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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
顧客の気持ちに寄り添い、顧客との関係性を育む
前回、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、牛乳販売店の事例をお伝えした。誤発注により大量に入荷した商品が、結果的に追加発注するほど売れに売れたお話だ。行ったことは「お願いチラシ」。しかし通常、それだけでこのような成果は得られない。では何が必要なのか?同店が日頃から行っていることに、その一端を見ることができる。
例えばそのひとつはコロナ禍でのことだ。世の中全体が暗いムードになっていた頃、同店の顧客も、自粛生活の日々に、「少し疲れた…」「気が滅入る」「いつまで続くのかね…」など、どんよりとした気持ちになっていた。そんなとき店主はこう思った。「今、このときにお客さんに何かしてあげたい」「こんなときだからこそ、当社が出来る事があるはず!!」。
そこで考えたことは、メッセージカードを添えて、フラワーアレンジメントを贈ることだった。そもそも店主自身、大の花好き。テーブルに花があるだけで部屋も心も明るくなる。まさにこのときにぴったりだと決定。一人600円の予算と決め、上位顧客500名に届けると、その日から反響は凄く、電話によるお礼や手紙が殺到した。特に電話では「直接、お礼をしたかったから」という声が多く聞かれた。これはほんの一例だが、同店ではかねてよりこのように、顧客の気持ちに寄り添い、顧客との関係性を育んできた。
そこで今回の「お願いチラシ」だ。普段からこのようなやり取りがあり、ときに感謝の気持ちを抱き、愛着や信頼を寄せている相手から、今回のような「お願い」が届いたとき、あなたならどう感じるだろうか?それこそが今回の結果を生んだ背景であり、同様の結果を生むすべての現場に共通したものだ。商売は人の営みである
ちなみに店主。今回の「お願い」にご協力いただいた顧客に、まずはご協力のおかげで無事完売(と言うか、倍売れたのだが)したことを伝えた。そしてそのお礼にと、この地域で販売していないお菓子を取り寄せプレゼントしたところ、またまた、「よかった!!心配だったのよ」「本当に良かったね、また何かあったら言ってね!」「いつも色々と心遣いをしてもらっているから力になれて良かった!」など多数の嬉しいお言葉をいただけたという。
私は日々会員企業のこのような実例を見聞きし、つくづく思う。商売は人の営みなのである。〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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