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「風営法」の規制に抵触していませんか? 今こそ「風営法」をしっかり理解しよう!

「風営法」の規制に抵触していませんか? 今こそ「風営法」をしっかり理解しよう!

「風営法」と聞いて「うちは飲食店だから関係ない!」と思ってはいないでしょうか? 
それは大きな間違い。実は飲食業と風営法は切っても切れない関係にあり、飲食店を経営するにおいて、風営法は頭に入れておくべき知識です。

万が一、知らずに違反していた場合は営業停止になる可能性も!?
そうならないために、この記事では「風営法」を基礎から解説します。

そもそも風営法とは?

「風営法」の正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」。
もともとは1948年に「風俗営業取締法」として制定され、1984年に現在の名称になりました。

「風俗営業」というワードから、キャバクラやホスト等のナイトビジネスや性風俗が連想されがちなため、それが一般的な飲食業とは無関係という勘違いを引き起こしているのでしょう。

しかし、そもそも「風俗」とは「ある時代や社会、ある地域や階層に特徴的にみられる、衣食住など 日常生活のしきたりや習わし、風習のこと」で、性産業だけに関係する言葉ではありません。

そのため風営法における「風俗営業」には、実はゲームセンターやパチンコ店なども該当し、むしろ性風俗は「性風俗関連特殊営業」というまったく別のカテゴリーになっています。

風営法が適用されるのは「風俗営業」「性風俗関連特殊営業」「特定有効飲食店営業(ナイトクラブやライブハウス等)」「深夜(午前0時 - 午前6時)における酒類提供飲食店営業」の4つ。

このうち「風俗営業」は、2015年の法改正によって8つから5つに分類が変更されました。以下、その5つについて順に解説していきます。

1号営業

キャバレー、待合、料理店、カフェ、その他設備を設けて客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業

いわゆるホスト、ホステスが常駐して、接待をする業態のことです。具体的にはキャバクラ、ホストクラブなど。
名称が「ガールズバー」等であっても、お客に対して継続的にお酌等の行為をしていれば、こちらに当たります。

2号営業

喫茶店、バー、その他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの(1号営業に該当するものを除く)

接待がなくても、店内が暗ければこちらに当たります。
ディスコ等もこちらに含まれますが、営業が深夜に及ぶ場合は「特定有効飲食店営業」の分類になるため該当店舗は全国的にも十数件と非常に少ないです。

3号営業

喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業で、他から見通すことが困難であり、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの

客席が5平方メートル以下という、ごく小さい面積で区画されている店舗のことです。具体的にはカップル喫茶など。
こちらも数が少なく、2005年時点で営業許可を得ている店舗は全国で6店です。

4号営業

麻雀、パチンコ、その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業

いわゆる雀荘、パチンコ店です。

5号営業

スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗、その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(4号営業に該当するものを除く)

いわゆるゲームセンターです。

風営法は何のために存在するのか?

「風俗営業」は深夜帯ーー原則として午前0時(東京都の一部地域では午前1時)から6時の営業を禁じられています。裏を返すと、この営業時間制限こそが「風営法」の大きな存在意義であることに間違いありません。

では、なぜ夜間の営業を禁じるのかといえば、夜間は人間の理性が緩みやすい時間帯だからです。理性が緩んだところに「(特に酒を用いた)接待」や「遊興」といった要素が絡むと、犯罪に結びつきやすいのは、過去の事例を見ても明らかでしょう。

これら「接待」や「遊興」に加えて「暗さ」や「狭さ」等、犯罪を誘発しやすい要素が関わるビジネスにおいて営業時間を規制し、公序良俗を維持する。これが「風営法」の大きな骨子です。

同じ「風俗営業」でも、具体的な営業時間の規制は各都道府県や業態によって異なります。例えば東京都の場合、1号営業では午前0時(一部地域では1時)から6時の営業が禁止されているのに対して、4号営業では午後11時から翌日午前10時までの営業が禁止されています。

ご自身が営業しようとする店舗の詳細な営業可能時間に関しては、店舗を所管する都道府県の条例を確認してください。

風営法に抵触しない、飲食店開業のポイント

接待があるか否か

いわゆる「接待」がなければ、1号営業には該当しません。そして「風営法」において、接待は「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。

つまりは料理だけでなく、お酌や談笑などの接待をサービスとして提供し、そこに料金を発生させると「風俗営業」と見なされてしまうのです。

店内の構造と明るさ

客席の明るさが10ルクス以下だと2号営業に該当してしまいます。10ルクスと聞いてもピンときませんが、だいたい上映前の映画館の明るさや、ロウソクの灯くらいを想像してもらえれば良いでしょう。

また、3号営業への該当を避けるため、個室を設ける場合は5平方メートル(およそ3畳)以上に。
さらに、客席全体がきちんと見渡せる構造になっているかを、設計の段階で確認しましょう。

ゲーム機などを設置しているか否か

飲食店であっても、店内にゲーム機やダーツなどがあれば、4号営業や5号営業に該当してしまうかもしれません。
例えばダーツバーの場合、設備によって該当するか否かが決まりますが、その条件も警察からの通達で刻々と変わります。
リアルタイムの情報を常にチェックする必要が生じてくるので、特別な事情がない場合は設置しないほうが無難でしょう。

もし知らずに風営法を違反してしまったら?

無許可で「風俗営業」をやってしまった場合、最も重い刑罰は「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれの伴科」となります。さらに、その後5年間は新規で許可申請をすることもできなくなるため、実質的に廃業に追い込まれることになるでしょう。

また、許可を取っていたとしても勝手に店舗内の構造や設備を変えたり、18歳未満の従業員に客の接待をさせた場合は、「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれの伴科」という罰則も。その他にも客引き行為等、違反となる事由が細かく定められており、刑罰に加えて営業停止命令などの行政処分も行われます。

そうならないためにも、自分の経営する店舗は「風営法」に該当しないか?該当して「風俗営業許可」を取っていた場合でも、規定に違反していないか?日々の営業の中で、しっかりと確認する必要があるのです。

風俗営業許可を取りたい場合

これから運営しようとする店舗が「風俗営業」に当たる場合、「風俗営業許可」が必要になります。
ここでは東京都を例に、その手順をお伝えしましょう。

まずは、以下の3つがクリアできているかをチェックしてください。
・申請する人間が、犯罪歴がある等の「人的欠格事由」に当てはまらないこと
・開業しようとする場所が、風俗営業が許可されている地域であること(住居系地域等ではないこと)
・店舗の構造が、許可申請する各号営業の基準を満たしていること

その後
・保健所に出向き、飲食店営業の許可申請&施設検査を経て、飲食店営業許可を取得
・店舗内の図面、建物登記事項証明書、身分証明書等の書類を警察署に提出(=風俗営業許可申請)
・所轄の警察署や風俗環境浄化協会の担当官による店舗検査
といった手続きを経て、「風俗営業」の許可証が交付されます。

ちなみに最後の店舗検査の時点で、オープンできる状態になっていないと再検査になるので、注意が必要です。

いずれにせよ「風俗営業許可」を取るには、かなり煩雑な手続きと書類が必要になるため、開店時期から逆算し、十分な時間的余裕を持って準備を進めていきましょう。

あなたのお店にはどのような許可申請が必要か考えよう

飲食店を始めようとした場合、まずは、それが「風俗営業」に該当するのかを考えましょう。そこでポイントになるのが接待の有無や店舗の明るさ、広さ、設備など。それによって「風俗営業」に当たる場合でも、何号営業を申請すべきかが変わってきます。

また、たとえ「風俗営業」に当たらなくても、営業が深夜帯に及び、そこで酒類を提供する場合は、別途「深夜(午前0時 - 午前6時)における酒類提供飲食店営業」の届出が必要になります(ただし、ラーメンや牛丼など、主食と認められる食事も提供している場合には届出の必要はなし)。
こちらの届けを出していても、接待などの「風俗営業」に類する行為は、もちろん禁止されているので注意してください。

まずは、どういった業態で店舗をオープンしたいのかを考え、そこで生まれる利益やメリットと、そのために必要な許可申請を熟慮することが重要です。そして無事オープンの暁には各規則を遵守し、「風営法」の目的である「善良の風俗と清浄な風俗環境」を、市民社会の一員として守っていきましょう。

この記事の監修

株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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