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【小阪裕司コラム】第46回:未来へお店を遺すためにできること②

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

「ビジネスモデルの賞味期限切れ」が起こり得る

 前回、あるバーでの、未来を見据えた果敢な実践の話をした。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のバーが行った本格パールアクセサリーの展示即売会。結果はなんと2日間で200万円の売上だった。
 なぜ店主はこのような取り組みをしているのか。バーに未来はないと見て商売替えをしようとしているのではなく、その逆であると前回お伝えした。店主はバーをこよなく愛している。バーテンダー歴も長く、前回言ったように、ここはオーセンティックなバーだ。この取り組みは、「バー」という商売をこれからも継続していくがゆえの取り組みなのである。
 その理由はビジネスモデルにある。「ビジネスモデル」という言葉には聞き覚えがあるだろうと思うが、ざっくりと定義すると「収益を生み出す仕組み」のことだ。この視点からバーという業種を見るとどうだろうか。同店は特にウイスキーにこだわりを持っているが、ウイスキーは今や世界的に人気沸騰、価格も高騰し、今や入手困難だ。この状況はこれからも続くと思われるが、そんな状況下で、以前からのバーのビジネスモデルは安泰だろうか?これからも同じ「収益を生む仕組み」でバーを続けていくことはできるだろうか?
 私はかなり以前から、実践会員に「ビジネスモデルの賞味期限切れ」について警告し、適切な手を打つこと、旧来のビジネスモデルがほころび、ときに破綻しても、自社・自店の事業を維持できる新たなビジネスモデルへ転換することを勧め、多くの会員が今まさに同店のように取り組んでいる。

経営を左右する「顧客コミュニティ」の存在

 そこでカギとなるのが「顧客コミュニティ」の存在だ。このバーのように、顧客のストックとファン化を進めていくと、顧客コミュニティ(同店は「会員」と称している)が出来上がる。この方々が、バーなど飲食店の経営を安定させる存在となることは前回も触れたが、ビジネスモデルにおいてはそれ以上の意味がある。彼らは、そこがバーであろうが何だろうが、信頼と愛着を寄せる店から提示された商品やサービスを積極的に買う。それが本格パールアクセサリーであっても、だ。オーセンティックなバーで本格パールアクセサリーを売る。この一見奇異な取り組みは、これからの時代、自社が大切に思う事業を存続させるために不可欠な取り組みなのである。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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