。食材の在庫管理が難しい:ロス削減のテクニック
飲食店は、生鮮食品を調理するので、在庫管理が難しいです。日々食材を調達しますが、客足によっては食材が廃棄ロスになる可能性も。廃棄すると仕入費用が無駄になり、逆に客足が多い時は在庫不足になる可能性がでてきます。このように、仕入れ調整がとても困難です。
飲食店で予約が入っていたとしても、当日キャンセルになった場合、食材が全て廃棄ロスになることも頭に入れておかなければいけません。
人手不足になりやすい:採用と定着の課題
飲食店は、「給料が安い」というイメージがあり、人手不足になりやすいのが特徴。人手不足を解消するために、給与水準を上げたとしても、飲食店の経営が成り立たない可能性もあるので躊躇する経営者も多いでしょう。人手が足りなくなると、従来働いているスタッフにも負担がかかります。そのため、しっかりとしたフォローがないと連鎖的に退職率が上がることもあるので注意が必要です。
参考記事 【お店が回らない...】飲食店の人手不足の原因と対策をご紹介
長時間労働が浸透:ワークライフバランスの実現
飲食店は基本的に昼営業、夜営業、仕込みなどがあるので、長時間労働になりがち。平均すると1週間に40時間以上勤務している方がほとんどです。客がお店にいない間でも様々な業務があるため、長時間労働が浸透しています。
経営者は経営戦略にも時間を費やしますし、休日も仕事をしている感覚が抜けないかもしれません。長く飲食店を続けていきたい方は、きっちり休息をとることを意識しましょう。
あらかじめお店のコンセプトに合わせて、休日を決めておくのがベスト。ビジネス街などは、休日は客足が遠のくため、土日に休みを決めるのがおすすめです。土日に集客の多い飲食店なら、平日に休みをとりましょう。どちらにしても、経営者はシフト管理や労働時間の調整をしなければいけないので、長時間労働が予想されます。
利益率が生まれにくい:コスト管理の重要性
飲食店を経営する際には、食材を仕入れる際の費用(原価)はもちろん、家賃や従業員への給与などの販売管理費も必要となるため、どうしても利益率が生まれにくいです。
利益率を上げる方法は、人件費や家賃のコストカット、または食材の原価率を下げるという対策をすることです。ただし、飲食店は人手が不足しやすい傾向にあるため、人件費の大幅な削減は現実的ではありません。人件費をなるべく下げずに利益率を上げるには、食材ロスの減少、または集客率を上げるというのが効果的です。飲食業界は、どんなに飲食店が繁盛しても、その分かかるコストも増えるので、利益率が生まれにくい傾向があります。
参考記事 飲食店経営に必要なノウハウとは?利益を上げるためのポイントを解説
参考記事 飲食店経営が地獄と言われる理由5選。生き残るための対策とは?
飲食店経営に必要な売上/コストの考え方
売上高
売上高は、1日あたりの集客数と、1人当たりが支払う金額のこと。もしも売上が低下した時にチェックすることは、客数が減ったのか、客単価が下がったのかを見極めることです。どちらかに焦点を当てることで改善される可能性もあります。
客数が低下している場合は、SNSなどに力を入れて集客することが大切です。また、客単価が下がっている場合は、原価やFLコストを抑えるなどの工夫が求められます。
売上高は以下の数式で計算します。
客数×客単価=売上高(円)
売上予測
飲食店は、回転数が高いほど、多くのお客様が訪れるので売上が高くなります。あらかじめ売上予測をしておくことが大切。売上予測の計算は以下のようになります。
日別の予測客数(座数×回転数)×客単価×営業日数=売上予測(円)
例えば、営業日数が24日の飲食店で、客単価は2,000円、座席は30席、回転数が2.0とします。このケースで公式に当てはめて計算すると、288万円という月間売上予測です。
飲食店のランニングコストなどを含む諸経費を把握し、売上予測と合わせることで、明確な数値目標がわかります。原価、人件費、家賃、水光熱費、諸経費などのコストが売上予測費用に収まるようにしましょう。
売上高分析
飲食店の1ヶ月の売上予測をおこない、実際の売上高を定期的に分析することが大切です。好調な日や不調な日の原因をしっかりと追及することで、これからの飲食店経営アップにつながります。
例えば、飲食店一押しのメニューや、リーズナブルで好評なメニューなど、さまざまなメニューがあります。どのメニューが好評なのかを知ることが売上高分析に関わります。もしも売れ行きが不調なメニューがある場合は、差し替えを検討したり、リニューアルをしたりすることも念頭に入れておいた方がいいかもしれません。
FLコスト
これから飲食店を経営しようと考えている方は、FLコストって何?と思っている方も多いでしょう。食材費(Food)と人件費(Labor)にかかる費用がFLコストです。Fは売上高に対する食材費の比率で、Lは売上高に対する人件費の比率を表します。一般的な飲食店では、FLコストを60%以内に抑えると利益が生まれやすくなると言われています。
FLコストの比率計算は、以下の通りです。
(食材費+人件費)÷売上高×100(%)=FLコスト
それでは、月間売上が300万円の飲食店を想定して、具体的な数値を当てはめていきます。
●売上額/月300万円
●食材費/月120万円
●人件費/月90万円
この場合は、FL比率は70%となります。食材費を15万円、人件費を15万円削減することで、60%に抑えられます。
FL比率を60%に抑えないと、飲食店としての利益は出ません。飲食店経営には、他にもさまざまなコストがかかるため、利益を生まないと赤字経営になってしまうのです。
そのためには、食材の原価を下げる、食材廃棄率を下げる、オーバーポーション(決めている分量よりも多く盛り付ける)を無くすなどの工夫が必要です。
参考記事 飲食店のFL比率(FLコスト)とは?計算方法や数値の目安を解説
原価率
飲食店経営において大切なのは、原価率を30%に抑えることです。原価率とは、メニューに対する材料費用のこと。飲食店の利益アップを望むなら、原価率はとても重要です。原価が下がればその分利益は上がるので、黒字経営を目指せます。
原価率の計算は以下の通りです。
原価÷売値×100=原価率
例えば、1,200円のランチセットの場合です。販売価格が1,200円、原価600円とすると、原価率は50%になります。
原価率を抑えるには、メニューの価格を検討することや、利益率の高いメニュー開発をおこないましょう。もちろん、それが人気メニューになれば、売上に貢献されます。
飲食店の業種によって、原価率は異なります。ドリンク中心のカフェなどは、原価率が低く、フードメニューが中心のレストランでは原価率が高くなる傾向があります。特に高級食材を扱うことが多いフレンチや寿司店などは、原価率は高いです。
人件費
人件費は、売上の20%~30%が目安と言われています。毎月の売上が200万円あるなら、人件費は40万円~60万円が目安です。飲食店経営で最も費用がかかるのが人件費です。
人件費を抑えるために、賃金の引き下げなどを行うと、モチベーションの低下や、業務の増加、人材育成にも時間がかかるなどの問題が出てくるでしょう。
最近では、業務の効率を上げるために、システムの導入や、マニュアル作成をしている飲食店も増えています。食券機やPOSレジなど、様々なシステムを導入することで、業務効率化につながり、人件費を節約できます。また、仕事のマニュアル作成をすることで、スタッフの教育コストの削減ができるのが特徴です。他にも店内をセルフサービスにすることによって、あらゆる業務の負担軽減につながります。
損益分岐点
損益分岐点は、損失と利益が分岐する数値のことです。売上高と、飲食店経営にかかる費用の額がちょうど等しくなる点のことを指します。わかりやすく説明すると、飲食店の経営状態が赤字でもなく、黒字でもない状態のことです。
損益分岐点の計算は、以下の通りです。
固定費÷(1-(変動費÷売上高))=損益分岐点
毎月の売上が350万円の飲食店で、変動費が105万円、固定費210万円かかるケースだと、損益分岐点が300万円となり、黒字状態ということです。このように、飲食店を経営する場合は、売上高、変動費、固定費の3つの数字を把握しておくことで、損益分岐点を確認できます。
固定費・変動費
飲食店の固定費は、家賃や通信料、物品リースなどです。変動費は、食材費用、人件費、広告費用、水道光熱費用、交通費、修繕費、交際費などになります。それぞれ見直すことで、コスト削減につながり、飲食店経営をスムーズにします。
飲食店経営において大切なのは、なるべく無駄なことを省くことです。特に食材費と人件費のコストは、日頃から変動するので見直しやすいです。他にも様々なことがありますが、中々目に見えないのでわかりにくいです。そのために、売上管理や、在庫管理など、飲食店の経営に欠かせないデータを作成することが重要。日々のデータ管理を行うことで、何が大切で何を削減するべきかを明確に把握することができます。
固定費や変動費をしっかり把握して、飲食店の利益確保を行いましょう。
飲食店を開業するために必要な資格や知識
飲食店の開業に必要な資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つです。しかし、防火管理者の資格は不要のケースもあります。飲食店を円滑に経営するには、簿記とマーケティングの知識も必要です。なぜ簿記とマーケティングの知識が必要なのか、詳しく解説します。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、食品衛生法第51条に基づく「公衆衛生上必要な措置の基準」により、飲食店の店舗ごとに1名の在籍が義務付けられています。食品衛生責任者に求められる役割は、店舗の衛生管理全般です。事業者であっても、衛生管理に関しては食品衛生責任者の意見に耳を傾け、意見を尊重する必要があります。
具体的には、事業者は下記の内容の遵守が求められます。〈 食品衛生法施行規則第66条の2第3項の規定 〉
営業者は、食品衛生法で定めた公衆衛生上必要な措置の基準に従い、次に定めるところにより公衆衛生上必要な措置を定め、これを遵守しなければなりません。
① 食品衛生上の危害発生防止のため、施設の衛生管理及び食品又は添加物の取扱い等に関する計画を作成し、食品又は添加物を取り扱う者及び関係者に周知徹底を図ること。
② 施設設備、機械器具の構造及び材質並びに食品の製造、加工、調理、運搬、貯蔵又は販売の工程を考慮し、これらの工程において公衆衛生上必要な措置を適切に行うための手順書を必要に応じて作成すること。
③ 衛生管理の実施状況を記録し、保存すること。なお、記録の保存期間は、取り扱う食品又は添加物が使用され、又は消費されるまでの期間を踏まえ、合理的に設定すること。
④ 衛生管理計画及び手順書の効果を検証し、必要に応じてその内容を見直すこと。
引用 一般社団法人東京都食品衛生協会|食品衛生責任者について
食品衛生責任者の資格を取得するには、都道府県知事等が行う食品衛生責任者になるための講習会、もしくは都道府県知事等が適正と認める講習会を受講し、試験に合格する必要があります。試験といっても講習を受ければほぼ確実に合格する難度です。
また、栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者などの有資格者は必要な知識を有していると認められているため、講習を免除されます。防火管理者
防火管理者とは、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務を計画的に行う責任者のことです。防火管理者の選任が求められる飲食店は、30人以上収容できる施設に限られています。ただし、この人数には店舗スタッフも数に入っているので注意が必要です。
防火管理者は「甲種」と「乙種」とに区分されており、防火管理者に選任できる防火対象物が異なります。甲種防火管理講習修了者はすべての防火対象物に対し選任可能ですが、乙種防火管理講習修了者は選任できる防火対象物が比較的小規模なものに限られています。どちらが該当するのかは、防火対象物の用途や規模、収容人員、管理権原の範囲等により異なりますので、店舗を管轄する消防署に確認しましょう。
防火管理者になるためには下記の管理する防火管理講習を受ける必要があります。受講場所によって修了証が異なる場合がありますが、講習修了資格は全国共通です。
●都道府県知事
●消防本部及び消防署を置く市町村の消防長
●総務大臣登録講習機関
防火管理講習は以下の3つに分かれています。
講習種別 概要 甲種防火管理新規講習
(「甲種新規講習」と略)甲種防火管理者として選任されることができる資格を取得するための講習 乙種防火管理講習
(「乙種講習」と略)乙種防火管理者として選任されることができる資格を取得するための講習 甲種防火管理再講習
(「甲種再講習」と略)一定の防火対象物(特定用途、収容人員300人以上)において、甲種防火管理者として選任されている方が受ける講習
講習時間と費用は以下の通りです。
講習種別 講習時間・費用 甲種新規講習 講習時間:約10時間(2日間)
費用:8,000円乙種講習 講習時間:約5時間(1日間)
費用:7,000円甲種再講習 講習時間:約2時間(半日間)
費用:7,000円
飲食店経営において必要な知識
飲食店経営を始める前にあらかじめ習得しておきたいのは、簿記とマーケティングの知識です。どちらも飲食店の現場では学ぶ機会があまりないため、まったくわからないという方もいるのではないでしょうか。しかし、飲食店経営で成功を収めるためには重要な知識なので、ぜひ取り組んでみてください。
①簿記
簿記は売上管理に必要な知識です。税理士に依頼せず、自身で帳簿をつけるなら必須の知識といえます。ただし、簿記の知識がなくても指示に従い入力するだけで帳簿がつけられる便利なパソコンソフトやクラウド会計ソフトもあるので、簿記を学ぶ暇がない、数字が苦手という場合はそのようなソフトを活用すると良いでしょう。
②マーケティング関連の知識
飲食店に関わらず、経営者であればマーケティングの知識も必須といえます。マーケティングとは、主にモノを売る仕組み作りを指す言葉ですが、飲食店の場合は新規顧客やリピーター獲得のための取り組みを指します。代表的な例を挙げると、SNS、MEO、ダイレクトメール、ポスティング、スタンプカードなどの運用です。
これらの施策の効果を最大化するためには、自店の顧客層を分析し、その結果をもとに戦略を練ります。通常の営業業務と並行してマーケティングを学び、実行に移すことは容易ではありませんが、競合店に打ち勝ち、繁盛店になるためにはマーケティングは重要です。まずは自店の強みを明確にして、顧客層の分析に取り組んでいきましょう。
関連記事 SNSやWEBサイトの活用術
関連記事 集客に効果を発揮する「MEO対策」とは?
飲食店経営開始前にやること5選
1.初期投資を抑える工夫をする
飲食店を開業する際は、1,000万円が必要だと言われており、多くの初期投資が必要であることがわかります。これらの費用は開業後、売上の中から回収する必要があるため、初期投資をいかに抑える工夫をするかが飲食店経営のポイントになります。
主な内訳として、シンクやコンロ、業務用冷蔵庫などの厨房機器類の他、内装工事や店舗の保証料、備品、食器やホームページ作成料、求人サイト掲載料、チラシなどがあげられます。
小さい飲食店を開業するなら、開業資金を下げられる可能性も。坪数が小さいと、店舗投資となる内装工事や、外装工事、備品購入費も抑えられます。また、厨房機器は中古のものを選ぶ、広告費を抑える、居抜き物件(過去に入っていた店の設備をそのまま活かせる物件)を探す、などが初期費用を抑える工夫です。開業の資金を抑える工夫をするだけでも、成功へとつながります。
2.ターゲットを絞る
飲食店を成功に導くには、顧客のターゲットを絞ることが大切です。まずはペルソナの設定をしましょう。商品やサービスを利用する顧客増を想像し、年齢や住んでいる場所、ライフスタイル、価値観などをイメージします。
一番大切なのは、お客様に居心地が良いと思ってもらうこと。多様化している価値観なので、万人受けするお店を考えるのは困難です。ターゲットを絞り込むことで、来店する方にも、同じ価値観の方が来やすくなり、知らない方同士でも仲良くなるお店になれば、自然と満足度や客単価もアップするでしょう。
現在は、ターゲットを凝縮して絞り込むことが、集客につながるということをしっかり認識しておいてください。また、飲食店を開業する立地選びにおいて、ターゲットにぴったりな人が多いエリアを選ぶことも大切です。
3.SNSの活用
飲食店をアピールするのに欠かせないのがSNS。今や幅広い世代の方がInstagramやXを利用しており、店舗アカウントを作成し写真や情報を投稿することで集客効果が得られます。
飲食店経営とSNSの相性は抜群です。飲食店で提供する料理や飲み物をSNSで投稿すれば、視覚的アピールができます。店内を詳しく紹介する際は、YouTubeがおすすめ。長時間の動画配信でしっかりアピールできます。クーポンやポイントシステムを活用したい方はビジネス用LINEを利用しましょう。
このように、目的に応じてSNSを使い分けると、効果的に集客ができます。
そして、SNSはコストをかけずに広告同様の効果が期待できるのが魅力的。感動や共感を得られるような内容を載せて集客に繋げましょう。4.メニュー作りを明確にする
飲食店のメニュー作りは、コンセプトに沿って提供するメニューを明確にすることをおすすめします。あらゆるメニューを揃えても、お店のコンセプトがぼやけてしまい、お客様の集客率が下がる可能性もあるからです。メニューを明確にすると、食材の仕入れも安定し、廃棄ロスも削減できるのが特徴です。
そして、メニュー作りが飲食店経営をする上で最も大切なことなのです。看板メニュー、定番メニュー、利益率の高いメニュー、期間限定メニューなどを決めておくと、お客様に認知されやすいです。メニューの構成は、顧客の満足度と売上のバランスが取れるように考えてみてください。
メニューの価格設定は、客単価から考えるのが重要。原価率の計算に当てはめて考えてみましょう。価格設定は、お客様にとっても把握しやすい数字にすることもポイント。例えば、全てのメニューの下2桁を揃えることや、カテゴリーごとに中心価格を作るなどです。そうすることで、価格の相場が把握しやすくなります。
飲食店の最大の魅力であるメニューは、それぞれ価格のバランスも配慮することが大切です。
5.こだわって好立地の物件を探す
飲食店の開業準備の際に最も重要と言っても過言ではないのが立地選びです。売上の8割は立地で決まると言われるほど、物件選びは開業時の生命線となります。
理想的な立地の条件として、駅やオフィス街からの徒歩圏内、人通りの多い通り沿い、視認性の高い1階物件などが挙げられます。しかし、好立地は家賃も高額になるため、想定売上と人件費・仕入れなどのコストを細かく試算し、収支が成り立つかを慎重に検討する必要があります。
物件探しでは、不動産業者任せにせず、実際に現地で通行量調査を行い、競合店の有無やターゲット層の行動パターンを把握することが重要です。また、前テナントの撤退理由や周辺の開発計画なども確認し、将来的なリスクも考慮しましょう。
さらに、厨房設備や給排水設備の状態、消防法規制なども事前にチェックし、追加工事費用が発生しないよう注意が必要です。拙速な判断は避け、複数物件を比較検討することをおすすめします。
飲食店経営を軌道に乗せ成功させるポイント
顧客理解とターゲティング
お店の成功には、ターゲットとなるお客様の明確な理解が欠かせません。立地特性や時間帯で変化する客層を分析し、ニーズに合わせたメニューやサービスを提供しましょう。例えば、ランチタイムは短時間で提供できる商品構成、夜は落ち着いた空間づくりなど、時間帯に応じた対応が重要です。また、日々の接客やアンケートを通じてお客様の声に耳を傾け、期待に応える店づくりを心がけましょう。
独自性と品質維持
競合店との差別化を図り、お店ならではの強みを持つことが大切です。こだわりの食材や特別な調理法、独自のサービスなど、お店の個性を明確にしましょう。ただし、その強みは継続的に提供できる品質でなければなりません。調理手順の標準化とスタッフ教育に力を入れ、安定した味とサービスを提供することで、お客様の信頼を獲得できます。
徹底した原価管理と在庫コントロール
安定した経営には適切な原価管理が不可欠です。食材の仕入れ価格をチェックし、無駄のない発注と在庫管理を実践しましょう。特に生鮮食品は鮮度管理と使い切りが重要です。メニューごとの原価率を把握し、必要に応じて価格改定や商品構成の見直しを行うことで、適正な利益を確保できます。また、仕入れ先との良好な関係づくりも忘れずに。
飲食店経営での年収っていくら?
飲食店経営者の平均年収は、業種別にみると居酒屋経営が約300万から2,000万円、レストラン経営が約400万円から600万円、ラーメン経営が約800万円、カフェ経営が約200万円から1,000万円、定食屋経営が約250万円となっています。
個人経営とフランチャイズ経営では、年収に差が広がる傾向があります。小規模経営だと、経営者の年収も低い傾向です。
飲食店経営者の平均年収はおよそ627万円となっており、多店舗経営者になると平均年収は約940万円です。一般的な社会人の年収が545万円なので、2倍近くの年収の差があります。
ただし、飲食店は赤字経営が多いのも現実。赤字店舗経営者の平均年収が約300万円となっているため、一般的な社会人よりも年収が低くなります。
引用 【国税庁】民間給与実態統計調査開業に関するお悩みは「canaeru」にご相談ください
『canaeru(カナエル)』では、資金調達のプロ、物件探しのプロ、内装のプロがサポートする無料開業相談を行っています。
canaeruは株式会社USENが運営する開業支援サービスです。国が定める経営革新等支援機関(認定支援機関)であり、税務、金融および企業財務に関する専門的知識や支援にかかる実務経験が一定レベル以上ある支援機関として国に認められています。
飲食店経営を始めるにあたり、お悩みを抱えている方はぜひ一度ご相談ください。
無料開業相談まとめ
飲食店経営を成功させるには、経営リスクの把握が重要です。なぜ飲食店経営が難しいのかを知った上で対策を講じていきましょう。また、簿記やマーケティングを学び、経営戦略を練ってから行動すれば、黒字化への近道となります。開業までに取り組まなければならないことは多いですが、一歩ずつ確実に進めていけば、飲食店経営への不安は和らぐはずです。
この記事の監修
ライター・飲食店経営
大杉 元則
調理師学校卒業後、大手老舗ホテルの西洋料理部門に勤務。フレンチレストランやベーカリー、給食会社を経て2010年、無農薬野菜にこだわったイタリアンを開業。現在は店舗のオーナーシェフを務めながら飲食関連を中心としたライターとして活動中。
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