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近年、カフェ文化は急速に進化を遂げ、特にZ世代(1990年代後半から2010年代前半生まれ)の影響力が顕著になっています。本記事では、最新のカフェトレンドとZ世代の動向に焦点を当て、カフェ業界の未来を探ります。
目次
カフェ全体のトレンド傾向
近年、カフェは従来のコーヒーや軽食を提供する場所としての役割を超え、多様な機能と意味を持つ空間へと進化しています。この変化の中心にあるのが、カフェの多機能化です。現代のカフェは、「第三の場所」として家庭や職場に次ぐ重要な生活空間となっています。多くのカフェでは、Wi-Fi完備、電源コンセントの設置、快適な座席など、長時間滞在を可能にする設備が当たり前になり、仕事や学習の場としても機能するようになりました。
同時に、非日常を体験する場としても重要な役割を果たすようになっています。特殊な内装やテーマ設定を施したカフェ、季節限定のイベントを開催するカフェ、あるいは普段体験できないような特別なワークショップを提供するカフェなどが増加しています。これらのカフェは、日常生活から一歩離れた特別な空間や体験を提供することで、顧客に新鮮な刺激や癒しを与えています。近年のカフェ業界の市場推移
カフェ業界の市場は、コロナ禍の影響を受けつつも、着実な回復と成長を見せています。2020年には前年比売上高69%と大きく減少しましたが、2021年以降は右肩上がりで推移し、2023年には前年比120.6%とコロナ禍前を上回る売上高を記録。この回復と成長の背景には、業界全体の柔軟な対応と新たな戦略の導入があります。
大手チェーンが積極的な新規出店や、既存店舗の改装・コンセプト変更によって集客力を向上させたことが要因の一つです。多くの店舗では、コロナ禍を契機にテイクアウト需要の増加に対応。多くのカフェがテイクアウトメニューを充実させ、デリバリーサービスとの連携を強化しました。
また、特殊カフェの台頭も市場を活性化させています。ペットカフェやアニメカフェなど、特定のテーマに特化したカフェが増え、新たな顧客層を開拓。体験型カフェの人気も上昇しており、単なる飲食以上の価値を提供することで差別化を図っています。
そのほか、新たなビジネスモデルとして、サブスクリプションサービスの導入も進んでいます。定額制でコーヒーが飲み放題になるサービスや、会員制カフェの増加が見られ、安定的な収益確保と顧客の囲い込みに成功しています。
このように、カフェ業界は多様化と成長を続けており、今後もさらなる発展が期待されています。消費者のライフスタイルの変化や新たなニーズに柔軟に対応し、独自の価値を提供し続けることが、カフェ業界の持続的な成長のカギとなるでしょう。Z世代の食に対する価値観とは?
今度はZ世代の食に対する意識をひも解いていきましょう。Z世代の食に対する価値観は、主に以下2つの価値観が挙げられます。
食と同時に空間を重視
ひとつは、食だけでなく食事をする空間も重視する点です。2021年8月に若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.」とCCCマーケティング株式会社が共同で実施した「Z世代の食に関する意識調査」によれば、64.6%もの若者が「食を楽しむには空間も大事」と考えています。Z世代は単なる飲食にとどまらない総合的な「体験」を求めているということです。
この傾向は、SNS時代に育ったZ世代特有の価値観を反映しています。「インスタ映え」という言葉が示すように、彼らは視覚的な魅力を好みます。独創的な内装やフォトジェニックなメニューは、Z世代の心を掴む鍵となっているようです。
中には、空間に合わせたファッションを楽しむZ世代も少なくありません。カフェの雰囲気と自身のスタイルを調和させ、空間と一体化するという新しい楽しみ方が生まれています。食はZ世代のコミュニケーションツール
Z世代は食事をSNSに投稿することで自己表現し、コミュニケーションを図る傾向にあります。
特筆すべきは、Z世代におけるSNSシェア文化の浸透が挙げられます。彼らにとって、魅力的な料理や飲み物は、即座にSNSでシェアしたいコンテンツです。美しく盛り付けられた料理、個性的なドリンク、あるいはユニークな内装など、視覚的に魅力的な要素は、すぐにInstagramやTikTokなどのプラットフォームで共有されます。
この行動を通じて、Z世代は自身の食体験を他者と共有し、オンライン上でのつながりを深めているのです。彼らにとって、「何を食べたか」は単なる事実ではなく、自己表現の形となっています。
ちなみに、「Z世代の食に関する意識調査」で実施されたグループインタビューでは、「友達とSNSを見ながら行くカフェを決めて、当日は事前に見たSNSの投稿内容との答え合わせを楽しんでいる。SNSで見た情報と実際に体験したギャップがあっても、それを友達と話して共感するのが楽しい」「友達とその場の空間を楽しみながら話すのが好きなので、おいしくてもそうでなくても、話のネタになるので味はあまり重視していない」といった声が聞かれています。
Z世代が好むカフェの傾向は?
Z世代の特性を分析すると、彼らが好むカフェの傾向が見えてきます。
第一に、テーマ性が確立していること。単純なカフェよりも、特定のコンセプトやテーマを持つカフェがZ世代に好まれています。例えば、特定の時代や文化をテーマにしたカフェや、アニメや漫画の世界観を再現したカフェなどが彼らの興味を引く可能性が高いです。
第二に、ユニークで魅力的なメニューが提供されていることです。現代の飲食業界で美味しいは当たり前の時代。Z世代の心を掴むにはそれ以上の要素が必要です。視覚的に印象的なメニューや、個々の好みに合わせてカスタマイズできるドリンクやデザートなどが、彼らの期待に応える鍵となります。
これらが好まれる理由は、SNSに自身の日常を共有し、自己表現する文化がZ世代のライフスタイルに深く根付いているからです。そのため、Z世代に選ばれるカフェを目指すには、単に飲食を提供するだけでなく、彼らの自己表現欲求を満たす「舞台」としての役割も果たす必要があります。今注目のカフェトレンド
最後に、現在のカフェ業界で注目されている業態を押さえておきましょう。
韓国カフェ
Z世代に人気の韓国カフェは、どこを切り取ってもおしゃれで写真映えする、ベージュ・グレー・ホワイトなどのペールトーンを基調とした韓国インテリアが魅力です。
1. 特徴
- a. 洗練されたインテリアデザイン
- b. フォトジェニックなメニュー(カラフルなドリンク、アートラテなど)
- c. 韓国のポップカルチャーを反映した雰囲気
2. 人気の理由
- a. K-POPや韓流ドラマの影響で韓国文化への関心が高まっている
- b. SNS映えする空間とメニュー
- c.新しい味や体験への欲求を満たす
3. 代表的なメニュー
- a. 韓国風かき氷「ビンス」
- b. トゥンカロン
- c. フルーツをたっぷり使ったスムージー
無機質カフェ
韓国カフェと同様に昨今急増しているのが無機質カフェです。打ちっぱなしのコンクリート壁にステンレス製の机や椅子が並び、スイーツが並ぶショーケースもシルバーで統一。カラフルでフォトジェニックな空間とは対照的な冷たい空間がむしろ「自分映え」するとZ世代から支持を得ています。
1. 特徴
- a. モノトーンや淡い色を基調とした内装
- b. シンプルな家具と装飾
- c. 余計な装飾を排除し、空間そのものを楽しむ設計
2. 人気の理由
- a. SNS時代の「ノイズ」から逃れたいという欲求
- b. シンプルな美しさへの評価
- c. 集中力を高めたい学生や社会人に人気
3. 代表的な要素
- a. コンクリート打ちっぱなしの壁
- b. 無駄のないスチール家具
- c. スタイリッシュで落ち着いた雰囲気
動物カフェ
普段見かけない動物や、自宅では飼育が難しい動物に触れられる動物カフェは、Z世代を含む幅広い層に人気です。
1. 特徴
- a. カフェスペース内で動物と直接触れ合える
- b. 動物をモチーフにしたユニークな料理やドリンクの提供
- c. 季節やイベントに合わせた特別な企画
2. 人気の理由
- a. 癒しやストレス解消の効果が期待できる
- b. 可愛らしい動物や、珍しい動物たちとの写真が撮れる
- c. 住宅状況や生活スタイルなどの理由でペットを飼えない若者が動物と触れ合える機会
3. 代表的な例
- a. 猫カフェ
- b. ふくろうカフェ
- c. ハリネズミカフェ
体験型カフェ
体験型カフェとは、従来のカフェを拡張し、単なる飲食提供を超えた様々な体験を顧客に提供する新しいタイプのカフェです。コンカフェ(コンセプトカフェ)とも呼ばれ、普段では味わえない体験ができると人気が高まっている業態です。
1. 特徴
- a. カフェスペースに加え、様々なアクティビティスペースを併設
- b. 定期的なイベントやワークショップの開催
- c. 参加型のメニューや演出
2. 人気の理由
- a. 新しい体験への欲求を満たす
- b. SNSで共有したくなるユニークな体験を提供
- c. 友人や恋人と特別な時間を過ごせる
3. 代表的な例
- a. アート制作が楽しめるアトリエカフェ
- b. VR体験ができるテクノロジーカフェ
- c. 料理教室を併設したクッキングカフェ
開業を検討する際は課題をしっかりと把握しておく
カフェを開業するにあたっては、事前にカフェ業界が直面している課題、または直面する可能性のある課題を把握しておくことが重要です。
以下に挙げる課題は、カフェ業界が乗り越えるべき主な課題です。これらの課題をどのように解決していくか、開業前に考えておきましょう。
✔人材不足と人件費の上昇
✔原材料費の高騰
✔競争の激化
✔ブランド差別化の難しさ
✔経営コストの上昇
人材不足と人件費の上昇
カフェ業界をはじめ、飲食業界では労働力不足が深刻化し、経験豊富な従業員の確保が困難になっています。最低賃金の上昇や待遇改善の必要性から人件費が増加し、経営を圧迫。効率的な人材育成と業務効率化が急務となっています。
原材料費の高騰
コーヒー豆や乳製品などの主要原材料の価格上昇もカフェ業態が直面している課題の一つです。気候変動や国際情勢の影響で供給が不安定になり、品質を維持しつつコストを抑える難しさに直面。安定した調達先の確保や代替原料の探索が重要課題となっています。
競争の激化
大手チェーンの攻勢や異業種からの参入により、市場競争が激化しています。好立地の確保や価格競争が激しくなり、独自性の発揮が困難に。顧客獲得のための差別化戦略やサービス品質の向上が不可欠となっています。
ブランド差別化の難しさ
類似したサービスや商品が増えるなか、独自のブランドイメージを確立し維持することが人気獲得のカギと言えるでしょう。顧客の心に響く独特な体験や価値提供が求められ、一貫性のあるブランド戦略と顧客ロイヤリティの構築が重要課題です。
経営コストの上昇
近年では賃料や光熱費などの固定費が上昇し、経営を圧迫しています。デジタル化対応や環境配慮型設備への投資も必要となり、コスト管理が複雑に。効率的な経営とコスト削減策の実施が経営者の重要な課題となっています。
Z世代の価値観とトレンドを掴んだカフェ開業を
カフェ業界において、Z世代の影響力は今後さらに増大していくことが予想されます。彼らの価値観とニーズを理解し、それに応えるカフェづくりが、今後の成功の鍵となるでしょう。
カフェは単なるビジネスではなく、人々の生活に寄り添い、豊かな時間と体験を提供する場所です。Z世代の価値観を理解し、彼らと共に成長していくカフェづくりを目指してください。そうすることで、2024年以降も変化し続けるカフェ業界で、成功を収めることができるはずです。この記事の執筆
株式会社USEN canaeru編集部
飲食店をはじめ、小売店や美容室などの開業を支援する『canaeru』の運営を行う。店舗開業や経営に役立つ情報を日々提供し、開業者と経営者に向けた無料セミナーの企画・運営も担当。
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