4人の理容師が集まって開業された"バーを併設したバーバー"『Barber BLUE WORKS』。髪を切るついでにお酒やコーヒーを…。そんな大人のおしゃれ空間が扉の向こうには広がっている。このコンセプトはどこから来たのか、そして4人での共同経営のメリットなどを伺いました。
4人で共同経営するバーバー。そのメリットとデメリットは?
ーー「BLUE WORKS」のスタッフは冨塚さんを含め4人いて、それぞれが同等な立場の経営者というスタイルだそうですね。どのような経緯で開業されたのですか?
僕は開業までの11年、全くテイストのちがう3つのヘアサロンを渡り歩きました。堅い老舗、若い子向けのサロン、そして佐藤、広瀬、星、僕の4人が出会ったバーバー。その過程で、自分は男性の接客の方が向いている、男性のカットに特化したいと思うようになったんです。女性のヘアメイクにも興味はありましたが、どちらか一方を追求したかった。その方が引き出しも増えるんじゃないかと。自分の進む道を模索する中で、飲んで語り合うメンバーがこの4人。みんなでやりたいことを語り合ううちにどんどん具体化して「やろう!」ということになったんです。
ーー自分ひとりでの独立願望なかったのですか?
ありましたが、リスク分散できるし、ひとりだけでは思い浮かばないことも4人だと次々浮かんでくる。いろんなことをトリッキーにやっていけると思いました。ただ、何かを決定するのに時間がかかる。店のロゴ一つ決めるのにも「ここ、感覚ちがう」「ここ、気に入らない」と熱くなり、佐藤がなだめに入ったりして(笑)。4人は同等だけど、舵取り役は佐藤。何か揉めたとしても、最終的な決定権は佐藤に一任しています。

ーーリーダーは佐藤さんというのは4人で決められたのですか?
自然発生的に、ですね。4人の日常の付き合いの中で本人含め「適任だ」と思えたんです。内装に関しては、やりたいイメージを強く持っていた広瀬がリードしてくれましたし、それぞれが得意なところでみんなを引っ張っていくという自然な流れがあって。結果的に「共に作り上げる」いい形になってきていると思います。

「バーバーにバー」。ブルーワークスのコンセプトはどこから?
ーーコンセプトのアイデアはどこから出たものですか?
「BLUE WORKS」という店名は、労働者を意味するブルーカラーからきています。サロンという現場で、お客様と1対1で真摯に向き合う姿勢を大切にしたいという思いを込めました。分業しないのでアシスタントはいません。ひとりのお客様のお出迎えからお見送りまでをすべてひとりが担当します。お客様には職場があり、家庭があり、「BLUE WORKS」はその次のサードプレイスでありたい、リラックスできる憩いの場でありたい。ここでお客様と一緒にいい歳を重ねていきたいと思っています。
ーーそのためにバーを併設されたんですね。
前の職場でもエスプレッソを出していましたし、海外ではバー併設で気軽に使える社交場になっているバーバーも結講あるんです。それに以前からお客様の「終わりにアルコールが飲めたらうれしいな」という声もあって、実現したい気持ちを強く持っていました。

ーー青山一丁目駅から徒歩3分というこの場所選びにもこだわりはありましたか?
まず、お客様の利便性を考え、4人それぞれのお客様が通いやすいエリアで物件をたくさん見ました。決定打はバーバーとバーのスペースがうまくとれる間取りだったこと。この物件ですが元は幼児学習塾で、座学する部屋とプレイルームが分かれていて、一目で「行けるんじゃね!」と。というのも、バーバーとバーを区切るドアがないと保健所の申請に通らなかったんです。

個性的なコンセプトをもったバーバーが見据える未来とは?
ーーホームページにはスタッフ個人のLINEを載せて、そこから直接予約を受けるなど独特な販促をされていますね。
実はネット回線の工事が進まないトラブルがあって、だったらホームページに4人のLINEをのっけちゃえ!ということになったんです。わざわざ電話するより、電車の中でも気軽に予約ができて便利だと好評で、結果として販促に繋がりました。開店からバタバタで余裕がなかったのですが、これからファッション誌を中心にメディアへのアプローチを積極的にかけていこうと考えています。

ーーこれからのビジョンを教えてください。
今の店をしっかりと構えて長くやっていきたい。店舗を増やすとだんだん中身が薄くなって、お客様をがっかりさせてしまうことになりかねないからです。多店舗展開ではなく、この空間をより内容の濃いものとして育てていきたいんです。空間ひとつでも、やり方次第でいくらでも変わると思うので。展望としては、先ほどのタイアップもそうですが、他の業種の方を巻き込んで「男がおもしろいと思うこと」をやっていきたいです。店内のフリースペースを活かして、レザークラフトの職人さんとか、バーテンさん、画家さん、格式の高い靴磨きの方など、男性のライフスタイルに関わる業種の方々と一緒に何か出来ればと考えています。追求するのは男性のお客様に感じていただける「おもしろさ」。限られた空間ですが、おもしろさは無限大です。
